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2014年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは9月30日に開幕した。ナショナルリーグの第45回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 45th National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、10月11日から16日にかけて計5試合が開催された。その結果、サンフランシスコ・ジャイアンツ(西地区)がセントルイス・カージナルス(中地区)を4勝1敗で下し、2年ぶり23回目のリーグ優勝および20回目のワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのは、2012年のリーグ優勝決定戦以来2年ぶり4度目。今シリーズは、第2戦・第3戦・第5戦の3試合がサヨナラゲームとなった。第3戦では、延長10回裏無死一・二塁でジャイアンツのグレゴール・ブランコが犠牲バントを転がしたところ、カージナルスのランディ・チョートが一塁へ悪送球してジャイアンツがサヨナラ勝利を収めた。ジャイアンツは翌日の第4戦にも勝利してシリーズ突破へ先に王手をかけると、第5戦ではトラビス・イシカワのサヨナラ本塁打でリーグ優勝を決めた。ポストシーズンにおいて、サヨナラ失策は史上8度目[注 1][3]、シリーズ制覇決定サヨナラ本塁打は史上9度目である[注 2][4]。シリーズMVPには、第1戦と第5戦の2試合に先発登板して計15.2イニングを投げ、1勝0敗・防御率1.72という成績を残したジャイアンツのマディソン・バンガーナーが選出された。このあとジャイアンツは、ワールドシリーズでもアメリカンリーグ王者カンザスシティ・ロイヤルズを4勝3敗で下し、2年ぶり8度目の優勝を成し遂げた。
カージナルスの外野手オスカー・タベラスは、マイナーリーグ時代から将来を嘱望されこの年にメジャー初出場を果たすと、今シリーズでも3試合に出場し第2戦では代打本塁打を放った。今シリーズ敗退後にタベラスは母国ドミニカ共和国へ帰り、26日にプエルト・プラタ州プエルト・プラタの高速道路で交通事故を起こして死亡した。結果的に、今シリーズ第5戦がタベラスにとって生涯最後の出場試合となった[5]。
カージナルスの先発投手
ランス・リン(左。写真は2014年8月10日撮影)と、ジャイアンツの外野手
ハンター・ペンス(写真は2015年7月25日撮影)
10月7日、まず先に行われた試合でカージナルス(中地区優勝)が、そのあとの試合ではジャイアンツ(西地区2位=第2ワイルドカード)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
カージナルスは2013年、97勝65敗のリーグ最高勝率でポストシーズンに進み、リーグ優勝はしたもののワールドシリーズで敗れた。その年は打線がリーグ最多得点を挙げたが、得点圏での打率.330という異様な高さが影響していたため、2014年に得点力が一定程度落ち込むのはチームも想定していた[6]。シーズン開幕後はミルウォーキー・ブルワーズを追う展開となり、前半戦終了時には52勝44敗で1.0ゲーム差の2位につけた。上位にいても、先発ローテーションではアダム・ウェインライトとランス・リンを残して故障者が続出し、打線も得点圏打率が.248にまで下降するなど状況は苦しかった[7]。後半戦も正捕手ヤディアー・モリーナの故障離脱があり、シーズン途中にトレードで獲得した先発投手のジャスティン・マスターソンやジョン・ラッキーも出来が今ひとつと、難局が続いた[8]。だが8月以降ブルワーズが失速したため、9月1日に単独地区首位へ浮上する。その後は代わって浮上してきたピッツバーグ・パイレーツの追い上げもかわし、9月28日のレギュラーシーズン最終日に地区2連覇を果たした[9]。平均得点3.82はリーグ9位、防御率3.50はリーグ8位。攻撃では本塁打数がリーグ最下位と長打力を欠き、盗塁数も下から2番目の少なさだったが、守備は守備防御点がリーグ2位と良かった[8]。地区シリーズではロサンゼルス・ドジャースを3勝1敗で下した[10]。
ジャイアンツは、2012年のワールドシリーズ優勝から一転して2013年は76勝86敗の負け越しに沈んだ。オフの動きはハンター・ペンスやティム・リンスカムらFA選手との再契約が中心となり、新たな補強は先発ローテーションにティム・ハドソンを加えるなど小規模にとどまった[11]。2014年は5月の1か月間だけで20勝を挙げるなど、シーズン序盤は調子が良かった。6月8日終了時点では43勝21敗で勝率が.672に達し、2位とのゲーム差を10.0にまで広げた[12]。ところがその後は成績が下降線を辿り、7月4日にはドジャースに抜かれて2位に落ちた。7月21日には先発投手のマット・ケインが右肘痛で故障者リスト入りし、その穴埋めにトレードでジェイク・ピービーを獲得した[13]。ピービーは移籍後の12先発で防御率2.14と好投したが、チームは後半戦もドジャースに追いつくことができず地区2位に定着、そのまま9月26日に第2ワイルドカードでのポストシーズン進出を決めた[14]。平均得点4.10はリーグ5位、防御率3.50はリーグ7位。投手陣はケインの故障離脱や抑え投手セルジオ・ロモの不振といった想定外の事態にも耐え、打線は犠牲フライ数でリーグ最多となるなど好機を逃さず得点を重ねた[12]。ポストシーズンでは、パイレーツと敵地で対戦したワイルドカードゲームに8-0の完勝を収め[15]、ワシントン・ナショナルズとの地区シリーズは3勝1敗で制した[16]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、カージナルスがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は7試合対戦し、ジャイアンツが4勝3敗と勝ち越していた[17]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
- 名前の横の★はこの年のオールスターゲームに選出された選手を、#はレギュラーシーズン開幕後に入団した選手を示す。
- 年齢は今シリーズ開幕時点でのもの。
カージナルスは地区シリーズのロースターから、救援左腕サム・フリーマンを外して捕手のA.J.ピアジンスキーを加えた。この年のカージナルスはシーズンを通して投手を常に12人以上揃えていたが、今シリーズで初めて11人に減らした[18]。フリーマンは地区シリーズ初戦の5回裏一死無走者から登板したが、2打者連続与四球で一死も取れずに降板、以降は登板機会がなかった。このシリーズでは同じ救援左腕のマルコ・ゴンザレスが3.0イニング無失点と好投したため、フリーマンは余剰人員となった[19]。ピアジンスキーのロースター入りについてGMのジョン・モゼリアクは、控え捕手に右打者のトニー・クルーズと左打者のピアジンスキーを揃えることで選手起用の幅を広げるのが狙いだと述べている[18]。
ジャイアンツは地区シリーズのロースターから外野手を入れ替え、ゲイリー・ブラウンに代えてマイケル・モースを登録した。レギュラーシーズンでモースは左翼手として82試合、一塁手として39試合に先発出場していたが、9月1日の試合前打撃練習時に左外腹斜筋を痛め、その後は1試合を除き欠場した。ポストシーズンでもロースターを外れ、アリゾナ教育リーグで実戦経験を積んだのち、今シリーズからチームに合流した。監督のブルース・ボウチーは、教育リーグでの打席を見て復帰可と判断したものの[20]、守備には不安があるとして先発出場はさせない方針を明かした[21]。ブラウンは地区シリーズ第2戦、延長18回表に代打で登場したが空振り三振に倒れ、これがシリーズ唯一の出番となった。
