トロール

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森のトロール (テオドール・キッテルセン, 1906).
ノルウェー国旗の盾を持つバイキング姿のトロール(マグネット製)

トロールまたはトロル(troll)とは、北欧の国、特にノルウェー伝承に登場する妖精の一種である。

概要[編集]

北欧ではトロルド、トロールド、トラウ、トゥローと呼ばれる。当初は悪意に満ちた毛むくじゃらの巨人として描かれ、それがやがて小さい身長として描かれている。変身能力があるのでどんな姿でも変身できる。 どのような存在であるかについては様々な描写があり、一定しない。ただし、鼻や耳が大きく醜いものとして描かれることが多い。別格のトロールたちには2、或いは3の頭がある[1]

一般的なトロールについてのイメージは、巨大な体躯、かつ怪力で、深い傷を負っても体組織が再生出来、切られた腕を繋ぎ治せる。醜悪な容姿を持ち、あまり知能は高くない。凶暴、もしくは粗暴で大雑把、というものである。

地域別の伝承[編集]

デンマーク[編集]

デンマークでは白く長いあごひげの老人として、赤い帽子、革エプロン姿で描かれる。エブレトフトのトロルは背中にこぶがあり大きな鉤鼻、灰色ジャケット、とがった赤い帽子を着ている。グドマンストルップのトロルは背が高く黒く長い服を着ている。ノルウェーでは女のトロルは美しく長い赤毛をしているとされた。

スカンジナビア半島[編集]

スカンジナビア半島では小人の妖精とされる。 トロルは丘陵地、長塚、土墳などの下に共同体を作り暮らすためスウェーデンではベルグフォルク(丘の人々)と呼ばれた。彼等の住処は財宝でいっぱいで夜になると光り輝くと言われた。彼らは騒音を嫌い鐘や教会からは離れて暮らした。気に入った人間には富と幸運をもたらし、気に入らないものには不運と破壊をもたらした。また女子供をさらい財宝を盗む。さらわれないためには人も動物もヤドリギの枝を身に着ける。金属工芸にも秀で、薬草や魔法を使った治療にも秀でていると言う。日の光に当たると石に変わるため、夕暮れ時から明け方までしか姿を見せない。

フェロー諸島[編集]

フェロー諸島ではフォッデン・スケマエンドと呼ばれ「うつろな人々」、「地下の人々」であり人をさらって何年も捕らえておくと言う。

アイスランド[編集]

アイスランドでは一つ目の邪悪な巨人であり、3人で一つの目玉を共有し、順番に使っている。フィンランドでは池にすむ邪悪なシェートロールとして知られ、霧が出たり嵐が来ると人々はトロールが池から出てきて人を溺れさせると言う。

シェットランド諸島・オークニー諸島[編集]

シェットランド諸島オークニー諸島ではランド・トロー、ピーリー・トロー、シー・トローの三種に別れると言う。

グリーンランド・カナダ[編集]

グリーンランドカナダイヌイット、イハルシュミット族に伝わるトロルは邪悪な巨人であり毛の生えてない腹を引きずり鉤爪が生え物陰に潜み人を襲い肉を引き裂くという。

ノルウェーにおける現代のトロール事情[編集]

ノルウェーの人の中では、現在でもこのトロールを信じている人が多い。日常生活でふっと物が無くなった際には「トロールのいたずら」と言われる。

また、ほとんどの御土産物屋にトロールの人形が販売されており高い人気をはくしている。陶器製、マグネット製、製、キーホルダー製など実に様々なものがあり、トロールの姿も男性女性子供老人、中にはヴァイキング姿、サッカー姿、サーファー姿、スキーヤー姿など実に様々なものがあり、中にはアンティークコレクションとして評価の高いものも数多く存在する。

フィクション作品のトロール[編集]

ヘンリック・イプセンの劇詩『ペール・ギュント』に登場するトロールは不死で、自分たちの国を愛する者として描かれている。

J・R・R・トールキンの『ホビットの冒険』では、初代冥王の被造物として登場する。エントを模したもの。通常の武器が通じないほど堅い皮膚を持つが、太陽光を浴びると石化するとされた。続編の『指輪物語』では、冥王サウロンによって生み出された凶暴な上位種「オログ=ハイ」が登場。その身を巨大な剣や鎧で武装しており、知能、戦闘能力も向上。また太陽光を浴びても石化しない。サウロン配下の中でも単純な近接戦闘においては無類の強さをみせるも、力の源泉たるサウロンが滅びると、共に滅んだ。

個別項目を参照。

J・K・ローリングの『ハリー・ポッター』でも巨漢の一種族として登場し、悪臭を放つとされる。

テーブルトークRPGの『ルーンクエスト』では「トロウル」と呼ばれ、多数の亜種、架空の学名、骨格標本、進化樹形図、宗教、食や生活文化などが詳細に設定され、その背景世界「グローランサ」最強の種族と表現されることもある。

コンピュータRPGの『ドラゴンクエストシリーズ』でも「トロル」、「ボストロール」、「トロルキング」、「トロルボンバー」、「ダークトロル」など非常に大柄で、棍棒を嘗め回すような獰猛なモンスターとして現れる。

また、アニメーション映画『となりのトトロ』では、森の主の妖精である「トトロ」を、登場人物の少女、草壁サツキはトロルであると判断した。

ガンヒルド・セーリンの児童文学『きょうだいトロルのぼうけん』では、石橋に住む善良な小人としてのトロルと、毛むくじゃらで赤い肌の悪いトロルの双方が描かれる。

挿絵付き小説『ムーミン』の作者トーベ・ヤンソンは、作品に登場するムーミントロールは、名前にトロールと付いてはいるものの、妖精のトロールとは違う生き物としている。

その他[編集]

主に英語圏で、電子掲示板ブログのコメントに、否定的な書き込みなどの迷惑行為を繰り返す人間の事をインターネット・トロル(Internet-Troll)」と呼ぶ。ただ単にトロールということもある。元々、英語圏では「厄介者」を指して、稀にトロールという事からインターネットミームの一つとして成立した。

脚注[編集]

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  1. ^ ボルヘス『幻獣辞典』203頁。

参考文献[編集]

関連項目[編集]