伊坂幸太郎

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伊坂 幸太郎
(いさか こうたろう)
誕生 (1971-05-25) 1971年5月25日(52歳)
日本の旗 日本千葉県松戸市
職業 小説家
言語 日本語
国籍 日本の旗 日本
教育 学士(法学)
最終学歴 東北大学法学部卒業
活動期間 2000年 -
ジャンル 推理小説
代表作 『重力ピエロ』(2003年)
ゴールデンスランバー』(2007年)
主な受賞歴 新潮ミステリー倶楽部賞(2000年)
吉川英治文学新人賞(2004年)
日本推理作家協会賞短編部門(2004年)
本屋大賞(2008年)
山本周五郎賞(2008年)
デビュー作オーデュボンの祈り』(2000年)
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伊坂 幸太郎(いさか こうたろう、1971年5月25日 - )は、日本小説家

経歴

千葉県松戸市出身。千葉県立小金高等学校東北大学法学部に入学。この時期の東北大学には、薬学研究科瀬名秀明文学研究科佐藤賢一、理学部に松崎有理円城塔など、後に小説家として著名になる人物が在学していた。大学卒業後、システムエンジニアとして働く[1]かたわら文学賞に応募、2000年『オーデュボンの祈り』で新潮ミステリー倶楽部賞を受賞しデビュー。その後作家専業となる。宮城県仙台市在住。

2002年の『ラッシュライフ』で評論家に注目され始め、直木賞候補になった2003年の『重力ピエロ』で一般読者に広く認知されるようになった。それに続く『アヒルと鴨のコインロッカー』が第25回吉川英治文学新人賞を受賞した。

2003年『重力ピエロ』、2004年『チルドレン』『グラスホッパー』、2005年『死神の精度』、2006年『砂漠』で直木賞候補となる。また本屋大賞において唯一第1回から第4回まですべてにノミネートされ、2008年の第5回に『ゴールデンスランバー』で同賞を受賞した。同作品で第21回山本周五郎賞も受賞した。なお同作で直木賞の選考対象となることを「執筆に専念する」ことを理由に辞退している[2]

受賞歴

作風

  • しばしば、作風が村上春樹に似ていると指摘されるが、本人曰く、直接的な影響は受けてはいないという。むしろ高校時代から大学時代にかけてのめり込んだという[3]島田荘司から多大な影響を受け、「島田作品はとても好きですね。島田荘司さんがいなかったら、プロの作家になろうなんて思わなかったような気がします」と多数のインタビューにて語っている。本屋大賞の副賞で貰った10万円分の図書カードで、南雲堂の『島田荘司全集』を購入した[3]
  • 多くの作品間で舞台設定、登場人物や事件などのリンクがある。また、同名でありながら違うキャラクターとして、複数の作品に登場する人物もいる。これは夢枕獏や島田荘司らの作品からの影響である[4]手塚治虫の影響もある、とも)。
  • 初期の作品では勧善懲悪のストーリーが殆どだが、著者14作目の「ゴールデンスランバー」を執筆したあたりからその傾向はあまりない。伊坂曰く「現実の問題っていうのはもっともやもやしていてシンプルなものではない。今までは、そのもやもやをせめて小説の中では払拭したいという気持ちがあったが、世の中は本当はそうじゃないということはちゃんと知っているという事を読者に知ってもらいたかったから」[5]
  • 息子が1人いる。よく口喧嘩をするとのこと[5]
  • 2010年をもって作家生活10周年となる。そのことに関してインタビューをされた時、「この10年間で小説に対するモチベーションがかなり変わった。最初は読者の反応を気にして、執念をもって小説を執筆していたが、最近は小説を書くこと自体が楽しくてしょうがない」と語っている[5]

