「ゴスペル (音楽)」の版間の差分
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教会、礼拝 ([[:en:Christian worship|Christian worship]]) に関連した場所・イベントのみで演奏した[[マヘリア・ジャクソン]]<ref>アポロからコロンビアへ移籍して魅力がなくなったとの説も。貪欲な事業家としても知られ、黒人の間からも批判が出た</ref>。ナイトクラブなど世俗での演奏をした[[ゴールデン・ゲート・カルテット]]、[[クララ・ワード]]など活動形態は様々だった。ゴスペル・カルテットは、Fisk Jubilee Singersの初期の成功に続いて、アカペラスタイルを発展させた。1930年代には、フェアフィールド・フォー、ディキシー・ハミングバーズ、ミシシッピのファイブブラインドボーイズ、アラバマのファイブ・ブラインド・ボーイズ、ソウルスターラーズ、スワン・シルバートーンズ、そしてゴールデンゲート・カルテットが登場した。[[センセーショナル・ナイチンゲイルズ]]で活躍した[[ジュリアス・チークス]]は、その激情型の歌唱スタイルにより「'''最初のソウル・シンガー'''」と呼ばれた。ウィルソン・ピケット、ジェームス・ブラウン、デヴィッド・ラフィン、ジェームズ・カー、オーティス・クレイらは、ジュリアス・チークスに影響を受けたソウル歌手の例である。 |
教会、礼拝 ([[:en:Christian worship|Christian worship]]) に関連した場所・イベントのみで演奏した[[マヘリア・ジャクソン]]<ref>アポロからコロンビアへ移籍して魅力がなくなったとの説も。貪欲な事業家としても知られ、黒人の間からも批判が出た</ref>。ナイトクラブなど世俗での演奏をした[[ゴールデン・ゲート・カルテット]]、[[クララ・ワード]]など活動形態は様々だった。ゴスペル・カルテットは、Fisk Jubilee Singersの初期の成功に続いて、アカペラスタイルを発展させた。1930年代には、フェアフィールド・フォー、ディキシー・ハミングバーズ、ミシシッピのファイブブラインドボーイズ、アラバマのファイブ・ブラインド・ボーイズ、ソウルスターラーズ、スワン・シルバートーンズ、そしてゴールデンゲート・カルテットが登場した。[[センセーショナル・ナイチンゲイルズ]]で活躍した[[ジュリアス・チークス]]は、その激情型の歌唱スタイルにより「'''最初のソウル・シンガー'''」と呼ばれた。ウィルソン・ピケット、ジェームス・ブラウン、デヴィッド・ラフィン、ジェームズ・カー、オーティス・クレイらは、ジュリアス・チークスに影響を受けたソウル歌手の例である。 |
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これらの知名度の高いカルテットに加えて、1920年代から30年代にかけて多くの黒いゴスペルミュージシャンが演奏を行い、ふだんは南部の街の通りでギターを弾いたり歌ったりしていた。その中で有名なのは、Blind Willie Johnson、Blind Joe Taggartなどである。 |
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アメリカ合衆国の当時のポップ・ミュージックであった[[リズム・アンド・ブルース]]に影響を受けたゴスペル・グループは、当時充分な楽器を備え付けられなかった黒人教会の状況も手伝って、[[アカペラ]]という形態のゴスペルを広めた(尚、1980年代後半から1990年頃の日本のアカペラブームの際に、当時アメリカでは既に古いものとなっていたアカペラゴスペルが多く輸入されたため、未だにゴスペルという言葉とアカペラと言う言葉が混同されるケースが多く見られる)。後にゴスペル出身の[[サム・クック]]<ref>ソウル・スターラーズ出身だった</ref>、[[レイ・チャールズ]]、[[ジェームス・ブラウン]]、ジョニー・テイラーらは、ゴスペルから世俗音楽へ転向し、[[ソウル・ミュージック]]いう新しいジャンルを開拓した。この聖から俗へというゴスペルの流れは、少なからず教会の反感を買った。 |
