朝鮮民族

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朝鮮民族
People of korea.jpg
乙支文徳 · 姜邯賛 · 李舜臣 · 尹斗緖
朴趾源 · 閔泳煥 · 金九
安昌浩 · 朴正煕 · ベンジャミン・W・リー
キム・ギドク · 金妍兒
総人口

7,910 万人

居住地域
大韓民国の旗 韓国 50,000,000 (2010年)[1]
朝鮮民主主義人民共和国の旗 北朝鮮 23,479,089(2008年)[2]

出典 : 大韓民国外交通商部
[2] [3] [4] (英語)

中華人民共和国の旗 中国 2,762,160 [3]
アメリカ合衆国の旗 アメリカ 1,520,703 [4]
日本の旗 日本 893,740 [3]
独立国家共同体の旗 独立国家共同体 (含ロシア) 533,976 [3]
カナダの旗 カナダ 216,628 [3]
オーストラリアの旗 オーストラリア 105,558 [3]
フィリピンの旗 フィリピン 86,800 [3]
ベトナムの旗 ベトナム 53,800 [3]
ブラジルの旗 ブラジル 50,523 [3]
イギリスの旗 イギリス 41,995 [3]
ニュージーランドの旗 ニュージーランド 32,972 [3]
インドネシアの旗 インドネシア 30,700 [3]
ドイツの旗 ドイツ 29,800 [3]
タイ王国の旗 タイ 25,000 [3]
アルゼンチンの旗 アルゼンチン 21,592 [3]
マレーシアの旗 マレーシア 14,934 [3]
フランスの旗 フランス 13,981 [3]
シンガポールの旗 シンガポール 12,656 [3]
メキシコの旗 メキシコ 12,070 [3]
グアテマラの旗 グアテマラ 9,944 [3]
インドの旗 インド 7,367 [3]
イタリアの旗 イタリア 5,502 [3]
スペインの旗 スペイン 3,606 [3]
南アフリカ共和国の旗 南アフリカ 3,480 [3]
中華民国の旗 台湾 3,166 [3]
モンゴル国の旗 モンゴル 2,500 [5]
言語
朝鮮語話者: 7,800 万人[6]
宗教
キリスト教大乗仏教天道教。儒教と民間信仰を背景とする。
キムチ

朝鮮民族(ちょうせんみんぞく)は、朝鮮語をそのアイデンティティー母語とする民族。主に朝鮮半島およびその北部周辺地域に居住している。韓国では韓民族(かんみんぞく)、倍達民族(ベダルみんぞく)と呼ばれる。人種的にはモンゴロイドに属する。

朝鮮民族による国家は、旧李氏朝鮮の故地に分断されたかたちで現在2国存在している。南側が韓国で、北側が北朝鮮である。それぞれ別個に国際連合に加盟しており、2つの独立した主権国家として国際的に認められている。文化的には、中国からの影響を強く受けながら、近年になり改良を加えられたチマチョゴリなどの服飾文化、キムチ朝鮮式焼肉などの食文化(朝鮮料理)やパンソリタルチュムなどに独特の特徴が見られる。多くがハングルを使用する。

歴史[編集]

古代の朝鮮半島は現代と比べ人口も少なく諸種族が点在していたが、大きく分けて中国()より渡来した半島中南部の馬韓辰韓弁韓などの三韓人[7]や、半島北部と満州の沃沮(よくそ)、(わい)、扶余(ふよ)などの濊貊(わいはく)系、そして現代の満州族に繋がる挹婁扶余靺鞨粛慎、その他には半島南部を中心に定住していたや、中国・シベリア地域から渡来した域外のエヴェンキ族等の諸民族が混雑していた。諸説あるが、これら種族の流入・混血が今の朝鮮民族の原型を成す。

