ヒハツモドキ

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ヒハツモドキ
Piper retrofractum Pj DSC 1070.jpg
ヒハツモドキの葉と果実
分類
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : モクレン類 Magnoliids
: コショウ目 Piperales
: コショウ科 Piperaceae
: コショウ属 Piper
: ヒハツモドキ P. retrofractum
学名
Piper retrofractum Vahl1804[1]
シノニム
  • Amalago antillana Raf.[1]
  • Amalago malamiri Raf.[1]
  • Chavica arnottiana Miq.[1]
  • Chavica chaba Miq.[1]
  • Chavica labillardierei Miq.[1]
  • Chavica maritima Miq.[1]
  • Chavica officinarum Miq.[1]
  • Chavica parvifolia (Blanco) Hassk.[1]
  • Chavica retrofracta (Vahl) Miq.[1]
  • Cubeba chaba (W.Hunter) Miq.[1]
  • Piper arnottianum (Miq.) C.DC.[1]
  • Piper callosum Opiz[1]
  • Piper chaba W.Hunter[1]
  • Piper hapnium Buch.-Ham. ex Hook.f.[1]
  • Piper longum Blume[1]
  • Piper maritimum (Miq.) Blume ex C.DC.[1]
  • Piper officinarum (Miq.) C.DC.[1]
  • Piper palawanum C.DC.[1]
  • Piper parvifolium Blanco[1]
  • Piper siriboa B.Heyne[1]
和名
ヒハツモドキ[2]、ジャワナガコショウ[2]、サキシマフウトウカズラ[2]、ヒハツ[2][注 1]、ピパツ[3]、ヒバーチ[3]、ヒパーチ[3]、ピーヤシ[3]、ピパチ[3]、ピバツ[3]、ピパーツ[3]、ピパーズ[3]、ピィパーズ、フィファチ[3]、チバティ[3]
英名
Javanese long pepper[4]

ヒハツモドキ (学名: Piper retrofractum) は、コショウ科コショウ属に属するつる性木本 (藤本) の1種である。果実香辛料生薬に利用される。別名としてジャワナガコショウ、サキシマフウトウカズラなどがある (右和名欄参照)。ヒハツとよばれることもあるが[2]、2020年現在ふつうこの名は同属別種の Piper longum (この種はインドナガコショウともよばれる[5]) に充てられる。東南アジアに分布し、沖縄諸島では香辛料用に栽培され、この香辛料は島胡椒 (島こしょう)、ヒバーチピパーツ、ピパーチ、ピーヤシ、フィファチなどとよばれる[6]

特徴[編集]

つる性木本であり、高さ2–4メートル (m)、は乾くと褐色、直径約2ミリメートル (mm)、全体は無毛[3][7][8][9]互生葉柄は長さ 5–11 mm、葉身は長楕円形から卵状楕円形、6-16 x 2–7.5 センチメートル (cm)、先端は鋭尖形、基部はしばしば左右非対称、葉縁は全縁[7][9]。葉の表面には光沢があり、葉脈は羽状で側脈はふつう4–5対[7][9]

花期は5–7月、雌雄異株花序は葉に対生状につき直立し、各花のは半円形で幅 1-1.2 mm[8][9]。雄花序は細長く (下図1a)、長さ 5-6.5 cm、雄花の雄しべは2–3個、ほぼ無柄[9]。雌花序は長さ 3–4 cm、雌花の柱頭は3個。果実核果、6–10月に赤く熟し、果序は円筒形でおよそ直径 1.5 cm[7][10][11][12] (下図1c)。

1a. 雄花序
1b. 未熟な果実 (果序)
1c. 熟した果実 (果序)

日本産の種としては同属のフウトウカズラ (本州南部以南に分布する) によく似ているが、本種の方がが薄く光沢があり無毛である点 (フウトウカズラは葉の裏面に毛がある)、葉脈が羽状である点 (フウトウカズラは5行脈)、花序が直立する点 (フウトウカズラでは垂下) などで区別できる[8][11]

分布[編集]

東南アジア (中国南部、インドシナ半島マレー半島フィリピン小スンダ列島など) で広く栽培されているが[1][10][12][13]、原産地は不明[9]。日本では、沖縄諸島で栽培され[10][12]、また野生化している[7]

人間との関わり[編集]

