「長野県方言」の版間の差分

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== 文法 ==
===比較表===
* 平叙文における[[コピュラ]]と[[形容動詞]]の語尾は[[東日本方言]]の特徴である「だ」である<ref>[[牛山初男]](1952年)『国語学』「語法より見たる東西方言の境界線について」</ref>。
* [[動詞]]の否定は、南信方言で「[[未然形]]+ん」を用い、他地域で「未然形+ない(ねえ)」を用いる<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86">『講座方言学6中部地方の方言』86頁。</ref><ref name="bunpougaisetu">[[都竹通年雄]]「文法概説」(飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 1 方言概説』国書刊行会、1986年)</ref>。中信方言における「[[連用形]]+ます」の否定は「連用形+ましねえ」<ref name=D/>。
* 動詞の過去否定の「未然形+なんだ」、条件の「未然形+んでは(んじゃあ、にゃあ)」は、中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言・東信方言の各一部に分布している<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86"/><ref name="bunpougaisetu"/>。南信方言における「連用形+ます」の過去否定は「連用形+ませなんだ」<ref>足立惣蔵(1978年)『信州方言辞典』</ref>。
* 動詞の進行形では南信方言で「連用形+とる(ておる)」を用い、他地域で「連用形+てる(ている)」を用いる。「とる」は[[西日本方言]]の特徴であり[[相 (言語学)|アスペクト表現]]として「継続態」と「結果態」を語形で区別するものが多い。木曽谷の平野部([[中山道]]沿い)では継続態が「~よる(おる)」・継続態過去形が「~よった(おった)」、結果態が「~とる」・結果態過去形が「~とった」となり、山間部では継続態が「~いた」・継続態過去形が「~いたった」、結果態が「~ていた」・結果態過去形が「~ていたった」となる。伊那谷中南部では継続態・結果態ともに「~とる」・過去形が「~とった」となる<ref name="kenshi"/><ref name=B>国立国語研究所『日本のふるさとことば集成8 長野・山梨・静岡』</ref>。
* 一段活用動詞やサ行変格活用動詞の命令形のコピュラは伊那谷南部で「命令形+よ」となり、それ以外は「命令形+ろ」となる。また、動詞一般に接続して命令を強調する助詞は共通語の「よ」に対して、専ら「や」が用いられる。
* サ行五段活用動詞が終助詞「た」や接続助詞「て」などに続く場合は、南信方言及び中信方言の伊那谷北部・諏訪地方で[[音便#イ音便|イ音便]]を用い(後者では連母音が融合する)、「連用形+した」「連用形+して」が、それぞれ「連用形+いた」「連用形+いて」になる。
* 木曽地方の山間部ではナ行・バ行・マ行の五段活用動詞の連用形が[[促音便]]化する<ref name=B/>。
*推量は広い地域で「…ずら」が用いられる。ただし長野県北信では「…であらむず」が変化した「…だらず」を用いる。南信方言では「…だら」、北信・東信方言では「…だろう」、佐久地域では「…べー」も用いる。
*意志は「…むず」が変化した形を用いる。例えば「行こうと思う」という場合、「いかずと…」や「いかっと…」となる。
*勧誘は中信・北信・東信方言で「…むず(わ/か)」が変化した形を用い、「行こうか」は「いかざあ」、「いかずか」などとなる。南信方言では「…まいか」(「いかまいか」)を用いる。「いかねぇか」「いかんか」ともいう。
* 用言に接続して理由・原因を表す「~に」が北信方言の南部からほぼ全県にかけて広がり、「~で」が中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言に一部に分布している<ref>『講座方言学 6 中部地方の方言』22頁</ref>。また北信方言と東信方言に「~から」、北信方言には「~んで」が分布する。
* 動詞の未然形に可能の助詞「られる」がつく場合、能力的可能表現であれば「ら」が脱落するが、条件的可能表現であればそのままとなるといった使い分けがある地域が多い。 参照:[[日本語の乱れ#ら抜き言葉|ら抜き言葉]]
* 動詞の前に促音・撥音を含む接頭語が挿入される傾向がある。

==比較表==
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|~べえ
|~べえ
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== 文法 ==
* 平叙文における[[コピュラ]]と[[形容動詞]]の語尾は[[東日本方言]]の特徴である「だ」である<ref>[[牛山初男]](1952年)『国語学』「語法より見たる東西方言の境界線について」</ref>。
* [[動詞]]の否定は、南信方言で「[[未然形]]+ん」を用い、他地域で「未然形+ない(ねえ)」を用いる<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86">『講座方言学6中部地方の方言』86頁。</ref><ref name="bunpougaisetu">[[都竹通年雄]]「文法概説」(飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 1 方言概説』国書刊行会、1986年)</ref>。中信方言における「[[連用形]]+ます」の否定は「連用形+ましねえ」<ref name=D/>。
* 動詞の過去否定の「未然形+なんだ」、条件の「未然形+んでは(んじゃあ、にゃあ)」は、中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言・東信方言の各一部に分布している<ref name="kenshi"/><ref name="kouzachuubu86"/><ref name="bunpougaisetu"/>。南信方言における「連用形+ます」の過去否定は「連用形+ませなんだ」<ref>足立惣蔵(1978年)『信州方言辞典』</ref>。
* 動詞の進行形では南信方言で「連用形+とる(ておる)」を用い、他地域で「連用形+てる(ている)」を用いる。「とる」は[[西日本方言]]の特徴であり[[相 (言語学)|アスペクト表現]]として「継続態」と「結果態」を語形で区別するものが多い。木曽谷の平野部([[中山道]]沿い)では継続態が「~よる(おる)」・継続態過去形が「~よった(おった)」、結果態が「~とる」・結果態過去形が「~とった」となり、山間部では継続態が「~いた」・継続態過去形が「~いたった」、結果態が「~ていた」・結果態過去形が「~ていたった」となる。伊那谷中南部では継続態・結果態ともに「~とる」・過去形が「~とった」となる<ref name="kenshi"/><ref name=B>国立国語研究所『日本のふるさとことば集成8 長野・山梨・静岡』</ref>。
* 一段活用動詞やサ行変格活用動詞の命令形のコピュラは伊那谷南部で「命令形+よ」となり、それ以外は「命令形+ろ」となる。また、動詞一般に接続して命令を強調する助詞は共通語の「よ」に対して、専ら「や」が用いられる。
* サ行五段活用動詞が終助詞「た」や接続助詞「て」などに続く場合は、南信方言及び中信方言の伊那谷北部・諏訪地方で[[音便#イ音便|イ音便]]を用い(後者では連母音が融合する)、「連用形+した」「連用形+して」が、それぞれ「連用形+いた」「連用形+いて」になる。
* 木曽地方の山間部ではナ行・バ行・マ行の五段活用動詞の連用形が[[促音便]]化する<ref name=B/>。
*推量は広い地域で「…ずら」が用いられる。ただし長野県北信では「…であらむず」が変化した「…だらず」を用いる。南信方言では「…だら」、北信・東信方言では「…だろう」、佐久地域では「…べー」も用いる。
*意志は「…むず」が変化した形を用いる。例えば「行こうと思う」という場合、「いかずと…」や「いかっと…」となる。
*勧誘は中信・北信・東信方言で「…むず(わ/か)」が変化した形を用い、「行こうか」は「いかざあ」、「いかずか」などとなる。南信方言では「…まいか」(「いかまいか」)を用いる。「いかねぇか」「いかんか」ともいう。
* 理由・原因は用言に接続「~に」が北信方言の南部からほぼ全県にかけて広がり、「~で、~もんで」が中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言に一部に分布している<ref>『講座方言学 6 中部地方の方言』22頁</ref>。また北信方言と東信方言に「~から」、北信方言には「~んで」が分布する。新潟県との隣接部には「~さげ、~すけ」もわずかにみられる<ref>[全国方言文法地図 http://www2.ninjal.ac.jp/hogen/dp/gaj-pdf/gaj-pdf_index.html]</ref>
* 動詞の未然形に可能の助詞「られる」がつく場合、能力的可能表現であれば「ら」が脱落するが、条件的可能表現であればそのままとなるといった使い分けがある地域が多い。 参照:[[日本語の乱れ#ら抜き言葉|ら抜き言葉]]
* 動詞の前に促音・撥音を含む接頭語が挿入される傾向がある。


== 語彙 ==
== 語彙 ==

2015年5月1日 (金) 08:02時点における版

長野県方言(ながのけんほうげん)、または信州弁(しんしゅうべん)は、長野県で話される日本語の方言の総称である。方言区画上の分類としては、東海東山方言に属す。山梨県の方言(甲州弁)や静岡県の方言(静岡弁遠州弁伊豆弁)とあわせて「ナヤシ方言」と総称されることもある(都竹通年雄(1949年)の説)。

概要

  • 長野県は南北に長く、隣接する多くの地域からの言葉の流入、また各盆地における文化の違いがみられるため、それぞれの地域に特有の方言と、県全域で通じる方言とに二分される。
  • 話者の方言観として「信州弁(或いは自分の居住する地域の方言)はごく一部の語彙を除けば、共通語や東京周辺の首都圏方言とほぼ同じだ」と錯覚している者の多いことは、長野県下各地の共通項として挙げられる[1]。実際には語彙が東海東山方言的であり、後述するアクセント体系に決定的な違いがある他、文の抑揚(イントネーション)が共通語に比べてやや大きい。また、いわゆる「気がつきにくい方言」[2]や、共通語と同じ語彙でありながら用法がドメスティックなために県外では伝わらないものなども数多く存在する。
  • 長野、新潟県境の秋山郷は音韻体系や文法が特異な言語島となっている。越後方言との連続性もある。

方言区画

長野県下の方言区画は、一般的な地域区画とは多少異なった区分が用いられる。

大区画 小区画 地域
長野県方言 奥信濃方言 栄村のみ
北信方言 長野地域北信地域(栄村を除く)
東信方言 上小地域佐久地域
中信方言 松本地域大北地域諏訪地域上伊那地域北部(太田切川以北)
南信方言 飯伊地域、上伊那地域南部(太田切川以南)、
木曽地域(旧奈川村・旧楢川村を含む。また2005年以前の史料には旧山口村も含まれる。)

比較表

木曽福島 飯田 松本 佐久 長野 秋山郷
アクセント型 中輪東京式 外輪東京式
アクセント遅上がり ×
母音の音素数 5 7
母音無声化 ×
「イ」と「エ」の混同 ×
撥音の連声 ×
否定 ~ん ~ない(ねえ) ~ねぁ
過去否定 ~なんだ ~なかった ~なかった
~ねぁっけ
条件 ~んでは(んじゃあ、にゃあ) ~なければ(なきゃあ)
居る おる いる
継続態 ~よる ~とる ~てる
結果態 ~とる ~てる(~た)
命令形 ~ろ ~よ ~ろ
サ行イ音便 ×
理由 ~で、
~に
~から、
~に
~から、
~んで
~すけぁ
推量 ~だら(~ら)、
~ずら
~ずら ~だらず、
~べえ、
~ずら
~だらず、
~だろう
~だろぁ、
~べえ
勧誘 ~まいか、
~んか
~ずか、
~ねえか
~ざあ、
~ねえか
~ずか、
~ねえか
~べえ