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1930年代、シカゴでは、1920年代に「ジョージア・トム」という名前で世俗的なブルース音楽を書いて演奏してきたトーマス・A・ドーシー(作曲「プレシャス・ロード、テイク・マイ・ハンド」の作曲で知られる)がゴスペル音楽に転向し出版社を設立した。彼は妊娠中の妻と子の死を含め、彼の人生で多くの試練を経験した。トーマスはバプテストの牧師であった彼の父から聖書の知識を得て、そして彼の母親によってピアノを弾くようにすすめられた。家族がアトランタに引っ越したとき、彼はブルースのミュージシャンと仕事を始めた。ドーシーはタンパ・レッドとも仕事をしたことがある。1930年は近代的なゴスペル音楽が始まった年であるとも言われてきた。なぜなら、全国バプテスト協議会が1930年の会議で初めて公に音楽を承認したからである。ドーシーはゴスペル音楽を広める責任があった。アメリカ合衆国の当時のポップ・ミュージックであった[[リズム・アンド・ブルース]]に影響を受けたゴスペル・グループは、当時充分な楽器を備え付けられなかった黒人教会の状況も手伝って、[[アカペラ]]という形態のゴスペルを広めた。後にゴスペル出身の[[サム・クック]]<ref>ソウル・スターラーズ出身だった</ref>、[[レイ・チャールズ]]、[[ジェームス・ブラウン]]、ジョニー・テイラーらは、ゴスペルから世俗音楽へ転向し、[[ソウル・ミュージック]]いう新しいジャンルを開拓した。この聖から俗へというゴスペルの流れは、少なからず教会の反感を買った。 |
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ソウル・シンガーとして知られる[[アレサ・フランクリン]]、[[ウィルソン・ピケット]]、サム&デイヴなどは幼い頃から教会で親しんでいたゴスペルに、音楽的に大いに影響を受けたと言われる。また、[[サイモン&ガーファンクル]]の大ヒット曲「[[明日にかける橋]]」はゴスペルにインスパイアされたものであるとされ、アフリカ等ではキリスト教会に“逆輸入”されている。 |
ソウル・シンガーとして知られる[[アレサ・フランクリン]]、[[ウィルソン・ピケット]]、サム&デイヴなどは幼い頃から教会で親しんでいたゴスペルに、音楽的に大いに影響を受けたと言われる。また、[[サイモン&ガーファンクル]]の大ヒット曲「[[明日にかける橋]]」はゴスペルにインスパイアされたものであるとされ、アフリカ等ではキリスト教会に“逆輸入”されている。 |
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== 80年代以降 == |
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ゴスペル[[クワイア]](聖歌隊)と呼ばれる数人-100名以上から成る力強いコーラス隊を曲の途中(曲の最高潮部分など)から登場させるのは伝統的ゴスペルに特有の手法だが、[[ロック (音楽)|ロック]]やポップスでも使用される場合もある。 |
ゴスペル[[クワイア]](聖歌隊)と呼ばれる数人-100名以上から成る力強いコーラス隊を曲の途中(曲の最高潮部分など)から登場させるのは伝統的ゴスペルに特有の手法だが、[[ロック (音楽)|ロック]]やポップスでも使用される場合もある。 |
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90年代頃から生まれたジャンルとして、キリスト教の布教用歌詞を[[ラップ]]歌詞に乗せたゴスペル・ラップ(holy hip hop, Christian hip hop)などがある。若い[[牧師]]・説教者などが教会で説教する際、時折(通常なら説教に関連した歌のフレーズを口ずさむ所を)ラップに代用させる者もいる。 |
90年代頃から生まれたジャンルとして、キリスト教の布教用歌詞を[[ラップ]]歌詞に乗せたゴスペル・ラップ(holy hip hop, Christian hip hop)などがある。若い[[牧師]]・説教者などが教会で説教する際、時折(通常なら説教に関連した歌のフレーズを口ずさむ所を)ラップに代用させる者もいる。 |
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[[ジャズ]]、[[ブルース]]、[[リズム・アンド・ブルース]]、[[ヒップホップ]]、[[ファンク]]など、黒人音楽の多様化はそのままゴスペルの世界にも投影され、聖書をベースとしたメッセージが、これらの多様な黒人音楽スタイルにのせて歌われている。 |
[[ジャズ]]、[[ブルース]]、[[リズム・アンド・ブルース]]、[[ヒップホップ]]、[[ファンク]]など、黒人音楽の多様化はそのままゴスペルの世界にも投影され、聖書をベースとしたメッセージが、これらの多様な黒人音楽スタイルにのせて歌われている。1830年代に誕生した白人のオルターコール(Altar Call)は、20世紀には右派・保守派のビリー・グレアムによって利用された。なお、ゴスペル音楽における分類(エバンジェリスト、ジュビリー・コーラスほか)と、ワーシップ・ミュージックにおける分類は異なる。 |
