メトロポリス (2001年の映画)
| メトロポリス | |
|---|---|
| 監督 | りんたろう |
| 脚本 | 大友克洋 |
| 製作 | 角田良平、宗方謙、平沼久典、塩原徹、阿部忠道、長瀬文男、松谷孝征、寺島昭彦 |
| 出演者 | 井元由香、小林桂、岡田浩暉 富田耕生、若本規夫、滝口順平 石田太郎 |
| 音楽 | 本多俊之 |
| 配給 | 東宝 |
| 公開 | |
| 上映時間 | 107分 |
| 製作国 | |
| 言語 | 日本語 |
| 製作費 | 10億円 |
『メトロポリス』は、手塚治虫の同名漫画『メトロポリス』を原作としたアニメーション映画。2001年(平成13年)5月26日劇場公開。
目次 |
概要 [編集]
製作期間は5年、総制作費は10億円、総作画枚数は15万枚、興行収入は7.5億円[1]。声優としてやなせたかしや永井豪が友情出演している。斬新なレトロタッチなCGが話題を呼んだ。手塚治虫原作とあるがアニメ映画の世界の設定はほとんど独自のものであり、むしろ大友克洋、りんたろうによる手塚治虫やフリッツ・ラングに対するオマージュとしてのオリジナル作品ともいえる。
評価 [編集]
米国で英語声優によって吹き替えされ劇場公開された本作品は、米国の映画批評家からは驚くほど好評であり、もっとも権威のある米国映画評価ウエブサイトRottenTomatoesでは91点を獲得している。同じ時期に公開されたスティーブン・スピルバーグの『A.I.』との比較が多い。[2]
全米で最も影響力のあるといわれる映画評論家ロジャー・エバートは満点評価である4つ星を与え、アニメ史上最高の作品の一つと称え、これまでありえなかったような緻密な作画の質を高く評価している[3]。たとえば探偵がノートを読むシーンでめくったページが後戻りし、それをまためくるというような一連のシーンに驚嘆している。また駅の中の電車がホテルココナツとして使われているというような設定の工夫も評価している。映画のテーマもスティーブン・スピルバーグの『A.I.』とリドリー・スコットの『ブレードランナー』を対比にだし、単純な漫画のストーリーとは程遠く驚くほど深遠だとしている。
goatdog.comは「史上もっとも優れたアニメのひとつ」であり、「ミルクの箱に載ってる栄養表示まで読めるほどの」極めて緻密な作画の質を絶賛し、さらに最後のジグラット崩壊シーンをスタンリー・キューブリックの『博士の異常な愛情』の影響が見られるが、背景画を軽視する西洋アニメからは考えられない日本アニメが生み出した快挙だと絶賛している。またテーマのロボットであることに対する迷いや苦悩も、スピルバーグの『A.I.』よりもうまく知的に描かれていると評価している。[4]
ストーリー [編集]
ケンイチ少年とその叔父、私立探偵ヒゲオヤジこと伴俊作は、人とロボットが共存する大都市メトロポリスへやって来た。生体を使った人造人間製造の疑惑で国際指名手配されている科学者ロートン博士を逮捕するためだった。
ちょうど、高層ビル「ジグラット」の完成記念式典の真っ最中で、町の広場でレッド公による演説が華々しく行われていた。が、ロボットが式典を妨害し騒ぎが起こる。そして、1人の青年が平然とロボットを破壊して去っていった。
メトロポリス-そこは「人とロボットの共存都市」とは名ばかりで、ロボットは人に酷使され、働き口を奪われ都市の地下部に押し込められた労働者達は、ロボットに憎しみをたぎらせていた。一方でロボットに人間と同等の権利を認めるよう叫ぶ団体が存在し、また上層部ではレッド公とブーン大統領達が表向きは手を取り合いつつ対立しているなど、様々な確執が噴出していた。
ロボット刑事ペロの手助けを借り、ヒゲオヤジとケンイチはロートン博士が潜伏していると思われる都市の地下部、ZONE1へと潜入。彼の地下研究所を見つけるが、原因不明の火事が起こっていた。中に突入したケンイチは、逃げ後れた謎の少女を助ける。彼女は、大統領に成り代わり都市の実権を握る影の実力者、レッド公の亡き娘・ティマに瓜二つだった。そうとは露知らないケンイチは彼女を連れ脱出を図るが、ロボット弾圧の先鋒である過激派組織マルドゥク党の総帥ロックに狙われてしまうのだった。
