ヒスチジン

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
L-ヒスチジン
識別情報
CAS登録番号 71-00-1 チェック
PubChem 773
ChemSpider 6038 チェック
UNII 4QD397987E チェック
DrugBank DB00117
KEGG D00032 チェック
ChEBI
ChEMBL CHEMBL17962 チェック
3310
特性
化学式 C6H9N3O2
モル質量 155.15 g mol−1
への溶解度 4.19g/100g @ 25 °C [1]
危険性
安全データシート データページを参照する
NFPA 704
NFPA 704.svg
1
1
0
関連する物質
関連する官能基 イミダゾール基
関連物質 ウロカニン酸
ホルムイミノグルタミン酸
イミダゾールジペプチド
補足データページ
構造および特性 n, εr, etc.
熱力学的データ 相挙動
固体、液体、気体
スペクトルデータ UV, IR, NMR, MS
特記なき場合、データは常温 (25 °C)・常圧 (100 kPa) におけるものである。

ヒスチジン (histidine) はアミノ酸の一種で2-アミノ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロピオン酸のこと。略号は His あるいは H。名前はギリシャ語で「組織」という意味。

塩基性アミノ酸の一種で、必須アミノ酸糖原性を持つ。側鎖にイミダゾイル基という複素芳香環を持ち、この部分の特殊な性質により酵素活性中心や、蛋白質分子内でのプロトン移動に関与している。蛋白質中では金属との結合部位となり、あるいは水素結合イオン結合を介してその高次構造の維持に重要な役割を果たしている。

ヒスタミンおよびカルノシン生合成の前駆体でもある。

イミダゾリル基[編集]

窒素原子に結合したプロトン (H+) の着脱を起こし、塩基または非常に弱い酸として働く。また、二重結合の位置と水素原子が移動した互変異性体が平衡状態にある。いずれの構造の場合でも、水素原子を持たない側の窒素原子が容易に水素原子と反応し、同時に他方の窒素原子上にある水素原子を放出する。結果として、水素原子を運ぶ担体として機能することができる。

イミダゾイル基上の平衡

炭酸脱水酵素中では活性中心の亜鉛に結合した水分子からプロトンを引き抜いて活性型を再生させ、触媒三残基においてはセリントレオニンシステインからプロトンを引き抜き、それらを求核剤として活性化させる役割を果たす。

合成法[編集]

フルクトースホルマリンアンモニアからヒドロキシメチルイミダゾールを作り、この塩化物にアセトアミドマロン酸エステル縮合して作る。

安全性[編集]

ヒトにて1日4.5グラムまでの投与で副作用は報告されていない。1日24-64グラムではいくつかの副作用が報告されている[2]

ヒスチジンは青魚に多く含まれる傾向にあり、青魚が死んでから時間が経つと魚肉に含まれる酵素によりヒスタミンに変化するため、食中毒の原因になることが有る。

脚注[編集]

  1. ^ http://prowl.rockefeller.edu/aainfo/solub.htm[要文献特定詳細情報]
  2. ^ “The Nature of Human Hazards Associated with Excessive Intake of Amino Acids”. The Journal of Nutrition 134 (6): pp.1633S–1639S,HISTIDINE. (2004). doi:10.1093/jn/134.6.1633S. 

関連項目[編集]

外部リンク[編集]