その中の夫余から発展した高句麗が南下しながら半島に勢力を拡大し、これに連動するように半島中部で北部の馬韓諸国を統合した百済、半島東南部では辰韓諸国を統合した新羅が成立し、3国が鼎立するに至った[8]。三韓時代を代表する百済、新羅高句麗倭国(任那)等の各国はそれぞれ種族の偏りはあれど国である。その後、半島東南部を根拠地とする三韓系の国家である新羅が、百済高句麗などの扶余、濊貊系国家を打ち破って半島中南部を占拠し、半島北部と満州をつなぐ扶余系国家はなくなった。統一新羅の時代に新羅は旧百済や高句麗の一部の領域を支配し、これを治めていたが、住民の旧国家への帰属意識は依然と残り、新羅が滅び後三国時代に入る。また靺鞨が建国した渤海と対立したが、渤海の滅亡以後、新しく建国された高麗が帰順してきた一部の流民を受け入れた。こういったながれの中で、現在の民族意識の確立は13世紀頃とみられる。三国時代(新羅・高句麗・百済を指す)から民族集団としての歴史は受け継がれたされるが、モンゴルに支配された13世紀に入り『三国史記』の編纂や民族の啓発や統合が活発となり、13世紀後半に、現在の民族としての自己独自性の熟成と遺伝子的な一致がほぼ完成されたとみられる。

朝鮮民族の成立に影響した域外民族に漢族と満州族がある。朝鮮半島では古来から中国からの渡来人により征服(箕氏朝鮮)・植民され、「陳勝などの蜂起、天下の叛秦、の民が数万口で、朝鮮に逃避し渡来した。(魏志東夷伝)」「辰韓馬韓の東において、その耆老の伝世では、古くの亡人がを避ける時、馬韓がその東界の地を彼らに割いたと自言していた。(同前)」とある。また衛滿朝鮮の滅亡後、漢四郡がおかれ、漢によって半島北部が直接支配に入ることで漢人の流入があり、後に土着化する。李氏朝鮮の開祖である李成桂は満州族の前身にあたる女真族であるが李氏朝鮮による北進により征服され、捕まって奴隷となる者も多かった。

高麗の敗北によりの干渉、支配時期があったがモンゴルからの影響は王室を除いては特に見られない。

南部においては百済・新羅・伽耶などに倭人が定住し、その結果として前方後円墳等の倭人の居住痕が今も残されている。

東北部には、女真人など、ツングース民族の流入・渡来が相次いだ。一説によると李氏朝鮮時代の王族(李氏)も、開祖がツングース系の名前を名乗っていたことや血縁関係の研究からツングース系民族の出自とされる。

遺伝子的系譜[編集]

現在の朝鮮民族が持つ遺伝子系統は割合の多い順に、O3-M122(東アジア全域に多い)、O2b-M176(琉球を含む日本列島及び朝鮮半島に多い)、C2-M217(北アジアに多い)、である。日本人、中国人と比べ民族内での遺伝子の均一性は、日本人より低く、中国人より高い。

Y染色体ハプログループで見た場合、中国人など東アジアで多く見られる O3-M122 が朝鮮民族でも約41%の割合で確認されており、最も多い。O2b-M176から分化したO2b*-M176(x47z)が約22%の割合でそれに続くが、日本人では O2b から分かれた O2b1a-47zが多いので、朝鮮民族に多い O2b は O2b1a 以外の集団(別集団の為)として O2b* と呼称される。(琉球民族を含む)日本人に多いO2b1a-47z系統のY染色体は約8%~9%の割合で朝鮮人でも確認されているが、日本国内ではその3倍ほど(約24%)の割合で確認されている。(逆に、朝鮮民族男性の22%ほどが属するO2b*-M176(x47z)系統のY-DNAは日本でも約8%の割合で確認されている。)中央アジア及び北アジアのカザフ人、モンゴル人、ブリヤート人、エヴェンキ人、ニヴフ人、コリャーク人や北アメリカのナ・デネ語族などに多いC2-M217系統は約14%の割合で朝鮮人でも確認されており、現在の朝鮮民族のY染色体では三番目に多い系統である。C2-M217系統は漢民族や京(ベトナム)民族など、東アジアでは広域にわたって約10%の割合で確認されているが、日本列島では北海道・日高のアイヌ民族と九州の住民だけがそれに準じ、それ以外の日本人では2%~3%ほどでかなり稀な系統である。