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== ワーシップ・ミュージック == |
== ワーシップ・ミュージック == |
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ワーシップ・ミュージックについては[[コンテンポラリー・ワーシップ・ミュージック]]を参照。 |
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; [[プレイズ・ソング]](Praise Song)<ref>http://songsofpraise.org/songsearch.php</ref> |
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: プレイズは賛美、賞賛などの意味がある。主には礼拝の最初に置かれる。早いビートや躍動的なビートで、多くのケースではクラップ(手拍子)を伴って歌われ、礼拝の開始を華やかに盛り上げる機能を担う。一人〜数人のシンガーによってリードされ、会衆が追いかける形が一般的。クワイアーによってではなく会衆によって歌われるので、曲は単純なフレーズの繰り返しか、アフリカ系アメリカ人クリスチャンの間で良く知られた曲である。「さあ共に賛美しよう(感謝しよう、喜ぼう)」と言った内容の多い歌詞の中で、神は「彼(He)」として三人称で歌われる事が多い。代表曲には 「This Is The Day」, 「Oh Magnify The Lord」, 「Glory Glory」等がある。 |
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; ワーシップソング(Worship Song)<ref>http://www.worshipsong.com/</ref> |
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: ワーシップは礼拝、崇拝、尊敬などの意味を持つ。通常はプレイズの直後におかれるセクションで、会衆はより内向的になる。この時会衆がめいめいに手を広げたり、祈るように手を合わせたり、目を閉じたり、天を見上げたりしながら歌う姿が多く見られる。ゆったりとした曲調で、やはり単純なフレーズが繰り返される事が多い。多くのケースで神はYou, Lord, など、二人称で扱われる。代表曲は 「Thank You Lord」, 「Halleluja」 等 |
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; インスピレーショナル(Inspirational)・ミュージック |
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: 牧師による説教の直前に置かれる事が一般的で、会衆ではなくクワイアーで歌われるのは主にこのセクション。聖書の内容に基づいて他者を励ますようなメッセージを歌ったり、自分が如何にして神に救われたか等について語ったりする。 |
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; オルターコール(Altar Call) |
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: オルターコールは1980年代に生まれた。「Just as I am」という曲が有名である。キリスト教に入信していないが入信に関心のある人や、信者の中でも精神的ストレスを抱えた人を牧師が祭壇(オルター)へ呼ぶ。ここで歌われる歌の内容は、「神にすべてを捧げます」、「神よ、私はクリスチャンになりたいです」と言ったものが代表的。曲調は穏やかだが、オルターは20世紀には、右派・保守派のビリー・グレアムによって利用された。 |
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== ゴスペルを題材にした映画 == |
== ゴスペルを題材にした映画 == |
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== クリスチャン・ミュージックの歌手 == |
== クリスチャン・ミュージックの歌手 == |
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*[[本田路津子]] |
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*[[森祐理]] |
