シンガポール国立大学
| National University of Singapore | |
|
University Cultural Centre | |
| モットー | Towards a Global Knowledge Enterprise |
|---|---|
| 種別 | 国立 |
| 設立年 | 1905年 |
| 資金 | S$52億4,033万7,000[1] |
| 総長 | ターマン・シャンムガラトナム大統領 |
| 学長 | 陳永財 Joseph Liow (LKYSPP Dean) |
| プロヴォスト | Ho Teck Hua |
教員数 | 4,766名(2018年)[2] |
| 学生総数 | 3万0,226名 (2018年)[2] |
| 学部生 | 2万4,483名(2018年)[2] |
| 大学院生 | 5,743名(2018年)[2] |
| 所在地 |
シンガポール シンガポール 北緯1度17分44秒 東経103度46分36秒 / 北緯1.29556度 東経103.77667度座標: 北緯1度17分44秒 東経103度46分36秒 / 北緯1.29556度 東経103.77667度 |
| キャンパス |
都市部 150 ha (0.58 sq mi) |
| スクールカラー | オレンジ、青、白 |
| 環太平洋大学協会、ウーニウェルシタース 21、国際研究型大学連合、GEM4、ACU、ASAIHL、アセアン+3大学連合 (AUN)、国立大学附属数理中学、国際関係大学院協会 | |
| 公式サイト | http://www.nus.edu |
シンガポール国立大学(シンガポールこくりつだいがく、英語: National University of Singapore、中国語: 新加坡国立大学、マレー語: Universiti Kebangsaan Singapura、略称: NUS)は、シンガポールのケント・リッジにメインキャンパスを置く、同国を代表する総合研究大学である。
その起源は1905年設立のキング・エドワード7世医学校に遡り、100年以上の歴史を持つ国内最古の高等教育機関である。 南洋理工大学(NTU)と並び立つシンガポールの最高学府であり、アジアの学術・研究を牽引する中心的存在として、世界中から優秀な人材を引きつけている。
中でも、シンガポール建国の父リー・クアンユー初代首相の名を冠したリー・クアンユー公共政策大学院(Lee Kuan Yew School of Public Policy)は、アジアの視点から世界の公共政策を研究する中核拠点として国際的に名高い。 「西洋の理論とアジアの現実の融合」を理念に掲げ、複雑化する国際社会の課題を解決し、より良いガバナンス(統治)を実現できる実務家や政策立案者の育成を使命としている。
現在、3つのキャンパスに17の学部・大学院を有し、学生数は4万人を超える大規模な大学である。 設立当初から産官学連携を重視した学際的なアプローチを強みとしており、近年では海外15か国以上での共同プログラムを通じて、世界100か国超から留学生を受け入れるなど、極めて国際色豊かな教育環境を構築している。
大学全体としても、現代社会が直面する課題解決に向けた研究に力を入れており、特に都市計画と環境保護、新たな感染症の予防と治療、国家的な課題である高齢化社会への対策といった分野の研究を積極的に推進している。
概要
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シンガポール国立大学(英語: National University of Singapore、略称: NUS)は、1905年に設立されたシンガポールで最も歴史のある総合大学である。 アジアを代表するトップ大学として世界的に高い評価を受けており、QS世界大学ランキング2026では世界第8位、アジア第1位にランクインしている。
沿革
[編集]NUSの起源は、1905年に設立されたキング・エドワード7世医学校に遡る。 その後、1928年には人文学と社会科学の高等教育機関としてラッフルズ・カレッジが設立された。 1949年、この2つのカレッジが合併し、マラヤ大学が誕生した。
シンガポールがマラヤ連邦から独立する動きの中で、1962年にマラヤ大学のシンガポールキャンパスはシンガポール大学として独立した。 そして1980年、シンガポール大学と、中国語を主要な教育言語としていた南洋大学が合併し、現在のシンガポール国立大学が誕生した。 この合併は、シンガポールの多言語・多文化社会を反映した、英語を主要な公用語とする単一の国立大学を創設するという国家的な方針に基づくものである。
キャンパス
[編集]NUSはシンガポール国内に主に3つのキャンパスを有する。
ブキット・ティマ(Bukit Timah)キャンパス
1928年にラッフルズ・カレッジとして建設された、歴史と風格のあるキャンパスである。 ユネスコ世界遺産であるシンガポール植物園に隣接する。 現在は、リー・クアンユー公共政策大学院(Lee Kuan Yew School of Public Policy)がこのキャンパスを主に使用している。
ケント・リッジ(Kent Ridge)キャンパス
シンガポール南西部の丘陵地帯に位置する広大なメインキャンパスである。 多くの学部、大学院、研究所、図書館、学生寮、病院、スポーツ施設などがこのキャンパスに集約されている。 緑豊かな環境が特徴で、アヤ・ラジャー・エキスプレスウェイ(AYE)の9番出口からアクセスできる。
アウトラム(Outram)キャンパス
医学大学院であるデューク-NUS メディカルスクールが置かれている。
キャンパス再編
2006年より、法学部はリー・クアンユー公共政策大学院と共にブキット・ティマキャンパスへ移転していた。 しかし、学際的な教育をさらに推進するため、法学部は2025年12月にケント・リッジキャンパスへ復帰した。 これにより、ブキット・ティマの歴史的なキャンパスは、リー・クアンユー公共政策大学院専用の研究拠点として、さらに整備が進められる予定である。
学生生活と国際性
[編集]多様な学生
NUSは、世界100カ国以上から学生や研究者を受け入れており、キャンパスは非常に国際色豊かである。 留学生の比率は全体の約26%を占めている。 この多様な環境は、学生がグローバルな視点を養う上で重要な役割を果たしている。
充実した施設
