ノートルダム・ド・パリ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内検索
第4章の挿絵

ノートルダム・ド・パリ』(Notre-Dame de Paris)は、ヴィクトル・ユーゴーの小説。『ノートルダムのせむし男』の邦題でも知られている。出版は1831年

あらすじ[編集]

舞台は荒んだ15世紀のパリ教会の持つ権限が、弾圧と排除を生み出す時代の物語。

ノートルダム大聖堂の前に、一人の醜い赤ん坊が捨てられていた。彼は大聖堂の助祭長、フロロ(Frollo)に拾われ、カジモド(Quasimodo)という名をもらう。彼は成長し、ノートルダムの鐘つきとなる。

パリにやって来た美しいジプシーの踊り子エスメラルダ(Esmeralda)に、聖職者であるフロロは心を奪われる。欲情に悩み、ついにはカジモドを使ってエスメラルダを誘拐しようとする。

しかしカジモドは捕らえられ、エスメラルダは衛兵フェビュス(Phoebus)に恋するようになる。フェビュスとエスメラルダの仲は深まるが、実はフェビュスは婚約者がいる不実な男だった。

捕らえられたカジモドは広場でさらし者になるが、ただ一人エスメラルダだけは彼をかばう。カジモドは人間の優しさを生まれて初めて知り、彼女に恋をする。フロロも彼女に想いを募らせるが、エスメラルダの心はフェビュスにある。フロロは逢引をするふたりをつけて行き、フェビュスを刺して逃げる。エスメラルダはフェビュス殺害未遂の濡れ衣を着せられ、魔女裁判の元に死刑が言い渡される。

カジモドはエスメラルダを救いノートルダム大聖堂にかくまう。しかし、エスメラルダはカジモドのあまりの醜さにまともに顔を見ることすらできなかった。

フロロはパリの暴動の矛先をノートルダム大聖堂に向けさせ、混乱の中エスメラルダを連れ出し、助命と引き換えに愛人になるよう迫るが、彼女はフェビュスを刺したフロロを拒んだ。フロロは彼女を衛兵に引き渡し、エスメラルダは兵士達に捕まり、処刑される。

大聖堂のの上からそれを見届けるフロロを、カジモドは塔から突き落として殺す。

数年後、処刑場を掘り起こすと、白い服装をしていた女性エスメラルダと思われる白骨に、異様な骨格の男の白骨が寄り添っており、それらを引き離そうとすると、砕けて粉になってしまった。

主な登場人物[編集]

  • エスメラルダ:美しいジプシーの娘。フェビュス、カジモド、フロロの3人から思いを寄せられる。
  • カジモド:ノートルダム大聖堂の醜い鐘つき男。捨て子だったところをフロロに拾われ、育てられる。
  • クロード・フロロ:ジョザの助祭長。エスメラルダへの愛と神への献身との間で苦しむ。
  • フェビュス・ド・シャトーペール:王室射手隊の隊長。婚約者がいるが、エスメラルダにも恋の触手を伸ばす。
  • クロパン・トルイユフー:悪党の巣窟「奇跡御殿」の長。
  • ピエール・グランゴワール:詩人、哲学者。「奇跡御殿」で絞首刑になりかけたところをエスメラルダに助けられ、仮の夫婦となる。
  • フルール・ド・リス:フェビュスの婚約者。エスメラルダに深い嫉妬心を燃やす。
  • ジャン・フロロ:フロロの弟。騒ぎを繰り返す怠け者の学生。
  • パケット・ラ・シャントフルーリ:ロラン塔のおこもり女。ジプシーを毛嫌いしている。

日本語訳[編集]

  • 『ノートル=ダム・ド・パリ』 辻昶松下和則訳、ヴィクトル・ユゴー文学館第5巻:潮出版社 2000年
  • 初訳は、河出書房から1950年に刊行、改訂版が後に岩波文庫、研秀出版社、潮出版社、講談社から出版されている。
  • 翻訳は第1~6編を辻昶、第7~11編を松下和則が担当している。

「ノートルダム・ド・パリ」を基にした作品[編集]

悲劇的な結末である原作に対し、ラストをハッピー・エンドにしたり、フェビュスが善人でフロロが悪役である作品が少なくない。また本作のカジモドを元にユニバーサル映画では「せむし男」としてモンスター映画の派生作品が複数作られている。

映画[編集]

  • 『ノートルダムのせむし男』(原題: The Hunchback of Notre-Dame、1923年、アメリカ、白黒サイレント)
監督:ウォーレス・ワースリー
出演:ロン・チェイニー(カジモド)、パッツィ・ルース・ミラー(エスメラルダ)、ノーマン・ケリー(フェビュス)、ブランドン・ハースト(フロロ)
カジモド(せむし男)がスピンオフで登場した作品[編集]
    • 『ドラキュラの屋敷』(原題: House of Dracula、1945年、アメリカ、白黒)
本作ではせむし男が女性として登場。ナースとなっている
    • 『フランケンシュタインの館』(原題: House of Frankenstein、1944年、アメリカ、白黒)
本作ではダニエルという名前で登場。カジモドと同様の設定ながら科学者によって操られている。
フランケンシュタインとドラキュラの助手として登場。性格は悪どく残忍に描かれている。
監督: ウィリアム・ディターレ
出演: チャールズ・ロートン(カジモド)、モーリン・オハラ(エスメラルダ)、セドリック・ハードウィック(フロロ)
  • 『ノートルダムのせむし男』(原題: Notre-Dame de Paris、1956年、フランス、カラー)
監督:ジャン・ドラノワ
出演:ジーナ・ロロブリジーダ(エスメラルダ)、アンソニー・クイン(カジモド)、アラン・キュニイ(フロロ)
  • ノートルダムの鐘』(原題: The Hunchback of Notre Dame、1996年、アメリカ、カラー、アニメ映画)
ディズニーの長編アニメーション作品。
  • ノートルダム』(原題: The Hunchback、1997年、アメリカ、カラー、テレビ映画)
監督: ピーター・メダック
出演: マンディ・パティンキン(カジモド)、リチャード・ハリス(フロロ)、サルマ・ハエック(エスメラルダ)
監督: ゲイリー・トルースデールカーク・ワイズ

バレエ[編集]

  • 『エスメラルダ』(La Esmeralda
台本・振付:ジュール・ペロー
音楽:チェーザレ・プーニ
初演:1844年3月9日(ロンドン王立劇場)
現在は1866年にプティパマリインスキー劇場での全幕改訂上演に際して新たに振付けたグラン・パ・ド・ドゥが、ガラ公演等で披露されることが多い。
  • 『ノートルダム・ド・パリ』(Notre-dame de Paris
台本・振付:ローラン・プティ
音楽:モーリス・ジャール
衣装:イヴ・サン=ローラン
初演:1965年12月11日(パリ・オペラ座)

牧阿佐美バレヱ団などがレパートリーとしている。

DVDになっている1996年の舞台では、エトワールとして、エスメラルダ役にイザベル・ゲラン、カジモド役にニコラ・ル・リッシュ、フロロ役にローラン・イレール、フェビュ役にマニュエル・ルグリが出演している。

ミュージカル[編集]

作詞:リュック・プラモンドン 作曲:リシャール・コッシアンテ
1998年パリで初演。ヨーロッパを中心に世界各国で上演されたミュージカル作品。

外部リンク[編集]