4区 (パリ)

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パリ・4区の位置
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パリ・4区の位置

パリ4区 (4く、: 4e arrondissement de Paris) は、フランス首都・パリ市を構成する20の行政区のひとつである [1]。第4区、パリ4区ともいう。市のほぼ中央、1区の東に位置しており、セーヌ川の北岸に面している。

概要[編集]

パリの4区は、市のほぼ中央にある行政区。「オテル=ド=ヴィル区 (Arrondissement de l'Hôtel-de-Ville)」と呼ばれることもある[2]セーヌ川の北岸に面しており、シテ島の東部、サン=ルイ島を含む。人口は30,675人 (1999年)で、20区の中では3番目に少ない(人口の推移等詳細については後述)。

区の名称は、市の中央部から時計回り螺旋を描くようにして各区に付けられた番号を基にしており、当区はその4番目にあたることから、「4区」と名づけられた。

パリでは最も歴史のある地域のひとつである。また、3区から4区にかけての地域はマレ地区と呼ばれ、歴史のある貴族の館が立ち並ぶ地域である。また、サン=ルイ島はパリの最高級住宅街として知られている。
4区の主要な建物としては、ノートルダム大聖堂ポンピドゥー・センター (国立近代美術館)、パリ市庁舎 (オテル・ド・ヴィル) などがある。

なお、セーヌ川に沿った地域のうち、シュリー橋から下流は「パリのセーヌ河岸」として世界遺産に登録されている。

地理[編集]

パリ・4区の詳細地図

4区は、パリのほぼ中央部に位置している。セーヌ川の北岸に面しており[3]シテ島の一部、サン=ルイ島を含む。面積は1.60 平方キロメートルで、20区のうちでは2区3区に次いで3番目に小さい。

北は、同じパリの行政区である3区に接し、ランビュトー通りやフラン=ブルジョワ通りを境界としている。南は、セーヌ川を挟んで5区に接している。東は12区に接しているが、バスティーユ広場以北は11区に接している。 西はセバストポル大通りを境界として、1区に接している。

セーヌ川の中州では、シテ島の東部とサン=ルイ島の全てを含んでいる。シテ島では、パレ大通りを境界として1区に接している。

地形[編集]

隣接する自治体(行政区)[編集]

地区(カルチェ)[編集]

パリ・4区のカルチエ詳細図

パリの行政区は、それぞれ4つの地区(カルチェ)に区分されている。4区を構成する4地区のコードと名称は、次のとおりである。

住民[編集]

人口[編集]

4区の人口は、パリが全20区になった直後の1861年には108,520人であったのが、 100年余りが経過した1968年には半分以下の54,029人となり、その後も減少を続けて1999年には30,675人となった。20区のうちでは1区2区に次いで3番目に人口が少なく、1975年以降は、パリの人口の1パーセント台で推移している。2005年の推計では28,600人と見積もられており、人口の更なる減少が見込まれている。

また、人口の減少とともに人口密度も減り続けており、1999年の人口密度は、1861年の30パーセントをやや下回る19,160人となっている。20区のうちで4番目に人口密度が低く、パリの平均人口密度の0.8倍である。人口の推移の詳細は、次のとおりである。

区人口 市人口 区人口/市人口 区人口密度 市人口密度 備考
1861年 108,520 1,696,141 6.40% 67,783 19,512 人口最大。
1872年 95,003 1,851,792 5.13% 59,340 21,303
1936年 70,944 2,829,753 2.51% 44,312 32,553
1954年 66,621 2,850,189 2.34% 41,612 32,788
1962年 61,670 2,790,091 2.21% 38,520 32,097
1968年 54,029 2,590,771 2.09% 33,747 29,804
1975年 40,466 2,299,830 1.76% 25,275 26,457
1982年 33,990 2,176,243 1.56% 21,230 25,035
1990年 32,226 2,152,423 1.50% 20,129 24,761
1999年 30,675 2,125,246 1.44% 19,160 24,449
2005年 28,600 2,166,200 1.32% 17,864 24,920 人口は推計。

歴史[編集]

政治・行政・司法[編集]

パリ市庁舎とパリ市庁舎前広場

主な官公庁・公共機関[編集]

  • 第4区役所Mairie du 4e arrondissement) - パリ市役所の東側界隈にある。

経済[編集]

主な店舗・商業施設[編集]

