悪魔が来りて笛を吹く

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悪魔が来りて笛を吹く』(あくまがきたりてふえをふく)は、推理作家横溝正史が著した長編推理小説、およびそれを原作とした映画テレビドラマ舞台作品である。現在(2010年8月)までに映画2本、テレビドラマ4本、舞台が1作品、制作されている。雑誌「宝石」において、1951年11月から1953年11月まで連載された。

大戦後の混乱と貴族没落、インモラルな性描写を濃厚に示す作品である。帝銀事件斜陽などの要素を取り込み横溝が得意とした田舎の因習とはまた異なった陰惨さや本格推理小説の定番「密室殺人」を扱い、他作品とは異なった雰囲気をかもし出し作者の人気作品のひとつとなっている。

目次

[編集] ストーリー


注意:以降の記述で物語・作品・登場人物に関する核心部分が明かされています。免責事項もお読みください。


昭和22年(1947年9月28日金田一耕助の元を訪れたのは、この春、世間をにぎわした天銀堂事件の容疑を受け失踪し、4月14日、信州霧ヶ峰でその遺体が発見された椿英輔・元子爵の娘、美禰子(みねこ)だった。

「父はこれ以上の屈辱、不名誉に耐えていくことは出来ないのだ。由緒ある椿の家名も、これが暴露されると、泥沼のなかへ落ちてしまう。ああ、悪魔が来りて笛を吹く。」

父が残した遺書を持参した美禰子は、母・[1](あきこ、以下「秋子」)が父らしい人物を目撃したと怯えていることから、父が本当に生きているのかどうか、明晩、砂占いを行うことになったことを説明した後、金田一耕助にその砂占いへの同席を依頼する。

椿家に出向いた金田一は、家族とともに砂占いに同席するが、途中で停電が発生。その回復後に、家の中に椿子爵作曲になる『悪魔がきたり手笛を吹く』のフルート演奏が響く。これはレコードプレーヤーによる仕掛けだったが、その間に、砂占いに出た火焔太鼓のような模様に、家族の一部の者は深刻な表情をみせる。

そしてその夜、椿子爵に見える男が、子爵のフルートを持って屋敷に出現。翌朝、椿邸に居候している玉虫公丸・元伯爵が何者かによって殺されているのが発見される。これが世にも陰惨な連続殺人の幕開けであった。

[編集] 天銀堂事件

これは、宝石店『天銀堂』に、保健所から伝染病予防のためにきたと称した男が、店員全員に毒薬を飲ませて殺し、宝石を奪ったとするもので、実在の事件である帝銀事件をそのままに借用している。また、帝銀事件はモンタージュ写真を捜査のために用いたことでも知られ、この点もこの作品に取り入れられている。

[編集] 登場人物

  • 金田一耕助(きんだいち こうすけ)…私立探偵
  • 等々力大志(とどろき だいし)…警視庁警部
  • 出川(でがわ)…警視庁刑事
椿家
  • 椿英輔(つばき ひですけ)…椿家当主、元子爵、約半年前に自殺
  • 椿秋子(つばき あきこ)…英輔の妻
  • 椿美禰子(つばき みねこ)…英輔の娘、依頼人
  • お種(おたね)…椿家女中
  • 三島東太郎(みしま とうたろう)…椿家書生、英輔の旧友の息子
  • 信乃(しの)…秋子の乳母
  • 目賀重亮(めが じゅうすけ)…秋子の主治医
新宮家
  • 新宮利彦(しんぐう としひこ)…秋子の兄、元子爵
  • 新宮華子(しんぐう はなこ)…利彦の妻
  • 新宮一彦(しんぐう かずひこ)…利彦の息子、美禰子の従兄
玉虫家
  • 玉虫公丸(たまむし きみまる)…秋子、利彦の伯父、元伯爵で元貴族院議員
  • 菊江(きくえ)…公丸の小間使い
河村家
  • 河村辰五郎(かわむら たつごろう)…植木職人、空襲で死亡
  • 河村駒子(かわむら こまこ)…辰五郎の娘、出家してになっている、法名は妙海
  • 河村治雄(かわむら はるお)…辰五郎の養子、現在行方不明
  • 河村小夜子(かわむら さよこ)…駒子の娘、戦時中に自殺


  • 飯尾豊三郎(いいお とよさぶろう)…天銀堂事件の最有力容疑者

[編集] 映像化リスト

[編集] 映画

[編集] テレビドラマ

※『18人の金田一耕助』では新宮華子役を津山登志子としているが、誤り。

[編集] 舞台

[編集] 脚注

  1. ^」は火偏に禾だが、一部の日本語環境で表示できないため、「秋」の字を用いる。

[編集] 関連項目

  • 帝銀事件(天銀堂事件のモデル)
  • 金田一京助 - 第25章「アクセントの問題」で言及されている「ぼくと同姓の言語学者」のモデル。
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