登場人物 [編集]
- ティマ
- 声:井元由香
- レッド公がロートン博士に造らせたロボットの少女。その名前と姿はレッド公の死んだ娘がモデルとなっている。
- レッド公が自身の権力を永遠のものにするために造らせたロボットであり、ジグラット最上部の「超人の間」に座ることでその力を発揮する。
- 原作での両性具有の人造人間「ミッチイ」に相当するキャラクター。
- ケンイチ
- 声:小林桂
- 叔父のヒゲオヤジと共にメトロポリスに来た少年。ふとしたことからティマと行動を共にすることとなる。
- ロック
- 声:岡田浩暉
- レッド公の養子で政治結社マルドゥク党の若手実力者[5]。レッド公に心酔し、ロボットを憎んでいる。
- レッド公が執着するティマを破壊しようとする。
- レッド公
- 声:石田太郎
- ジグラットを建設したメトロポリスの有力者。ジグラット内部の秘密兵器を使いメトロポリスの、そして世界の支配を画策する。マルドゥク党の設立者でもあり、現在も支援していることは公然の秘密となっている。
- ヒゲオヤジ
- 声:富田耕生
- ロートン博士を追って日本から来た名探偵。ケンイチの叔父で、本名は「伴俊作」。
- ペロ
- 声:若本規夫
- メトロポリス警察のロボット刑事。正式名称は「803-D,R-P,D.M.497-3-C」で、「ペロ」の名はヒゲオヤジが付けた愛称。ロートン博士を追うヒゲオヤジ達と行動を共にする。革命の際、アトラスに破壊される。
- ロートン博士
- 声:滝口順平
- 人体実験や臓器密売の罪により国際手配されている科学者。メトロポリスの地下に潜伏し、レッド公の依頼でティマを造った。序盤でロックに射殺される。
- ポンコッツ博士
- 声:青野武
- レッド公配下の科学者。オモテニウム発生装置を開発した。
- ブーン大統領
- 声:池田勝
- メトロポリスの大統領。レッド公の影響力を疎ましく思い、市民を扇動してその失脚を企むが、スカンクに裏切られて粛清される。
- ノタアリン
- 声:八代駿
- メトロポリス警視庁警視総監。ヒゲオヤジにペロを紹介する。
- スカンク
- 声:古川登志夫
- 軍を統括するメトロポリスの国務長官[6]でブーン大統領の腹心。ブーン大統領にレッド公逮捕のための軍出動を命令されるが、そのことをレッド公に密告し、逆にブーン大統領を粛清する。
- ランプ
- 声:千葉繁
- メトロポリスの諜報省長官でブーン大統領の腹心。アトラスに反レッド公・反ロボットの革命を持ち掛けるが、スカンクに裏切られ射殺される。
- ハムエッグ
- 声:江原正士
- メトロポリス地下ゾーンの管理責任者。ロックを地下ゾーンに案内する。ティマを破壊しようとするロックを制止して射殺される。
- リヨン
- 声:土師孝也
- メトロポリスの市長。ジグラット完成記念式典に招待される。
- アトラス
- 声:井上倫宏
- ZONE-1のスラム街に住む失業者達の指導者。ロボットの躍進によって失業者が増えていることから反ロボットの革命を起こす。ブーン大統領の支援を取り付けていたが、軍とマルドゥク党に阻止され失敗し死亡。
- フィフィ
- 声:愛河里花子
- アルバートⅡ型の清掃ロボット。ZONE-3の下水処理場でケンイチと出会う。
- エンミィ
- 声:小山茉美
- レッド公に仕えるメイド。ロックに買収され、ティマを引き渡す。
用語 [編集]
- メトロポリス
- 世界の産業・経済・文化をリードする巨大都市国家。超高層ビル群が立ち並ぶ地上部とエネルギープラントや下水処理施設、スラム街が広がる地下部で構成される。
- ジグラット
- レッド公が建設した超高層ビル。内部にはオモテニウム発生装置が秘密裏に設置し、最上部には支配者の椅子(超人の間)がある。メトロポリス繁栄のシンボルとなる一方、反レッド公派やスラムの住人からは打倒すべき存在と認識されていた。
- オモテニウム発生装置
