RADIO GA GA

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
RADIO GA GA
クイーンシングル
初出アルバム『ザ・ワークス
B面 アイ・ゴー・クレイジー
リリース
規格 7インチ12インチ
録音 1983年8月 - 10月
ジャンル ポップ・ロック[2]
スタジアム・ロック[2]
シンセポップ[3]
時間
レーベル EMI / キャピトル
東芝EMI (日本)
作詞・作曲 ロジャー・テイラー
プロデュース クイーンラインホルト・マック英語版
チャート最高順位
クイーン シングル 年表
バック・チャット
(1982)
RADIO GA GA
(1984)
ブレイク・フリー (自由への旅立ち)
(1984)
ザ・ワークス 収録曲
- RADIO GA GA
(1)
ティア・イット・アップ
(2)
ミュージックビデオ
「Radio Ga Ga」 - YouTube
テンプレートを表示

RADIO GA GA」(レディオガ・ガ[注 1])は、イギリスロックバンドクイーン1984年シングルとして発表した楽曲。同年発売のアルバムザ・ワークス』に収録され、後にベスト・アルバムグレイテスト・ヒッツII』や『クラシック・クイーン』にも収録された[6]

作詞作曲はロジャー・テイラー、プロデュースはクイーンとラインホルト・マック英語版。シングルはイギリスで2位[4]アメリカで16位[7][8][5]、その他19カ国で第1位を獲得する世界的大ヒットとなり、テイラー初のヒット作となった。ただし、「ビルボード」誌の1984年年間トップ100ヒッツにはランクインできなかった。

解説[編集]

タイトルの由来は、テイラーの子がまだ赤ちゃん言葉の頃、ラジオを聴いていて「ラジオ、カカ」(Radio caca) と言ったことに発想を得たものだという[9][注 2]。彼は後にこの「caca」を「恍惚として夢中になる」「盲目的に熱狂している」という意味の「ガガ」(ga ga) に改めて曲名とした。

この楽曲が発表された当時すでに「音楽はテレビやビデオで聴くもの」という価値観が浸透した頃であり、「ラジオは古いメディアとして廃れる」という意見も散見されていた。クイーン自体も「ボヘミアン・ラプソディ」をはじめとした前衛的なPVやメディア露出によってスターダムへと駆け上がった側であったが、そうした世相の中でラジオに対するノスタルジーや他のメディアとは異なる役割・魅力を謳う楽曲となっている。

一部の音楽評論家からはこの内容が「非常にファシズム的である」と批判されたが、その批判を押しのけるヒットチャートとなった。

アメリカの女性シンガーソングライターレディー・ガガの名は、この曲が由来である[10][11][12]

また、『グランド・セフト・オートV』のBGMにこの曲が使われている。

ミュージック・ビデオ[編集]

楽曲のミュージック・ビデオは、デヴィッド・マレット監督の下で制作された。このビデオには、1927年のフリッツ・ラング監督の映画メトロポリス』からの映像が使用されている[13]。これは、この映画のリメイク版を製作する際、フレディがサウンドトラックに自身のソロ曲である「ラヴ・キルズ」を提供したため、無償で映像を提供されることになったためである。

ミュージック・ビデオの内容は、「空飛ぶ車でメトロポリスの世界に入っていく」というもの。撮影ではサビの部分ではファンクラブの500人をエキストラとして使用した。ビデオでの大勢でこぶしを突き上げ手を叩いてリズムに乗るシーンは、そのままコンサートにも活かされ、「ライブエイド」のハイライトにもなった[14]

MVではメトロポリスの映像から1920年から1940年頃の世界大戦期を想起させる内容、クイーンの過去作のMVが登場し、一つのストーリーのような構成が組まれている。また、前述のような手を叩くパフォーマンスのきっかけとなったこともあり、人気を博した。

ライブでの演奏[編集]

ライブでは、1984年の「ワークスツアー」から演奏し始めた。それ以降、クイーンのライブにおいて、欠かせない存在になっている。

1985年7月13日ウェンブリー・スタジアムで開催された「ライブエイド」では、1曲目の「ボヘミアン・ラプソディ」(ショート版)に続いて、2曲目に演奏された[15][16]。この時のユニゾン部分での7万2000人もの観客によるクラップが話題を呼んだ[17][18]。ちなみに、2018年に公開された映画『ボヘミアン・ラプソディ』においても、このライブ演奏が再現されている[注 3]

1992年4月20日にウェンブリー・スタジアムで開催された「フレディ・マーキュリー追悼コンサート」では、ポール・ヤングが他のクイーンのメンバーと演奏した[19]

2002年バッキンガム宮殿の庭園で開催された「Party at the Palace」で演奏された際は、ロジャーがボーカル、フィル・コリンズドラムスを担当した[20]