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*久米小百合([[久保田早紀]]) |
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*[[小坂忠]] |
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* オークリッジ・ボーイズ |
* オークリッジ・ボーイズ |
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* アウト・オブ・ダークネス(英国プログレ、CCM) |
* アウト・オブ・ダークネス(英国プログレ、CCM) |
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* 11.59(英国プログレ、CCM) |
* 11.59(英国プログレ、CCM) |
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*[[ストライパー]](USA) |
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== 関連項目 == |
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* [[:en:gospel rap|gospel rap]] |
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* [[:en:southern gospel|southern gospel]] |
* [[:en:southern gospel|southern gospel]] |
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* [[YOKOHAMAゴスペルフェスティバル]] |
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*[[コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック]] |
*[[コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック]] |
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*[[コンテンポラリー・ワーシップ・ミュージック]] |
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*[[現代ワーシップソングの一覧]] |
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== 脚注 == |
== 脚注 == |
2019年8月1日 (木) 04:01時点における版
ゴスペル (gospel) または福音音楽(ふくいんおんがく)は、アメリカ発祥の音楽の一ジャンル。元来はキリスト教プロテスタント系の宗教音楽。ゴスペル音楽(ゴスペルおんがく)ともいう。ゴスペルは英語で福音および福音書の意。「霊歌」(スピリチュアル、黒人霊歌)[1]は白人の教会音楽、宗教音楽/クラシック音楽と、黒人音楽の融合音楽ジャンルである。それに対してゴスペルは黒人の感情の発露やアフリカ的なシコペーションなどが特徴で、トーマス・A・ドーシーらが代表的な作曲者だった[2]
概要
奴隷としてアメリカ大陸に連行されたアフリカ人は彼ら独自の言語・宗教などをいっさい剥奪された。その苦しい状況下で、彼らのうちのある人々は、救いを与えるゴスペル(福音)と出会い、キリスト教への改宗を経て、神に彼ら独自の賛美をささげるようになった。こうしてアフリカ特有の跳躍するリズム、ブルー・ノート・スケールや口承の伝統などとヨーロッパ賛美歌などの音楽的・詩的感性が融合してスピリチュアル(黒人霊歌 negro spiritual [3]とも言う)という現在のゴスペルの基調となる音楽が生まれた。後年になってジャズやロック、ヒップホップなど様々なジャンルと結びついてその音楽性は今も進化し続けている。
キリスト教会でもこれを用いる教会と用いない教会があるが、特に青少年のための礼拝にはバンドまで繰り出して盛んに使われ、ローマ・カトリック教会でも事実上若い信者の獲得のために公認している。