作品リスト

小説

  • オーデュボンの祈り(2000年12月 新潮ミステリー倶楽部 / 2003年12月 新潮文庫
  • ラッシュライフ(2002年7月 新潮ミステリー倶楽部 / 2005年5月 新潮文庫)
  • 陽気なギャングが地球を回す(2003年1月 祥伝社ノン・ノベル / 2006年2月 祥伝社文庫
  • 重力ピエロ(2003年4月 新潮社 / 2006年7月 新潮文庫)
  • アヒルと鴨のコインロッカー(2003年11月 東京創元社 / 2006年12月 創元推理文庫
  • チルドレン(2004年5月 講談社 / 2007年5月 講談社文庫
    • バンク(『小説現代』2002年4月号)
    • チルドレン(『小説現代』2002年11月号)
    • レトリーバー(『小説現代』2003年9月号)
    • チルドレン2(『小説現代』2003年12月号)
    • イン(『小説現代』2004年3月号)
  • グラスホッパー(2004年7月 角川書店 / 2007年6月 角川文庫
  • 死神の精度(2005年6月 文藝春秋 / 2008年2月 文春文庫
    • 死神の精度(『オール讀物』2003年12月号)
    • 死神と藤田(『オール讀物』2004年4月号)
    • 吹雪に死神(『オール讀物』2004年8月号)
    • 恋愛で死神(『オール讀物』2004年11月号)
    • 旅路を死神(『別冊文藝春秋』第255号・2005年1月)
    • 死神対老女(『オール讀物』2005年4月号)
  • 魔王(2005年10月 講談社 / 2008年9月 講談社文庫)
    • 魔王(『エソラ』vol.1 2004/12)
    • 呼吸(『エソラ』vol.2 2005/7)
  • 砂漠(2005年12月 実業之日本社 / 2008年8月 Jノベル・コレクション / 2010年7月 新潮文庫)
  • 終末のフール(2006年3月 集英社 / 2009年6月 集英社文庫
    • 終末のフール(『小説すばる』2004年2月号)
    • 太陽のシール(『小説すばる』2004年5月号)
    • 籠城のビール(『小説すばる』2004年8月号)
    • 冬眠のガール(『小説すばる』2004年11月号)
    • 鋼鉄のウール(『小説すばる』2005年2月号)
    • 天体のヨール(『小説すばる』2005年5月号)
    • 演劇のオール(『小説すばる』2005年8月号)
    • 深海のポール(『小説すばる』2005年11月号)
  • 陽気なギャングの日常と襲撃(2006年5月 祥伝社ノン・ノベル / 2009年8月 祥伝社文庫)
    • 『映画「陽気なギャングが地球を回す」公式ガイドブック』に掲載された短編「海には、逃がしたのと同じだけの良い魚がいる」収録(文庫版のみ)
  • フィッシュストーリー(2007年1月 新潮社 / 2009年11月 新潮文庫)
    • 動物園のエンジン(『小説NON』2004年5月号)
    • サクリファイス(『別冊東北学』2004/8 vol.8)
    • フィッシュストーリー(『小説新潮』2005年10月号)
    • ポテチ(単行本書き下ろし)
  • ゴールデンスランバー(2007年11月 新潮社 / 2010年12月 新潮文庫)
  • 実験4号(2008年4月 講談社)
    • 後藤を待ちながら - The ピーズの曲「実験4号」をモチーフとしている
    • 山下敦弘監督の映画「It's a small world」のDVDとセットでの発売
  • モダンタイムス(2008年10月 講談社 / 2011年10月 講談社文庫【上・下】)
  • あるキング(2009年8月 徳間書店 / 2012年8月 徳間文庫 / 2015年5月 新潮文庫)
    • 新潮文庫版は雑誌版、単行本版、徳間文庫版の三篇すべてを収録した完全版
    • 『キノベス!2003』に掲載された掌編「書店にまつわる小噺あるいは、教訓の得られない例話」封入(完全版の初回3ヶ月分のみ)
  • SOSの猿(2009年11月 中央公論新社 / 2012年11月 中公文庫
  • オー!ファーザー(2010年3月 新潮社 / 2013年7月 新潮文庫)
  • バイバイ、ブラックバード(2010年6月 双葉社 / 2013年3月 双葉文庫
  • マリアビートル(2010年9月 角川書店 / 2013年9月 角川文庫)
    • 『ダ・ヴィンチ』2010年3月号に掲載された短編「ついていないから笑う」収録(文庫版のみ)
  • PK(2012年3月 講談社 / 2014年11月 講談社文庫)
    • PK(『群像』2011年5月号)
    • 超人(『群像』2011年7月号)
    • 密使(『NOVA 5』2011年8月 河出文庫)
  • 夜の国のクーパー(2012年5月 東京創元社 / 2015年3月 創元推理文庫)
  • 残り全部バケーション(2012年12月 集英社 / 2015年12月 集英社文庫)
    • 残り全部バケーション(『Re-born はじまりの一歩』2008年3月 実業之日本社)
    • タキオン作戦(『紡』vol.1)
    • 検問(『小説新潮』2008年7月号)
    • 小さな兵隊(『小説すばる』2012年10月号)
    • 飛べても8分(単行本書き下ろし)
  • ガソリン生活(2013年3月 朝日新聞出版 / 2016年3月 朝日文庫)
    • 書き下ろし掌編「ガソリンスタンド」をカバー裏に掲載(文庫版の初版分のみ)
  • 死神の浮力(2013年7月 文藝春秋 書き下ろし(冒頭のみ『別冊文藝春秋』2012年1月号に掲載))
  • 首折り男のための協奏曲(2014年1月 新潮社)
    • 首折り男の周辺(『Story Seller』2008 Spring)
    • 濡れ衣の話(『小説新潮』2010年7月号)
    • 僕の舟(『小説新潮』2011年12月号)
    • 人間らしく(『新潮』2013年1月号)
    • 月曜日から逃げろ(『yomyom』vol.27)
    • 相談役の話(『幽』vol.14)
    • 合コンの話(『Story Seller vol.2』2009 Spring)
  • アイネクライネナハトムジーク(2014年9月 幻冬舎
    • アイネクライネ(『papyrus』11号)
    • ライトヘビー(斉藤和義のシングルCD『君は僕のなにを好きになったんだろう/ベリーベリーストロング〜アイネクライネ〜』初回盤特典)
    • ドクメンタ(『GINGER L.』2011 SPRING 02)
    • ルックスライク(『papyrus』46号)
    • メイクアップ(『papyrus』52号)
    • ナハトムジーク(単行本書き下ろし)
  • キャプテンサンダーボルト(2014年11月 文藝春秋 阿部和重との共作)
  • 火星に住むつもりかい?(2015年2月 光文社)
  • ジャイロスコープ(2015年6月 新潮文庫)
    • 浜田青年ホントスカ(『蝦蟇倉市事件1』2010年1月 東京創元社ミステリ・フロンティア)
    • ギア(『エソラ』vol.3 2006/4)
    • 二月下旬から三月上旬(『新潮』2014年6月号)
    • if(『小説トリッパー』2015年夏号)
    • 一人では無理がある(『小説新潮』2014年12月号)
    • 彗星さんたち(『エール! 3』2013年10月 実業之日本社文庫
    • 後ろの声がうるさい(文庫書き下ろし)
  • 陽気なギャングは三つ数えろ(2015年10月 祥伝社ノン・ノベル)
  • サブマリン(2016年3月 講談社)

