コンテンツにスキップ

京都工芸繊維大学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
工繊から転送)
京都工芸繊維大学
松ヶ崎キャンパスの1号館
大学設置 1949年
創立 1899年
学校種別 国立
設置者 国立大学法人京都工芸繊維大学
本部所在地 京都府京都市左京区松ヶ崎橋上町
北緯35度2分59.22秒 東経135度46分46.04秒 / 北緯35.0497833度 東経135.7794556度 / 35.0497833; 135.7794556座標: 北緯35度2分59.22秒 東経135度46分46.04秒 / 北緯35.0497833度 東経135.7794556度 / 35.0497833; 135.7794556
キャンパス 松ヶ崎(京都市左京区)
嵯峨(京都市右京区
福知山(京都府福知山市
学部 工芸科学部
研究科 工芸科学研究科
ウェブサイト www.kit.ac.jp/english/index.html ウィキデータを編集
テンプレートを表示

京都工芸繊維大学(きょうとこうげいせんいだいがく、英語: Kyoto Institute of Technology)は、京都府京都市左京区松ヶ崎橋上町に本部を置く日本国立大学である。1899年創立、1949年大学設置。略称は工繊工繊大京工繊KIT

概観

[編集]

大学全体

[編集]
3号館(設計:本野精吾
中央門と西部キャンパス

京都工芸繊維大学は、1949年昭和24年)に旧制の京都工業専門学校京都繊維専門学校を統合して設立された国立工科単科大学である。永らく工芸学部と繊維学部の2学部体制であったが、2004年の国立大学法人化を経て、2006年(平成18年)に統合され「工芸科学部」が発足した。電子工学機械工学情報工学生物学化学繊維学建築学デザイン学といった幅広い分野で、「実学」を重視した教育研究を展開している。特に、「科学」と「芸術」の融合を強く意識したカリキュラムは国内でも異色である。特に博士課程ではイノベーションを起こせる人材育成に注力しており、多くの海外大学や外国人デザイナーとの連携を進めている[要検証]。その一環として2014年に設立された「京都デザインラボ」(D-lab) [1]は、特徴的な教育カリキュラム「科学と芸術の融合」を具現化する役割を果たしている。

理念

[編集]

「ART×SCIENCE」「LOCAL×GLOBAL」「TRADITION×INNOVATION」を掲げ、新しい発想や価値の創造を追求し、京都から世界へと挑む先鋭的な国際的工科系大学としての立場を宣言している[2]

沿革

[編集]

略歴

[編集]

年表

[編集]

基礎データ

[編集]

所在地

[編集]
  • 松ヶ崎キャンパス(京都府京都市左京区橋上町)
  • 嵯峨キャンパス(京都府京都市右京区嵯峨一本木町)
  • 福知山キャンパス(京都府福知山市字堀3385)

象徴

[編集]

教育および研究

[編集]

組織

[編集]

学部

[編集]

工芸科学部1学部の下に、学域・課程を構成している。

2016年度入学生以降
  • 生命物質科学域
    • 応用生物学課程
    • 生体分子応用化学課程
    • 高分子機能工学課程
    • 物質工学課程
  • 設計工学域
    • 電子システム工学課程
    • 情報工学課程
    • 機械システム工学課程
    • デザイン経営工学課程
  • 造形科学域
    • デザイン・建築学課程
  • 学部共通
    • 地域創生Tech Program

学部の構成(2014年 - 2015年度入学生)

[編集]
  • 生命物質科学域
    • 応用生物学課程
    • 生体分子応用化学課程
    • 高分子機能工学課程
    • 物質工学課程
  • 設計工学域
    • 電子システム工学課程
    • 情報工学課程
    • 機械システム工学課程
    • デザイン経営工学課程
  • 造形科学域
    • デザイン・建築学課程
  • 学部共通
    • 先端科学技術課程

研究科

[編集]

工芸科学研究科1研究科の下に以下の課程・専攻を設置している。

2015年度入学生以降
  • 博士前期課程
    • 応用生物学専攻
    • 材料創製化学専攻
    • 材料制御化学専攻
    • 物質合成化学専攻
    • 機能物質化学専攻
    • 電子システム工学専攻
    • 情報工学専攻
    • 機械物理学専攻
    • 機械設計学専攻
    • デザイン経営工学専攻
    • 建築学専攻
    • デザイン学専攻
  • 博士後期課程
    • バイオテクノロジー専攻
    • 物質・材料化学専攻
    • 電子システム工学専攻
    • 設計工学専攻
    • 建築学専攻
    • デザイン学専攻
  • 博士前期・後期課程(独立専攻)
    • バイオベースマテリアル学専攻
    • 先端ファイブロ科学専攻

