チャイブ

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
チャイブ
チャイブ
保全状況評価[1]
LEAST CONCERN
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 単子葉類 monocots
: キジカクシ目 Asparagales
: ヒガンバナ科 Amaryllidaceae
: ネギ属 Allium
: セイヨウアサツキ A. schoenoprasum
学名
Allium schoenoprasum L. var. schoenoprasum
(1753) [2]
シノニム
和名
セイヨウアサツキ
エゾネギ
英名
Chives
チャイブ、生
100 gあたりの栄養価
エネルギー 126 kJ (30 kcal)
4.35 g
糖類 1.85 g
食物繊維 2.5 g
0.73 g
飽和脂肪酸 0.146 g
一価不飽和 0.095 g
多価不飽和 0.267 g
3.27 g
トリプトファン 0.037 g
トレオニン 0.128 g
イソロイシン 0.139 g
ロイシン 0.195 g
リシン 0.163 g
メチオニン 0.036 g
フェニルアラニン 0.105 g
チロシン 0.095 g
バリン 0.145 g
アルギニン 0.237 g
ヒスチジン 0.057 g
アラニン 0.148 g
アスパラギン酸 0.303 g
グルタミン酸 0.677 g
グリシン 0.162 g
プロリン 0.216 g
セリン 0.148 g
ビタミン
ビタミンA相当量
(27%)
218 µg
(24%)
2612 µg
323 µg
チアミン (B1)
(7%)
0.078 mg
リボフラビン (B2)
(10%)
0.115 mg
ナイアシン (B3)
(4%)
0.647 mg
パントテン酸 (B5)
(6%)
0.324 mg
ビタミンB6
(11%)
0.138 mg
葉酸 (B9)
(26%)
105 µg
ビタミンB12
(0%)
0 µg
コリン
(1%)
5.2 mg
ビタミンC
(70%)
58.1 mg
ビタミンD
(0%)
0 IU
ビタミンE
(1%)
0.21 mg
ビタミンK
(203%)
212.7 µg
ミネラル
ナトリウム
(0%)
3 mg
カリウム
(6%)
296 mg
カルシウム
(9%)
92 mg
マグネシウム
(12%)
42 mg
リン
(8%)
58 mg
鉄分
(12%)
1.6 mg
亜鉛
(6%)
0.56 mg
マンガン
(18%)
0.373 mg
セレン
(1%)
0.9 µg
他の成分
水分 90.65 g
%はアメリカ合衆国における
成人栄養摂取目標 (RDIの割合。
出典: USDA栄養データベース(英語)

チャイブ: Chives学名: Allium schoenoprasum var. schoenoprasum)は、ヒガンバナ科ネギ属葉菜または根菜フランス名はシブレット: Ciboulette[4]イタリア名はチポリーナ(: Cipollina)、和名ではエゾネギ(蝦夷葱)[5]、別名セイヨウアサツキ(西洋浅葱)ともよばれる。アサツキネギのなかまのハーブで、デリケートな香りをもち、スープサラダに使われる。

なお、アサツキA. schoenoprasum var. foliosum)はチャイブの変種である。

特徴[編集]

原産地はユーラシアといわれる[5]。葉は細い円筒形で先がすぼまっている。ラッキョウに似た地下茎を持ち、鱗茎が分球して群生する。 形態的には細い青ネギアサツキによく似ているが[6]、アサツキが夏になると休眠することに対して、チャイブは冬に地上部は枯れるが休眠はしない。全体に、ほのかにニンニクのような香りがある[6]。2年目以降の5月ごろに、花が咲く[6]

アサツキと混植すると交雑しやすく、容易に雑種が出来てしまうので注意が必要。繁殖はタネ、または株分けによって行える。

名称[編集]

チャイブ、江戸時代の農業百科事典『成形図説』のイラスト(1804)

上記の通りセイヨウアサツキエゾネギなどの和名がある。

鱗茎が分球し群生するので、特に英語ではchivesと複数形で書かれる。

栽培[編集]

春に種をまき、初夏にかけて植え付け、盛夏から秋にかけて葉を収穫する[6]。種はポットまきにして育苗する[6]本葉が3 - 4枚出てきたら、株間を30センチメートル (cm) ほどあけて定植する[6]。植え付け後の2週間後に、軽く追肥を行い、株元に土寄せをする[6]。葉を収穫するときは、草丈が20 cm以上に伸びたときに根元を少し残して切り取るようにする[6]。収穫後もまた葉が伸びてくるので、一年で2、3回収穫できる[6]

利用[編集]

主に茎葉を食用にし、ハーブとして利用する。野菜としてのは4 - 10月といわれ、根元から葉先まで瑞々しく、ハリのあるものが良品とされる[4]西洋料理では、主に刻んで料理の仕上げの風味づけ、青味に使われる[4]。アサツキに似た姿をしているが、風味はアサツキよりもデリケートである[4]。生のまま刻んでクリームチーズバターと練り込んで風味づけに使ったり、スモークサーモンサラダスープの浮身に散らす使い方が一般的である[4][5]。卵との相性も良く、オムレツの具や飾りにも使われる[5]。ピンク色の花(ネギ坊主)もエディブルフラワーとして食べることができ、料理に添えて飾ったり、刻んで加えたりして利用する[4][6]

栄養価は、β-カロテンカルシウムが豊富である[4][5]カロテンを豊富に含む緑黄色野菜で、油で炒めてから使うと体内でのカロテン吸収がよい。 ネギやニンニクのような芳香成分(硫化アリル)を多く含むことから、ネギと同じ芳香を持つ。硫化アリルにはビタミンB1と結合して、糖質をエネルギーに変えやすくする作用がある。また薬味として取ると食欲増進効果がある[4][5]

脚注[編集]

  1. ^ Maxted, N. & Rhodes, L. (2016). Allium schoenoprasum. The IUCN Red List of Threatened Species 2016: e.T172256A19391728. doi:10.2305/IUCN.UK.2016-3.RLTS.T172256A19391728.en Downloaded on 05 January 2019.
  2. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Allium schoenoprasum L. var. schoenoprasum”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年4月27日閲覧。
  3. ^ 米倉浩司・梶田忠 (2003-). “Allium schoenoprasum L. var. bellum Kitam.”. BG Plants 和名−学名インデックス(YList). 2022年4月27日閲覧。
  4. ^ a b c d e f g h 主婦の友社編 2011, p. 265.
  5. ^ a b c d e f 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編 2012, p. 178.
  6. ^ a b c d e f g h i j 金子美登 2012, p. 157.

参考文献[編集]

  • 猪股慶子監修 成美堂出版編集部編『かしこく選ぶ・おいしく食べる 野菜まるごと事典』成美堂出版、2012年7月10日、178頁。ISBN 978-4-415-30997-2 
  • 金子美登『有機・無農薬でできる野菜づくり大事典』成美堂出版、2012年4月1日、157頁。ISBN 978-4-415-30998-9 
  • 主婦の友社編『野菜まるごと大図鑑』主婦の友社、2011年2月20日、265頁。ISBN 978-4-07-273608-1 

関連項目[編集]