広大なケント・リッジキャンパスには、最新の設備を備えた図書館、研究施設、学生寮のほか、食堂(ホーカーセンター)、スーパーマーケット、病院、プールやジムなどのレクリエーション施設が完備されている。
キャンパス内の移動
キャンパス内の移動手段として、無料の循環バスが複数のルートで運行されている。 大学は環境への配慮や健康増進の観点から徒歩での移動も推奨しており、主要な建物を結ぶ屋根付きの歩道が整備されている。 また、移動に困難を抱える学生のための送迎サービスも提供されている。
教育と研究
[編集]リー・クアンユー公共政策大学院
シンガポール建国の父、リー・クアンユー氏の名を冠した大学院で、公共政策分野で世界的に高い評価を受けている。 1992年にハーバード大学ケネディスクールとの共同プログラムとして始まり、2004年に独立した大学院として設立された。 「西洋の理論とアジアの現実の融合」を理念に掲げ、アジアの視点からグローバルな課題解決に貢献できるリーダーの育成を目指している。
卒業後の進路
[編集]NUSの卒業生は、その高い能力と国際的な視野から世界中で高く評価されており、就職率は非常に高い水準を維持している。 2023年の調査では、卒業後6ヶ月以内の就職率は90.5%に達した。
多くの卒業生が、シンガポール政府機関の官僚、国内外の金融機関、コンサルティングファーム、グローバル企業などで活躍している。 ビジネススクールのMBAプログラム卒業生の平均年収は非常に高く、アジアにおける人材価値の高さを示している。 また、政府の学費補助(Tuition Grant)を受けた留学生は、卒業後3年間シンガポールの企業で働くことが義務付けられている。
総長(Chancellor)
[編集]シンガポール国立大学(NUS)の総長(Chancellor)は、シンガポール国立大学憲章(Constitution of the National University of Singapore)」に基づき、シンガポール共和国大統領が務めることが規定されている。この事実は、同大学院が国家を代表する最高学府の一つとして位置づけられていることを示している。

- 原文 (English)
The President of the Republic of Singapore is the Chancellor of the University. The Chancellor holds the authority to confer degrees and presides at Commencement when present.[1][2]
- 日本語訳
シンガポール共和国大統領が、本大学の総長(Chancellor)である。総長は学位を授与する権限を有し、出席する際には学位授与式を主宰する。
総長(Chancellor)は大学における儀礼上のトップであり、大学およびリー・クアンユー公共政策大学院が国家元首の後援を受ける、国家を代表する機関であることを示している。
理念
[編集]- Towards a Global Knowledge Enterprise
- Unrelenting pursuit of excellence in education, research and service
歴史
[編集]- 1905年 海峡植民地・マレー連合州政府医学校(Straits Settlements and Federated Malay States Government Medical School)の創設
- 1913年 キングエドワード7世医学校(King Edward VII Medical School)に改称
- 1921年 キングエドワード7世医科大学(King Edward VII College of Medicine)に改称
- 1928年 ラッフルズ大学(Raffles College)の創設
- 1949年 キングエドワード7世医科大学とラッフルズ大学の連合によりマラヤ大学(University of Malaya)の誕生
- 1955年 南洋大学(Nanyang University)の創設
- 1962年 マラヤ大学クアラルンプール分校との分離によりシンガポール大学(University of Singapore)の誕生
- 1980年 南洋大学とシンガポール大学の合併によりシンガポール国立大学の誕生
- 2004年 リークアンユー公共政策大学院が創立
- 2013年 イェール大学と提携して、Yale-NUS Collegeをシンガポールに開校
学部・スクール
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- Faculty of Arts and Social Sciences (人文社会科学部)
- Business School (経営学部)
- School of Computing (コンピューター学部)
- Faculty of Dentistry (歯学部)
- School of Design and Environment (設計・環境学部)
- Faculty of Engineering (工学部)
- Faculty of Law (法学部)
- Yong Loo Lin School of Medicine (医学部)
- Yong Siew Toh Conservatory of Music (音楽学部)
- Saw Swee Hock School of Public Health(公衆衛生学部)
- Faculty of Science (理学部)
- Lee Kuan Yew School of Public Policy (公共政策大学院)
- NUS Graduate School for Integrative Sciences and Engineering(総合理工学大学院)
- Duke-NUS Graduate Medical School Singapore(医学大学院。デューク大学と共同で設置)
大学院・研究所
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リー・クアンユー公共政策大学院 (Lee Kuan Yew School of Public Policy)