その他に、少数ながらも朝鮮民族男性はフィン人、リトアニア人、ヤクート人など、極北ユーラシアに多いN-M231(約4%)、台湾の先住民である高砂族やその他の東南アジア島嶼部に多いO1a-M119(約3%)、東アジア広域にわたり低頻度で見つかっているO2-P31(xM95, M176)(約2%)、アメリカ大陸の先住民やインド、ヨーロッパなどに多いP-M45(約2%)、そして日本人固有のD1b-M55系統(日本列島起源)の保持が2%ほどの割合で確認(日本では40%近く存在している)されている。このD1b-M55 や O2b1a-47z の系統は、中国の正史三国志」「後漢書」に登場する狗邪韓国や新羅時代に活躍した日本人の一部がそのまま帰化したものとみられる。その他の少数ハプログループについては、東アジア乃至北アジアが起源と考えられており、朝鮮民族以外の民族でも同じ頻度以上で確認されているので、とりわけ朝鮮民族を特徴づけるものと言い難い。

また、母系では琉球諸島周辺で発生し、沖縄から九州へ入ってきたとされる縄文系ハプログループM7a (mtDNA)が韓国人に3%弱確認されているが、縄文時代に日本から移住したと考えられている。

カトリック医学大学キム・ドンウック教授と慶応大学岡本真一郎教授がHLA(ヒト白血球型抗原)を分析した結果、日本人と比較すると遺伝的な同質性が低いという結果が出ている[9]大阪医科大学名誉教授松本秀雄は著書『日本人は何処から来たか―血液型遺伝子から解く』で、「朝鮮民族は強く漢民族などの影響(混血)を受けており、これは中国と朝鮮との間の、相互移民や侵入などによって、北方少数民族や漢民族との混血の機会が多く、これが民族の形成に影響した」と述べている[10]。HLA遺伝子による調査で朝鮮民族は満州族や中国東北部の漢民族と近い[11]。しかし、全世界を調べても先述のO2b-M176系統のY-DNAが高頻度で検出されているのは日本と朝鮮だけなので、日鮮同祖論が部分的に裏付けられたと言わざるを得ないが、O2b-M176が日本人と朝鮮人の間でどんな風にして増加し拡散していったのか、まだ不明な点が多い。

居住地域[編集]

南北対立[編集]

朝鮮民族の居住が最も多く集中する地域は朝鮮半島、すなわち韓国および北朝鮮である。一つの民族が2つ以上の国家に跨って分布することは、世界的にはありふれているが、両国の国民はともに朝鮮民族・韓民族による国民国家という自意識を共有しており、並立する2国家の国民が互いを別民族と認識することはほとんどない。もっとも、北朝鮮、特に韓国にも民族成立前・後に渡来した少数民族は存在しており、厳密に言えば単一民族国家ではなく多民族国家である。沙也可のように文禄・慶長の役の際に帰化した日本人もいたとされる。

両国における朝鮮民族の人口は、韓国・北朝鮮は国内に少数民族をほとんど抱えていないので、それぞれの総人口にほぼ一致し、韓国に5,000万人、北朝鮮に2,300万人ほどである。

在外移民[編集]

韓国・北朝鮮の国外では、中国・北朝鮮国境に近い中国東北地区の吉林省周辺に朝鮮族がおよそ200万人ほど居住し、中国55少数民族の一つと見なされている。

かつては北朝鮮・中国吉林省と境を接するロシア沿海州にも居住していたが、第二次世界大戦中に中央アジアに集団追放され、そのまま中央アジアに住み続けている者もいる。そのうちウズベキスタンに住む朝鮮系の人口は110万人ほどで、同国の人口の5%近くを占める。ロシア語では朝鮮民族のことを英語のコリアンと同じように、「高麗」に由来する「コレイツィ(корейцы, korejtsy')」という呼称を用い、中央アジアの朝鮮民族は「コリョサラム」(「高麗人」の意)と自称する。

世界各地にも、朝鮮系の人々がいる。日本には併合前の難民や、併合後及び戦時中の本土への出稼ぎ、戦後の本土在留、正規の入管手続きを経ない入国者・移民である在日韓国・朝鮮人、 アメリカ合衆国にはコリアンアメリカン、カナダにはコリアンカナディアンと呼ばれるそれぞれ数十万から百数十万の朝鮮系の人々が居住しており、一定の民族意識を保って暮らしている。こうした在外の朝鮮系の人々が集住して暮らす町は「コリア・タウン」と呼ばれ、世界各地に点在する。

文化[編集]

宗教[編集]