文法

  • 平叙文におけるコピュラ形容動詞の語尾は東日本方言の特徴である「だ」である[3]
  • 動詞の否定は、南信方言で「未然形+ん」を用い、他地域で「未然形+ない(ねえ)」を用いる[1][4][5]。中信方言における「連用形+ます」の否定は「連用形+ましねえ」[6]
  • 動詞の過去否定の「未然形+なんだ」、条件の「未然形+んでは(んじゃあ、にゃあ)」は、中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言・東信方言の各一部に分布している[1][4][5]。南信方言における「連用形+ます」の過去否定は「連用形+ませなんだ」[7]
  • 動詞の進行形では南信方言で「連用形+とる(ておる)」を用い、他地域で「連用形+てる(ている)」を用いる。「とる」は西日本方言の特徴でありアスペクト表現として「継続態」と「結果態」を語形で区別するものが多い。木曽谷の平野部(中山道沿い)では継続態が「~よる(おる)」・継続態過去形が「~よった(おった)」、結果態が「~とる」・結果態過去形が「~とった」となり、山間部では継続態が「~いた」・継続態過去形が「~いたった」、結果態が「~ていた」・結果態過去形が「~ていたった」となる。伊那谷中南部では継続態・結果態ともに「~とる」・過去形が「~とった」となる[1][8]
  • 一段活用動詞やサ行変格活用動詞の命令形のコピュラは伊那谷南部で「命令形+よ」となり、それ以外は「命令形+ろ」となる。また、動詞一般に接続して命令を強調する助詞は共通語の「よ」に対して、専ら「や」が用いられる。
  • サ行五段活用動詞が終助詞「た」や接続助詞「て」などに続く場合は、南信方言及び中信方言の伊那谷北部・諏訪地方でイ音便を用い(後者では連母音が融合する)、「連用形+した」「連用形+して」が、それぞれ「連用形+いた」「連用形+いて」になる。
  • 木曽地方の山間部ではナ行・バ行・マ行の五段活用動詞の連用形が促音便化する[8]
  • 推量は広い地域で「…ずら」が用いられる。ただし長野県北信では「…であらむず」が変化した「…だらず」を用いる。南信方言では「…だら」、北信・東信方言では「…だろう」、佐久地域では「…べー」も用いる。
  • 意志は「…むず」が変化した形を用いる。例えば「行こうと思う」という場合、「いかずと…」や「いかっと…」となる。
  • 勧誘は中信・北信・東信方言で「…むず(わ/か)」が変化した形を用い、「行こうか」は「いかざあ」、「いかずか」などとなる。南信方言では「…まいか」(「いかまいか」)を用いる。「いかねぇか」「いかんか」ともいう。
  • 理由・原因は用言に接続する「~に」が北信方言の南部からほぼ全県にかけて広がり、「~で、~もんで」が中信方言・南信方言の全域およびこれに接する北信方言に一部に分布している[9]。また北信方言と東信方言に「~から」、北信方言には「~んで」が分布する。新潟県との隣接部には「~さげ、~すけ」もわずかにみられる[10]
  • 動詞の未然形に可能の助詞「られる」がつく場合、能力的可能表現であれば「ら」が脱落するが、条件的可能表現であればそのままとなるといった使い分けがある地域が多い。 参照:ら抜き言葉
  • 動詞の前に促音・撥音を含む接頭語が挿入される傾向がある。

