アンダー・プレッシャー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
アンダー・プレッシャー
クイーン & デヴィッド・ボウイシングル
初出アルバム『ホット・スペース
B面 ソウル・ブラザー
リリース
規格 7インチシングル
12インチシングル
CD
録音 1981年7月
マウンテン・スタジオ
モントルー
ジャンル ロック
時間
レーベル イギリスの旗EMI
アメリカ合衆国の旗エレクトラ・レコード
日本の旗ワーナー・パイオニアエレクトラ
作詞・作曲 クイーン
デヴィッド・ボウイ
プロデュース クイーン
デヴィッド・ボウイ
ゴールドディスク
  • シルバー(イギリス)
チャート最高順位
  • 1位イギリス全英シングルチャート[1]
  • 29位アメリカBillboard Hot 100[2]
  • 88位(日本
  • クイーン 年表
    フラッシュのテーマ
    1980年
    アンダー・プレッシャー
    (1981年)
    ボディ・ランゲージ
    1982年
    デヴィッド・ボウイ 年表
    アップ・ザ・ヒル・バックワーズ
    (1981年)
    アンダー・プレッシャー
    (1981年)
    野性の息吹き
    (1981年)
    ミュージックビデオ
    「Under Pressure」 - YouTube
    テンプレートを表示

    アンダー・プレッシャー」 (Under Pressure) は、イギリスロックバンドであるクイーンと、イギリスのミュージシャンであるデヴィッド・ボウイの共作による楽曲。

    1981年EMIエレクトラ・レコードよりシングルリリースされ、後にクイーンのアルバムホット・スペース』にも収録された[注 1]。またヴァージン・レコードのデヴィッド・ボウイのアルバム『レッツ・ダンス』のリマスターCDにボーナス・トラックとして収録されている他、双方のベストアルバムにもたびたび収録されている。

    解説[編集]

    当初ボウイは、クイーンの「クール・キャット」にバッキング・コーラスで参加する予定だった[3]。レコーディングが行なわれたが、双方出来に満足せず、最終ミックスから削除された。その後2組によるジャムセッションが行なわれた後[4][5]、ボウイが「こんな馬鹿げた事をしてないで、一緒に曲を書こうよ。」とクイーンを誘った[3]

    ボーカルの高音パートはフレディー・マーキュリー、低音パートはボウイが担当。また、この楽曲の特徴的なベースラインについて、ジョン・ディーコンは1982年に発行されたミュージック・ライフ誌にて「ボウイが作った」とコメントしているが、ボウイは「関与する前からすでに存在していた」と語っている[6]

    全英シングルチャートでは、クイーンとしては「ボヘミアン・ラプソディ」(1975年)以来2作目、ボウイとしては「スペイス・オディティ」(1975年)、「アッシュズ・トゥ・アッシュズ」(1980年)に次ぐ3作目の1位を獲得するなど大ヒットした。一方で、アメリカのBillboard Hot 100では29位と低調だった[3]

    1993年にアメリカで発売されたボウイの『The Singles 1969 To 1993 featuring His Greatest Hits』、及び1994年にアメリカで発売されたクイーンの『クラシック・クイーン』には、別ミックスで収録されている。

    最後に「This is our last dance」という部分が、一度だけのものと、二度繰り返すものがある。

    ミュージック・ビデオ[編集]

    ミュージック・ビデオを制作した当時は、クイーンもボウイもツアー中であったため、メンバーの演奏シーンが存在しない。

    吸血鬼ノスフェラトゥ』、『戦艦ポチョムキン』など、1920年代の無声映画の1シーンやビル崩壊・人ごみ・世界恐慌時のニューヨークの失業者の様子から抗争の映像[注 2]、そして曲の後半部分には色々な映画のキスシーンを収めている。建物の崩壊の映像は映画『コヤニスカッツィ』でも使用されている。

    このミュージック・ビデオは、2003年スラント誌が発表した「The 100 Greatest Music Videos of All Time 」の第27位にランクインしている[7]

    ライブでの演奏[編集]

    共同作品となっている楽曲だが、この曲をライブで演奏したのはクイーンのみだった。1981年から演奏されはじめライブの定番曲だった。

    この様子は『伝説の証/クイーン1981』や『オン・ファイアー/クイーン1982』、『クイーン・ライヴ!!ウェンブリー1986』などで見ることができる。

    1986年ヨーロッパ/全英ツアーより7月27日ハンガリーブダペスト公演で演奏された模様がNHK-BS黄金の洋楽ライブ』で放映された。

    1992年フレディ・マーキュリー追悼コンサートでは、ボーカルにデヴィッド・ボウイとユーリズミックスアニー・レノックスを迎えて演奏された[8]