- シンガポール国立大学・リークアンユー公共政策大学院(Lee Kuan Yew School of Public Policy、李光耀公共政策学院 略称:LKYSPP)は、シンガポール共和国の建国の父であり、初代首相であるリー・クアンユーの名を冠することを許された唯一の教育機関として2004年に設立された。以来、「アジアの視点からグローバルな課題を解決する(Inspiring Leaders, Improving Lives, Transforming Asia)」をミッションに掲げ、世界的な公共政策大学院としての地位を確立している。
日本の学生交流協定校
[編集]大学レベル
[編集]学部・大学院レベル
[編集]- 人文社会科学部 (Faculty of Arts and Social Sciences)
- 東京大学教養学部
- 東京外国語大学
- 京都大学東南アジア研究センター大学院アジア・アフリカ地域研究研究科
- ヨン・ルー・リン医学部 (Yong Loo Lin School of Medicine)
- 法学部 (Faculty of Law)
- 九州大学
- 経営学部 ・NUSビジネススクール
海外大学院との提携関係
[編集]- Global Public Policy Network
- アメリカのコロンビア大学、イギリスのロンドン・スクール・オブ・エコノミクス、フランスのパリ政治学院の三大学とともに、グローバル・パブリック・ポリシー・ネットワーク (GPPN)を形成している。これらの大学間では、行政修士 (MPA)のデュアル・ディグリー(ダブル・ディグリー)制度がある。
出身者
[編集]教員
[編集]- キショールマブバニ 元LKYSPP学長
- ハリマ・ヤコブ - 元総長、シンガポール第8代大統領、元シンガポール国会議長。
- タン・エン・チェ - 第5代学長、イェール大学PhD。
- サイモン・チェスターマン - 元法学部長、国際連合大学評議会元メンバー。
- アンドリュー・ローズ - NUSビジネススクール学部長。
- カンティ・バジパイ - NUSリー・クアンユー公共政策大学院副学長。
- 田村耕太郎 - NUSリー・クアンユー公共政策大学院兼任教授、参議院元議員。
- 濱下武志 - 人文社会科学部客員教授。東京大学名誉教授。
- 西原大輔 - 元助教授、東京外国語大学国際日本学研究院教授。
- 寺田貴 - 元人文社会科学部助教授、同志社大学法学部教授。
- 周虹 - 元講師、大阪工業大学工学部教授。
卒業者
[編集]- リー・クアンユー - シンガポール初代首相・建国の父、人民行動党(PAP)創設者。
- ゴー・チョクトン - シンガポール第2代首相・名誉上級相、シンガポール金融管理局(MAS)元会長。
- S・R・ナザン - シンガポール第6代大統領、元シンガポール駐米大使・シンガポール駐マレーシア高等弁務官。
- トニー・タン - シンガポール第7代大統領、シンガポール政府投資公社(GIC)元エグゼクティブディレクター。
- マハティール・ビン・モハマド - 第4・7代マレーシア首相、元統一マレー国民組織(UMNO)総裁。
- 陳馮富珍(Margaret Chan) - 第7代世界保健機関(WHO)事務局長。
- ワン・ガンウー(王賡武)- 元国際アジア歴史学者会議会長、オーストラリア国立大学(ANU)名誉教授。
- エイミー・コー - シンガポール首相府環境サステナビリティ省上級国務大臣。
- ジョセフィン・テオ - シンガポール首相府情報通信大臣兼第二内務大臣[3]。
- ヴィヴィアン・バラクリシュナン - シンガポール首相府外務大臣、元シンガポール総合病院(SGH)CEO。
- グレース・フー - シンガポール首相府大臣兼第二外務大臣兼第二環境・水資源大臣[4]。
- ジェネヴィーブ・ウー - CNA(メディアコープTV)ニュースキャスター。
- グレンダ・チョン - CNAニュースキャスター。
- 島田智明 - 大阪府河内長野市長
- NUSの著名な卒業生
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リー・クアンユー, 初代シンガポール首相
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ゴー・チョクトン, 第2代シンガポール首相
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S・R・ナザン, 第6代シンガポール大統領
-
トニー・タン, 第7代シンガポール大統領
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マハティール・ビン・モハマド, 第4・7代マレーシア首相
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陳馮富珍, 第7代WHO事務局長
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ハリマ・ヤコブ, 第8代シンガポール大統領
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王賡武, 歴史家
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ヴィヴィアン・バラクリシュナン, シンガポール外務大臣
交通
[編集]関連項目
[編集]出典
[編集]- ^ “Full Financial Statements For The Financial Year Ended 31 March 2017” (英語). シンガポール国立大学. p. 62. 2018年1月14日時点のオリジナルよりアーカイブ。2018年8月17日閲覧。
- ^ a b c d “National University of Singapore (NUS) > University Highlights > Students & Staff”. QS World University Rankings. 2017年8月17日閲覧。
- ^ https://www.digital.go.jp/news/e19cb519-e7fb-4f89-950b-0e232c0d04ef
- ^ https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/press4_001226.html