語彙

広域

太字部分にアクセント。
注意:ここで挙げられている例は、地域的・世代的な差異があるので、ニュアンスなども含めて、必ずしも長野県全域・もしくは各地方であまねく通じるものではない。また、県外に共通のものも含まれることに留意されたい。
  • いく:(中信、南信)「歩く」の転訛。歩いていくは「あいってく」。
  • いさ:(全県)「あいだ(間)」の転訛。
  • おのけ:(北信、中信)「あおむけ(仰向け)」の転訛。
  • かす:(東信、南信)「告げる」「密告する」の意。
  • げる:(北信、中信)「嘔吐する」の意。
  • たける/あだける:(北信、中信、南信)「暴れ回る」の意。
  • っこ(1)、っくい:(全県)「かかと」の意。
  • っこ(2)、あすこ:(全県)「あそこ」の転訛。
  • ったら:(北信、東信)「惜しい」の意。
  • すぶ:(全県)「遊ぶ」の転訛。
  • のけんまく/あんねんまく:(北信、東信、中信)「あんなにもたくさん」の意。
  • ばける:(北信、東信、中信)「ふざけて騒ぐ」の意。
  • まびらかす:(北信、東信)「焦がす」の意。
  • まぶれる:(北信、東信)「焦げる」の意。
  • めんぼう:(東信、中信)「つらら」の意。
  • らかた:(北信、東信)「ほぼ」の意。用例:「あらかた完成した。」
  • らびる:(中信、南信)「暴れる」の意。
  • きあう: (全県)「出くわす」「(偶然に)遭遇する」の意。予め待ち合わせた場合には使用しない。
  • きれる:(北信、東信、中信)「蒸し暑くなる」「蒸れる」の意。
  • こ/こ:(北信、東信、中信)「甚だ」「度が過ぎて」の意。古語の形容詞「厳し(いかし)」の副詞的用法に由来。
  • く/いく:(東信、中信、南信)「動く」の意。
  • じれる:(北信、中信、南信)「癇癪を起こす」の意。
  • かい:(中信、南信)「いらっしゃいましたか」「ご在宅でしたか」の意。訪問時の挨拶。
  • ただきました:(北信、中信、南信)「ごちそうさまでした」に相当する挨拶。「いただきます」と対応させている。
  • ちゃつく:(全県)「狼狽する」「あわてふためく」の意。
  • ~いつ:(北信、東信、中信)「~頃」の意。用例:「あさっていつ届く」
  • つける:(北信、東信)「結びつける」の意。用例:「柱にいつける」
  • っける:(北信、東信)「(上に)乗せる」の意。用例:「棚の上にいっける」
  • とに:(北信、東信、中信)「~あいだに、~うちに」の意。「暇(いとま)に」が変化したものと思われる。用例:「目を離してるいとにどこかへ消えた。」
  • ぼ(ぼ)をつる:(全県)「すねる」の意。北信では「えぼ」、それ以外では「いぼ」。
  • ってがえし:(中信、南信)「口答え」の意。
  • とい:(中信、南信)「愚かな」「鈍感な」の意。
  • なでに:(北信、東信)「自然に」「おのずと」の意。
  • ぶ:(北信、東信、中信)「歩く」の意。用例:「えべや」
  • い(1):(全県)「とても」「ずいぶん」の意味。副詞形「えらく」も。用例:「えらい(えらく)待たせたな」
  • い(2):(中信、南信)「大変だ」「難儀だ」の意。用例:「10キロの道のりを徒歩で来てえらかった」
  • おけん:(全県)「おおよそ」「概して」の意。
  • おふう:(北信、東信、中信)「気前がいい」の意。
  • くらぶち:(全県)「囲炉裏を囲む木枠」の意。
  • しこくる:(東信、中信)「力強く押す」の意。
  • じょうこ:(北信、東信)「生意気」の意。
  • い:(全県)「粗悪な」の意。
  • たくら:(北信、東信)「冗談」「無駄話」の意。
  • だむ:(北信、東信、中信)「穏やかになる」「(雨風雪が)止む」の意。「おだゆむ(小弛む)」に由来。
  • ちょうべ:(北信、東信、中信)「媚び諂い」の意。
  • つくべ/おつくばい/おつくわり:(東信、中信、南信)「正座」の意。「ひれ伏す」の意味で使う地域もある。動詞形は「つくばう」または「つくべる」。
  • っさま:(中信、南信)「和尚さん」「和尚様」の意。
  • しょる/おっぽしょる:(北信、東信、中信)「折る」の意。
  • った【落った】:(北信、東信)「落ちた」「おっこちた」が促音便化したもの。用例:「試験に落ったらどうしよう?」。また南信に限り「居た」の意も。
  • ひゃらかす/おしゃらかす:(北信、東信、中信)「からかう」の意。
  • めったい:(北信、東信、中信)「めんどくさい」の意。
  • らほ:(東信、南信)「俺の方」「俺たち」の意。用例「おらほの村では…」
  • ろぬく/おろのく:(北信、東信、中信)「間引く」の意。
  • やげない:(東信、中信、南信)「かわいそう」の意。
  • やす:(東信、中信)「(仕事を)終らせる」の意。
  • やすみなさい:(東信、南信)「さようなら」の代用語。日没前であっても使用する。
  • んかに:(全県)「公然と」の意。
  • んじょう:(中信、南信)「文句」「泣き言」の意。「音声」に由来。
  • あたくた)/ごったくた):(北信、東信、中信)「散らかっている様子」「ろくでなし」の意。
  • いしき:(北信、東信)「まるっきり」「皆目」の意。
  • う: (中信、南信)「かける」「あてがう」の意。用例:「ボタンをかう」「鍵をかう」
  • がっぽい/かがっぽしい:(北信、東信)「まぶしい」の意。中信・南信の「ひどろっこい」に同じ。
  • ずける:(全県)「口実にする」「かこつける」の意。
  • ったるい/けったるい:(東信、南信)「だるい」の意。
  • る/かる:(全県)「加える」の意。子どもが集団遊びに参加したいとき「かてて」などと言う。共通語にも「かてて加えて」という表現がある。
  • まける:(北信、中信)「愚痴をいう」の意。東信では(物事に)「いそしむ」の意となる。
  • ゆき【上雪】:(北信、東信、中信)「南岸低気圧通過型の気象状況のときに降る雪」の意。(→しもゆき)
  • ?:(全県)疑問文の語尾につく。「かな?」の意。
  • からかす:(中信、南信)「乱暴に~する」の意。用例:「食いからかす」
  • わばる:(北信、中信)「(表面が乾いて)固くなる」の意。
  • んから:(北信、東信、中信)「空き缶」の意。
  • んじる【寒じる】:(北信、東信、中信)「寒さが身にしみる」「全身がかじかむ」の意。身体の一部がかじかむ場合には使わない。「しる」が物理的低温をさすのに対し、「寒じる」は体感温度の低さをさす[11]
  • んます:(北信、東信、中信)「掻き回す」の意。
  • なし:(北信、東信、中信)「無意識に、なにげなく」の意。用例:「きなしに捨てちまったわ」
  • のうな、きんな、きんの:(全県)「昨日は」の意。
  • びしょ:(全県)「急須」の意。
  • る(1):(中信、南信)「叱る」の意。
  • る(2):(東信、南信)「(子供が)むずがる」の意。
  • い:(北信、東信、中信)(満腹で)「腹が苦しい」状態。
  • つばす/くつばかす:(全県)「くすぐる」の意。
  • る/ねている:(全県)「おとなびている」の意。動詞の様態をとる。
  • ねっぽい:(中信、南信)「おとなびている」の意。形容詞の様態をとる。
  • む(1):(中信、南信)「交換する」の意。
  • (2):(中信、南信)「崩落する」の意。
  • らせる:(全県)「殴りつける」の意。
  • りくり:(北信、東信)「残らず」「きれいさっぱり」の意。用例:「くりくり盗まれた」
  • れる:(全県)「(物を)あげる」「くれてやる」の意。用例:「花に水をくれる」
  • いに:(全県)「力強く」「強引に」の意。
  • いもない:(北信、東信、中信)「~する甲斐も無い」「もったいない」の意。
  • えこむ:(東信、中信)「汲みこむ」の意。
  • えだす:(東信、中信)「汲み出す」の意。
  • たくる:(東信、中信)「蹴りつける」の意。
  • けつかる:(全県)「~していやがる」の意。
  • そけそ:(北信、東信)「平気である様子」の意。北信では「日が暮れる」の意もある。
  • なるい:(東信、中信、南信)「うらやましい」の意。
  • もない:(中信、南信)「た易い」の意。
  • やす:(全県)「消す」の意。
  • んども:(北信、東信、中信)「~けれども」の転訛。
  • うがわく/うがいれる:(全県)「腹が立つ」「しゃくにさわる」の意。
  • く:(全県)「言う」の意。特に文句などをいう場合に使う。用例:「文句をこくな」
  • :(東信、中信)「(植物を)引き抜く」の意。
  • る(1):(全県)「いる」の謙譲の意。
  • る(2):(北信、東信、中信)「腐る」の意。東信では「死ぬ」「気が触れる」の意味もある。
  • したい:(北信、東信、中信)「疲れた」の意。「てきない」と意味が似るが、「ごしたい」は北信北部、諏訪、上伊那を中心に、広い範囲に点々と分布する。
  • い:(全県)「ずるい」「卑怯」の意。
  • ずむ:(中信、南信)「沈澱」するの意。
  • そっぽい:(北信、東信、中信)「(ざらざらしていて)滑らかでない」の意。
  • る:(北信、東信)「堪える」の転訛。
  • なす:(東信、中信、南信)「脱穀する」「収穫する」の意。
  • のがる:(全県)「前かがみになる」「中腰になる」の意。
  • のけんまく/こんねんまく:(北信、東信、中信)「こんなにもたくさん」の意。
  • むさい:(北信、東信)「汚い」の意。
  • もっつるし:(中信、南信)「戸を開け放した状態」の意。
  • い(1)【強い】:(東信、中信、南信)「硬い」の意。本来の意味であり、固いことを「こわい」とよぶ表現は共通語にも「おこわ」という単語の中に生きている。恐怖心を表す「こわい」は「おっかない」を使う。
  • わい(2):(北信、東信)「濃厚な」の意。
  • ん:(北信、中信)「こと」の転訛。用例:「そんなこんねーわ」
  • かる:(北信、東信、中信)「繁盛する」の意。
  • がねる/さなげる:(北信、東信、中信)「探索する」の意。
  • る:(全県)「畝を作る」「中耕する」の意。
  • さらほうさら:(全県)「いい加減な」「支離滅裂な」の意。
  • しゃく:(東信、中信、南信)「指図」の意。
  • なげる:(東信、中信、南信)「探す」の意。
  • さら:(中信、南信)「~ごと全部」の意。
  • くたみ/じくったみ:(北信、東信、中信)「湿地帯」「ぬかるみ」の意。
  • なくれる:(全県)「乾いて縮む」の意。
  • る【凍みる】:(北信、東信、中信)「凍りつく」「気温が下がる」の意。アクセントは中高型で、共通語の「(寒さが身に)しみる」の平板型と異なる。
  • ゆき【下雪】:(北信、東信、中信)「大陸からの寒気の吹き出しや寒気団の影響などによる雪」の意。(→かみゆき)
  • じゃん(じゃんか):(東信、中信、南信)「~じゃないか」の意。東海東山方言から首都圏を経由して全国に伝播したものとして知られ、長野県下でも大正時代頃から使われ始めたが、当初は女性語としての意識が強かったという[11]。長野県方言では「じゃん」や「~じゃねえか」は動詞の終止形に接続して勧誘の意味を併せ持つが、共通語には見られない用法である。用例:「そろそろ行くじゃんか、~じゃねえか(そろそろ行こう)」。
    また伝聞表現と融合して「~(なん)だってじゃん」となることもあるが、これも共通語には見られない独特の語形であると言えよう。用例:「明日、雨(なん)だってじゃん。」
    東信と中南信では、平板型動詞に接続した場合のアクセントが異なる。用例:行くじゃん(東信 いじゃん / 中南信 いくじゃん)
  • しょう:(北信、東信、中信)「衆」の転訛。後述する北信地域に顕著な音韻的特徴だが、他の地域にも分布する。用例:「あそこのしょうは…」
  • しょうしい:(北信、東信)「恥ずかしい」の意。
  • じょうや:(北信、東信、中信)「始終」「常日頃」の意。
  • しょずむ/しょまむ:(中信、南信)「手でつかむ」の意。
  • い:(東信、中信)「吝嗇である」の意。
  • ~ず:(全県)「~しましょう」の意。勧誘や意思を表し、動詞の未然形語幹につく。古語の「むず」に由来する。碓氷峠は「べ、べぇ」を使う西関東方言との境界なので「鳴くべ鳴かずの峠」と呼ばれた。「する」につく場合は「せず」ではなく「しず」になる。「~ず」が「~ざぁ」に転訛する地域もあり、また「~ずか」が「っか」に転訛する地域もある。例:「そろそろ行かず、~行かざぁ」「~行かっか」(そろそろ行きましょう、~ましょうか)。
    北信地方とそれ以外で平板型動詞に接続した場合のアクセントが異なるが、起伏型の場合は同じ。用例:行かず(北信 いず / それ以外 いかず) 書かず(全県 かず)
  • :(全県)しばしば共通語による定義ができないとされる名詞。強いて言うならば、億劫がって何かをやりだそうとしない状態を「(あなたは)ずく無しだ」などと形容するが、その逆になにか面倒なことを敢えてするようなときに「ずくを出す」と用いられることもある。あるいは、エネルギー(精神的なものを含む)の積極的な消費を厭わないような性質のこととも言える。
    その構造分析に於いては、「ずく(主語)-が-無い(述語)」がひとつのセンテンスである、と見る者もあれば、「ずく無し(だ)」が一語の形容動詞である、と見る者もある。また、長野県下の高校には「ずく出せ修行」なるものがあるところもある。
  • で/ずえ:(全県)「まったく」「最初から」の意。
  • てばて:(北信、東信)「手に負えないもの」の意。
  • い:(北信、東信)「意地悪」「図太い」の意。
  • :(東信、中信、南信)推量、同意、確認の語尾の一種。「~だろう?」の意。「~ずらむ」から変化したと思われる。「だら(ら)」と併用される伊那谷地方や、「べえ」と併用される佐久地方の場合、ぞれぞれ「だら(ら)」や「べえ」のほうが「ずら」よりも確実性が強い場合に使用されるという[12][11]。用例:「降るら(伊那)/降るべえ(佐久)」(きっと降るだろう)、「降るずら」(降るだろうとは思うが、果たしてどうだろう)。
    過去の場合は「つら」とも。例)「学校行っつら?」「~行ったっつら」(学校へ行ったんでしょ?)
  • い:(北信、東信、中信)「動作が鈍い」の意。この場合、狡猾を表す「ずるい」には「こすい」を使う。
  • んがけ:(東信、中信、南信)「即座に」の意。
  • んしょう:(東信、中信)「お節介」の意。
  • ざえる/ぞぜえる:(全県)「甘える」の意。
  • ばえる/そべえる:(東信、南信)「ふざける」の意。
  • っける:(東信、中信)「好機を失う」の意。用例:「電車に乗りそっけちまった」
  • らっこと:(北信、東信、中信)「嘘」の意。
  • :(北信、南信)「言う」の意。「そう言う」に由来。
  • っこういい:(北信、東信、中信)「根気よく働く」の意。
  • んど:(北信、東信、中信)「先ごろ」「過日」の意。
  • いら:(全県)「盆地」の意。主に長野県の地形をさす。
  • しない:(東信、中信、南信)「乏しい」「稀少な」の意。
  • まかす/だまくらかす:(全県)「欺く」の意。
  • る:(全県)「狙いをつける」の意。
  • ~だらず:(北信、東信)推量。「~だろう」の意。「~であらむず」から変化したと思われる。中信・南信・佐久地方の「ずら」と似るが、両者が併用される佐久の場合、「だらず」のほうが確実性が強い場合に使用されるという[13]。佐久地方以外では「~だろう」と併用され、北信の北端部では専ら「~だろう」のみとなる[1]
    北信と東信では、平板型名詞に接続した場合のアクセントが異なる。用例:お前だらず(北信 おまえだらず / 東信 おまえだらず)
  • だれ:(北信、東信)「~たち」の意。用例:「おいだれ、わんだれ(お前たち)」「おらだれ(俺たち)」
  • え:(北信、東信、中信)相手の言葉を否定する際に反語的に用いられる。「誰がそんなこと言った/した?(誰もしてないだろ?)」の意。
  • がしぬ【血が死ぬ】:(北信、東信)打撲した際に内出血した部位(蒼くなったところ)をさす。用例:「血ぃ死んだ」
  • だらまっか:(東信、中信)「血みどろ」の意。
  • ちっとべえ:(北信、東信)「少しくらい」の意。
  • ちゃっと:(全県)「早急に」の意。
  • ちゃんする:(北信、東信)「正座する」の意。
  • ちょうきゅう:(中信、南信)「まともな様子」の意。
  • ちょんこづく:(北信、東信)「調子に乗る」の意。
  • くなる:(北信、中信、南信) 「(力が抜けて)へたり込む」の意。
  • んもぐる/つんもる:(中信、南信) 「(下へ)突き抜ける」の意。
  • えじん:(北信、東信)「金持ち」を揶揄する語。「大尽」の転訛。
  • きない:(北信、中信) 「疲れた」の意。「ごしたい」と意味が似るが、「てきない」は松本盆地や木曽、北信南部を中心に、かたまって分布する。
  • んづけ:(北信、東信、中信)「最初」「真っ先」の意。
  • んびね/とんびね:(東信、中信)「山頂」の意。
  • うじる:(東信、中信) 「(患部を)水や液状の薬に浸す」の意。
  • がめる:(北信、東信)「化膿する」の意。
  • うずく:(全県) 「どつく」「殴りつける」の意。
  • うずる:(北信、東信) 「怠ける」の意。
  • に:(東信、中信) 「当座に」の意。
  • :(全県)走る、駆ける。「とびっくら」は「かけっこ」の意。
  • ろっぴょう/とろっぴょうし:(北信、南信)「いつも」「間断なく」の意。
  • おしか:(北信、中信)「なおさら」の意。
  • から【半ら】:(全県)「半ば」ではなく、「ほとんど」「ほぼ」の意。
  • して:(北信、中信) 「~なさってください」の意。
  • せえ:(北信、東信)「緩やかな傾斜」の意。
  • な~と:(北信、東信)動詞の活用語幹につき禁止を表す。古語の「な~そ」に由来する。 用例:「ななやっと」「ななしと」
  • りきに、~りきの:(北信、東信、中信)「~なりに、~なりの」の意。用例:「それなりきに努力が必要だ」
  • * ない:(北信、中信、南信)「緩やかだ」「容易だ」の意。
  • んじゃった:(中信、南信)動詞の未然形につき、過去否定「~なかった」の過失態を表す。用例:「行かなんじゃった」
  • う:(東信、中信)「(神輿や箪笥などの大きなものを)ふたりで担ぐ」の意。
  • い/ぬくとい/のくとい:(全県)「あたたかい」の意。東海地方での使用例もある。
  • ぐさい:(北信、東信、中信)「腐臭がする」の意。
  • このしっぽ:(中信、南信)「末っ子」の意。
  • ~のざっぺえに:(北信、東信、中信)「~のくせに」の意。用例:「子供のざっぺえに」
  • っくむ:(北信、東信)「嚥下する」の意。
  • っこす:(東信、中信)「追い越す」の意。
  • い:(北信、中信、南信)「図太い」の意。
  • (あれ/これ/それ)~っか:(北信、東信)「たったの(あれ/これ/それ)しか」の意。不足感をあらわす。
  • /は:(全県)「はさ(稲架)」の転訛。
  • そく:(全県)「即座に」「突然」の意。
  • っちらがう/ばっちらがる:(東信、南信)「先を争う」「競って~する」の意。
  • なる/はなある:(全県)「始まる」の転訛。
  • す:(東信、南信)「孵化させる」の意。
  • らざくれ:(東信、中信)「薔薇の棘などによる擦過傷」の意。
  • んてに/ばんてっこに:(全県)「交代交代に」の意。
  • しょったい/ぶしょったい:(全県)「汚らしい」の意。
  • だりっかち:(東信、中信)「左利き」の意。
  • だるい:(北信、東信、南信)「空腹だ」の意。対義語は「くちい」。
  • っきり:(北信、東信、中信)「少しの間」の意。用例:「ひっときり買い物行ってくる」
  • どろっこい:(中信、南信)「まぶしい」の意。北信・東信の「かがっぽい」に同じ。
  • やかす:(東信、中信)「水に浸す」の意。
  • わかい:(北信、東信、中信)「未熟な」の意。
  • んまがる/へんまがる:(北信、中信、南信)「まがる」の意。
  • え:(全県)話題や行動の転換時に使う間投詞。「早や」の転訛で「もう」「早くも」の意。南信では「はい」とも言う。用例: 「へえ、昼飯食わず(食べましょう)」
  • ど:(全県)「土」の意。
  • る:(中信、南信)「反り曲がる」の意。
  • る/へる:(北信、東信、南信)「減らす」の意。
  • い:(全県)「弱い」「不出来だ」の意。
  • ら:(全県)「舌」の意。
  • んぼ:(北信、中信)「蝿」の意。
  • きったま:(北信、東信)ふきのとうのまだ開いていない状態。
  • ちゃる/びちゃる/べちゃる:(全県)「捨てる」の意。「打ち遣る」の転訛。
  • :(全県)「分け前」の意。
  • るくる/ぶるける:(北信、中信、南信)「吊り下げる」の意。
  • きる/ほける:(北信、東信、中信)「(植物が)繁茂する」の意。
  • :(全県)「幼児」の意。
  • ぼっ:(中信、南信)「突起部」「つまみ」の意。「栓」の意味で使う地域もある。
  • とばす【潤ばす】:(北信、中信)「水に浸す」の意。自動詞形は「潤びる」。
  • ぁず:(北信、東信、中信)「まったく」「ほんとうに」の強調の意。
  • えで/まいで:(中信、南信)(位置的に)手前・前方。「まえで(通りますが)失礼(します)」のように使う。「前で○○する。」という用法とは異なる。
  • /ま:(全県)「一族」「血縁集団」の意。
  • くらう:(全県)「大食する」の意。
  • まっぐ:(北信、東信、中信)「まっすぐ」の意。
  • ねる:(北信、東信)「告げ口をする」の意。
  • /ままっかけ(全域)「断崖」の意。
  • まやく:(北信、東信、中信)「吃音する」の意
  • る【放る】:(北信、中信)「排泄する」の意(古語に由来)。
  • ぐさい:(北信、東信、中信)「醜い」「格好悪い」の意。
  • じゃける/むじゃける:(北信、東信、中信)「粉砕する」の意。
  • みこすり:(北信、東信、中信)「あてこすり」「皮肉」の意。
  • やましい:(中信、南信)「(物が)整っている」「(人の性格が)品行方正な」の意。
  • ける:(北信、中信)「孵化する」の意。自動詞形は「むく」。
  • せっけいに:(北信、東信)「向こう見ずに」の意。
  • かさる:(北信、東信)「嫁ぐ」の意。
  • っくし:(北信、東信、中信)「(否定語を伴って)いっこうに」の意。 用例:「むっくし動かない。」
  • た:(北信、東信、中信)「やたらに」「好き勝手に」「尚更」の意。
  • うらしい:(北信、東信、中信)「かわいそう」の意。
  • おる:(全県)「(雨などが)漏る」の意。
  • くやく:(全県)「わざわざ」の意。
  • けっつる:(東信、中信)「やけどする」の意。
  • しむ:(東信、中信)「叱る」の意。
  • ~やす:(北信、東信)「~ます」の意味だが、「ます」とはアクセントが異なる。用例:行きやす(いやす)
  • だくて:(北信、東信、中信)「嫌になって」の意。形容動詞のような形態をしながら形容詞のような活用をする。連用形「やだくなる」連用形「やだかった」連体形「やだ(やつ)」仮定形「やだけりゃ」
  • ぶせったい:(北信、東信、中信)「うっとうしい」の意、主に髪の毛がのびて気になるときに「あぁ髪の毛やぶせってぇ」などと使う。
  • のあさって/しあさって[14]:あさっての翌日が東日本方言のように「やのあさって」系の語彙になる地域は奥信濃・北信・東信及び中信の一部(東筑摩・安曇)、西日本方言のように「しあさって」系の語彙になる地域は南信及び中信の一部(上伊那北部・諏訪)。
    現在は共通語に合わせて後者が主流となっている。
  • ~やれ:(全県)動詞の命令形に接続する。補助動詞「ある」の命令形「あれ」(「お試しあれ」「ご覧あれ」など)に由来[15]。現在は「~や」に置き換わっている。用例:「行けやれ(行けよ)」
  • きやけ:(北信、東信)「しもやけ」の意。「雪に反射した太陽光線による日焼け」とは異なる。
  • いと:(北信、東信、中信)「ゆっくりと」の意。
  • うでもない:(東信、南信)「不要な」「役立たずの」の意。
  • じける:(北信、東信、中信)「よろける」「ぐらつく」の意。
  • っぴて:(全県)「夜通し」の意。
  • る:(東信、中信)「得意とする」の意。
  • ばる:(北信、東信、南信)「人を呼ぶ」「招待する」の意。受身形は「よばれる」。
  • ろぐ/よろぶ:(東信、中信、南信)「(ぐらついて)傾く」の意。
  • くったま:(東信、中信)「(否定語を伴って)ろくに」の意。
  • かされ:(全県)「(交通の)分岐点」「追い分け」の意。
  • る:(全県)はにかむ、人見知りする。主に幼児に対して用いる。
  • :(北信、東信)「(位置的に)上の方」の意。「上手」と書くことが多い。

