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2017年12月4日 (月) 08:58時点における版
『首都消失』(しゅとしょうしつ)は、SF作家小松左京によって書かれた小説、ならびにそれを原作とする映画である。小説はブロック紙3社連合に該当する北海道新聞、中日新聞(東京新聞)、西日本新聞にて連載(1983年12月 - 1984年12月[1])された。第6回日本SF大賞受賞。
あらすじ
日本の首都・東京を中心とする半径約30km圏が正体不明の「雲」に覆われ、「雲」の外部との連絡が途絶してしまう。人々は混乱に陥り日本の統治機構はたちまち機能不全となる。
全国知事会(原作では田村宮城県知事を議長とする「緊急全国知事会議」が開催される)を基礎とした暫定統治機構(臨時国政代行組織)が樹立されるが、財政・外交を中心に問題は山積する。一方で「雲」の軍事的利用を巡って、アメリカとソ連(作品の年代設定は1980年代のため、東西冷戦の真っ只中である)の激しいつばぜり合いが演じられる。
その後、最終的に「雲」は国際的な研究コンソーシアムにより調査が進められ、地球外生命体によって送り込まれた一種の観測機器である可能性が高いという結論に達し、継続的なモニターを行うこととなったのだが、ある日突然「雲」は消失する。
備考
本来の構想
当初は、後半で「雲」が消失して生還した東京の人々の知能が異常に向上しており、彼らの処遇を巡って国際世論が紛糾する、よりSF的な展開が構想されていたが、連載期間の都合により「雲」の消失時点で終了している。
他作品との関連
この作品と、1964年に発表された短編『物体O(オー)』に相似点があると徳間文庫版解説などにて指摘されている[2][3]。『物体O』では、高さ200km、直径1000kmに及ぶリング状の謎の物体が突然大阪付近を中心に落下し、外部との連絡が一切途絶する。『首都消失』は外側、『物体O』ではその内側の物語という点は対照的であり、また、通信・観測手段等も執筆ないし舞台として想定されている時代の科学技術に沿って異なっている。
他にも、通信途絶状態のシミュレーションとして、突如アメリカと全く連絡が出来なくなった世界を描いた短編『アメリカの壁』、またほとんどの人間が突如消失して社会的インフラが次第に崩壊していく過程を描いた長編『こちらニッポン…』との関係も指摘されている[2]。
書籍情報
- トクマノベルズ (1985年)
- 徳間文庫(1986年)
- ハルキ文庫 (1998年)
映画
首都消失 | |
---|---|
監督 | 舛田利雄 |
脚本 |
山浦弘靖 舛田利雄 |
原作 | 小松左京 |
製作 |
徳間康快 村上七郎 |
出演者 |
渡瀬恒彦 名取裕子 山下真司 夏八木勲 大滝秀治 丹波哲郎 |
音楽 | モーリス・ジャール |
撮影 | 飯村雅彦 |
編集 | 谷口登司夫 |
製作会社 |
関西テレビ 徳間書店 大映映画 |
配給 | 東宝 |
公開 | 1987年1月17日 |
上映時間 | 120分 |
製作国 | 日本 |
言語 | 日本語 |
配給収入 | 7.6億円[4] |
1987年、製作は関西テレビ、徳間書店、大映映画。東宝配給のSF特撮映画。
- 原作との相違点
- シミュレーションノベル的性格の強い原作に対し、映画は家族の絆を強調したハリウッド風の作品となっている。前半のストーリーはほぼ原作をなぞっているが、後半は原作とは異なり「雲」に閉じ込められた人々の救出を試みる設定となっており、それに尽力する人々の姿を描いている。
- 原作では暫定統治機構が成立しているが、映画では発足までは至っていない。アメリカによる国連信託統治案が安全保障理事会に提出されたことを察知して、中田議員により臨時代行政府発足を宣言した後に「雲」が晴れたため、実際に機能していない。また、「雲」が「物体O」と呼称されている場面が存在する。
- 「雲」の描写
- 雲の描写には、のべ約100トンのドライアイスなど様々な素材が使用された[5]。
- 建築用素材のフライアッシュを使用した撮影では、スタッフ全員が防塵マスクを着用して行われた[5]。
