特別職

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特別職(とくべつしょく)は、日本公務員制度においては、国家公務員および地方公務員の職のうち、法令等により一般職とは区別される職すべてをいう語である。特別職である職に就いている公務員は、法令上「特別職の職員」と呼ばれ、日本国籍でなければならない。

概要[編集]

採用選考(試験)によらず、選挙や委嘱などにより任じられる職種の公務員を指す。

国家公務員については国家公務員法(昭和22年法律第120号)、地方公務員については、地方公務員法(昭和25年法律第261号)に定められている。特別職に属さないすべての職は、一般職という。

国家公務員法又は地方公務員法の定める公務員の根本基準は原則として一般職に属する職に対して適用され、特別の規定がない限りは特別職に属する職に対しては適用されない。

国家公務員[編集]

特別職の職員の給与[1]
官職名(別表第一) 俸給月額
内閣総理大臣 2,010,000円
国務大臣
会計検査院長
人事院総裁
1,466,000円
内閣法制局長官
内閣官房副長官
国家公務員倫理審査会の常勤の会長
公正取引委員会委員長
原子力規制委員会委員長
宮内庁長官
1,406,000円
検査官(会計検査院長を除く。)
人事官(人事院総裁を除く。)
国家安全保障局
大臣政務官
個人情報保護委員会委員長
公害等調整委員会委員長
運輸安全委員会委員長
侍従長
1,199,000円
原子力委員会委員長
再就職等監視委員会委員長
証券取引等監視委員会委員長
公認会計士・監査審査会会長
中央更生保護審査会委員長
社会保険審査会委員長
東宮大夫
以下の委員会の常勤の委員または常勤の議員
 個人情報保護委員会
 公害等調整委員会
 運輸安全委員会
 総合科学技術・イノベーション会議
1,035,000円
証券取引等監視委員会委員
社会保険審査会委員
地方財政審議会委員
以下の委員会または審査会の常勤の委員
 食品安全委員会
 原子力委員会
 公認会計士・監査審査会
 行政不服審査会
 情報公開・個人情報保護審査会
 国地方係争処理委員会
 電気通信紛争処理委員会
 中央更生保護審査会
 労働保険審査会
 運輸審議会
 土地鑑定委員会
 公害健康被害補償不服審査会
913,000円
官職名(別表第二) 俸給月額
大使 3号俸 1,175,000円
2号俸 1,035,000円
1号俸 913,000円
公使 3号俸 1,175,000円
2号俸 1,035,000円
1号俸 913,000円
官職名(別表第三) 俸給月額
秘書官 12号俸 585,000円
11号俸 554,300円
10号俸 524,300円
9号俸 492,700円
8号俸 462,200円
7号俸 434,800円
6号俸 399,500円
5号俸 361,000円
4号俸 325,200円
3号俸 294,000円
2号俸 272,100円
1号俸 262,800円

国家公務員の特別職に該当する職は、選挙や国会の議決によって選出される職、任命権者の裁量により政治的に任命することが適当とされている職、任命に国会の両院または一院の議決もしくは同意が必要とされている職、職務の性質から特別の取り扱いが適当なものが主たるものである。ただし、それのみならず、憲法の定める権力分立の原則の本旨に基づき人事権について内閣およびその下部機関が関与することを許さない立法や司法の各部門における職も含まれる(裁判官の他、国会職員・裁判所職員などがこれにあたり、これらについて憲法の許容範囲を超える内閣の影響を認める立法をなした場合、当該法令は当然に違憲となる。なお国会議員は「選挙によって選出される職」であるため国家公務員法第2条第3項9号に該当するが、これも憲法上当然に裁判官等と同様の制約に服する(ただし裁判官とは異なり、在任中は報酬を減額できないといった制約はない)。

