フェラーリ・F92A

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フェラーリ・F92A
フェラーリ・F92AT
1992年モナコGPにてジャン・アレジがドライブするF92A
1992年モナコGPにてジャン・アレジ
ドライブするF92A
カテゴリー F1
コンストラクター フェラーリ
デザイナー スティーブ・ニコルズ
ジャン=クロード・ミジョー
先代 フェラーリ・643
後継 フェラーリ・F93A
主要諸元[1][2]
シャシー カーボンファイバー モノコック
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン, コイルスプリング, プッシュロッド
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン, コイルスプリング, プッシュロッド
エンジン フェラーリ Tipo 040 (E1 A-92), 3497cc, 65度 V12, NA, ミッドエンジン, 縦置き
トランスミッション フェラーリ製 6速 (F92A)
7速 (F92AT) セミAT
燃料 アジップ
タイヤ グッドイヤー
主要成績
チーム スクーデリア・フェラーリ SpA
ドライバー 27. フランスの旗 ジャン・アレジ
28. イタリアの旗 イヴァン・カペリ
28. イタリアの旗 ニコラ・ラリーニ
コンストラクターズ
タイトル
0
ドライバーズタイトル 0
初戦 1992年南アフリカグランプリ
最終戦 1992年オーストラリアグランプリ
出走
回数
優勝
回数
ポール
ポジション
ファステスト
ラップ
16 0 0 0
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フェラーリ・F92A (Ferrari F92A) は、スクーデリア・フェラーリ1992年のF1世界選手権参戦用に開発したフォーミュラ1カー1992年の開幕戦から最終戦まで実戦投入された。シーズン中盤の第12戦ベルギーGPより改良型のフェラーリ・F92ATが投入された。

概要[編集]

F92Aは、スティーブ・ニコルスジャン=クロード・ミジョーが設計し、ニコルスの離脱後チームに復帰したハーベイ・ポストレスウェイトが改修を行った。

最大の特徴は「ダブルデッキ」もしくは「ダブルフロア」と呼ばれる二重底設計である。通常は連結しているサイドポンツーンとアンダーパネルを切り離し、サイドポンツーンを持ち上げてアンダーパネルとの間に隙間を作った。その隙間を通してリアエンドにより多くの気流を送り込み、ディフューザーの排出効率を高める狙いだった。サイドポンツーンのインテークはジェット戦闘機のように左右に張り出し、シャーシとの間のスペースから気流がダブルデッキ内に流れ込むようにした。このインテークの造型は1996年F310でも採用された。

ノーズは若干リフトした2点吊り下げ式のハイノーズとなった。フロントサスペンションは639以来のトーションバー・スプリングを止め、単一のスプリング / ダンパーユニットで制御するモノショック方式となった。

セミATギアボックスは6速縦置き式だったが、第5戦サンマリノGP予選から7速横置き式が投入され、ベルギーGPから標準装備となった。F92ATの"T"は312Tシリーズと同じく、イタリア語で「横の」を意味するTrasversaleから付けられた。

1992年シーズン[編集]

ドライバーは前年から引き続いてのジャン・アレジ、及びレイトンハウスより移籍したイヴァン・カペリの二人を起用した。

ラジカルな設計のダブルデッキは、ラジエータなどの補器類の搭載位置が高くなった結果、重心位置が上昇してナーバスな操縦性を生むことになった。また、新設計のエンジンの信頼性が低く、A〜Gタイプまで改修が繰り返された。アレジのドライビングで第4戦スペインGP・第7戦カナダGPにて3位表彰台を獲得したのが最高位で、カペリは第3戦ブラジルGPの5位・第11戦ハンガリーGPの6位と入賞2回のみに低迷した。チームは第14戦ポルトガルGP後にカペリを解雇し、テストドライバーだったニコラ・ラリーニを起用した。ラリーニは残り2戦でアクティブサスペンション仕様のF92ATをテストし、翌シーズンへの先行開発を担当した。

1992年は結局1勝も出来ず、コンストラクターズ獲得ポイントはわずか21点(ウィリアムズルノーの1/8)。F92Aはフェラーリ低迷期を象徴するマシンとなってしまった。

その後[編集]

F92Aの65度V12エンジンは、公道F1マシンを目指したロードカーF50(1995年)のエンジンのベースとなった[3]

1992年当時はF92Aの戦績が振るわなかったことから、ダブルデッキの効果も注目されなかったが、十数年後にはレギュレーションでディフューザーの形状が制限されるようになると、ディフューザーの効率を上げようと各チームがこぞってサイドポンツーンの側下部をえぐりとったデザインを採用するようになった、特に2011年から2012年のスクーデリア・トロ・ロッソのマシンはえぐりが大きく、サイドポンツーンとアンダーフロアの間に空間が大きく取られ、F92Aのデザインに近づいており、ジャーナリストによってはダブルデッキと称していた。

スペック[編集]

シャーシ[編集]

  • シャーシ名 F92A(F92AT)
  • ホイールベース 2,925 mm
  • フロントトレッド 1,810 mm
  • リアトレッド 1,678 mm
  • ギアボックス (F92A) フェラーリ 6速セミオートマチック+リバース1段 縦置き
  • ギアボックス (F92AT) フェラーリ 7速セミオートマチック+リバース1段 横置き
  • タイヤ グッドイヤー

エンジン[編集]

記録[編集]

マシン No. ドライバー 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 ポイント ランキング
RSA
南アフリカ連邦の旗
MEX
メキシコの旗
BRA
ブラジルの旗
ESP
スペインの旗
SMR
サンマリノの旗
MON
モナコの旗
CAN
カナダの旗
FRA
フランスの旗
GBR
イギリスの旗
GER
ドイツの旗
HUN
ハンガリーの旗
BEL
ベルギーの旗
ITA
イタリアの旗
POR
ポルトガルの旗
JPN
日本の旗
AUS
オーストラリアの旗
1992 F92A 27 フランスの旗 アレジ Ret Ret 4 3 Ret Ret 3 Ret Ret 5 Ret 21 4位
28 イタリアの旗 カペリ Ret Ret 5 10 Ret Ret Ret Ret 9 Ret 6
F92AT 27 フランスの旗 アレジ Ret Ret Ret 5 4
28 イタリアの旗 カペリ Ret Ret Ret
イタリアの旗 ラリーニ 12 11

参照[編集]

  1. ^ Zapelloni, Umberto. Formula Ferrari. Hodder & Stoughton. pp. p. 220. ISBN 0-340-83471-4. 
  2. ^ http://www.statsf1.com/en/ferrari/modeles.aspx
  3. ^ "期待を込めて". Ferrari.com. 2013年2月27日閲覧。