- 「雲」に人がのまれるシーンでは、わずか20秒であるがハイビジョンが導入された[5]。
- その他
- 「雲」による機能不全で、テレビの画面が乱れて消えるシーンでは、わずか一瞬であるが「ひらけ!ポンキッキ」のガチャピンとムックの姿が映っている。
登場兵器・メカニック
架空
実在
- 自衛隊
- M3A1装甲車 ※実際にはM3装甲車の対空自走砲型であるM16対空自走砲の払い下げ品から対空砲を撤去してM3に似せて仕上げたレプリカ車両で、本作の他『戦国自衛隊』などにも登場している車両である。
- 73式大型トラック
- 73式小型トラック
- 1/4tトラック
- F-4EJ戦闘機
- LR-1連絡偵察機
- KV-107IIA-4中型輸送ヘリコプター
- KV-107IIA-5救難ヘリコプター
- OH-6J観測ヘリコプター
- UH-1H多用途ヘリコプター
- 海上保安庁
- 警察
- ベル222小型ヘリコプター
- アメリカ軍
- EP-3E電子偵察機 ※劇中には実機は登場しておらず、登場する機体は『ゴジラ』制作時に製作された海自仕様のP-3Cを改造したミニチュアモデルであり、機内はその際に集められたP-3Cの資料を基に想像を交えて製作されたセットである。
- 原子力航空母艦CVN-65「エンタープライズ」
- カリフォルニア級原子力ミサイル巡洋艦
- ソ連軍
- Tu-22M爆撃機(名称のみ)
- Tu-16電子戦機(名称のみ)
- Ka-25哨戒ヘリコプター
- キエフ級航空母艦「ミンスク」(名称のみ)
- 航空母艦「トビリシ」(名称のみ)
- モスクワ級ヘリコプター巡洋艦
- カシン型駆逐艦
- ビクター2型攻撃用原子力潜水艦(名称のみ)
- その他
スタッフ
- 製作:徳間康快、村上七郎
- 企画:巻幡展男、荒井修、山本洋
- 原作:小松左京
- 監督:舛田利雄
- 脚本:舛田利雄、山浦弘靖
- 音楽:モーリス・ジャール
- 撮影:飯村雅彦
- 美術:育野重一
- 照明:川崎保之丞
- 録音:瀬川徹夫
- 音響効果:帆苅幸雄(東洋音響)
- 編集:谷口登司夫
- 記録:加藤八千代
- 操演:白熊栄次
- 助監督:上野尭
- 音楽プロデューサー:三浦光紀
- 音楽監督:松居和
- 編曲:ゲーリー・ストックデール、松居慶子
- ミュージックアドバイザー:鈴木清司
- 挿入歌:松村冬風「ロンリー・クライ」
- サウンドトラック盤:徳間ジャパンコミュニケーションズ
- 特殊効果:久米攻
- 製作デスク:小野克己、鈴木良紀
- 製作担当:丹羽邦夫、小橋孝裕
- スチール:原田大三郎
- 特撮スタッフ
- ヘリコプター:朝日航洋
- 特殊効果:酸京クラウド
- CG:シネボーイ
- 光学アニメーション:日本エフェクトセンター
- タイトル:デン・フィルムエフェクト
- 現像:IMAGICA
- 録音スタジオ:アオイスタジオ
- スタジオ:大映スタジオ、東宝スタジオ
- 車輌協力:三菱自動車工業
- 協力:ソニー、富士通、日本無線、日本航空、日本電信電話、ピイ・フォー、シロタ、レンタルのニッケン、アマダ、大塚製薬
- 撮影協力:防衛庁、アメリカ海軍、海洋科学技術センター、国立防災科学技術センター、気象庁、文部省、港北ニュータウン、多摩ニュータウン
- プロデュース:溝口勝美、栢原幹
- アソシエイト・プロデューサー:飯泉征吉、和田康作
- クリエイティブ・アドバイザー:永田貴士、鹿野司
- 製作協力:電通、大映映像、東宝映像
- 製作:『首都消失』製作する会(関西テレビ、徳間書店、大映)
キャスト
原作と映画において、テレビ局の名称や一部登場人物の氏名などに差違がある。下記に示すものは基本的には映画版のものである。
- 渡瀬恒彦 - 朝倉達也(42、北斗電機技術開発部長、神奈川県川崎市百合ケ丘)
- 名取裕子 - 小出まり子(27、フリーキャスター、東京都杉並区)
- 山下真司 - 田宮洋介(30、関西放送報道部員)
- 石野陽子 - 松永美恵子(18、女子大生。北斗電機研究所アルバイト)
- 大滝秀治 - 大田原権造(62、筑波大学電子工学教授<物性物理学>・北斗電機技術顧問)
- 夏八木勲 - 佐久間英司(41、航空自衛隊二等空佐)