奥信濃方言

新潟県の「南越方言」(魚沼地方)にきわめて類似し、信州方言の語彙、音韻、アクセントの特徴が当てはまらないことが多い。そのため平山輝男越後方言の一部に分類している。[6]

中でも言語の島として知られる秋山郷方言の語彙は以下の書籍に詳しい「[12]秋山郷の方言」。

北信方言

隣接する越後弁と類似する特徴を持つ。

  • んじょ:尼僧を意味する「あんじゅ(庵住,庵主)さん」の転訛。
  • :広い田んぼや耕地をさす。「~沖」という地名が多く分布する。
  • んざ:麺類の意。
  • とこしょう/おんなしょう:「男性たち、女性たち」の意。「衆(しゅう)」の転訛。
  • すをこく:「生意気なことを言う」の意。
  • ぼつく:「小理屈を言う」の意。
  • そけそする:「日が暮れる」の意。
  • :「回数」の意。用例:「5けら」は「5回」
  • ~しまに:~がけに。動詞の連用語幹につく。古語の「~しなに」と同じ。用例:「帰りしまに」
  • あ:「いいえ」「(否定語を伴って)誰が~か」の意。
  • ちょっけはやい:「すばしっこい」の意。
  • とくらい:動詞に接続して「~てください」の意。
  • す: 「(債務を)弁済する」の意。
  • っちょ:「どのように」「どんな」の意。
  • ごすい:「表裏ある」の意。
  • くまくする:「日が暮れる」の意。

中野・飯山地域

  • っせき:「常に」「一切」の意。
  • っつに:「とっくに」の意。
  • さめる:「捕まえる」の意。
  • じ/ば:次男以下の兄弟、次女以下の姉妹を言う。長男は「あに」、長女は「あね」。
  • ったくる:「奪い取る」の意。
  • る:「捕獲する」の意。
  • っとに:「強引に」の意。
  • もしい:「たくさんあって見事」の意。用例:「林檎がけもしいように生っている」
  • けぇ:「~だから」の意。「さかい」の転訛。
  • や:「薄氷」の意。用例:「寒さでざやが張ってる」
  • こたれる:「破れる」の意。
  • こかう:「入れ知恵する」の意。
  • っけに:「各自銘々に」の意。
  • いつる/べえつる:「奪い合う」の意。
  • んがしげる:「踏み違える」「足をくじく」の意。
  • がいる:「(果実が)熟成しすぎてだめになる」の意。
  • ちゃ、ちょ: 「風呂」の意。元は幼児語。
  • うりょうする:「(植物が)繁茂する」の意。
  • る:「混ぜ合わせる」の意。
  • しか~たら:「仮に~たら」の意。用例:「よしか暇があったら旅行に出るんだが」

長野地域

  • もいり/おもいれ:「思い切って」の意。
  • め(さん):「あなた」「お前」の意。複数形は「おめ(さん)たち」。
  • うばいがはやい:「要領がいい」「気転が利く」の意。
  • ~しない?(するしない?):「~じゃない?」「~だよね(よね)?」という意味の新方言。動詞または形容詞の終止形に「しない?」をつけ、誘い言葉、同意を求めるときに使う。名詞の後につく場合は「~だしない?」となる。年齢層の若い人がよく使う。用例:「これってかわいいしない?」(これってかわいくない?)「映画に行くしない?」(映画に行かない?)「あいつってバカだしない?」(あいつってバカじゃない?)
  • チロパール:発泡スチロールの新方言。長野市内の一企業の登録商標が一般名詞化。
  • ~するきりない:~する以外に方法がない。
  • っき:「~ばかり」の意。
  • ちょうっくらい(ちょっくん):「中くらい」の転訛だが、意味は「真ん中ぐらい」ではなく「大したことない」「適当な」。用例:「あいつはちゅうっくらいなこんしか言わね」
  • む:「痛む」の意。
  • くめる:「弁済する」の意。

東信方言

  • って:「歩いて」の転訛。
  • たくさ:「たくさん」の意。
  • ばつる:「競ってする」の意。 用例;「釜の底に僅かに残っていた飯を、兄弟であばつって食った。」
  • んもて:「世話」の意。
  • すかに:「たいへんに」「大層」の意。
  • む:「嫉妬する」の意。
  • っさら:「全然」「まったく」の意。用例:「いっさら聞いたことねえ。」
  • な:「変な」の意。
  • でっこき:「手腕家」「技量者」の意。
  • いこくる:「追い払う」の意。
  • おばかく:「(場所を)占有する」の意。
  • じゅうく/おじゅうこ:「生意気」の意。親や先生が子供に「おじゅうくすんな!」
  • そなわる:「遅参する」の意。
  • だ:「いい加減な話」「談笑」の意。
  • っちらした/おっちりした:「落ち着きのある」の意。
  • まける:「いそしむ」の意。北信や中信では「愚痴をいう」の意になる。
  • る:「盗む」の意。
  • ぎょうにく:「意地を曲げる」の意。
  • えなったりない:「不足だ」の意。
  • えろくみらい:「開闢以来」の転訛。「未曾有」の意。
  • ころに:「いい加減に」の意。対義語は「まていに」。
  • そくれる:「無視する」「しらばっくれる」の意。
  • たくそわるい:「胸糞悪い」の意。
  • っする:「便秘する」の意。
  • んたかぶる:「虚勢を張る」の意。
  • んつくくれる:「けんもほろろにする」の意。
  • てえさんねえ/こてえされねえ:「居心地がいい」「楽だ」の意。
  • そげる:「削り落とす」の意。
  • ろふける:「老いて老獪になる」の意。
  • い:「気安い」の意。
  • たませ:「最低限度」の意。
  • しょうずく:「懲りる」の意。
  • んの:「くたびれた」の意。用例:「病み上がりでしんのだ」
  • :「編む」の意。
  • くなむ:「しゃがむ」の意。
  • てきもない:「素敵な」の意。
  • まずまとした:「小さくまとまった」の意。
  • ~せ:方角を表す「~に」「~へ」に相当。「京へ筑紫に坂東さ」は東信では「せ」を使う。
  • えたらはじき:「余計なお節介」の意。
  • きさか:「せいぜい」の意。用例:「せきさかそんなもんだ」
  • つにする:「粗末にする」の意。
  • る:「建つ」の意。用例:「あそこに新しい家(店)がたたった。」
  • っかげる:「(手足が)かじかんで自由に動かなくなる」の意。
  • っぺえる:「ぬかるみにはまる」の意。
  • れっぱなす:「仲間はずれにする」の意。
  • す:「膿を出す」の意。
  • る:「(仕事量が)処理能力を超える」の意。
  • ぼっけなし:「経済観念がない人」の意。
  • んごうをかく:「欲張る」の意。
  • えっかえす:「ごった返す」「混雑する」の意。
  • こかく:「横たわる」「寝る」の意。
  • うずる:「懈怠する」の意。
  • っちがえる/しっちがえる:「捻挫する」「関節を外す」の意。
  • んに:「特別に」の意。
  • んまわし:「コンパス」の意。
  • ぅ: 何か物を指し示すとき等に用いられる間投詞。「ほら」「ほれ」の意。」
  • まし:「~ごと」の意。「みかんを皮まし食べる」
  • じっぽい:「まぶしい」の意。
  • しょくにあわない:「間尺に合わない」の意。
  • んざら:「(否定語を伴って)まったく」の意。用例:「まんざらわからない」
  • がいる:「筋肉疲労を起こす」の意。
  • しっつる:「(穀物が)虫に食われる」の意。
  • い:「かわいらしい」の意。
  • とらない:「自由が利かない」の意。
  • る:「役立つ」「有用である」の意。
  • もっかい/ももっちい:「くすぐったい」の意。
  • さる:「寄り集まる」の意。
  • っちゃばる:「寄り集まる」の意。

上田地域

  • しょ:「小皿」の意。
  • おちょうだい:「ご馳走」「もてなし」の意。『大頂戴』か。
  • さまくり:「宴の席で最後まで残っている人」の意。

佐久地域

ことに南部においては佐久甲州街道(佐久往還)を経由した甲州弁の流入によって諏訪地域とも類似性が見られる。また中仙道を経由した群馬弁などの西関東方言も流入している。

