副業

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副業(ふくぎょう)は収入を得るために携わる本業以外の仕事を指す。兼業サイドビジネスともよばれる。副業は就労形態によって、アルバイト(常用)、日雇い派遣在宅ビジネス内職などに分類される。また、収入形態によって給料収入、事業収入、雑収入に分類される。

概要[編集]

日本では労働者が勤務時間外の時間に行う副業を雇用主が禁じることは、日本国憲法第22条に定められた職業選択の自由に反しているとする考え方がある。従来から日本の民間企業では就業規則で従業員の副業について規定しており、自由にしている事例や、許可制や届出制にしている事例もあるが、厳禁にしている事例も多い[1]。副業に厳しい姿勢を見せている会社でも、経営状態が悪化して賃金を引き下げるをえないような時に、社員の収入低下の対応策として副業規制が緩和されることもある[2]

裁判所は1982年の判決で、労働者の副業に関して本業の遂行に支障が生じるような副業について会社は制限してよく、会社の秩序を侵害したり対外的信用・体面を傷づけるような副業も雇用主は制限してよいとしている[3]。労働法学者の大内伸哉は通常の労働時間外に「自宅で本を執筆する」「家業があって時々手伝う」「実家が兼業農家で繁盛期には手伝う」といった副業は、副業禁止として規制されるべきものではないとしている[4]

副業は「一つの会社でずっと働いているよりも視野をひろげることができる」「社員の能力開発につながり、会社の利益につながる」「ある程度の収入を得ることができる安定した副業を持っていることは失業に備えた保険になる」というメリットもある[5]

労働基準法では残業代における割増賃金(通常の賃金の25%増し)を支払うにあたって、原則として時間的に後で労働者を雇った会社が割増賃金の支払い義務があるとされている[6]

また、会社から副業先に向かう途中で事故に遭った場合の通勤災害として労災保険の適応について、2006年3月以前は「自宅と会社の往復にはあたらない」と扱われて適応されなかったが、2006年4月以降は「就業の場所から他の就業の場所への移動」も「通勤」に含まれるとして適応されるようになった[7]

公務員等における副業禁止規定[編集]

公務員[編集]

公務員については原則として副業が禁止されている。

また以下の特別職公務員についても原則として副業が禁止されている。

上記の公務員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は国家公務員の場合は人事院又は任命権者、地方公務員の場合は人事委員会又は任命権者、裁判官の場合は最高裁判所、国会議員公設秘書の場合は国会議員である。また、公務員の副業は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限されることになる。

国会議員地方議員については、副業禁止規定はない。

検査官収用委員会委員、内閣法制局長官宮内庁長官内閣総理大臣秘書官、国務大臣秘書官、人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官、侍従長、東宮大夫、式部官長、侍従次長、宮務主管、皇室医務主管、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長、東宮侍医、宮務官、侍女長については法律で副業を直接禁止する規定はない。ただし、職務専念義務に違反する場合には免職を含めた処分が下される可能性がある。

また、内閣総理大臣国務大臣副大臣大臣政務官内閣官房副長官については法律で副業を直接禁止する規定はないが、国務大臣、副大臣及び大臣政務官規範で原則として副業が禁止されている。

公務員以外[編集]

公務員以外でも一部の役職や職員については原則として副業が禁止されている。

上記の役職員は許可なく営利を目的とする私企業を営んだり、その企業で地位を得たり、あるいは報酬(収入)が発生するいかなる事務にも従事してはならないと規定されている。許可の主体は所管の国務大臣である。また、上記の役職員の副業内容は、職務遂行上で得た秘密の保持(守秘義務)、信用失墜行為の禁止などの面からも制限される場合もある。

例外[編集]

上記の例外許可を受けた場合のほか、以下のようなケースでも副業が認められている。

営利性の乏しい活動
禁止されている「営利目的の企業」に該当しないとして、許可を要さず副業が認められているもの。ただし、実際の営利性の判断は、個々の状況により異なってくる可能性がある。
文筆活動
小説などを発表し利益を得る行為は問題ないとされており、公務員を兼業する作家が存在する。

脚注[編集]

  1. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P26
  2. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P29
  3. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P26-27
  4. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P27-28
  5. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P28-29
  6. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P30
  7. ^ 大内伸哉「どこまでやったらクビになるか」(新潮新書)P31
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v w x y z aa ab 常勤の場合に限る。
  9. ^ 国会同意人事である「科学又は技術に関して優れた識見を有する者のうちから、内閣総理大臣が任命する者 」が常勤議員となった場合の他に、「各省大臣、法律で国務大臣をもってその長に充てることとされている委員会の長の他、関係する国の行政機関の長のうちから、内閣総理大臣が指定する者」が常勤議員となった場合が対象となる。
  10. ^ a b 人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について 昭和31年8月23日職職-599
  11. ^ 行政実例 昭和26年5月14日 地自公発204号
  12. ^ 行政実例 昭和26年6月20日 地自公発255号
  13. ^ 行政実例 昭和26年5月14日 地自公発203号

関連項目[編集]