- 財津一郎 - 川村(51、関西放送報道部長)
- ザ・ぼんち・おさむ - 小山(25、関西放送報道部カメラマン)
- 津村隆 - 浦部(32、商社マン)
- 松村冬風 - 松尾豊(20、盲目の学生ボランティア、ロックシンガー)
- 江角英明 - 竹田(北斗電機研究所員)
- 岸部一徳 - 安原(北斗電機研究所員)
- 並木史朗 - 吉武(北斗電機研究所員)
- 星正人 - 北斗電機研究所員
- 苅谷俊介 - 森田(関西放送報道部員)
- 平泉征 - 和田(関西放送社会部デスク)
- 宮内洋 - 関西放送外信部デスク
- 平淑恵 - 朝倉由美子(38、朝倉の妻)
- 濱田万葉 - 朝倉佐和子(13、朝倉の娘)
- 三木のり平 - 木村松吉(65、双子の祖父)
- 浅利香津代 - 木村光子(35、双子の母)
- 海老名みどり - 安原敬子(32、安原の妻)
- 加藤治子 - 小出梅子(58、まり子の母)
- 青木義朗 - 末富海将
- 児玉謙次 - 荒木空将補
- 相馬剛三 - 谷崎陸将補
- ドン・ノード - ローガン准将(横田基地司令官)
- ジョー・グレイス - グレイス中佐
- デビッド・ワインバーグ - フォード大佐
- クリスティン・マレン - ローラ中尉
- ジェリー・L・インマン - バーナード博士
- トム・キロー - EP3E(アメリカ海軍哨戒機)機長
- 不破万作 - 国鉄東海道新幹線車掌
- 山本亘 - 城南医大・久保教授
- 丹波義隆 - 駿河テレビディレクター
- うえだ峻 - 関西放送取材ヘリ・パイロット
- 安井昌二 - 大槻駐米大使
- 田口計 - 植草駐英大使
- 入江正徳- 北海道知事
- 梅野泰靖 - 愛知県知事
- 尾形伸之介 - 鹿児島県知事
- 久遠利三 - 福島県知事
- 河合絃司 - 兵庫県知事
- 竜雷太 - 堀江(49、外務省国際局次長、東京都目黒区)
- 渡辺文雄 - 小室達夫(68、大阪府知事)
- 石橋蓮司 - 三好大一郎(47、郵政大臣秘書)
- 丹波哲郎 - 中田代議士(52、前民主党幹事長)
- 清水大敬、浜田晃、毛利八郎、飯島大介、大塚国夫、栩野幸知 ほか
主な受賞
関連書籍
- ゲームブック『首都消失』雅孝司著 徳間書店 1986年12月31日発行 ISBN 4198133719
- 外伝的内容で主人公は怪盗。「雲」破壊のため暗躍する。途中にいくつかの選択肢が設けられており、複数のエンディングが用意されていた。
- 首都消失(シナリオ版 1986年12月)徳間書店 ISBN 4195982006
- 東京が死滅する日―映画『首都消失』の可能性を検証する 八木大介、吉原公一郎、那野比古 徳間書店 1986年12月 ISBN 4195533724
外部リンク
- 首都消失 - allcinema
- 首都消失 - KINENOTE
- Shuto Shoshitsu - オールムービー(英語)
- Shuto shôshitsu - IMDb(英語)
オリジナル サウンドトラック
- 首都消失 オリジナルサウンドトラック盤
- 1987年1月25日に徳間ジャパンコミュニケーションズより発売。(廃盤)
脚注
- ^ 株式会社イオ・小松左京事務所 「年譜」 より
- ^ a b 石原藤夫「解説――「首都消失」について」『首都消失』 下、徳間書店〈徳間文庫〉、1986年11月15日、409-410頁。ISBN 4-19-578171-X。
- ^ 小松左京自身も、『物体O』について「パニック・シミュレーションものとしては最初の短編で、『アメリカの壁』『首都消失』などがこの系列のものとしてある」と記している。(小松左京「小松左京コレクション 3 あとがき」『小松左京コレクション』 3巻、ジャストシステム、1995年11月4日、461頁。ISBN 4-88309-107-4。)
- ^ 「邦画フリーブッキング配収ベスト作品」『キネマ旬報』1988年(昭和63年)2月下旬号、キネマ旬報社、1988年、191頁。
- ^ a b c 石井博士ほか『日本特撮・幻想映画全集』勁文社、1997年、302頁。ISBN 4766927060。