  • かすかもない:「法外な」の意。
  • ぶくれる:「拗ねる」の意。
  • ぶさい:「酷い」の意。
  • もくう:「落第する」の意。
  • っきざっきする:「落ち着き無くそわそわする」の意。
  • っちゃらかす:「放っておく」の意。
  • のがでに:「自然に」の意。
  • こよまいり:「トイレ」に行くこと。いまではほとんど使用されていない。
  • きゃてえ:「きわどい」の意。
  • もいる:「腹が立つ」の意。漢字を当てると『肝煎る』か。
  • てっぱやい:「すばやい」の意。
  • だらもなく:「際限なく」の意。
  • (あれ/これ/それ)~っちべえ:「たったの(あれ/これ/それ)しか」の意。
  • じゃんぼん:「葬式」の意。じゃんぼん回りは「左回り」。
  • る:「肩が凝る」の意。
  • うなしに:「無計画に」の意。
  • ちょびちょびしてる:「落ち着きがない」「軽率にでしゃばる」の意。用例:「まぁづあっこの子供はいつもちょびちょびしてるわ」
  • んぽに:「だしぬけに」の意。
  • ご:「違法」「掟破り」の意。
  • ご:「ものもらい」の意。

中信方言

  • ずくむ:「胡坐をかく」の意。
  • いからかん(いいからかげん):「いい加減」の意。
  • じむさい:「意地汚い」の意。
  • む/えむ:「嫉妬する」の意。
  • :「遠慮する」「しないでおく」の意。
  • こりばち:「おこりっぽい」の意。
  • いくれ/けえくれ:「悉く」の意。
  • もびしい:「じれったい」の意。
  • っくと:「精を出して」「怠らずに」の意。
  • けっ/けったましーん:「自転車」の意。
  • がふく:「黴が生える」の意。
  • くれる:「適した季節を逃す」の意。用例:「収穫にこくれた」
  • ~っし、~っしゃれ:動詞の未然形語幹につく。軽い命令形。用例:「行かっし、行かっしゃれ(行きなさい)」
  • る:「(寒さで)じっとする」「うずくまる」の意。
  • っと:「しょっちゅう」の意。
  • しゃ~:形容詞の前について意味を強調する。「しち~」に同じ。用例:「しゃらっきたない(とてもきたない)」
  • じょうる:「(鳥獣や魚類を)さばく」の意。
  • んきり:「開墾すること、開墾地」の意。
  • る:「熟す」の意。
  • る:「納得する」「腑に落ちる」の意。
  • りこむ:「入り込む」の意。
  • んに:「以前に」「先頃に」の意。
  • いじょう:「大丈夫」の意。例、だいじょうだだ?(大丈夫なの?) 
  • ~だ,~だだ:念を押すときに使う。語尾を上げると疑問形、「~なのか?」の意。下げると断定形、「~なのだ」の意。用例:「これ貰っていいだぁ(↑)?」「いいだ(↓)」
  • ざまく:「どっさりと」の意。
  • る:「なぞる」の意。
  • ~なさんし:「~なさってください」の意。
  • い:「狡猾だ」「機敏だ」の意。
  • ちあがる:「よじ登る」の意。
  • てら:「~たてに」の意。動詞の連用語幹につく。用例:「起きはてらに掃除する」
  • いて:「一日中」「終日」の意。
  • んづぶす(ふんぶす):「踏み潰す」の転訛。用例:「靴のかかとをふんづぶすなよ」
  • すぐれる:「すすける」の意。
  • る/ほる:「水分が抜け始め、歯ごたえが無く、不味くなる」の意。りんご、或いはについて用い、「ぼけりんご」などと連語的にも使う。
  • がいる:「身が入る」の意。筋肉痛。
  • しっぽい:「吐き気がする」の意。
  • をおとす:「(老衰や病死等で床についた状態で)死亡する」の意。交通事故死のような突発的な死亡には使わない。
  • っくら:「故意に」の意。

松本地域

  • つかる、うっつかる:(机やテーブルに)「突っ伏す」の意。(柱などに)「もたれかかる」の意味で使う地域もある。
  • ~すけ:動詞未然形に接続し、強い否定をあらわす。用例:「そんな物あらすけ」(そんな物あるはずがない)
  • る:「(~へ)去る」の意。
  • :語尾につく終助詞。「だぜ」「ですよ」。東筑摩で「だじ」とも。
  • つける:「~し慣れる」の意。動詞に接続する。
  • みっかく:「爪で引っかく」の意。
  • い:「きつい」の意。用例:「この靴つもい」
  • ておきる:「仮眠する」の意。仮眠(昼寝)直後の寝ぼけた状態のことも指す。
  • すをかう:「毒を盛る」の意。
  • しょ、~し:動詞の連用形語幹につく。「~ませよ」の転訛で軽い命令形。「~してください」

安曇地域

北部に於いては語彙や音韻の面で若干、北信方言や日本海沿岸の要素が混ざる。

  • くされる:「ふざける」の意。
  • せなしに:「唐突に」の意。
  • む:「妬む」の意。
  • あつる:「(影で)怠ける」の意。
  • ぞねえ:「飽き足らない」の意。
  • っぺせっぺと:「懸命に」の意。
  • くねる:「だだをこねる」の意。
  • っこうかける:「促す」の意。
  • っぺ:「見当」「要領」の意。
  • がむ:「掴む」の意。
  • まる:「手向かう」の意。
  • る:「蒸れる」の意。
  • んなっくさい:「焦げ臭い」の意。
  • うじょう:「住職」の意。「方丈」に由来。
  • くしつける:「押し付ける」「転嫁する」の意。
  • めむすび:「こま結び」の意。
  • そつく:「雨が降り出す」の意。
  • :「燃やす」の意。
  • てらかす:「濁す」「淀ませる」の意。

諏訪地域

地理的、歴史的にも山梨県の影響を受け、甲州弁に類似性がみられる。用例については前述の佐久地域も参考にされたい。

  • いどこじゃねえ:「非常によろしい」の意。
  • っとう:「最も」の意味。用例:「いっとう良い」
  • にむに:「なんとしてでも」の意。
  • ざうざする:(虫などの)群集がうごめき群がっている様子。「うじゃうじゃ」の意。「うざったい」のような不快感は無い。
  • いでなして:「いらっしゃい」の意。
  • つかみ:「概算」「どんぶり勘定」の意。
  • え:呼びかけの「おい」の意。
  • さんじい:「すばらしい」の意。
  • ~け/~だけ:「~なの?」「~ですか?」の意の終助詞。用例:「宿題やったけ(宿題やっただけ)?」(宿題やったんですか?)
  • ~じゃあ:同意・感動の終助詞「~だね」の意。用例:「大きくなったじゃあ」(大きくなったね)
  • らで:「暗誦で」の意。
  • ~た:名詞に接続し、「~たち」の意。用例:「俺た」(俺たち)
  • え・~え・~う:「だよ」の意の終助詞。用例:「何やってるだえ(何やってるでえ)」(何やってんだよ)、「平気どう」(平気だよ)
  • えくれえ:「誠意が無いこと」の意。
  • んちょうも:「何卒」の意。
  • いしい:「新しい」の意。
  • そんする:「修繕する」の意。「破損」ではなく「把針(はしん)」の転訛という説がある。
  • う:「そう」の転訛。用例:「ほうずら?」(そうでしょう?)「ほうするじゃあ」(そうしようね)
  • んで:「早急に」の意。
  • すをかく:「ふくれる」の意。
  • っさろう:「叩きつける」の意。
  • るしい:「古い」の意。
  • っくらさんぼ/まっくらさっぽ:「一目散に」の意。
  • がいる:「(植物が)実る」の意。
  • かあさり:「婚礼」「嫁入り」の意。
  • もしっかす:「~もしないくせに」の意。動詞の連用形に接続する。
  • いやい:感動詞。「あらあら」「おいおい」の意。
  • ~わ:「ですよ」の意の終助詞。。用例:「今、来たとこだわえ」(今、来たところなんですよ)

上伊那北部地域

  • わたく:「慌てる」の意。
  • かつい:「立派な」の意。
  • きなりな:「いい加減な」「粗雑な」の意。
  • けいに:「どんなに」、「いかほどに」の意。
  • る:「わざとする」の意。
  • ~いら:「~のままの状態で」の意。
  • ぶる:「ゆさぶる」の意。
  • む:「色づく」の意。
  • がかがする:「あくせくする」の意。
  • らっぴ:「(水が)干上がった様子」の意。
  • りあう:「言い争う」の意。
  • い:「(戸などの)すべりが悪く開け閉めしにくい」の意。
  • っきと:「休みなく」の意。
  • ぎゅうす:「懲らしめる」の意。
  • しゃつく:「水気や湿気がが多くなる」の意。
  • に:「~ように」の意。用例:「いつものくに」
  • うもねえ:「沢山の」の意。
  • うぜい:「不平不満」の意。
  • い:「狡賢い」の意。
  • ろましい:「見事な」の意。
  • す:「密告する」の意。
  • っきゃく:「さしあたり」の意。
  • す:「水に浸す」「灰汁を抜く」の意。
  • もげる:「凍傷を起す」の意。
  • しょうがない:「腐食して脆い」の意。
  • しょぼろったい:「腹立たしい」の意。
  • ねくる:「ただをこねる」の意。
  • る:「仲違いする」の意。
  • いどない:「騒々しい」の意。
  • ろっぺえ:「だらしない」の意。
  • たっこねえ:「不器用」の意。
  • っぽれる:「あてなく彷徨する」の意。
  • のみち:「血族」の意。
  • ちょろっこい:「要領が悪い」の意。
  • ~でも:「~しなくても」の意。動詞の未然形語幹につく。用例:「そんな所には行かでもいい」
  • んぷに:「多量に」の意。
  • っぺんずけ:「最初に」の意。
  • りあべる:「組み合わせる」の意。
  • っちらがる:「先を争う」の意。
  • っちる:「跳ね上がる」の意。
  • じく:「意気地がない」の意。
  • く:否定形を伴って「まるで~ない」の意。
  • る:「重なる」の意。
  • うせい:「脆い」の意。
  • む:「歪む」の意。

南信方言

比較的東海地方近畿地方など西日本方言との間に類似性がみられる。 否定の助動詞は「ん」、居るは「おる」を用いる。

  • きれる:「調子づく」「図に乗る」の意。
  • ぼる:「化膿する」の意。
  • す:「(米などを)蒸らす」の意。自動詞形では「うみる」。
  • いでる:「いらっしゃる」の意。
  • ひなる:「起床する」の意。
  • しき:「炊事」の意。
  • んこう:「工夫」の意。
  • すがる:「突き刺さる」の意。
  • つばっこい:「くすぐったい」の意。
  • う:「暴れ戯れる」の意。「くるいっこ」は「じゃれあい」を言う。
  • る:「萎む」「(腫れが)ひく」の意。
  • そくる:「(破れたい類を)縫う」の意。
  • ちがあかん/ちかん:「だめだ」の意。
  • ~だら:推量の終助詞。「~でしょう」「~だろう」
  • るくさい:「とろい」「情けない」の意。
  • ちゃる:「ふざける」の意。
  • くねる:「(乱雑に)積み重ねる」の意。
  • んこう:「早熟」の意。
  • む(し)/~も(し)/~あし:「~だなあ」の意。詠嘆を表す。
  • ぐさる:「(食べ物が)腐る」の意。
  • となる:「成長する」の意。他動詞形では「ひとねる」。
  • かる:「捨てる」の意。
  • いか:動詞について勧誘を表す。伊那谷では未然形(ア段)や連用形につき、木曽谷では未然形(ア段・オ段)や命令形につく。用例:(伊那谷 いかまいか、いきまいか / 木曽谷 いかまいか、いこまいか)
  • いやい:(感動詞)「あらあら」「おいおい」に該当。
  • や:「無理なこと」「わがまま」の意。