また、20052006年には、クイーン + ポール・ロジャースツアーで演奏された。2005年、2006年のツアーでは冒頭をテープにあわせてロジャーが歌い、途中でポールが歌い継ぐところでロジャーがドラムスに戻っていたが、2008年のヨーロッパツアーでは最初からロジャーはドラムスに徹し、すべてポール・ロジャーズが歌っている。エンディングのギターソロはブライアン・メイスライドギター(ボトルネック奏法)が聞ける。

収録曲[編集]

7インチ盤[編集]

  1. RADIO GA GA - Radio Ga Ga (Taylor) 5:47
  2. アイ・ゴー・クレイジー - I Go Crazy (May) 3:42

12インチ盤[編集]

  1. RADIO GA GA (エクステンデッド・ヴァージョン) - Radio Ga Ga (Extended Version) (Taylor) 6:50
  2. RADIO GA GA (インストルメンタル) - Radio Ga Ga (Instrumental) (Taylor) 6:00
  3. アイ・ゴー・クレイジー - I Go Crazy (May) 3:42

演奏[編集]

クイーン

外部ミュージシャン

  • フレッド・マンデル - シンセサイザー・アレンジメント、シンセサイザー・プログラミング、シンセサイザー

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 日本で発売された当時のタイトルは「ラジオ GA GA」と表記されている[1]
  2. ^ "caca"は幼児言葉隠語で「うんち」を意味することもある。
  3. ^ 音源はライブ当時のもので、サウンドトラック盤にも収録されている。

出典[編集]

  1. ^ a b Queen – Radio Ga Ga – EMS-17425”. Discogs. 2019年3月5日閲覧。
  2. ^ a b Furniss, Matters (2012). Queen – Uncensored On the Record. Coda Books Ltd.. p. 71. ISBN 978-1-9085-3884-0. https://books.google.com/?id=BCeTqWXP6eoC&pg=PT71&dq=%22radio+ga+ga%22 
  3. ^ Stereo Review. 49. CBS Publications. (1984). p. 76. "Radio Gaga (the single), a skillful merger of contemporary synth-pop and old-time Brill Building panache" 
  4. ^ a b Official Singles Chart Top 100”. Official Charts Company. 2019年1月2日閲覧。
  5. ^ a b Queen - Awards”. AllMusic. All Media Network. 2019年1月2日閲覧。
  6. ^ Classic Queen by Queen”. MTV. Viacom. 2019年1月2日閲覧。
  7. ^ Lazell, Barry (1989). Rock movers & shakers. Billboard Publications, Inc.. p. 404. ISBN 978-0-8230-7608-6 
  8. ^ Queen Biography for 1984”. QueenZone.com. 2019年1月2日閲覧。
  9. ^ Roger Taylor speaking in the documentary Queen – Days of Our Lives
  10. ^ Martin, Gavin (2009年1月8日). “Lady GaGa the new Princess of Pop”. Daily Mirror. https://www.mirror.co.uk/tv-entertainment/music/2009/01/08/lady-gaga-the-new-princess-of-pop-115875-21026283/ 2019年1月2日閲覧。 
  11. ^ Rose, Lisa (2010年1月21日). “Lady Gaga's outrageous persona born in Parsippany, New Jersey”. NJ.com. http://www.nj.com/entertainment/music/index.ssf/2010/01/lady_gaga_her_outrageous_perso.html 2019年1月2日閲覧。 
  12. ^ About.com (2008年6月10日). “Lady Gaga Interview - Interview with Lady Gaga”. 2019年1月2日閲覧。
  13. ^ Queen Promo Videos”. Ultimatequeen.co.uk. 2019年1月2日閲覧。
  14. ^ ジュエルズ』ブックレット
  15. ^ Stanford, Peter (2011年11月24日). “Queen: their finest moment at Live Aid”. The Daily Telegraph. https://www.telegraph.co.uk/culture/music/rockandpopmusic/8785536/Queen-their-finest-moment-at-Live-Aid.html 2019年1月2日閲覧。 
  16. ^ Queen live on tour: Festivals, parties, TV”. Queen Concerts. 2019年1月2日閲覧。
  17. ^ Queen win greatest live gig poll”. BBC News Online (2005年11月9日). 2019年1月2日閲覧。
  18. ^ Ryan Minchin, dir. (2005年). “Queen Voted Best Gig-Live Aid”. YouTube. 2019年1月2日閲覧。
  19. ^ The Freddie Mercury Tribute Concert”. Ultimatequeen.co.uk. 2019年1月2日閲覧。
  20. ^ Queen Miscellaneous Live Song Lyrics”. Ultimatequeen.co.uk. 2019年1月2日閲覧。