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(しゅん)とは、ある特定の食材について、他の時期よりも新鮮で美味しく食べられる時期。また旬の物はよく市場に出回るため値段も安価になりやすく、消費者にも嬉しい時期である。出盛り期ともいう。 漢字で「旬」は、10日間を意味する。「上旬」「中旬」「下旬」とは、1カ月30日を10日ずつに分けて表現した意味。食物などの「旬」も、本来は、その食物が最も良い時期の10日間を意味する。

概要[編集]

旬は、次の3通りの違った意味で使われることがある。

  1. 季節を先取りするはしりと呼ばれるもの
  2. 収穫量がピークに当たる時期
  3. 素材がもっとも美味しい時期である。

1. は、希少性から高値になる。日本では「初物を食べると75日寿命が伸びる」などといわれ珍重される。例としては初鰹や早春のなどが上げられる。これらはその食材の本来の盛りの時期の味には到底及ばないが、初物や産地からの初入荷品であることに対して際立って高い商品価値が発生する場合がある(例:夕張メロン)。

2. は、収穫量のピーク期が必ずしもその食材の最高の味であるわけではない。例えば、産卵のために沿岸や内海に来遊する魚介類は産卵期に漁獲量が増えるが、生殖腺の発達のために体の栄養を奪われて肥満度が低下し、魚の肉質自体は落ちていることが多い。また、農作物ではとれたてよりも一定期間貯蔵してからの方がデンプンの糖化が進み美味しくなるサツマイモのようなものもある。

3. は、餌をたくさん摂り、あるいは日光を浴び栄養をしっかりと蓄えその食材が最も美味しくなった状態である。一般的な農作物などでは 2. と 3. が一致する例も多いが、しかし、産卵回遊する魚介類では2. と 3. の時期が全く一致しない場合も少なくない。例えば、マダイサワラは春に内海へ産卵回遊して多獲されるので春が旬とされることが多いが、2. に述べた理由から産卵期である春は肉質が悪く、肥満度が増加して旨くなるのは夏以降である。春のマダイは桜鯛と呼ばれて「旬で脂が乗って旨い」などと評されることがあるが、これはその時期のマダイしか食べたことがない人(養殖物は別にして)の思い込みによる評価であろう。この例のように、魚介類では2. と 3. の時期がしばしば混同され、多獲される時期に旨くなると思われていることが多いようだが、実際にはその逆であることが多い。

1970年代以降、魚介類の乱獲や地球温暖化による異常気象などの影響で旬の時期のズレが起こっている。また冷凍技術の発達、ハウス栽培、高速道路の整備や航空機など輸送手段の高速化などにより南半球北半球季節が逆)からの輸入などを含めた遠隔地から運ばれる食材が増えたため、旬がわかりにくくなった。

クリスマスケーキの需要が多くなり、ショートケーキには必要なイチゴを早期に出荷するようになり、店頭にも早くから列ぶため、旬が冬に移動したと思う消費者も多い。

本来の意味から転じて話題になっている人や物、果てはギャグなどの文化的な対象にも同様に用いることがある。

「旬」の例[編集]

魚介類は多獲される時期を示し必ずしも旨くなる時期とは一致しない。

  (3月〜5月)
 野菜・果物  イチゴタケノコ(「筍」の字は、生え始めて10日以内の竹を意味する。)、タマネギ(乾燥タマネギは生産家から通年出荷されるが、乾燥を経ずに出荷される「新タマネギ」は、収穫期である4月から6月が旬。)、キャベツ(通年出荷され、冬が出荷量最多となるが、春に出荷されるものは「春キャベツ」「新キャベツ」として人気が高い。)、ウドセロリ
魚介類 マダイマナガツオトビウオサワラサヨリメバルヤマメヒメマスシラウオアサリハマグリ
  (6月〜8月)
 野菜・果物  ビワウメサクランボモモスイカキュウリナストマトピーマントウモロコシオクラニガウリ(ゴーヤー)、モロヘイヤミョウガカボチャ玉ねぎジャガイモ(新茶)
魚介類 アイナメカツオ(本来の旬は秋だが、初夏のカツオは「初鰹」として珍重される。)、マアジシマアジタチウオコイニジマスアユアナゴウナギ(本来の旬は晩秋から冬だが、出荷量は土用の丑の日が年間最多となる。)、スルメイカハモスズキアワビ
  (9月〜11月)
 野菜・果物  カキクリイチジクブドウナシリンゴアケビメロンレンコンカブニンジンレタスサツマイモコメ(新米)
きのこ 松茸シイタケシメジマイタケ
魚介類 サンマサバサケシシャモホッケカツオ牡蛎
  (12月〜2月)
 野菜・果物  白菜ミカンダイコンゴボウ里芋リンゴ
きのこ エノキタケ
魚介類 タラブリ(寒ブリ)、アンコウヒラメカニ甘海老フグ

関連項目[編集]