エッセイ

  • 3652 伊坂幸太郎エッセイ集(2010年12月 新潮社 / 2015年5月 新潮文庫)
    • 『アヒルと鴨のコインロッカー』ネットサイン本通販特別付録の掌編「定規」・2009年4月の東京メトロ×ブルーノート東京×コットンクラブのイベント『音楽の話をしよう/32 for music exhibition/音楽を愛する32人の言葉の展覧会 ”音楽トレイン”』に寄稿した掌編「ソウルステーション」収録(文庫版のみ)
    • 『小説新潮』2011年1月号に掲載された掌編「小説新潮の話」封入(文庫版の初回2ヶ月分のみ)
  • 仙台ぐらし(2012年2月 荒蝦夷 / 2015年6月 集英社文庫)
    • 書き下ろし短編「ブックモビール」掲載

その他

  • 絆のはなし―伊坂幸太郎×斉藤和義(2007年10月 講談社) - 対談集

アンソロジー

「」内が伊坂幸太郎の作品

ザ・ベスト・ミステリーズ 推理小説年鑑

  • ザ・ベストミステリーズ 2003(2003年7月 講談社)「チルドレン」
    • 【分冊・改題】殺人の教室 ミステリー傑作選(2006年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2004(2004年7月講談社)「死神の精度」
    • 【分冊・改題】孤独な交響曲 ミステリー傑作選(2007年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2005(2005年7月 講談社)「死神と藤田」
    • 【分冊・改題】 仕掛けられた罪 ミステリー傑作選(2008年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2006(2006年7月 講談社)「死神対老女」
    • 【分冊・改題】セブンミステリーズ ミステリー傑作選(2009年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2009(2009年7月 講談社)「検問」
    • 【分冊・改題】Bluff 騙し合いの夜 ミステリー傑作選(2012年4月 講談社文庫)
  • ザ・ベストミステリーズ 2014(2014年5月 講談社)「彗星さんたち」

