サルマン
サルマン(Saruman)は、J・R・R・トールキンの中つ国を舞台とした小説、『指輪物語』、『シルマリルの物語』の登場人物。魔法使い。イスタリの長であり、白のサルマンと呼ばれ、最も力を持っていた。
シンダール語名は、「老練なる者」「老練なる知恵者」を意味する、クルニア(クルニーア [1])である。
概要 [編集]
注意:以降の記述には物語・作品・登場人物に関するネタバレが含まれます。免責事項もお読みください。
サルマンは見かけは人間の老人の姿をしているが、実際は人間でなく、サウロンに対抗する為に西方のアマンの地から来た五人の賢者の一人である。彼らイスタリはマイアで、サルマンのマイアとしての名はクルモだったとされる。かれは最初に一人で中つ国にやってきた。かれは東方への旅をして、そこから戻るとアイゼンガルドのオルサンクの塔に住んだ。
サウロンに対抗するために白の会議が組織されると、かれは議長に選ばれた。この頃からサルマンは力の指輪の伝承について研究を始め、やがて一つの指輪を自ら手にしたいと欲するようになった。かれはこの裏切りを長く秘密にしていたが、灰色のガンダルフが一つの指輪の行方を突き止めたことを知り、茶のラダガストを欺いてガンダルフをアイゼンガルドに呼び寄せた。ガンダルフがアイゼンガルドを訪れると、かれはガンダルフに仲間に加わるよう誘惑した。このときかれは自らを指輪作りのサルマン、多彩なるサルマンと称した。ガンダルフが断ったため、かれはガンダルフをオルサンクに幽閉した。後にガンダルフはオルサンクを脱出し、エルロンドの会議でサルマンの裏切りを報告した。
裏切りが露見したサルマンは公然と指輪を奪う行動を開始した。ホビット庄から逃げ出したフロド・バギンズの道中に間者を放ち、ローハンに戦を仕掛け、ゴンドールへ向かうであろう指輪の仲間を襲うためにウルク=ハイの部隊を派遣した。しかしかれの試みは全て失敗した。間者たちはフロドを捕らえることができず、ガンダルフはローハンに勝利をもたらし、二人のホビット(メリアドク・ブランディバックとペレグリン・トゥック)を捕らえてアイゼンガルドへ戻るウルク=ハイの部隊は途中でエオメルによって阻止された。
アイゼンガルドはエントによって破壊され、サルマンはオルサンクに幽閉された。最後の試みとしてかれはローハンのセオデン王に和平を持ちかけ、これに失敗するとガンダルフとの友好関係を修復しようとした。ガンダルフはこれを退け、サルマンの杖を折って、かれを賢者団と会議から追放した。
サルマンはしばらくオルサンクに幽閉されていたが、見張り役であったエントの木の髭を説得してアイゼンガルドを離れた。かれはかねてから手下を送り込んで乗っ取っていたホビット庄へ行き、袋小路に住んだ。かれはここではシャーキーと呼ばれた。最後にはホビット庄の支配にも失敗し、手下であった蛇の舌に裏切られて殺された。
魔法 [編集]
実際の登場が少ないため彼が魔法を使う場面はそれほど多くないものの、登場する技は声のほかには技術的なものが多い。これは彼が元来、アウレの民である工芸のマイアであることに加え、同様に工芸のマイアであるサウロンを模倣したこと、史実ではしばしば最先端の科学技術が魔法として認識された経路があること、そしてトールキンが美しい自然を破壊する近代工業化を悪しきものとして忌避していたことなどが理由として考えられる。以下に登場するものを箇条書きで記す。
- 力のある声で、聞く者の心を惑わし、相手を説得して最終的に自分の支配下におくことができる。サルマンの力としてもっとも主要に扱われる。堕落し多くの力を失ったが、この声だけは往年ほどの力はないにしても最後まで持ち続け、悪事を重ねようとしたが、心の強い者には通じなかった。
- 火や蒸気、カラクリを駆使する。アイゼンガルドを工業化したほか、ホビット庄も同様にした。また戦闘では火(映画では明確に火薬と描写されている)で角笛城の防壁を吹き飛ばし、アイゼンガルドに侵攻してきたエントをカラクリを用いた蒸気と火で撃退しようと試みている。
- 妖術を用いて人間とオークを掛け合わせ、太陽の光にも耐えられる新種のオークを作り出したとされる(ウルク=ハイ)。具体的な手法は不明。
- セオデンを呪いにより衰弱させ、蛇の舌を通じてローハンを操ろうとした。この呪いとは文字通り超自然的な呪術なのか、言葉によってセオデンを心理的に追い詰めて衰弱させ暗示にかけていたのかは曖昧であるが、映画版では前者のように描かれた。
- 鴉クリバインを使って指輪の仲間の動向を見張らせていた。明確にサルマンが操っていると描写されているのは映画版のみで、原作ではこれを放っている者についての言及はなくサウロンが主である可能性もある。またサルマンの手によるとしても、彼の魔力ではなくラダガストの協力を悪用している可能性もある。
- 原作ではカラズラスの吹雪と雪崩はサウロンの仕業である可能性が示唆されているが、映画ではサルマンがクウェンヤの呪文によって起こしているとされている。
- このほか、不可視の力でガンダルフと戦う、杖の先から火球を放つなどの技があるが、これも映画版のみに登場する演出。
脚注・出典 [編集]
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