大学院の編成(2006年 - 2014年)

[編集]
  • 工芸科学研究科
    • 博士前期課程
      • 応用生物学専攻
      • 生体分子工学専攻
      • 高分子機能工学専攻
      • 物質工学専攻
      • 電子システム工学専攻
      • 情報工学専攻
      • 機械システム工学専攻
      • デザイン経営工学専攻
      • 造形工学専攻
      • デザイン科学専攻
      • 建築設計学専攻
    • 博士後期課程
      • 生命物質科学専攻
      • 設計工学専攻
      • 造形科学専攻
    • 博士前期・後期課程(独立専攻)
      • バイオベースマテリアル学専攻
      • 先端ファイブロ科学専攻

教員組織

[編集]
  • 生命物質科学系
    • 応用生物学部門
    • 生体分子工学部門
    • 高分子機能工学部門
    • 物質工学部門
    • バイオベースマテリアル学部門
  • 設計工学系
    • 電子システム工学部門
    • 情報工学部門
    • 機械システム工学部門
    • デザイン経営工学部門
    • 先端ファイブロ科学部門
  • 造形科学系
    • デザイン学部門
    • 建築造形学部門
  • 基盤科学系
    • 言語・文化部門
    • 数理・自然部門

附属機関

[編集]
  • 教育研究支援組織
    • 附属図書館 [1]
    • 美術工芸資料館 [2]
      • 1980年学内共同教育研究施設として設立。京都高等工芸学校創設時以来、教材として収集してきた資料の保管、展示公開、教育研究を行っている。
    • 情報科学センター (CIS) [3]
    • 環境科学センター [4]
    • 機器分析センター [5]
    • アイソトープセンター
    • アドミッションセンター
    • 国際センター
    • 保健管理センター
    • 高度技術支援センター(2006年設置)[6]
  • デザイン主導未来工学センター
    • 教育研究プロジェクトセンター [7]
      • 長もちの科学開発センター
      • グリーンイノベーションセンター [8]
      • ゴム科学研究センター
      • 新世代クリエイティブシティ研究センター [9]
  • 昆虫先端研究推進拠点 [10]
    • ショウジョウバエ遺伝資源研究部門 (DGGR) [11] - 嵯峨キャンパス
    • 生物資源フィールド科学研究部門 (CBFS)(旧繊維学部附属農場)[12] - 嵯峨キャンパス
    • 昆虫バイオメディカル研究部門 (IBRC) [13]
  • 先端ものづくり・繊維研究推進拠点
    • ものづくり教育支援センター [14]
    • 繊維科学センター [15]
    • 伝統みらい教育研究センター [16]
  • 産学公連携推進組織
  • その他
    • 事務局
    • グラウンド、テニスコート、プール

研究

[編集]

教育

[編集]
  • 現代的教育ニーズ取組支援プログラム
    • 京都ブランドによる人材育成と地域創成―産学官連携による地域ブランド教育プログラムの展開と市民啓発―(平成19年度)
    • 創造性豊かな国際的工科系専門技術者の育成―伝統からイノベーションへ・ローカルからグローバルへ―(平成18年度)
  • 特色ある大学教育支援プログラム
    • 新たな工学的感性を養う教育プログラム―表現行為の実践と人文的教養を基礎として―(平成19年度)

学生生活

[編集]

スポーツ大会

[編集]
  • 新入生歓迎スポーツ大会 (4月)
  • スポーツ大会(11月)

ただ、スポーツ大会に関しては、実施されない年もある[要出典]

学園祭

[編集]
  • 松ヶ崎祭
    例年11月の第3週~第4週に3日間で行われる。

木材や鉄骨などを利用した手作りの模擬店・装飾、広い店舗面積など、周辺の大学には見られない特色がある[要検証]

部活動とサークル

[編集]

多数ある[要検証]。中には、デザイン建築課程の生徒のみのサークルや、周辺大学であるノートルダム女子大学や京都府立大学などとのインカレサークルも存在する[要検証]

学生と教員の共同プロジェクト

[編集]

学生と教員の共同プロジェクトとは、学外で開催される物づくりに関連するイベントや大会に向けての学生と教員の取り組みを、大学が財政面で支援する活動のことである。活動は2006年度より始まった。毎年いくつもの試みがなされているが、ここでは代表的なものを取り上げる。

