サウロン

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サウロンSauronアイヌアの創造の時 - 第三紀3019年3月25日)は、J・R・R・トールキン中つ国を舞台とした小説、『指輪物語』『シルマリルの物語』の登場人物。

ホビットの冒険』に言及のある「死人うらない師」とは彼のことである。その続編である『指輪物語』においては「一つの指輪」(the One Ring)の作り主、「冥王」(Dark Lord)、「かの者」(the One)[1]として登場する。前史にあたる『シルマリルの物語』では、初代の冥王モルゴスの最も力ある召使であった。

サウロンは元来、アルダ(地球)の創造を担った天使的種族アイヌアの一員であったが、主メルコールの反逆に加担して堕落し、アルダに害をなす存在となった。

概要[編集]

名前[編集]

「サウロン」とはクウェンヤで「身の毛のよだつもの」という意味であり、シンダリンで同様の意味である名前「ゴルサウア」と呼ばれることもある。これらは、サウロンを恐れ、忌み嫌ったエルフによる名であり、『指輪物語』中においてアラゴルンは「かれ(サウロン)は自分の本当の名は使わないし、それを字に書いたり口に出したりすることも許さない」と発言している。

そのほか、第二紀にエルフに対して自称したとされる名に、アンナタール「物贈る君」、アルタノ「高貴な細工師」、アウレンディル「アウレの下僕」がある。

能力[編集]

第一紀のころのサウロンは、自在に変身する能力を持っていた。その能力を使えば見目麗しい立派な外見を装うことや、また巨大な狼や吸血こうもりといった怪物に変じることもでき、エルフから恐れられた。

第二紀一つの指輪を作り上げたサウロンは、他の力の指輪で成される事柄やその所有者を支配できるようになった。また、肉体が滅びても指輪がある限り何度でも蘇ることができた。ただしヌーメノール没落の際に美しい肉体を破壊された後は、二度と美しく変身することはできなくなり、その悪意の具現のような見るも恐ろしい姿しかとれなくなったという。またしばしば「まぶたのない火に縁取られた目」といった心象表現で捉えられた。

来歴[編集]

映画版でのサウロンの鎧

第一紀以前[編集]

サウロンはもとはヴァラールの工人アウレに仕えるマイアであった。しかし、モルゴスに誘惑されて副官として彼に仕え、城砦アングバンドの支配を任された。 ヴァラール軍によるウトゥムノ攻略の際にはその追及を逃れ、中つ国に隠れ潜んでいた。モルゴスが西方から逃亡し、中つ国に帰還すると再び姿を現し、仕えた。

第一紀[編集]

シルマリルを求めてベレンルーシエンがヴァラールの猟犬フアンを伴いアングバンドに潜入する際、かねてから「フアンは巨狼と闘って命を落とす」との予言を耳にしていたサウロンは、自ら巨狼に姿を変えフアンと闘うが敵わず、降伏した。

第二紀[編集]

怒りの戦いの後、ヴァラール軍の指揮官のエオンウェに服従する意を示したが、エオンウェはサウロンを裁く権限を持たなかったため、アマンマンウェの裁きを受けるよう命じた。しかしサウロンはエオンウェが西方に帰還した後行方を断った。

サウロンは第二紀500年ごろから再び活動を始めたが、最初は美しい姿と弁舌をもってエルフたちの間を歩き回り、彼らの力と知識を自分のために役立てようとした。彼は特にエレギオン英語版において歓迎され、力の指輪の製作に力を貸したが、のちに彼らを裏切り、モルドールで密かに力の指輪全てを支配する一つの指輪を製作した。ケレブリンボールはサウロンの裏切りに気付いて三つの指輪を隠したが、サウロンはエルフに指輪の引渡しを求めて戦いを挑み、エレギオンを滅ぼした。

この後、ギル=ガラドと抗争しながら中つ国の支配を進めていったが、あと一歩のところでエルフの同盟者ヌーメノールから攻撃を受け、降伏した。サウロンはヌーメノールに連行されたが、やがて王をたぶらかしてヌーメノールを堕落と滅亡へと追いやった。ヌーメノールが滅亡するときにかれも巻き添えを食って海に投げ出され、肉体を失い、魂のみの姿となってなんとか中つ国に逃げ戻った。これ以後、サウロンは美しい姿をとる能力を失った。

中つ国には既にヌーメノールから逃れた者たちがゴンドールアルノールを建設しており、これに怒ったサウロンは一つの指輪を身につけ、ゴンドールに戦いを仕掛けたが、エレンディルとギル=ガラドが結んだ最後の同盟との戦いに敗れ、モルドールの軍は壊滅した。サウロン自身はエレンディルとギル=ガラドを倒したが、彼も打ち倒された。イシルドゥアがその体から指輪を奪うと、サウロンの霊魂は力を奪われていずこかへ逃げ去った。

第三紀[編集]

再び実体化したサウロンは緑森大森林の南端にあるドル・グルドゥアで死人占い師として力を蓄え、敵対勢力の力を削ぐことに専念した。その結果、アルノールは滅び、七つの指輪はドワーフの手を離れ、ゴンドールは弱体化した。

2941年、白の会議により闇の森を追われるが、すぐにモルドールに戻り、バラド=ドゥアを再建して復活を宣言した。 サウロンは一つの指輪が見出されていることを知り、軍備を整えて指輪奪取と中つ国支配を試みたが、ホビットフロド・バギンズにより指輪が滅びの山オロドルインの滅びの罅裂に落ちて消滅したため、サウロン自身も力を完全に失って消滅した。

派生作品[編集]

ピーター・ジャクソンの映画では、第一部『ロード・オブ・ザ・リング』の冒頭で描かれる最後の同盟との戦いで、巨大な黒い戦士としてサウロンが登場している。それ以降は肉体を失ったのか、巨大な炎の眼の姿でバラド=ドゥーアの頂上の尖塔の間にあり、モルドールをはじめとする各地を監視している。

ゲームズワークショップのミニチュア・バトルゲームには「炎の眼」は登場しないが、黒い戦士のサウロンを使ってかつての戦争を再現できる。また、ドル・グルドゥアの死霊使い(死人うらない師)時代のサウロンもミニチュア化されている。死霊使いの外見は、戦士サウロンと似たシルエットだがおぼろげなイメージになっており、データ的にも戦士よりは弱く設定されている。

恐竜[編集]

モロッコの南東で化石が発見された恐竜「サウロニオプス・パキトルス(Sauroniops Pachytholus)」はサウロンにちなんで命名された。

その他[編集]

セイファート銀河の一つであるNGC 4151は、その形状から俗に「サウロンの目銀河」と呼ばれる。

脚注[編集]

  1. ^ 『新版 指輪物語』1、115頁,『The Lord of the Rings: The Fellowship of the Ring』、58頁。

参考文献[編集]