キリル文字

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キリル文字
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キリル文字による「主の祈り」(ルーマニア語)。1850年代
類型: アルファベット
言語: スラヴ語派のうち主に正教会に属する言語、旧ソ連の言語の大半、モンゴル語
発明者: キュリロスメトディオス
時期: 初期キリル文字の初出は940年頃
親の文字体系:
姉妹の文字体系: ラテン文字
コプト文字
Unicode範囲: U+0400-U+04FF
U+0500-U+052F
ISO 15924 コード: Cyrl
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青銅器時代中期 前19–15世紀

メロエ 前3世紀
オガム 4世紀頃
カナダ先住民 1840年
注音 1913年
完全な系図

キリル文字: Кириллица: Cyrillic alphabetキリール文字とも)は、主にスラヴ諸語を表記するのに用いられる表音文字の体系の一種である。伝統的には、正教会の宣教師キュリロスメトディオスの兄弟がスラヴ人に布教するためにギリシャ文字を元に考案されたとされるが、彼らが実際に考案した文字はグラゴル文字であったらしい。しかし、グラゴル文字はすぐに廃れたため、キリル文字が広く用いられるようになり、キュリロスが作った文字であるという意味からキリル文字と呼ばれるようになった。

日本等では特にロシア語の文字として知られ、ロシア語で使う 33 文字(大文字小文字を同一視して)は、ロシア文字とも呼ばれる。しかし、キリル文字の総称としてロシア文字と呼ぶのは、起源や使用範囲から見て問題がある。また、誤って「キール文字」とされることが稀にある。英語名の「シリル文字」もごく稀に使われる。

同じくギリシア文字を元に作られたラテン文字とは似た形の文字が多いが、形が似ていても音価が対応関係にない、あるいは音価が対応していても形が対応関係に無い場合も多いので注意を要する。例えばラテン文字のR([r])と似ているキリル文字としてЯ([ja])があるが、前者はギリシア文字のΡから、後者は合字のІАから派生した文字であり、発音も起源も全く関連が無い。また、例えば [v] の音価に相当する文字は、ラテン文字ではギリシア文字の Υ ([u]) から派生した V だが、キリル文字では Β([b]、現代ギリシア語では[v])から派生した В である。

目次

[編集] 使用言語

古くからキリル文字が使われ、現在も使われている言語は、スラヴ語派正教会の重なる範囲にほぼ一致する。つまり、東スラヴ語群ロシア語ウクライナ語ベラルーシ語南スラヴ語群のうちブルガリア語マケドニア語セルビア語[1]である。スラヴ語族でも、カトリック圏のポーランド語チェコ語スロヴァキア語スロヴェニア語クロアチア語ラテン文字であり、イスラム教に属するボスニア語もラテン文字を使う場合が多い[2]。また、正教会であってもスラヴ語派でない場合はキリル文字は使われておらず、例えばルーマニア語アルバニア語はラテン文字[3]ギリシア語はギリシア文字、グルジア語グルジア文字アルメニア語アルメニア文字である[4]

[編集] ソビエト連邦とキリル文字

ソビエト連邦時代には、ソ連内でこれまで文字を持たなかったシベリアなどの言語や、アラビア文字を使っていた中央アジアなどの言語に、ラテン文字での正書法が制定されたが、後の言語政策の変化によりキリル文字での正書法の制定、既にラテン文字で正書法が制定された言語についてはキリル文字への切り替えがなされた。

使用地域が現在もロシア領である言語では、アルタイ語エヴェンキ語オセット語カルムイク語サハ語ショル語タタール語チュヴァシ語チュクチ語トゥバ語ドンガン語ニヴフ語ハカス語ブリヤート語などがキリル文字を使用している。ソ連崩壊時に独立した国の言語では、カザフ語キルギス語タジク語などがある。ソ連の強い影響下にあったモンゴルでも、モンゴル語モンゴル文字からキリル文字化された。

ソ連あるいは帝政ロシアによる併合以前からアラビア文字以外の文字を用いていたバルト三国エストニア語ラトビア語リトアニア語(いずれもラテン文字)、アルメニア語(アルメニア文字)、グルジア語(グルジア文字)はキリル文字化されなかったが、ルーマニア語から政治的に分離されたモルドバ語はラテン文字からキリル文字に改められた。

また、ソ連時代にアラビア文字からラテン文字化され、更にキリル文字化されたアゼルバイジャン語ウズベク語カラカルパク語トルクメン語では、独立後ラテン文字が再び採用され徐々に切り替わりつつあり、他にいくつかの言語で、これに続こうとする動きがある。

██ キリル文字を使用

██ キリル文字と他の文字を併用


[編集] キリル文字の例

詳細については各言語を参照のこと。

[編集] 字体

ラテン文字と同じように立体イタリック体活字がある。一部の文字は立体とイタリック体で形がかなり異なり、例えばロシア語では、イタリック体の「т」はラテン文字小文字のmに似た字形となる。以下にロシア語のキリル小文字の立体とイタリック体を示す。特に形が異なる字を強い強調(太字)で示す。

上の表が正しく(上記「т」の字形に関する記述を参考とせよ)表示されていない場合は画像版を参照のこと。
а б в г д е ё ж з и й к л м н о п р с т у ф х ц ч ш щ ъ ы ь э ю я
а б в г д е ё ж з и й к л м н о п р с т у ф х ц ч ш щ ъ ы ь э ю я
上段が通常、下段がセルビア語とマケドニア語の б, г, д, п, т

また一部の文字では、言語によってイタリック体の字形が異なる。例えばセルビア語では、ロシア語などと違い、イタリック体の「т」はラテン文字小文字のmを上下逆にして上線を付したような字形となる。

[編集] 脚注

  1. ^ セルビア語ではラテン文字も用いられる。
  2. ^ ボスニア語ではキリル文字も用いられる。
  3. ^ ただしルーマニア語では18世紀までキリル文字が使われていた。また、アルバニア語はカトリックイスラムの影響も大きく、純粋に正教会の範囲内というわけではない。
  4. ^ ギリシア文字、グルジア文字、アルメニア文字はいずれもキリル文字より歴史が古い。

[編集] 関連項目