  • ROBOCON挑戦プロジェクト ("ForteFibre")
    2006年4月に澤田祐一准教授の呼びかけで学生と教員の共同プロジェクトとして開始される。2007年6月に東京で行われたNHK大学ロボコン2007年に初出場した。予選リーグでは初戦の千葉大学戦を1対0で初勝利し、続く神奈川工科大学戦も1対0で勝利を、予選順位7位で決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメントでは優勝した金沢工業大学に敗れた。
    2017年度のNHK大学ロボコンではチーム初の予選一位通過を果たした。トーナメント戦では、準優勝校の東京大学に敗れ、ベスト8となった。
  • 学生フォーミュラプロジェクト ("Grandelfino")
    2005年秋、"グランデルフィーノ"は学生フォーミュラ製作チームとして自動車部のメンバーにより同志を募り創立し、本学初の「学生と教員の共同プロジェクト」として動き始める。2007年夏、全日本学生フォーミュラ大会~ ものづくり・デザインコンペティション ~に参戦。エンデュランスの完走を果たす。2009年にはスキッドパッド4位、総合順位13位と好成績を収め、2012年には総合順位1位(82大学中)となった。
    2013年、2014年は総合順位5位と連続入賞をし、2015年には海外チームに敗れるも準優勝を収めた。2016年、2017年には史上二チーム目となる連覇を達成。2018年は総合優勝ならず準優勝となるも、オートクロスでは大会最速タイムを記録した。2019年は優勝争いをするも、エンデュランスで完走できず、総合17位となった。
    2020年からは総合四連覇に向けた活動を掲げており、3年振りの現地開催となった2022年から二連覇(2023年現在継続中)を達成している。
    日本大会史上初の大会史上最多タイ5度の総合優勝のほか7年連続入賞の記録を持ち、日本大会で計46タイトルを獲得している。
    チーム名であるGrandelfinoとは、イタリア語のイルカと、大きな、壮大な、というグランドを掛け併せて作った造語。
  • iGEM2010 ("kit-kyoto")
    京都工芸繊維大学iGEMチーム“KIT-Kyoto”は2010年3月17日に応用生物学課程の学生5名(院生1名、学部生4名)で発足した。最終的に造形工学課程の学生を迎えるなど徐々に人数を増やし学部一回生2名、二回生4名、三回生7名の計13名、大学院生7名、教員2名の合計22人のチームになる。本学が掲げる「科学と芸術の出会い」をチームのモットーとし、生物学の研究だけにとどまらず、外部への発信やデザインにも力を注いだ。その結果、初参加にして金賞を受賞し、ベストポスター発表賞(世界128チーム中1位)に選ばれた。また、研究内容を紹介するチームwikiのアクセスランキングも大会期間中世界5位、日本1位となった。また、ドイツのFreiburg大学主催のiGEMおもしろ写真コンテストでも大賞に選ばれた。

施設

[編集]

キャンパス

[編集]

松ヶ崎キャンパス

[編集]

左京区役所に隣接しており、住宅地に囲まれている。高野川や松ヶ崎浄水場にほど近い[5]。道路を東西に挟み東部構内(グラウンドなど体育施設、図書館、造形科学系などが配置されている。49,686 m2)と西部構内(主に生命物質科学系・設計工学系など。73,385 m2)に分かれている。前身校のうち、京都高等工芸学校が1930年に移転して以来のキャンパスである。また隣接地には一時滞在者用の宿泊交流施設である工繊会館や同窓会パビリオン、民営学生宿舎である松ヶ崎学生館が所在する。

嵯峨キャンパス

[編集]
嵯峨キャンパス
嵯峨キャンパスの圃場

京都市立嵯峨中学校に隣接しており、周囲には京都府立北嵯峨高等学校広沢池がある。60,999 m2の敷地の大部分は生物資源フィールド科学研究部門所轄の圃場(附属農場)であるが、他にも昆虫先端研究推進拠点などが所在する。

福知山キャンパス

[編集]

福知山市字堀に福知山公立大学に隣接して平成28年4月に設立された。

まりこうじ会館

[編集]

国際交流会館。外国人用宿舎(教員および留学生)で、京都大学西部構内(京都高等工芸学校の移転前の校地だった)に隣接している[6]

美術工芸資料館

[編集]

前身校の一つである京都高等工芸学校の収集品が主に展示されている[7]。松ヶ崎キャンパスのほぼ中央に位置している。

和楽庵

[編集]