習俗・習慣の面では、李氏朝鮮時代に民衆に浸透した儒教の影響が、しばしば指摘され、アニミズムを背景としたシャーマニズム的な信仰と儒教との混合形態による先祖崇拝が根付いている。なお、先祖崇拝は東アジア地域共通の特徴なので、その起源がどこにあるかを求めるのは難しい。

これに加えて、仏教信仰がある。仏教は高麗時代に国教とされるなどかつては隆盛を誇っていたが、李氏朝鮮が儒教を国教と定めて仏教を弾圧したので、現在では少数派になっている。

近代には西洋からもたらされたキリスト教が急速に広まった。特に北部ではキリスト教が深く浸透した。また、こうした新しい外来宗教に刺激される形で朝鮮民族独自の宗教である天道教が興った。第二次世界大戦後は、特に韓国においてキリスト教が強い影響力をもつに至っている。韓国社会におけるキリスト教の浸透はかなり深く、戦後、布教が停止状態にある北朝鮮においても根強く信仰が残っていると見られている。

郷土意識[編集]

近現代のディアスポラ植民地支配、南北分断などの経緯に加え、徴兵制度が存在する事から民族への帰属意識は高いが、一方で地方の郷土意識も根強く残っている(韓国の地域対立)。特に慶尚道と全羅道との対立は、朴正煕以降、長く慶尚道がエリートのリクルートや資源の配分において優遇されたことが背景となっており[12]、それ以前にどの程度の対立・差別が存在していたのかはつまびらかではない。西北差別については、南北分断によって実態がわかりにくくなっている。

文化依存症[編集]

文化依存症候群の一種として火病(鬱火病)という「怒りの抑制を繰り返すことによるストレス性障害」が存在するとされる[13]。日本の対人恐怖症(Taijin kyofusho symptoms)、欧米及びその文化依存が進んだ地域で見られる拒食症などと同じく、特定の文化と結び付いた精神疾患と見なされている[14]

脚注[編集]

  1. ^ [1]
  2. ^ CIA Factbook - North Korea
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x 재외동포 다수거주 국가, Overseas Korean Foundation, (2007), http://www.korean.net/morgue/status_4.jsp?tCode=status&dCode=0105 2008年10月10日閲覧。 
  4. ^ S0201. Selected Population Profile in the United States, United States Census Bureau, http://factfinder.census.gov/servlet/IPTable?_bm=y&-geo_id=01000US&-qr_name=ACS_2006_EST_G00_S0201&-qr_name=ACS_2006_EST_G00_S0201PR&-qr_name=ACS_2006_EST_G00_S0201T&-qr_name=ACS_2006_EST_G00_S0201TPR&-ds_name=ACS_2006_EST_G00_&-reg=ACS_2006_EST_G00_S0201:042;ACS_2006_EST_G00_S0201PR:042;ACS_2006_EST_G00_S0201T:042;ACS_2006_EST_G00_S0201TPR:042&-_lang=en&-redoLog=false&-format= 2007年9月22日閲覧。 
  5. ^ Mongolia-South Korea relations
  6. ^ Korean”. ethnologue. 2007年4月20日閲覧。
  7. ^ 古代において三韓と称される地域の居住者・渡来人を韓人と記録しているが、これは民族的系統上、現在の朝鮮民族との関連は不明である。韓人は、もともと燕・斉・趙に居住していた中国系の棄民であるとも推定され、それぞれを馬韓人、辰韓人等とも称し、風俗等も其々の集団ごとに異なっていた。
  8. ^ 「朝鮮民族」伊藤亜人『日本大百科全書』(小学館)
  9. ^ 李成柱「血液分析により民族の移動経路を判明する東亜日報、2001年1月3日。
  10. ^ 松本秀雄「日本人は何処から来たか―血液型遺伝子から解く」NHKブックス、1992。ISBN 978-4140016527
  11. ^ ヒトゲノム全域の多様性 解析の現状と展望
  12. ^ 和田春樹・石坂浩一編『岩波小事典 現代韓国・朝鮮』岩波書店、2002年、p.154(磯崎典世執筆項)。
  13. ^ http://japanese.joins.com/article/686/76686.html?sectcode=400&servcode=400
  14. ^ 文化依存症候群・地域特有の病気

関連項目[編集]