このように国家公務員の特別職は様々な性質をもつ職が含まれていることが大きな特徴であり、「特別職」という括りには「一般職以外」という以上の意味は存在しない。

国家公務員法第2条第3項各号に列挙される特別職の職は次のとおり(号の枝番は整数化)。

  1. 内閣総理大臣
  2. 国務大臣
  3. 人事官及び検査官
  4. 内閣法制局長官
  5. 内閣官房副長官
  6. 内閣危機管理監及び内閣情報通信政策監
  7. 国家安全保障局長
  8. 内閣官房副長官補内閣広報官及び内閣情報官
  9. 内閣総理大臣補佐官
  10. 副大臣
  11. 大臣政務官
  12. 大臣補佐官
  13. 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの[2]
  14. 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によること(国会同意人事)を必要とする職員等(つまり衆議院議員参議院議員 内閣総理大臣も指名選挙があるため厳密にはこちらに含まれる)
  15. 宮内庁長官侍従長東宮大夫式部官長及び侍従次長並びに法律又は人事院規則で指定する宮内庁のその他の職員[3]
  16. 特命全権大使特命全権公使、特派大使、政府代表、全権委員、政府代表又は全権委員の代理並びに特派大使、政府代表又は全権委員の顧問及び随員
  17. 日本ユネスコ国内委員会の委員
  18. 日本学士院会員
  19. 日本学術会議会員
  20. 裁判官及びその他の裁判所職員
  21. 国会職員
  22. 国会議員の秘書
  23. 防衛省の職員防衛省設置法(昭和29年法律第164号)第39条の政令で定めるものの委員及び同法第4条第24号又は第25号に掲げる事務に従事する職員で同法第39条の政令で定めるもののうち、人事院規則で指定するもの[4]を除く。)
  24. 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第4項に規定する行政執行法人の役員

特別職の国家公務員(約30万人)のうち、多数を占めているのは防衛省の職員である自衛官(約24万人)である。自衛官を除くと裁判所職員(約2.6万人)が多い[5]

給与に関しては、防衛省以外の行政機関に属する特別職国家公務員については特別職の職員の給与に関する法律が規定し、防衛省職員については別に防衛省の職員の給与等に関する法律が規定している。また、国会議員[6]、国会職員[7]および裁判官[8]に関してはそれぞれ個別に法律が制定されている。なお、裁判官以外の裁判所職員に関しては、法律[9]で一般職の職員に関する法律を準用することとされている。

地方公務員[編集]

地方公務員の特別職は、就任に選挙による選出や地方議会の同意が必要とされている職にある者、地方公営企業等の管理的な職務にある者、委員会審議会等の委員で臨時又は非常勤の者、消防団員交通指導員などが該当する。

地方公務員においては、首長等の任命権において任免され、長の交代などによって恣意的に罷免されないような身分保障を受けるにふさわしい職業公務員以外の職が主に特別職として分類されている。

従って、その多くが、一般的な行政事務を行う職ではなく、特定の職務を行うために公務員とされる者の就く職である。

地方公務員法第3条第3項に列挙される特別職の職は次のとおり。

  1. 就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職
    地方公共団体の首長、議会の議員副知事副市町村長行政委員会の委員など)
  2. 地方公営企業の管理者及び企業団の企業長
  3. 法令又は条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程により設けられた委員及び委員会審議会その他これに準ずるものを含む。)の構成員の職で臨時又は非常勤のもの
  4. 臨時又は非常勤の顧問、参与、調査員、嘱託員及びこれらの者に準ずる者の職
  5. 地方公共団体の長・議会の議長その他地方公共団体の機関の長の秘書の職で条例で指定するもの(特別秘書等)
  6. 非常勤の消防団員及び水防団員の職
  7. 特定地方独立行政法人の役員

脚注[編集]

  1. ^ 特別職の職員の給与に関する法律(平成28年1月26日法律第2号改正)別表。防衛省職員裁判官など別の法律に報酬が規定されている特別職もある。
  2. ^ 人事院総裁秘書官、会計検査院長秘書官、内閣法制局長官秘書官、宮内庁長官秘書官
  3. ^ 宮務主管、皇室医務主管、侍従、女官長、女官、侍医長、侍医、東宮侍従長、東宮侍従、東宮女官長、東宮女官、東宮侍医長、東宮侍医、宮務官、侍女長。天皇皇族の、側近中の側近になる者
  4. ^ 防衛省独立行政法人評価委員会委員、防衛人事審議会委員、自衛隊員倫理審査会委員、防衛調達審議会委員、防衛施設中央審議会委員、防衛施設地方審議会委員、捕虜資格認定等審査会委員、防衛省地方協力局労務管理課職員
  5. ^ [1]国家公務員の数と種類] - 人事院
  6. ^ 国会議員の歳費、旅費及び手当等に関する法律
  7. ^ 国会職員法
  8. ^ 裁判官の報酬等に関する法律
  9. ^ 裁判所職員臨時措置法

関連項目[編集]

外部リンク[編集]