1916年に武田五一の設計によって、旧稲畑勝太郎邸に建築された洋館である[8]南禅寺近くの何有荘にあったものを開学120周年の記念事業として松ヶ崎キャンパス内に移築された。大学院のプロジェクト「dCEP」と「KYOTO Design Labo」が共同研究し、大正時代和洋折衷建築に現代の技術が取り入れられた[9][10]

対外関係

[編集]

他大学との協定

[編集]

大学関係者と組織

[編集]

大学関係者一覧

[編集]
同窓会パビリオン

社会との関わり

[編集]

人事担当者からの評価

[編集]
  • 2021年日本経済新聞社日経HRが実施した、「企業の人事担当者からみたイメージ調査」[11](全上場企業と一部有力未上場企業4,850社の人事担当者を対象に、2019年4月から2021年3月までの間に採用した学生から見た大学のイメージなどを聞いた調査)において、京都工芸繊維大学は、「全国総合」で788大学[12]中、第15位[11]にランキングされた。

不祥事

[編集]
  • 同大学の男性教授の一人が2013年から2014年にかけ、自らと関わりがある企業数社に学内の機器を使用させるなどし、使用料や技術指導料など計約170万円を受け取ったり、2009年から2016年にかけて学長の許可なく5社で兼業するなどしたとしていたことが2019年に判明し、大学はこの教授を同年6月27日付で諭旨解雇とした[13][14]
  • 2017年11月末の学長選挙で敗北した副学長が[15]、自身の特許を企業へ、大学に無断で譲渡した疑いを2018年1月にかけられ[16]、次期学長によって2019年に懲戒解雇された[16][17]

脚注

[編集]

出典

[編集]
  1. ^ 工学系大 博士課程離れの対策/産学で開発人材育成を/企業に研究リーダー供給■将来不安も緩和(森迫清貴学長による寄稿)、『日本経済新聞』朝刊2018年11月26日(教育面)2019年4月12日閲覧。
  2. ^ 大学の理念/大学の特色 - 京都工芸繊維大学”. www.kit.ac.jp (2013年6月17日). 2023年5月14日閲覧。
  3. ^ 京都市営地下鉄時刻表:烏丸線 松ヶ崎駅”. 京都市. 2023年7月10日閲覧。
  4. ^ a b c 交通アクセス”. 京都工芸繊維大学. 2023年7月10日閲覧。
  5. ^ Google Maps – 京都工芸繊維大学松ヶ崎キャンパスとその周辺 (Map). Cartography by Google, Inc. Google, Inc. 2023年7月10日閲覧
  6. ^ Google Maps – まりこうじ会館とその周辺 (Map). Cartography by Google, Inc. Google, Inc. 2023年7月10日閲覧
  7. ^ 京都工芸繊維大学美術工芸資料館|【京都市公式】京都観光Navi”. 【京都市公式】京都観光Navi. 2023年5月14日閲覧。
  8. ^ @shinkenchikusha (2023年7月6日). "和楽庵(旧稲畑勝太郎邸洋館) 移築再生プロジェクト 京都工芸繊維大学 和楽庵移築再生プロジェクトチーム(監修) 橋本建築造園設計(設計) 撮影 市川靖史". Instagramより2023年7月10日閲覧
  9. ^ きょうの大学散歩 京都工芸繊維大学編」『京都大学新聞』2023年1月16日。
  10. ^ KITnews』(PDF)(プレスリリース)京都工芸繊維大学https://www.kit.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2021/11/kitnews58.pdf2023年7月12日閲覧 
  11. ^ a b 《日経HR》企業の人事担当者から見た大学イメージ調査 『就職力ランキング』”. 2021年6月2日時点のオリジナルよりアーカイブ2021年7月18日閲覧。
  12. ^ 日本の大学数 2021年度は788大学」(PDF)『今月の視点』第172号、旺文社 教育情報センター、2021年4月1日、2021年7月18日閲覧 
  13. ^ 懲戒処分 京都工繊大教授、諭旨解雇処分に 無断で営利行為 毎日新聞 2019年6月28日
  14. ^ 教員の懲戒について 京都工芸繊維大学ニュースリリース 2019年6月27日
  15. ^ 学長候補者の選考結果について”. 京都工芸繊維大学 (2017年12月1日). 2019年9月12日閲覧。
  16. ^ a b INC, SANKEI DIGITAL (2019年9月12日). “京都工繊大前副学長が不正に特許契約、懲戒解雇”. 産経ニュース. 2019年9月12日閲覧。
  17. ^ 教員の懲戒について”. 京都工芸繊維大学 (2019年9月12日). 2019年9月12日閲覧。

Wiki関係他プロジェクトリンク

[編集]

外部リンク

[編集]