その他

  • ああ、腹立つ(2004年10月 新潮文庫)「映画館は平和だ」 - エッセイ
  • 事件を追いかけろ サプライズの花束編(2004年12月 光文社カッパ・ノベルス / 2009年4月 光文社文庫)「バンク」
  • 秘密。私と私のあいだの十二話(2005年3月 メディアファクトリー)「ライフ システムエンジニア編」「ライフ ミッドフィルダー編」
  • I LOVE YOU(2005年7月 祥伝社 / 2007年9月 祥伝社文庫)「透明ポーラーベア」
  • 不思議の足跡(2007年10月 光文社カッパ・ノベルス / 2011年4月 光文社文庫)「吹雪に死神」
  • Re-born はじまりの一歩(2008年3月 実業之日本社 / 2010年12月 実業之日本社文庫)「残り全部バケーション」
  • 短篇ベストコレクション 現代の小説2009(2009年6月 徳間文庫)「検問」
  • 蝦蟇倉市事件1(2010年1月 東京創元社ミステリ・フロンティア)「浜田青年ホントスカ」
    • 【改題】晴れた日は謎を追って がまくら市事件(2014年12月 創元推理文庫)
  • NOVA 5 書き下ろし日本SFコレクション(2011年8月 河出文庫)「密使」
  • Happy Box(2012年3月 PHP研究所 / 2015年11月 PHP文芸文庫)「weather」
  • しあわせなミステリー(2012年4月 宝島社)「Bee」 - 兜シリーズ第2作
    • 【改題】ほっこりミステリー(2014年3月 宝島社文庫)
  • あの日、君と Boys(2012年5月 集英社文庫)「逆ソクラテス」
  • 最後の恋 MEN'S つまり、自分史上最高の恋。(2012年5月 新潮文庫)「僕の舟」
  • 短編工場(2012年10月 集英社文庫)「太陽のシール」
  • エール!3(2013年10月 実業之日本社文庫)「彗星さんたち」
  • 奇想博物館 最新ベスト・ミステリー(2013年12月 光文社)「小さな兵隊」
  • Wonderful Story(2014年10月 PHP研究所)「イヌゲンソーゴ」
    • 伊坂幸犬郎 名義
  • 20の短編小説(2016年1月 朝日文庫)「if」

単行本未収録作品

小説

  • 悪党たちが目にしみる(第13回サントリーミステリー大賞佳作受賞作、のちに全文改稿され『陽気なギャングが地球を回す』として出版)
  • 書店にまつわる小噺あるいは、教訓の得られない例話(『キノベス!2003』)
  • ブギ(『エソラ』vol.4 2007/7)
  • マリアビートル・イントロダクション(『野性時代』2007年11月号)
  • ギブ(『エソラ』vol.7 2009/4)
  • クリスマスを探偵と(『文藝別冊 伊坂幸太郎』2010年11月)
  • 小説新潮の話(『小説新潮』2011年1月号)
  • AX(『野性時代』2012年1月号) - 兜シリーズ第1作
  • Eの874(『朝日新聞』2014年1月1日封入の広告特集『もう一人の嵐たち』) - 二宮和也をイメージした掌編
  • Crayon(『野性時代』2014年2月号) - 兜シリーズ第3作
  • スロウではない(『オール讀物』2015年8月号)
  • 三人の男が猪苗代湖で会う話 -スパイ・失恋・エスケイプー(2015年8月に福島県猪苗代町で開催されたイベント『オハラ☆ブレイク’15夏』に寄稿) - The ピーズの曲「グライダー」をモチーフとしている
  • Drive/イントロ(『野性時代』2015年11月号) - 兜シリーズ第4作(冒頭のみ)
  • 無事これ貴人(『小説新潮』2016年3月号)

エッセイ

  • 五十嵐大介さんのこと(『文藝別冊 五十嵐大介』2014年8月)
  • Age85 祖母のこと(『月刊J-novel』2015年7月号) - 「年齢をめぐるリレーエッセイ」に参加
  • 嘘でも本当でも(『PR誌 ちくま』2016年1月号)

メディア・ミックス

映画

ドラマ

舞台

ラジオドラマ

いずれもNHK-FM青春アドベンチャーにて

  • オーデュボンの祈り (演出:濱田裕之・出水有三)
    • 2004年4月12日 - 16日、19日 - 23日(全10回)放送
    • 2007年4月30日 - 5月4日、5月7日 - 11日放送(再放送)
  • 死神の精度 (演出:川野秀昭)
    • 2006年10月30日 - 11月3日放送(全5回)
  • 終末のフール(演出:川野秀昭)
    • 2010年2月1日 - 5日、8日 - 12日(全10回)放送

漫画

関連項目

脚注

  1. ^ 会社が法学部卒業生の募集要項を出していたことから著作権関連の仕事と思って入社したが、入ったらプログラムを組む仕事であり、現場で技術を身につけた。
  2. ^ asahi.com (2008年7月8日). “伊坂幸太郎さん、直木賞選考対象から辞退”. 2011年2月11日閲覧。
  3. ^ a b 伊坂幸太郎 「本屋大賞の副賞を使い、仙台の書店で買い物をする。」『本の雑誌』2009年1月号 p.19
  4. ^ yom yom vol.7『僕を作った五人の作家、十冊の本』新潮社、2008年。JAN 4910090190788。 
  5. ^ a b c 活字倶楽部 '09秋号

外部リンク