アイン・ランド

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アイン・ランド: Ayn Rand, 1905年2月2日 - 1982年3月6日)は、アメリカ合衆国小説家劇作家脚本家哲学者。本名アリーサ・ジノヴィエヴナ・ローゼンバウム(: Алиса Зиновьевна Розенбаум)。

代表作に『水源』、『肩をすくめるアトラス』など。

目次

人物 [編集]

生涯 [編集]

ランドは1905年2月2日、サンクトペテルブルクの薬局を営む裕福なユダヤ人家庭の三人姉妹の長女として生まれた。1917年のロシア革命当時、ランドは12歳であり、2月革命当時はアレクサンドル・ケレンスキーに心酔していた。だがボルシェビキによる十月革命と同時に父親の薬局も国有化され、家族は当時白軍の支配下にあったクリミア半島に疎開した。クリミアの高校を卒業後、16歳のランドは家族とサンクトペテルブルクに戻り、ペトログラード州立大学に入学した。

ロシア革命の後、大学はユダヤ人も含む女性に解放され、ランドはペトログラード州立大学に入学を認められた最初の女子学生の一人であった。大学では社会教育学部で歴史を専攻した。またここで哲学者としては最大の影響をうけたというアリストテレスおよびその最大の思想的ライバルとみなしたプラトンの著作を学習した。また多くのニーチェの著作も研究していた。フランス語、ドイツ語、ロシア語を読むことができ、ドストエフスキーヴィクトル・ユーゴーフリードリヒ・フォン・シラーなどを好んで読んでいた。

1926年に渡米し、1929年にフランク・オコーナーと結婚(1979年に夫が死去するまで50年間連れ添った)。 映画脚本家劇作家として活動していたが、1943年に発表した『水源』(The Fountainhead, 1943.)で名声を得て作家としての地位を確立する。1957年に、代表的著作である哲学小説『肩をすくめるアトラス』(Atlas Shrugged, 1957.)を発表した。その後は自らの哲学についてのノンフィクションを中心とした執筆活動を続けるが、1982年に死去。

思想 [編集]

リバタリアニズムの代表的作家として挙げられることが多いが、本人はリバタリアニズムとは距離を置き、自らの哲学を"Objectivism"(日本語では、「客観主義」と訳されることが多い)と呼んだ。『肩をすくめるアトラス』には、ランドの「客観主義」の思想がよく示されている。この客観主義には、一般のアメリカ人の間に、熱狂的な信奉者がいる。

ランドは理性が唯一知識を獲得する方法であるとし、あらゆるかたちの「信仰」と「宗教」を否定した。政治においては、武力の行使を糾弾し、あらゆる形の集団主義国家主義と戦い、冷戦下のアメリカにおいて、個人の権利を守る社会制度としてレッセフェールの資本主義の道徳的正統性を主張し続けた。オバマ政権(リベラルな民主党の政権)に対抗して2009年以降にアメリカ全土に広がったティーパーティー運動の参加者にも、ランド主義者は多い。

評価 [編集]

文学的評価はこれまで高いとはいえず、二十世紀のアカデミアでは無視されてきた。発表当時から1970年代までは若者が熱狂し、通り過ぎる文学という位置づけだったが、1980年代、レーガン政権では最も影響力の大きい思想家とされたこともあり、1990年代のアメリカ経済の象徴でもあったアラン・グリーンスパンはランドを思想的母とあおいでいた。

1991年のアメリカ議会図書館の調査で、「20世紀アメリカで聖書の次に影響力を持った小説」と紹介されている。また、1998年のランダムハウス/モダンライブラリーの「アメリカの一般読者が選んだ20世紀の小説ベスト100」[1]で『肩をすくめるアトラス』が第一位、『水源』が第二位を獲得し、また10位内に4つの作品がランクインした[2]

2008年のリーマン・ショック以降、あらためてランドを見直す機運が高まり、2009年の『肩をすくめるアトラス』の売上は米国国内のみで50万部を突破した。2010年の中間選挙のティーパーティー系共和党の躍進においても思想的根拠として保守系のラジオショーのホストらに参照されることが多く、現在も熱狂的なファンが多い。

著作物・作品 [編集]

日本語訳
『水源』は、1949年にゲーリー・クーパー主演、ランド自身の脚本によって映画化(オリジナルタイトルは、The Fountainhead であるが、日本では、『摩天楼』という日本語の題で公開)された。
  • 『肩をすくめるアトラス』(脇坂あゆみ訳、ビジネス社、2004年10月)ISBN 978-4828411491
  • 『利己主義という気概---エゴイズムを積極的に肯定する』(藤森かよこ訳、ビジネス社、2008年12月)ISBN 978-4828414669
  • 『われら生きるもの』(脇坂あゆみ訳、ビジネス社、2012年12月)ISBN 978-4828416900

脚注・参照 [編集]

  1. ^ Randomhouse/Modernlibrary 100 Best Novels The Reader's List
  2. ^ しかし、この結果については「組織票を反映しているのではないのか」という声もある。www.さとなお.comのご注意(2007年05月18日)

参考文献 [編集]

日本のビジネスマンがアメリカを理解する上で読むべき本として、『Atlas Shrugged(肩をすくめるアトラス)』を紹介。また、多くの文章を引用している。

関連項目 [編集]

外部リンク [編集]

日本語
英語