    その後もボウイは自身のライブなどでは全く歌わなかったが、1995年のアウトサイド・ツアーから曲目に加えた。マーキュリーのパートはベーシストのゲイル・アン・ドロシーが担当している。

    プレイヤー[編集]

    シングル収録曲[編集]

    7インチシングル[編集]

    1. アンダー・プレッシャー - Under Pressure (Queen & Bowie)
    2. ソウル・ブラザー - Soul Brother (Mercury)

    CD[編集]

    イギリス盤
    1. アンダー・プレッシャー - Under Pressure (Queen & Bowie)
    2. ソウル・ブラザー - Soul Brother (Mercury)
    3. ボディ・ランゲージ - Body Language (Mercury)

    その他[編集]

    1990年に本作の特徴的なベースラインをサンプリングしたヴァニラ・アイスのシングル「Ice Ice Baby」がヒットした。しかし、クレジットにクイーンやボウイの名が表記されておらず、無許可でサンプリングを行なったことによりヴァニラ・アイスが提訴され、アイス側が敗訴した[9]

    1999年12月6日にこの楽曲のリミックスバージョン「アンダー・プレッシャー (Rah Mix)」が、カップリングに「ボヘミアン・ラプソディ」「サンク・ゴッド・イッツ・クリスマス」を収録して、発売された。英国では14位、オランダでは19位にランクインした。後にコンピレーション・アルバム『グレイテスト・ヒッツIII 〜フレディー・マーキュリーに捧ぐ〜』に収録されている。

    2004年アメリカ映画ガール・ネクスト・ドア』で挿入歌として使用された。

    2005年マイ・ケミカル・ロマンスザ・ユーズドとのコラボレーションカバー

    2005年ジョス・ストーンがクイーンのトリビュート・アルバム「キラー・クイーン・ア・トリビュート・トゥ・クイーン」でカバー。

    2011年に公開されたアニメ映画『ハッピー フィート2 踊るペンギンレスキュー隊』では、登場キャラクターが本作を合唱するシーンがある[10]

    2017年のアメリカ映画『アトミック・ブロンド』で劇中歌として使用された。

    2018年に公開されたクイーンを題材とした映画『ボヘミアン・ラプソディ』では、ミュンヘンにある邸宅でマーキュリーがマネージャー兼愛人のポール・プレンターを解雇するシーンで使用された[5]。同映画のサウンドトラック盤『ボヘミアン・ラプソディ (オリジナル・サウンドトラック)』にも収録されている。

    脚注[編集]

    注釈[編集]

    1. ^ 米国・日本では『ホット・スペース』以前に、ベスト・アルバム『グレイテスト・ヒッツ』の米国・日本盤でアルバム初収録となった。
    2. ^ 日本通勤ラッシュ学生運動の映像も使われている。

    出典[編集]

    1. ^ under pressure”. full Official Chart History. Official Charts Company. 2019年1月3日閲覧。
    2. ^ The Hot 100 – The Week of January 30, 2016”. Billboard Hot 100 for Queen. 2019年1月2日閲覧。
    3. ^ a b c “全英1位を獲得した奇跡のコラボ:クイーンとデヴィッド・ボウイの「Under Pressure」”. uDiscover (ユニバーサルミュージック). (2019年11月24日). https://www.udiscovermusic.jp/stories/queen-bowie-feel-no-pressure 2020年1月23日閲覧。 
    4. ^ Peter Freestone (2001) Freddie Mercury: an intimate memoir by the man who knew him best p.78. Omnibus Press. 2019年1月2日閲覧
    5. ^ a b “『ボヘミアン・ラプソディ』とデヴィッド・ボウイ裏話 ─ 映画で描かれなかったデビュー前の偶然”. THE RIVER (株式会社riverch). (2018年11月13日). https://theriver.jp/br-david-bowie/ 2019年1月19日閲覧。 
    6. ^ Bowie Talks About Under Pressure. 2019年1月2日閲覧
    7. ^ The 100 Greatest Music Videos of All Time”. Slant Magazine (2003年6月30日). 2019年1月2日閲覧。
    8. ^ Under Pressure – The Freddie Mercury Tribute Concert Ultimate Queen. Retrieved 29 August 2011
    9. ^ “「Under Pressure」をパクった「Ice Ice Baby」を聴いたフレディ・マーキュリーのリアクション”. MUSIC LIFE CLUB (シンコーミュージック・エンタテイメント). (2018年5月18日). https://www.musiclifeclub.com/news/20180518_03.html 2020年1月23日閲覧。 
    10. ^ “クリスタル・ケイ「ハッピーフィート2」吹き替えで熱唱”. 映画.com (株式会社エイガ・ドット・コム). (2011年10月19日). https://eiga.com/news/20111019/2/ 2020年1月23日閲覧。