飯伊地域・上伊那南部地域

隣接する三河弁遠州弁と類似する特徴を持つ。

  • いそしい:「かわいらしい」の意。
  • おたく:「仰ぎ見る」の意。
  • らける:「(火を)かきまわす」の意。
  • らかす/あらす:「(石などを)転がす」の意。
  • え:「いかが」の転訛。
  • ってきました:「ただいま」に相当する挨拶。「行って来ます」と対応させている。
  • める:「(水などを足して)薄める」の意。
  • :後ろ(の方)
  • いき:「生意気」の意。
  • あがりて:「おあがりください」の意。
  • いでないしょ/おいでなんしょ:いらっしゃい
  • かしま:「正座」の意。
  • かたじけ:「ありがとう」の意。
  • ある:「倒れる」の意。
  • いない:「黄色い」の意。
  • んきい:「息苦しい」の意。
  • いぼうをふる:「指図する」の意。
  • だらがない:「だらしない」の意。
  • じょうぶい:「丈夫な」の意。形容動詞が形容詞化したもの。
  • だくさもない:「沢山有る」の意。
  • ~だにぃ:「~だよ」の意。
  • わける:「愚かなことをする」の意。
  • ちゅうど:「当時」の意。
  • ちょうらかす:「からかう」の意。
  • :「手で持って運ぶ」の意。
  • ~ないよ:(勧誘/軽い命令) ~してみたら?/~しなさい。 〈用例〉「食べないよ。」(食べてみたら?/食べなさい)
おる(いるという意の方言)と組み合わせて「おいないよ。」とすると(来てみたら?/来なさい)となる。
  • ならかす:「引き離す」の意。
  • るけ:「~だらけ」の意。
  • きつけて:「面と向かって」の意。
  • るさい:「余裕がある状態」の意。
  • だめる:(木の枝を)「曲げる」の意。
  • ん:「~してみなよ」の意。

木曽地域

地理的・歴史的に(かつて美濃国恵那郡の一部であったことや、尾張藩領地であったことから)東海地方(名古屋弁美濃弁飛騨弁)の要素が濃い。場合によってはアクセントの遅上がりに注意。

  • んね:「いいえ」の意。
  • い:「切ない」の意。
  • おん:「おまえ」「あなた」の意。(「お主」が変化したもの)
  • :「におい」の意。
  • す:「返す」の意。
  • いべ:「今宵」「今晩」の意。
  • ござらっしゃる:「いらっしゃる」の意。
  • さない/さねえ:「大丈夫だ」「問題ない」の意。
  • んねに:「ゆっくりと」の意。
  • うましい:「やかましい」の意。
  • ぼ:「馬鹿」の意。
  • ろくさい:「愚鈍だ」の意。
  • い:「情けない」の意。
  • ける:「土砂崩れを起こす」の意。
  • っとめ/やっとかめ:「ひさしぶり」の意。

音韻とアクセント

母音の特徴

  • 母音の音素数は一部の地域を除いて[a],[e],[i],[o],[ɯ]の5つである。奥信濃方言では[ɯ]中舌母音化して[ɯ̈]となるが、[i]の中舌母音化はない。また奥信濃方言では越後方言(魚沼地方)に見られるような[ɛ],[ɔ]があり計7つとなる。例:用事→[jo:dʒi]/楊枝[jɔ:dʒi]、姪→[me:]/前[mɛ:]
  • 奥信濃方言、北信方言では「子音+ユ」の音声が「子音+ヨ」になる傾向がある。例:巡査→[zjonsa]
    また東信方言では同様の音声が「子音+イ」になる傾向がある。例:巡査→[zinsa]
  • 奥信濃方言、北信方言、東信方言では「イ」と「エ」の混同があり、特に語頭において顕著である。但し奥信濃方言の[ɛ]は[i]と混同しない。
    • 奥信濃方言、北信方言では語頭の「イ」と「エ」は音韻対立を欠き、後者に同調する傾向がある。例:隠居→[enkjo]
    • 東信方言では語頭の「イ」と「エ」は音韻対立を保ちながら、両者が混同される傾向がある。例:益虫→[ikitʃɯ:]
  • 連母音[ai][ae]は長野県下の多くの地域で融合して[e:]になる。南信方言では地域によって[e:]、[ja:]、[æ]になる。但し木曽地方や下伊那地方のそれぞれ岐阜県境では融合が起きずにそのまま残る。連母音[oi]も同様に多くの地域で[e:]になる。また[e]は木曽地方の大半で[je]になる[8]
  • 長野県下の大半がモーラ方言性を帯びるが、奥信濃の秋山郷と木曽開田高原にはシラビーム方言性があるといわれる。

子音の特徴

  • 助詞「を」を文字通り「ヲ[wo]」と発音し、「オ[o]」とは明確に区別される。
  • 秋山郷には上記7母音のみならず、子音にも特異な音韻が存在する。
  • 長野県下の大半では、ガ行」が鼻濁音[ŋ]になる傾向があるが(「が行」が語頭に来た場合のみ破裂音)、奥信濃方言や東信方言の一部(群馬県境)では破裂音[g]のみとなる。
  • 奥信濃方言や北信方言の一部(下水内・下高井)、中信方言の一部(安曇)では、語中に来る「カ行」が有声化(濁音化)して「ガ行」になる語が見られる。例:堰→[seŋi]
  • 奥信濃方言、北信方言では、末尾が撥音の名詞に助詞「は」「を」及び鼻濁音の「が」が接続すると連声する傾向がある。但し奥信濃方言の破裂音の「が」は連声しない。例:本は→[hoɴna] 本を→[hoɴno] 参照:連声
  • 奥信濃方言、北信方言を中心に、かつては「カ[ka]」と合拗音の「クヮ[kwa]」の区別もあったが、現在では「カ」に統一されつつある。
    例:家事→[kadʒi]/火事→[kwadʒi]、河岸→[kaʃi]/菓子→[kwaʃi] 参照:字音仮名遣#日本語で「同音」になっている漢字、熟語の例
  • 東信方言の一部(北佐久)においては、「ヒ」と「シ」、「ヒャ」と「シャ」、「ヒュ」と「シュ」、「ヒョ」と「ショ」の音韻対立を欠き、いずれも後者に同調する傾向がある。例:東→[ʃiŋaʃi]、百→[ʃakɯ]

アクセントの特徴

  • アクセント体系は、全県が東京式アクセント(乙種アクセント、第2種アクセント)に属し、その中の大半は中輪型東京式に分類されるが、北信地方と南信地方最南端部に於いては外輪型東京式となる(金田一春彦、1977年)。
  • 自立語単独のアクセントは語彙と共に静岡県・山梨県のものに近似し、共通語ともさほど乖離は大きくないとされる[16]
  • 附属語の中には自立語に接続することで、自立語のアクセントを平板型から起伏型に、或いは平板型から起伏型に変化させるものが多々ある。しかし長野県方言は共通語よりもこの影響を受けにくく、両者のアクセントの結合度が共通語と比べるとかなり弱いため(附属語の式が異なるため[17])、特に東信方言以外では共通語や他県の方言との乖離が大きくなる。
    例:助詞「のに」→共通語では下接式/長野県(東信以外)では独立式 助詞「たがる」→共通語では支配式/長野県(東信以外)では声調式
  • 若年層では言語形成期におけるテレビ放送の音声の影響が大きく、伝統的なアクセントを喪失しつつある[18]。一方で若年層の間に、本来は存在しなかった新たなアクセントが生まれ、共通語化の流れに逆行する現象もわずかながら散見される[1]。例:「2月」、「4月」、「熊」の尾高型から頭高型への変化。
  • 長野県下の大半では、1拍目と2拍目はどのアクセント類型でも必ずピッチの高低が違うが、木曽谷では主に3拍以上の名詞の尾高型や平板型のものに、ギア方言に見られるような、1拍目と2拍目以降がともに低ピッチのままで、ピッチの上昇が3拍目以降にずれ込む「遅上がり」現象が見られる。例:友達が(ともだちが, ともだち)、頭が(あたが)
  • 南信地方最南端部の静岡・愛知県境から静岡県奥遠州地方・愛知県奥三河地方にかけては、3拍以上の名詞では尾高型アクセントが全般的に欠落しており、頭高型・中高型・平板型の3類型のみとなる。3拍名詞では、共通語で尾高型に発音されるものは中高型に発音されることが多い[19][20]。また、4拍名詞では、共通語でかつて尾高型に発音されていたものは2拍目にアクセント核を置く中高型に発音されることが多い[1]
    ただし、3拍名詞では2拍目が撥音・促音の場合のみ尾高型になる。例:尻尾(し)、女(お
  • 中信方言では、疑問文の文末イントネーションが、語頭に疑問詞を置く場合(WH疑問文)は下降調に、置かない場合(Yes/No疑問文)は上昇調になる[21]。共通語ではどちらも上昇調になる。例:何が欲しい?(下降調)、なんか欲しい?(上昇調)

音韻の特徴がアクセントに及ぼす影響

  • 奥信濃、北信、東信の各方言や、中信方言の一部(北安曇北部)においては、無声子音に「[i]母音」や「[ɯ]母音」がつく場合など、特定の条件下で母音が無声化する現象が起こるが、中信方言の大半や南信方言においてはそれがみられない。そのため前者(こちらは共通語に同じ)と後者で名詞や動詞のアクセントの位置が異なることがある。
    例:機械(無声化あり→[ki ̥kai]/無声化なし→かい[kikai])、不必要(無声化あり→ふよう [ɸɯçi̥ʦɯyo:]/無声化なし→ふつよう [ɸɯçiʦɯyo:]
    新しさ(無声化あり→あたら[ataraʃi ̥sa])/無声化なし→あたらし[ataraʃisa])、来た時(無声化あり→とき [ki ̥tatoki]/無声化なし→たとき [kitatoki]
  • 共通語は撥音にアクセント核を置くことを回避するが、長野県方言は回避しない。 例:本屋(ほ[hoɴja] /ɴ/ 共通語:んや)
  • 連母音にアクセント核が置かれる場合、共通語においては前部拍に置かれるが、長野県方言においては後部拍に置かれる。そのため、主に以下の場合で共通語アクセントとの間に差がでる。
    • 「ウ」で終わる中高型動詞からの転成名詞で連母音を持つもの 例:思い(お [omoi] /oi/ 共通語:おい)
    • 平板型の用言を尾高型に変化させる性質のある助詞や助動詞が接続する場合 例:軽いぞ(かるい[karɯidzo] /ui/ 共通語:かいぞ)
      • さらにこの法則により、共通語において頭高型で発音する動詞が中高型になることがあるが、この点は上記と違い長野県下でも地域差が出る。
        例:参った(まった [maitta] /ai/ 共通語:いった)、帰った(かった [kaetta] /ae/ 共通語:えった)

自立語のアクセントの相違

  • 長野県下の対比、あるいは共通語との対比において、アクセントのパターンが異なるものは多いが、逐語的な列挙では膨大な数にのぼる上に地域差が大きいので、品詞や類別語彙ごとに特徴のあるものを取り上げる。参照:類 (アクセント)
  • 特筆しない限り、共通語化が進む以前の伝統的なアクセントの傾向を載せる[1]。地域は方言区画のもの。
品詞 共通語 共通語と相違のある長野県のアクセント
アクセント アクセント 該当する地域 用例
名詞 2 2 尾高型が優勢 平板型が優勢※1 奥信濃、北信
南信の一部(最南端部
石(い
3 3 (1)頭高型と(2)平板型が拮抗 (1)(2)とも中高型が優勢 東信、中信
南信の大半(最南端部を除く
(1) 鮑(あび)
(2) 小麦(こぎ)
4 尾高型が優勢 尾高型を欠くため
中高型が優勢
南信の一部(最南端部 男(おこ)
5 頭高型が優勢 中高型が優勢 東信、中信
南信の大半(最南端部を除く
涙(なだ)
6,7 平板型が優勢 頭高型が優勢 奥信濃方言と、以下の山間地
北信の一部(西山
中信の一部(北安曇北部
南信の一部(木曽北西部
兎(さぎ,6類)
芥子(らし,7類)
4 A,B 本来A型(尾高型)だった語は
B型(3拍目にアクセント核を置く中高型)に移行している[22][23]
依然としてA型が優勢[24] 以下の地域を除く
奥信濃
北信の一部(新潟県境
南信の一部(最南端部
年寄り
(A型:としよ
(B型:としより)
動詞 3 2(B群) 中高型 頭高型 北信の一部(西山
中信の一部(安曇
出来る(きる)
4 2(B群) 3拍目にアクセント核を置く中高型 2拍目にアクセント核を置く中高型 北信の一部(下水内
中信の一部(安曇・筑摩
南信の一部(静岡県境
答える(こえる)
複合動詞 起伏型+起伏型
起伏型+平板型
平板型 (1)頭高型 中信、南信 逃げ出す(げだす)
(2)3拍目にアクセント核を置く中高型 全県的に若年層に多い 逃げ出す(にげだす)
形容詞 3,4 1 平板型 起伏型 南信の一部
木曽南部・西部の岐阜県境
赤い(あい)
明るい(あかるい)