なおゴスペル・ミュージックには、1930年代から黒人教会で演奏され始めたブラック・ゴスペル(一般的にはこちらを指す)と、南部州の白人クリスチャンアーティストが歌っていたホワイト・ゴスペルがある。ブラック・ゴスペルとホワイト・ゴスペル両者とも同じメソジスト賛美歌が源流であるが、黒人と白人の教会それぞれが完全に分離していた(→人種差別、ジム・クロウ法)ため、両者の音楽性もかなり異なったものになっている。21世紀では、アフロアメリカによるゴスペルを「ゴスペル」、ホワイト・ゴスペルを「コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック (CCM)」と呼ぶのが通例である。
教会、礼拝 (Christian worship) に関連した場所・イベントのみで演奏したマヘリア・ジャクソン[4]。ナイトクラブなど世俗での演奏をしたゴールデン・ゲート・カルテット、クララ・ワードなど活動形態は様々だった。ゴスペル・カルテットは、Fisk Jubilee Singersの初期の成功に続いて、アカペラスタイルを発展させた。1930年代には、フェアフィールド・フォー、ディキシー・ハミングバーズ、ミシシッピのファイブブラインドボーイズ、アラバマのファイブ・ブラインド・ボーイズ、ソウルスターラーズ、スワン・シルバートーンズ、そしてゴールデンゲート・カルテットが登場した。センセーショナル・ナイチンゲイルズで活躍したジュリアス・チークスは、その激情型の歌唱スタイルにより「最初のソウル・シンガー」と呼ばれた。ウィルソン・ピケット、ジェームス・ブラウン、デヴィッド・ラフィン、ジェームズ・カー、オーティス・クレイらは、ジュリアス・チークスに影響を受けたソウル歌手の例である。
詳細
これらの知名度の高いカルテットに加えて、1920年代から30年代にかけて多くの黒いゴスペルミュージシャンが演奏を行い、ふだんは南部の街の通りでギターを弾いたり歌ったりしていた。その中で有名なのは、Blind Willie Johnson、Blind Joe Taggartなどである。
1930年代、シカゴでは、1920年代に「ジョージア・トム」という名前で世俗的なブルース音楽を書いて演奏してきたトーマス・A・ドーシー(作曲「プレシャス・ロード、テイク・マイ・ハンド」の作曲で知られる)がゴスペル音楽に転向し出版社を設立した。彼は妊娠中の妻と子の死を含め、彼の人生で多くの試練を経験した。トーマスはバプテストの牧師であった彼の父から聖書の知識を得て、そして彼の母親によってピアノを弾くようにすすめられた。家族がアトランタに引っ越したとき、彼はブルースのミュージシャンと仕事を始めた。ドーシーはタンパ・レッドとも仕事をしたことがある。1930年は近代的なゴスペル音楽が始まった年であるとも言われてきた。なぜなら、全国バプテスト協議会が1930年の会議で初めて公に音楽を承認したからである。ドーシーはゴスペル音楽を広める責任があった。アメリカ合衆国の当時のポップ・ミュージックであったリズム・アンド・ブルースに影響を受けたゴスペル・グループは、当時充分な楽器を備え付けられなかった黒人教会の状況も手伝って、アカペラという形態のゴスペルを広めた。後にゴスペル出身のサム・クック[5]、レイ・チャールズ、ジェームス・ブラウン、ジョニー・テイラーらは、ゴスペルから世俗音楽へ転向し、ソウル・ミュージックいう新しいジャンルを開拓した。この聖から俗へというゴスペルの流れは、少なからず教会の反感を買った。
ソウル・シンガーとして知られるアレサ・フランクリン、ウィルソン・ピケット、サム&デイヴなどは幼い頃から教会で親しんでいたゴスペルに、音楽的に大いに影響を受けたと言われる。また、サイモン&ガーファンクルの大ヒット曲「明日にかける橋」はゴスペルにインスパイアされたものであるとされ、アフリカ等ではキリスト教会に“逆輸入”されている。
80年代以降
ゴスペルクワイア(聖歌隊)と呼ばれる数人-100名以上から成る力強いコーラス隊を曲の途中(曲の最高潮部分など)から登場させるのは伝統的ゴスペルに特有の手法だが、ロックやポップスでも使用される場合もある。
90年代頃から生まれたジャンルとして、キリスト教の布教用歌詞をラップ歌詞に乗せたゴスペル・ラップ(holy hip hop, Christian hip hop)などがある。若い牧師・説教者などが教会で説教する際、時折(通常なら説教に関連した歌のフレーズを口ずさむ所を)ラップに代用させる者もいる。
ジャズ、ブルース、リズム・アンド・ブルース、ヒップホップ、ファンクなど、黒人音楽の多様化はそのままゴスペルの世界にも投影され、聖書をベースとしたメッセージが、これらの多様な黒人音楽スタイルにのせて歌われている。1830年代に誕生した白人のオルターコール(Altar Call)は、20世紀には右派・保守派のビリー・グレアムによって利用された。なお、ゴスペル音楽における分類(エバンジェリスト、ジュビリー・コーラスほか)と、ワーシップ・ミュージックにおける分類は異なる。