ヒバーチ

果実や新芽はカプサイシンピペリンを含み、香辛料生薬に利用される[3][10][12]

日本ではヒハツモドキは沖縄県で栽培され、特に八重山地域では多い[14]。未熟な果実を収穫し、乾燥し炒って粉にしたものを料理の香辛料・調味料として用いる (左図)。この香辛料は島コショウ (島胡椒) とよばれ、また八重山諸島では「ピパーチ」、「ピパチ」、「ヒバーチ」、「ピパーツ」、与那国島では「チバティ」、竹富島では「ピーヤシ」、宮古島では「ピパーツ」、沖縄島では「フィファチ」などともよばれる[6][13][12][15]

また強壮、食欲増進、健胃整腸の効用があるとされ、腹痛、胃腸病、消化不良、痛風、関節痛、腰痛、咳、中風、冷性の慢性の腹痛などに用いることがある[3]

その他、建物の壁や石垣などに這わせて壁面緑化にも利用されている[12]

脚注[編集]

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注釈[編集]

  1. ^ ふつうこの名は Piper longum (この種はインドナガコショウともよばれる) に充てられる。「ヒハツ」を参照。

出典[編集]

  1. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p q r s t u v Piper retrofractum”. Plants of the World online. Kew Botanical Garden. 2021年9月11日閲覧。
  2. ^ a b c d e 米倉浩司・梶田忠. “植物和名ー学名インデックス YList”. 2021年9月11日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k l m ヒハツモドキ”. 亜熱帯生物資源データベース. 琉球大学. 2021年9月11日閲覧。
  4. ^ GBIF Secretariat (2021年). “Piper retrofractum Vahl”. GBIF Backbone Taxonomy. 2021年9月11日閲覧。
  5. ^ 世界大百科事典. “コショウ(胡椒)”. コトバンク. 株式会社DIGITALIO. 2021年9月11日閲覧。
  6. ^ a b NEWS ONLINE 編集部 (2021年1月23日). “「ヒハツ」「ヒハツモドキ」「島こしょう」~全部ほぼ同じコショウ”. ニッポン放送 NEWS ONLINE. 2021年9月11日閲覧。
  7. ^ a b c d e 植村修二, 勝山輝男, 清水矩宏, 水田光雄, 森田弘彦, 廣田伸七, 池原直樹 (2010). “ヒハツモドキ”. 日本帰化植物写真図鑑 第2巻. 全国農村教育協会. p. 398. ISBN 978-4881371558 
  8. ^ a b c 米倉浩司 (2015). “コショウ科”. In 大橋広好, 門田裕一, 邑田仁, 米倉浩司, 木原浩 (編). 改訂新版 日本の野生植物 1. 平凡社. pp. 55–56. ISBN 978-4582535310 
  9. ^ a b c d e f Piper retrofractum”. Flora of China. Missouri Botanical Garden and Harvard University Herbaria. 2021年9月11日閲覧。
  10. ^ a b c d 多和田真淳監修・池原直樹著 (1979). 沖縄植物野外活用図鑑 第1巻 栽培植物と果樹. 新星図書出版. p. 18 
  11. ^ a b 初島住彦 (1975). 琉球植物誌 追加・訂正版. 沖縄生物教育研究会 
  12. ^ a b c d e f 建設省土木研究所環境緑化生態研究室監修、財団法人海洋博覧会記念公園管理財団編集 (1997). 沖縄の年緑化植物図鑑. 海洋博覧会記念公園管理財団. p. 297 
  13. ^ a b 山門健一 (1998). 香りのまちづくり : その後の展開. 沖縄大学. 48–49. ISSN 03871657. https://ci.nii.ac.jp/naid/110004642240/ 
  14. ^ 大野豪・根本明子・玉城盛俊 (2018). “挿し木によるヒハツモドキの増殖:挿し木に適する植物部位,挿し穂の節数,葉切除の程度ならびに時期の特定”. 沖縄県農業研究センター研究報告 12: 29–42. https://www.pref.okinawa.jp/site/norin/noken/documents/kenkyuhoukoku12-05.pdf. 
  15. ^ “校内代表懸けプレゼン 8班が活動成果競う”. 八重山毎日新聞. (2021年2月6日). https://www.y-mainichi.co.jp/news/37167/ 

外部リンク[編集]