※1外輪型東京式アクセントの特徴とされる。

長野県下には中輪型と外輪型が分布している。

2拍名詞第2類の比較表

2拍名詞
第2類
外輪型 中輪型 外輪型
秋山郷 飯山 長野 佐久 松本 飯田 南木曽 天龍
※1
※2
※3
※4
※5

※1 「旅」、「冬」、「町」も県下全域で尾高型。
※2 「旗」、「村」も同様の分布を示す。
※3 「胸」、「橋」も同様の分布を示す。
※4 「肘」、「音」、「弦」も同様の分布を示す。
※5 「人」も同様の分布を示す。

疑問詞の比較表

疑問詞 長野 佐久 松本 飯田
代名詞 幾つ※1 くつ くつ
どれ
幾ら※2 くら くら
連体詞 どの
どんな んな んな
副詞 何時※3

※1「何」も同様の分布を示す。
※2「誰」、「何処」も同様の分布を示す。
※3「何故」も同様の分布を示す。

附属語のアクセントの相違

  • 概して、共通語の用言のアクセントを平板型から起伏型(主に尾高型、特殊拍回避により中高型も)に変化させ、自らはアクセント核を持たない助詞や助動詞が(下接式アクセント)、長野県方言では用言がそのまま平板型アクセントを保ち、助詞や助動詞にアクセント核が移る(独立式アクセント)というパターンが多い[1]
  • 対照的に、共通語の体言のアクセントを起伏型から平板型に変化させ、自らアクセント核を持つ助詞や助動詞が(支配式アクセント)、長野県方言では体言がそのまま起伏型アクセントを保ち、アクセント核が助詞や助動詞へ移らない(従接式アクセント)というパターンもある[1]
  • 平板型動詞に接続した場合の補助動詞「いる」の活用形は、短縮形になると共通語のアクセントが平板型から起伏型に変化するが、長野県方言においては平板型のまま変化しない。
附属語 共通語 共通語と相違のある長野県のアクセント
アクセント アクセント 該当する地域 用例
起伏型動詞
+助動詞「ない」
「な」の直前まで高い
(声調式)
語幹から「な」にアクセント
(声調式)
東信以外の全域 帰らない(かえらない)
起伏型動詞
+助動詞「せる・させる」
語幹から「せ」にアクセント
(声調式)
「せ」の直前まで高い
(声調式)
中信の一部
安曇・筑摩
持たせる(もせる)
見させる(みせる)
起伏型動詞
+助動詞「れる・られる」
語幹から「れ」にアクセント
(声調式)
「れ」の直前まで高い
(声調式)
中信の一部
安曇・筑摩
持たれる(もれる)
帰られる(かえられる)
平板型動詞
+助詞「て」
+補助動詞「た(いたの短縮形)」※1
語幹から「て」にアクセント
(下接式)
平板型
(独立式)
全域 買ってた(かってた
平板型動詞
+助詞「て」
+補助動詞「て(いての短縮形)」※1
語幹から最初の「て」にアクセント
(下接式)
全域 買ってて(かってて
平板型動詞
+助詞「て」
+補助動詞「ない(いないの短縮形)」※1
語幹から「な」にアクセント
(独立式)
全域 買ってない(かってない
平板型動詞
+助詞「ながら」
平板型
(声調式)
語幹から「な」にアクセント※3
(支配式)
東信 買いながら(かいながら)
平板型動詞
+助詞「たい」
平板型
(声調式)
語幹から「た」にアクセント※3
(支配式)
東信 買いたい(かいたい)
平板型動詞
+助詞「に」
平板型
(独立式)
「に」の直前まで高い
(下接式)
全域 買いに(かに)
平板型動詞
+助詞「て」
+助動詞「おく」
平板型
(独立式)
語幹から「お」にアクセント
(独立式)
全域 買っておく(かっておく)
平板型動詞
+助詞「て」
+助動詞「しまう」「ちゃう(融合形)」
平板型
(独立式)
語幹から「ま」にアクセント
(融合形は「ちゃ」にアクセント)
(独立式)
全域 買ってしまう(かってしまう)、
買っちゃう(かっちゃう)
平板型動詞
+助詞「な(禁止)」※2
「な」の直前まで高い
(下接式)
平板型
(独立式)
奥信濃、北信
南信の一部
上伊那南部・下伊那
買うな(かうな
平板型動詞
+助動詞「たがる」
語幹から「が」にアクセント
(支配式)
平板型※4
(声調式)
東信以外の全域 買いたがる(かいたがる
平板型動詞
+助詞「まい(決意)」
語幹から「ま」にアクセント
(支配式)
平板型※4
(声調式)
東信以外の全域 買うまい(かうまい
平板型動詞
+助詞「から」※2
アクセント核は「か」より前※6
(下接式)
語幹から「か」まで高い
(独立式)
奥信濃、北信 赤いから(あかいから)
動詞
+助動詞「ます」「ました」
語幹から「ま」にアクセント
(支配式)
平板型
(支配式)
中信 帰ります(かえります
買いました(かいました
平板型形容詞
+活用語尾「く」
+助詞「ても」※2
「く」の直前まで高い
(下接式)
語幹から「く」にアクセント
(下接式)
東信以外の全域 赤くても(あかくても)
平板型形容詞
+活用語尾「かっ」
+助動詞「た」
「か」の直前まで高い※7
(下接式)
(1)語幹から「か」にアクセント
(下接式)
東信、南信
中信の一部
諏訪・上伊那北部
赤かった(あかかった)
(2)平板型
(独立式)
奥信濃、北信 赤かった(あかかった
平板型形容詞
+助詞「ければ」※2
「け」の直前まで高い※7
(下接式)
語幹から「け」にアクセント
(独立式)
東信以外の全域 赤ければ(あかければ)
平板型形容詞
+助詞「です」※2
アクセント核は「で」より前※6
(下接式)
語幹から「で」にアクセント※5
(独立式)
東信以外の全域 赤いです(あかいです)
平板型形容詞
+助詞「か」「かな」※2
アクセント核は「か」より前※6
(下接式)
平板型※5
(独立式)
奥信濃、北信 赤いかな(あかいかな
平板型形容詞
+助詞「さ」※2
アクセント核は「さ」より前※6
(下接式)
平板型※5
(独立式)
奥信濃、北信 赤いさ(あかいさ
平板型名詞・動詞
+助詞「まで」
語幹から「ま」にアクセント
(独立式)
尾高型[25]
(独立式)
奥信濃
北信
更級・埴科を除く
中信
安曇・筑摩
それまで(それま
買うまで(かうま
平板型用言
+助詞「けれど」※2
アクセント核は「け」より前※6
(下接式)
語幹から「け」にアクセント
(独立式)
東信以外の全域 買うけれど(かうけれど)
赤いけれど(あかいけれど)
平板型用言
+助詞「かい」※2
「か」の直前まで高い
(下接式)
語幹から「か」にアクセント※5
(独立式)
奥信濃、北信 買うかい(かうかい)
赤いかい(あかいかい)
平板型用言
+助詞「やら」※2
アクセント核は「や」より前※6
(下接式)
語幹から「や」にアクセント※5
(独立式)
奥信濃、北信 買うやら(かうやら)
赤いやら(あかいやら)
平板型用言
+助詞「のに」「ので」※2
アクセント核は「の」より前※6
(下接式)
語幹から「の」にアクセント
(独立式)
東信以外の全域 買うのに(かうのに)
赤いので(あかいので)
平板型用言
+助動詞「そうだ(伝聞)」
語幹から「そ」にアクセント
(独立式)
平板型
(独立式)
東信以外の全域 買うそうだ(かうそうだ
赤いそうだ(あかいそうだ
平板型体言・用言
+助動詞「らしい」
語幹から「し」にアクセント
(支配式)
平板型※4
(声調式)
奥信濃、北信 それらしい(それらしい
赤いらしい(あかいらしい
買うらしい(かうらしい
起伏型体言
+助詞「だけ」※8
語幹から「け」にアクセント
(支配式)
体言のアクセントを準用
(従接式)
全域 ちょっとだけ(ちょっとだけ)
起伏型体言
+助詞「ばかり」※8
語幹から「ば」にアクセント
(支配式)
全域 ちょっとだけ(ちょっとばかり)
起伏型体言
+助詞「どころか」※8
語幹から「ど」にアクセント
(支配式)
全域 ちょっとどころか(ちょっとどころか)

※1短縮形になると、共通語のアクセントが平板型から起伏型に変化する補助動詞。
※2共通語の用言のアクセントを平板型から起伏型に変化させる性質のある助詞、助動詞。
※3起伏型の場合はこちらが共通語と同じアクセントになる。
※4起伏型に接続すると共通語と同じアクセントに変化する。
※5平板型の体言ではこちらが共通語と同じアクセントになる。
※6共通語は連母音の後部拍にアクセント核を置かない。例:「あいのに」
※7共通語の母音の無声化によってアクセント核の位置が2拍前にある語彙もある。例:「かしかった」
※8共通語の体言のアクセントを起伏型から平板型に変化させる性質のある助詞、助動詞。

数詞・助数詞のアクセントの相違

  • xには任意の数字が入る。
  • 助数詞については月は12まで、それ以外は10までについて言及する。
語彙 共通語 長野県 備考
数詞 10 お、13 じゅうさん、15 じゅうご、19 じゅうく、20 じゅう 10 と、13 じゅうさん、15 じゅ、19 じゅ、20 にじゅ 「日」※1「年」※2等がついた場合もこれに準じる
15秒 じゅうごびょう、20秒 じゅうびょう、30秒 んじゅうびょう 15秒 じゅうごびょう、20秒 にじゅうびょう、30秒 さんじゅうびょう 「15」「20」「30」に続く数詞は共通語で頭高になるものが多い。
x億 xおく(アクセント核は「お」より前) x億 x
二三日 さんにち、四五日 ごにち、四十九日 しじゅうくにち、二百十日 にひゃくとおか、二百二十日 にひゃくはつか 二三日 にんにち、四五日 しにち、四十九日 しじゅうくにち、二百十日 にひゃくとおか、二百二十日 にひゃくはつか 「10日(とおか)」「20日(はつか)」は共通語に同じ
2月 に、4月 し 2月 がつ、4月 がつ 主に若年層のみ、中高年層は概ね共通語に同じ。
時間
(単位)
x時間 xかん x時間 xじかん
1匹 いっぴ、6匹 ろっぴ
8匹 はっぴ、10匹 じゅっぴ
1匹 っぴき、6匹 っぴき
8匹 っぴき、10匹 じゅっぴき
「曲」、「足(そく)」、「冊」、「拍」、「泊」、「隻」等もこれに準じる※4
5台 ごだい、9台 くだい 5台 だい、 9台 だい 「艘(そう)」、「代」、「題」、「杯」、「本」、「枚」、「問」等もこれに準じる※3
3番 さんばん、5番 ごばん 3番 んばん、5番 ばん 「段」もこれに準じる※3
4巻 んかん、7巻 なかん
9巻 きゅうかん
4巻 よんかん、7巻 ななか
9巻 きゅうか
「点」もこれに準じる
2円 にえん、3円 さんえん
6円 ろくえん、8円 はちえん
2円 えん、3円 んえん
6円 ろえん、8円 はえん
3人 さんにん、4人 よ
5人 ごん、9人 く
3人 さんにん、4人 よにん
5人 ごにん、9人 くにん
名詞的用法では共通語と異なる※4
次男 なん 次男 じ 共通語では「次男」のみ「な」にアクセント核を置いてはならないが
「長男」と「三男以降」は許容される。
x回 x
但し4回、7回、9回のアクセント核は「か」より前
x回 x 名詞的用法では共通語と異なる※4
x通 x
但し4通、7通、9通のアクセント核は「つ」より前
x通 xつう(アクセント核は「つ」より前) 「4通」「7通」「9通」のみ共通語に同じ※4
x班 xは(ぱ)ん(頭高)
但し7班、8班のアクセント核は「は(ぱ)」の直前
x班 xは(ぱ) 「犯」、「版」もこれに準じる
x畳 xじょ x畳 xじょう(アクセント核は「じょ」より前) 「合(ごう)」、「銭(せん)」もこれに準じる※4