ワーシップ・ミュージック
ワーシップ・ミュージックについてはコンテンポラリー・ワーシップ・ミュージックを参照。
ゴスペルを題材にした映画
- 天使にラブ・ソングを… Sister Act (1992) ウーピー・ゴールドバーグ主演。
- ただし、この映画はカトリック教会を舞台としており、その音楽は多くが聖母マリアについて歌うため、多くのアフリカ系アメリカ人クリスチャンの観点からすれば、マリア崇敬の無いプロテスタントの文化であるゴスペル音楽とは本質的に違うものである。しかしながら、結果的にこの映画の続編(天使にラブ・ソングを2)の中の一ゴスペルナンバー、「オー・ハッピー・デイ」がゴスペルブームの火付け役となった。
- 天使にラブ・ソングを2 Sister Act 2: Back in the Habit (1993)
- 天使の贈り物 The Preacher's Wife (1996)
- ファイティング・テンプテーションズ Fighting Temptations (2003)
- ゴスペル The Gospel(2005)
- ジョイフル・ノイズ Joyful Noise (2012)
主な音楽家
- ジュリアス・チークス
- ウィリー・メイ・フォード
- ソウル・スターラーズ (サム・クックが在籍した)
- センセーショナル・ナイチンゲールズ
- スワン・シルバートーンズ
- ファイブ・ブラインド・ボーイズ・オブ・アラバマ
- ファイブ・ブラインド・ボーイズ・オブ・ミシシッピ
- ベルズ・オブ・ジョイ
- キャラバンズ
- スピリット・オブ・メンフィス
- サウンズ・オブ・ブラックネス
- カーク・フランクリンズ・ニュー・ネイション
- ジェームス・クリーブランド
- シャーリー・シーザー
- マーロン・ストークス
- クロード・ジーター
- ジョー・ペース
- ヘゼカイア・ウォーカー
- フレッド・ハモンド
- ドニー・マクラーキン
- アーチー・ブラウン・リー
- ジョニー・テイラー
- ブラザー・ジョー・メイ
- アル・グリーン
- マービン・サップ
- カレン・クラーク・シェアード
- シスター・ジャネット・ミード
- ドン・ブライアント
- マヘリア・ジャクソン
- 亀渕友香
クリスチャン・ミュージックの歌手
関連項目
- 黒人教会
- ゴスペルシンガー
- スピリチュアル
- ブルース
- ドゥーワップ
- ブラックミュージック
- ソウル・ミュージック
- gospel rap
- southern gospel
- コンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック
脚注
- ^ 黒人霊歌 こくじんれいか black spirituals - コトバンク・ブリタニカ および ゴスペル・ソング gospel song の(2) - コトバンク・ブリタニカ。英語でgospelは集合名詞なのでgospelsとは言わず、the sospel(通常複数)とか形容詞的にthe(/a) gospel song(s)という
- ^ http://www.songhall.org/awards/winner/Thomas_A_Dorsey
- ^ http://kotobank.jp/word/黒人霊歌-499520
- ^ アポロからコロンビアへ移籍して魅力がなくなったとの説も。貪欲な事業家としても知られ、黒人の間からも批判が出た
- ^ ソウル・スターラーズ出身だった
出典
- Firebird Arts Alliance – Encourages all races and religions to join
- Gospel Music Association – Acknowledges all forms of Gospel Music
- Gospel News Today – Primarily Gospel News
- Gospel Viu – Gospel Without Borders
- Gospel Wire – Primarily urban contemporary gospel
- Pacific Gospel Music Association – Known for Southern Gospel
- Southern Gospel Music Association – Known for Southern Gospel
- Gospel Music Information
- Festival Lumen – the biggest gospel music festival in central Europe