- ジグラットの屋上に設置されている兵器。太陽黒点を操作し、地球上の特定の地域に磁気嵐を起こさせる。人体に影響は無いがロボットを誤作動させることができ、レッド公はこれを持って世界を支配しようとした。
- マルドゥク党
- メトロポリスで活動する自警団・政治結社。ロボットが人間の地位に近づくことに反発し、人間の与えた制限を超えた行動を取ったり、暴走したロボットを自警活動の名目で破壊する。常に武器を携帯し、周囲の被害に構わず使用するため、市民からも恐れられる。
- レッド公が設立者で、現在も支援をするなど、事実上、彼の私的な武装組織となっている。
- 地下ゾーン
- 下級労働者や失業者が居住するZONE-1。エネルギープラントが置かれたZONE-2。下水処理施設のあるZONE-3で構成される。地上及び各ゾーン間の移動は厳しく制限され、ZONE-3は一部のロボット以外は立ち入りを禁じられている。
スタッフ [編集]
- 企画:りんたろう、丸山正雄、渡邊繁
- 企画協力:手塚プロダクション
- 製作:角田良平、宗方謙、平沼久典、塩原徹、阿部忠道、長瀬文男、松谷孝征、寺島昭彦
- 監督:りんたろう
- 脚本:大友克洋
- キャラクターデザイン、総作画監督:名倉靖博
- 作画監督:赤堀重雄、桜井邦彦、藤田しげる
- 作画監督補佐:辻繁人、平田敏夫
- キャラクター・メカニック:反田誠二
- レイアウト協力:兼森義則、阿部恒、川尻善昭
- 美術監督・CGアートディレクター:平田秀一
- CGテクニカルディレクター:前田庸生
- 撮影監督:山口仁
- 助監督・コンポジットディレクター(撮影監督):楠美直子
- 音楽:本多俊之
- 音楽プロデューサー:岡田こずえ
- 音響監督:三間雅文
- 音響演出助手:柏倉ツトム
- アニメーション制作:マッドハウス
- エグゼクティブ・プロデューサー:渡邊繁、川城和実、滝山雅夫、藤原正道、遠谷信幸、安田猛、高野力、清水義裕、大月俊倫
- 配給:東宝
- 製作:メトロポリス製作委員会(バンダイビジュアル、ソニー・ピクチャーズテレビジョン・ジャパン、東宝、電通、角川書店、手塚プロダクション、IMAGICA、キングレコード)
キャスト [編集]
- ティマ:井元由香
- ケンイチ:小林桂
- ロック:岡田浩暉
- レッド公:石田太郎
- ヒゲオヤジ:富田耕生
- ペロ:若本規夫
- ロートン博士:滝口順平
- ポンコッツ博士:青野武
- ブーン大統領:池田勝
- ノタアリン:八代駿
- スカンク:古川登志夫
- ランプ:千葉繁
- ハムエッグ:江原正士
- リヨン:土師孝也
- アトラス:井上倫宏
- フィフィ:愛河里花子
- 麻生智久
- 天田真人
- 佐々木健
- 渋谷茂
- 志村知幸
- 杉田智和
- 鈴村健一
- 園部啓一
- 千葉進歩
- 肥後誠
友情出演
特別出演
主題歌・挿入歌 [編集]
- 主題歌 「THERE'LL NEVER BE GOOD-BYE」
- 作詞、歌:minako "mooki" obata/作曲、編曲:本多俊之
- 挿入歌「I Can't Stop Loving You」
- 歌:レイ・チャールズ
備考 [編集]
- 大友克洋は、本作監督のりんたろうによる1983年に公開された映画『幻魔大戦』においてもキャラクターデザイン・原画で参加し、それが彼がアニメーション制作を本格的に始める契機となった。
- アメリカでの映画公開直前に2001年9月11日に起きたアメリカ同時多発テロ事件はアメリカでの興行に悪影響したと考えられる。
脚注 [編集]
- ^ メトロポリス公式サイト (2001年). “作品紹介” (日本語). 2009年5月23日閲覧。
- ^ Rotten Tomatoes. “Metropolis Movie Reviews” (英語). 2009年5月23日閲覧。
- ^ roger ebert.com (2002年1月25日). “Metropolis” (英語). 2009年5月23日閲覧。
- ^ “Metropolis” (英語). 2009年12月23日閲覧。
- ^ 公式サイトの解説ではリーダーとされている。
- ^ 劇中では「国務大臣」と呼称されている。