※1「10日(とおか)」は平板。「14(じゅうよん)」は頭高ではないが、「14日(じゅうよっか)」は頭高になる。
※2「13年(じゅうさんねん)」は頭高にならない。
※3「5()」「9()」は共通語の伝統的アクセントにおいてはアクセント核を持たない「ご」「く」であったとされる。[26]
※4たいていの場合、副詞的用法では平板になる。(「畳」を除く)

地名のアクセントの相違

  • ○○郡、○○市、○○町は固有地名の末尾にアクセント核を置く中高型、○○村は原則として平板型となる(例外あり)。
  • 以下の項では「郡」「市」「町」「村」がつかない固有地名について長野県下で用いられているアクセントを記す。廃止された郡及び市町村は省略する。

「長野」のアクセント

県名ならびに市名の「長野」のアクセントについては、平板型(ながの:0型)、頭高型(がの:1型)、中高型(なの:2型)、尾高型(な:3型)の4類型がある。共通語アクセントは1型(古くは3型)であり[26]、長野県下でも共通語に合わせる傾向が見られる。

長野県下におけるアクセント分布[1]
  • 上下水内・上下高井地域 - 1型、0型
  • 上小・更級・埴科・北佐久地域 - 2型
  • 南佐久地域 - 2型、3型
  • 北安曇地域 - 0型、2型
  • 南安曇・東筑摩地域 - 2型、3型
  • 諏訪地域 - 2型
  • 上伊那地域 - 3型
  • 下伊那地域 - 2型、3型
  • 木曽地域 - 2型

1998年の長野オリンピックの際も「長野」の言い方が一部マスコミで話題になり、あるスポーツ新聞の調査では「地元でも(頭高型と平板型が)半々で使われている」という報道があった。地元民が頭高型の「長野」を使う場合は、近隣市の「中野市」を「中野」と言うときと紛らわくないように使う場面が多い。このように地名に関しては、地元の言葉と共通語との違いが多々見受けられる。

平板型

多くの場合、高齢者層を中心にして尾高型に発音される傾向もある。

  • 青木(あおき)村
  • 飯島(いいじま)町
  • 飯田(いいだ)市
  • 飯綱(いいづな)町
  • 池田(いけだ)町
  • 上田(うえだ)市
  • 売木(うるぎ)村
  • 王滝(おうたき)村
  • 大桑(おおくわ)村
  • 大鹿(おおしか)村
  • 小川(おがわ)村
  • 麻績(おみ)村
  • 川上(かわかみ)村
  • 駒ヶ根(こまがね)市
  • 小諸(こもろ)市
  • 佐久穂(さくほ)町
  • 喬木(たかぎ)村
  • 辰野(たつの)町
  • 筑北(ちくほく)村
  • 豊丘(とよおか)村
  • 中野(なかの)市
  • 南木曽(なぎそ)町
  • 根羽(ねば)村
  • 原(はら)村
  • 平谷(ひらや)村
  • 松本(まつもと)市
  • 宮田(みやだ)村
  • 泰阜(やすおか)村
例外あり
  • 小布施(おぶせ)町
  • 栄(さかえ)村
  • 茅野(ちの)市
  • 長和(ながわ)町
  • 御代田(みよた)町
上記5町村は頭高型も聞かれる。
  • 北佐久(きたさく)郡
  • 下條(しもじょう)村
  • 高山(たかやま)村
  • 埴科(はにしな)郡
上記4郡町村は2拍目にアクセント核を置く中高型も聞かれる。
  • 安曇野(あづみの)市
3拍目にアクセント核を置く中高型も聞かれる。
  • 岡谷(おかや)市
共通語は頭高型のみ[27]
  • 軽井沢(かるいざわ)町
共通語は2拍目または3拍目にアクセント核を置く中高型[27]。古くは「かるいさわ」と発音され、地元住民は現在もそのように呼称する。
  • 塩尻(しおじり)市
共通語は2拍目にアクセント核を置く中高型も認めている[27]
  • 長野(ながの)市、県
尾高型や中高型も聞かれる。共通語は頭高型のみ[27]

尾高型

  • 木祖(きそ)村
例外あり
  • 伊那(いな)市
共通語は頭高型と平板型[27]
  • 木曽(きそ)町、郡
共通語は平板型も認めている[27]
  • 佐久(さく)市
共通語は頭高型と平板型[27]
  • 信濃(しなの)町、令制国名
共通語は頭高型も認めている[27]
  • 諏訪(すわ)市、郡
共通語は頭高型も認めている[27]

頭高型

  • 阿智(あち)村
  • 生坂(いくさか)村
  • 大町(おおまち)市
  • 坂城(さかき)町
  • 須坂(すざか)市
  • 天龍(てんりゅう)村
  • 東御(とうみ)市
  • 白馬(はくば)村
例外あり
  • 小谷(おたり)村
  • 千曲(ちくま)市
上記2市町村は平板型も聞かれる。
  • 阿南(あなん)町 ※県下で唯一「ちょう」と読む
「町」がつく場合は2拍目にアクセント核を置く中高型になる。
  • 飯山(いいやま)市
共通語は平板型のみ[27]
  • 小海(こうみ)町
共通語は平板型も認めいてる[27]
  • 富士見(ふじみ)町
共通語は平板型と尾高型のみ[27]

中高型

原則として3~4拍語地名は2拍目、5拍語地名は3拍目、6~7拍語地名は4拍目にアクセント核を置く。

  • 上松(あげまつ)町
  • 上伊那(かみいな)郡
  • 上高井(かみたかい)郡
  • 上水内(かみみのち)郡
  • 木島平(きじまだいら)村
  • 北相木(きたあいき)村
  • 北安曇(きたあづみ)郡
  • 下伊那(しもいな)郡
  • 下高井(しもたかい)郡
  • 下水内(しもみのち)郡
  • 高森(たかもり)町
  • 小県(ちいさがた)郡
  • 中川(なかがわ)村
  • 野沢温泉(のざわおんせん)村
  • 東筑摩(ひがしちくま)郡
  • 松川(まつかわ)町、村
  • 南相木(みなみあいき)村
  • 南佐久(みなみさく)郡
  • 南牧(みなみまき)村
  • 南箕輪(みなみみのわ)村
  • 箕輪(みのわ)町
  • 山形(やまがた)村
  • 山ノ内(やまのうち)町
例外あり
  • 朝日(あさひ)村
一般名詞としての共通語は頭高型のみ[27]
  • 下諏訪(しもすわ)町
共通語は平板型のみ[27]
  • 立科(たてしな)町
共通語は平板型も認めている[27]

村のアクセントの例外

  • 一部の村に於いては「村」がつく場合であっても平板型にはならずに、その直前にアクセント核を置くものも聞かれる。(「○○○○町」と言う時のようなアクセントになる) 例:栄村(さかえむら)、山形村(やまがたむら)等。

信州弁を話す著名人

長野県方言が作中で使われた作品一覧

関連項目

  1. ^ a b c d e f g h i j k 「長野県史 方言編」 アクセント調査は1974年から1978年
  2. ^ 沖裕子(1995年)『変容する日本の方言』「気づかれにくい方言の隆盛と俚言使用の二相化」
  3. ^ 牛山初男(1952年)『国語学』「語法より見たる東西方言の境界線について」
  4. ^ a b 『講座方言学6中部地方の方言』86頁。
  5. ^ a b 都竹通年雄「文法概説」(飯豊毅一・日野資純・佐藤亮一編『講座方言学 1 方言概説』国書刊行会、1986年)
  6. ^ a b 平山輝男(1992年)『現代日本語方言大辞典 第1巻』
  7. ^ 足立惣蔵(1978年)『信州方言辞典』
  8. ^ a b c 国立国語研究所『日本のふるさとことば集成8 長野・山梨・静岡』
  9. ^ 『講座方言学 6 中部地方の方言』22頁
  10. ^ [全国方言文法地図 http://www2.ninjal.ac.jp/hogen/dp/gaj-pdf/gaj-pdf_index.html]
  11. ^ a b c 馬瀬良雄(2003年)『信州のことば』
  12. ^ a b 馬瀬良雄(2010年)『長野県方言辞典』
  13. ^ 『佐久市志 民俗編下巻』
  14. ^ 国立国語研究所(1975年)「日本言語地図6」
  15. ^ 矢島満美、福沢武一(1974年)『木曽の方言』
  16. ^ 金田一春彦(1943年5月)、『音声学協会会報72~75号』「静岡・山梨・長野縣下のアクセント」 『日本列島方言叢書8』に再録。
  17. ^ 田中宣廣(2005年)『付属語アクセントからみた日本語アクセントの構造』。附属語のアクセントの式は全部で6つあり、
    東京式(乙種)アクセントに直接関係するものは、従接式、声調式、独立式、下接式、支配式の5つである。
  18. ^ 馬瀬良雄(1981年)『国語学』「言語形成に及ぼすテレビおよび都市の言語の影響」
  19. ^ 『南信濃天龍村大河内の民俗』
  20. ^ 山口幸洋(1972年)『豊橋地方の方言』「奥三河の特徴的アクセント」
  21. ^ 木部暢子ほか(2013年)『方言学入門』
  22. ^ 三宅武郎(1943年)『国語文化』「標準アクセントの一問題」
  23. ^ 満田新一郎(1951年)『国語アクセント論叢』「いわゆるA型B型アクセントはどうなったか」
  24. ^ 『上伊那誌 民俗篇下巻』によれば、1960年生まれ以降では全県的にB型化が進んでいる。
  25. ^ 「長野県史 方言編」(馬瀬)には平板型とあるが、実際の発音は尾高型。
  26. ^ a b NHK出版「NHK日本語発音アクセント辞典 改訂新版」
  27. ^ a b c d e f g h i j k l m n o 「日本国語大辞典 第2版」

参考文献

  • 『信毎年鑑 1953年度版』「長野県方言集」(信濃毎日新聞社、1952年発行 ISBN なし)
  • 『ふたつのアクセント 長野県のことばと共通語』工藤敦男 著(銀河書房、1978年発行 ISBNなし)
  • 『信州方言辞典』足立惣蔵 著(遠兵パブリコ、1978年発行 ISBNなし)
  • 『講座方言学 6 中部地方の方言』飯豊毅一日野資純佐藤亮一編(国書刊行会、1983年発行 ISBN 4-336-01977-0
  • 『長野県史 方言編』(長野県史刊行会、1992年発行 ISBNなし) - 長野県下各地の伝統的な語彙、音韻、アクセント(地域別・世代別)を掲載。
  • 『言語地理学研究』馬瀬良雄 編(桜楓社、1992年発行 ISBN 4-273-02613-9
  • 『現代日本語方言大辞典』全9巻 平山輝男 編 (明治書院、1992年-1994年)
  • 『NHK日本語発音アクセント辞典 改訂新版』NHK放送文化研究所 編(NHK出版、1992年発行 ISBN 4-14-011040-6) - 共通語のアクセントはこの書籍に依った。
  • 『日本列島方言叢書8』(ゆまに書房、1996年発行 ISBN 4-89668-829-5
  • 『新明解日本語アクセント辞典』金田一春彦監修(三省堂、2001年発行 ISBN 4-385-13670-X
  • 『信州のことば』馬瀬良雄 編(信濃毎日新聞社、2003年発行 ISBN 4-7840-9937-9
  • 『日本国語大辞典 第2版』全13巻 日本国語大辞典第二版編集委員会 編(小学館、2001年発行) - 地名の共通語アクセントはこの書籍に依った。
  • 『長野県方言辞典』馬瀬良雄 編(信濃毎日新聞社、2010年発行 ISBN 978-4-7840-7126-5