  • ル・BHV・マレ(ル・ベー・アッシュ・ヴェー・マレ、Le BHV Marais
  • フランプリ(マルシェ・フランプリ, Marché Franprix
    • 4区内だとブール・ティブール通り (Rue du Bourg Tibourg) 20番地、ヴェルリ通り (Rue de la Verrerie) 81-83番地など、パリ市内各所にある手頃な価格帯で販売するスーパーマーケット。同業他社に、カルフール、モノプリ (Monoprix)、ジェー・ヴァン (G20)・・等がある。その他、7区セーヴル通り (Rue de Sèvres) 38番地、16区パッシー通り (Rue de Passy) 80番地にあるラ・グランド・エピスリー・ド・パリ (La Grande Epicerie de Paris) は、ボン・マルシェ百貨店系列の高級食品スーパーになる。
コスメ・ファッション
  • セフォラSephora
  • カール・ラガーフェルドKarl Lagerfeld
  • ザディグ・エ・ヴォルテール(Zadig & Voltaire
    • 4区ブール・ティブール通り22番地、16区パッシー通りや1区サントノーレ通りはじめパリ市内各所、日本では東京の南青山銀座など国内外に多店舗展開しているファッションブランド。
パティスリーその他
  • ベルティヨン(ベルティヨン・グラシェ, Berthillon Glacier
    • パリで人気のアイスクリーム店で、日本その他からの観光客も多く来店する。狭い区画ながらパリの最高級住宅街とされるサン=ルイ島の東西を走るサン=ルイ・アン・リル通り (Rue Saint-Louis en l'Île) 29-31番地にある。
  • マリアージュ・フレール(マリアージュ・フレール・テ・フランセ, Mariage Frères Thè Français
    • フランス式の紅茶などの茶葉専門店、サロン・ド・テ。4区ブール・ティブール通り35番地に本店があり、8区マドレーヌ広場などパリ市内各所にある。東京の銀座や南青山等にも路面店等がある。

健康・福祉[編集]

保健・医療[編集]

学術・研究[編集]

研究施設[編集]

教育[編集]

高等学校[編集]

  • リセ・シャルルマーニュ (Lycée Charlemagne) - シャルルマーニュ通り (Rue Charlemagne) 14番地に所在する。

文化施設[編集]

美術館・博物館[編集]

映画館・劇場[編集]

その他[編集]

宗教施設[編集]

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教会・寺院[編集]

観光・憩い[編集]

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建築[編集]

公園・緑地等[編集]

旧跡・記念碑等[編集]

交通[編集]

鉄道[編集]

道路[編集]

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橋梁[編集]

セーヌ川に架かる区内の橋は、次のとおりである(上流から順に、つまり東西順に列挙)。

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広場・交差点[編集]

パリの「広場(プラス、Place)」は、しばしば2以上の道路が交差する場所に位置し、中心の「島」を道路が周回するロータリー状の交差点となっている場合が多い。中心の「島」部分は、オベリスク緑地、公園等に利用されている場合もあり、エトワール凱旋門があるシャルル・ド・ゴール広場は世界的に有名である。4区の広場や交差点には、次のようなものがある。

船舶[編集]

著名な出身者[編集]

貴族[編集]

学者[編集]

芸能[編集]

著名な居住者[編集]

貴族・富豪[編集]

政治[編集]

文化[編集]

ゆかりの人物[編集]

学者[編集]

文化[編集]

  • ジュール・ルナール(19世紀後半の小説家、詩人、劇作家) - パリに上京しリセ・シャルルマーニュに通っていた。

脚注[編集]

  1. ^ フランス語の 「4e 」 = 「quatrième 」 は、英語の「fourth 」 に相当する序数。「第4の」 「4番目の」を意味する。したがって、原語の「4e arrondissement 」を直訳すると「第4区」となる。
  2. ^ レジフランスLégifrance). “地方自治一般法典 (Code Général des Collectivités Territoriales (CGCT))” R2512-1条. 2008年6月26日閲覧.
  3. ^ セーヌ川の右岸にあたる。
  4. ^ ジャン=ロベール・ピット木村尚三郎 監訳) 『パリ歴史地図』、東京書籍、2000年、p.23.
  5. ^ アルフレッド フィエロ 『パリ歴史事典』鹿島茂 監訳、白水社、2000年、p.612.
  6. ^ 原語の「Maison de Victor Hugo」を直訳すると「ヴィクトル・ユーゴーの家」となる。
  7. ^ ブルーガイド海外版編集部『わがまま歩き パリ』、2013年、p.87
  8. ^ 地球の歩き方編集室編 『地球の歩き方A07・パリ&近郊の町 2007〜2008年版』、ダイヤモンド社、2007年、p.115.
  9. ^ "我々の先祖、ガリア人"の意。
  10. ^ ブラッスリー・ボファンジェ (Brasserie Bofinger) JTB海外ガイド
  11. ^ メルヴェイユ (fr) で知られ、パリ5区モンジュ通り (Rue Monge)・7区サン=ドミニク通り (Rue Saint-Dominique)・16区ラノンシアション通り (Rue de l'Annonciation)、その他12区15区17区やブローニュ=ビヤンクールなどパリ市内外、リールボルドー、ロンドンケンジントン在英仏大使館界隈やベルギードイツなど欧州域内でも展開するパティスリーチェーン店。
  12. ^ Elizabeth Gouslan (28/8/2011). “Emma Watson l'ensorceleuse”. Madame Figaro. 22/3/2023閲覧。
  13. ^ 地球の歩き方編集室編 『地球の歩き方A07・パリ&近郊の町 2007〜2008年版』、ダイヤモンド社、2007年、p.218.
  14. ^ « 21, rue de Clichy », eve.daumas.pagesperso-orange.fr.

参考文献[編集]

  • MICHELIN, ed (2007) (フランス語). Plan Atlas 56 – Paris du Nord au Sud –. MICHELIN. ISBN 978-2-06-710591-1 (パリ市内の詳細地図。)

関連項目[編集]

外部リンク[編集]