2014年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月11日に開幕し、途中に移動日を挟んで6日間で5試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
日付 |
試合 |
ビジター球団(先攻) |
スコア |
ホーム球団(後攻) |
開催球場
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10月11日(土) |
第1戦 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
3-0 |
セントルイス・カージナルス |
ブッシュ・スタジアム |
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10月12日(日) |
第2戦 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
4-5x |
セントルイス・カージナルス
|
10月13日(月) |
|
移動日 |
|
10月14日(火) |
第3戦 |
セントルイス・カージナルス |
4-5x |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
AT&Tパーク
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10月15日(水) |
第4戦 |
セントルイス・カージナルス |
4-6 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ
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10月16日(木) |
第5戦 |
セントルイス・カージナルス |
3-6x |
サンフランシスコ・ジャイアンツ
|
優勝:サンフランシスコ・ジャイアンツ(4勝1敗 / 2年ぶり23度目)
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- ^ Matt Snyder, "LCS umpires named; Joe West, Gerry Davis crew chiefs," CBSSports.com, October 9, 2014. 2021年7月31日閲覧。
- ^ Chris Haft, "Wayward throw in 10th leads Giants to walk-off win / Cardinals' error on Blanco's bunt plates deciding run in Game 3," MLB.com, October 15, 2014. 2021年7月31日閲覧。
- ^ Andrew Simon, Sarah Langs, Matt Kelly and Manny Randhawa, "11 walk-off HRs to clinch a postseason series," MLB.com, October 21, 2019. 2021年7月31日閲覧。
- ^ Sports Network, "GM, manager in DR for Taveras funeral," Fox News, October 27, 2014. 2021年7月31日閲覧。
- ^ Tyler Kepner, "On Cue, the Cardinals Rise in September," The New York Times, September 20, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ Derrick Goold, "Midseason review: It's October or bust," St. Louis Post-Dispatch, July 17, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ a b 出野哲也 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 セントルイス・カーディナルス 試合巧者ぶりを発揮して地区Vも打線は立て直し急務」 『月刊スラッガー』2014年12月号、日本スポーツ企画出版社、2014年、雑誌15509-12、73頁。
- ^ Derrick Goold, "CARDS CLINCH: Shutout sends division champs into October," St. Louis Post-Dispatch, Sepember 28, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ Tyler Kepner, "St. Louis Cardinals Solve Dodgers' Clayton Kershaw Again," The New York Times, October 7, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ D.J. Short, "2014 Preview: San Francisco Giants," NBC Sports, March 24, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ a b 出野哲也 「30球団通信簿 全選手最終成績+GM通信簿 サンフランシスコ・ジャイアンツ 誤算を立て直す選手層の厚さでプレーオフに返り咲く」 『月刊スラッガー』2014年12月号、日本スポーツ企画出版社、2014年、雑誌15509-12、78頁。
- ^ Alex Pavlovic, "Giants trade for Jake Peavy," The Mercury News, July 26, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ Henry Schulman, "Giants lose chance of hosting wild-card game," SFGATE, September 26, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ Will Graves, "Bumgarner, Giants silence Pirates 8-0 to advance," AP News, October 2, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ Janie McCauley, "Giants top Nationals 3-2, return to NLCS vs Cards," AP News, October 8, 2014. 2023年6月17日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年7月31日閲覧。
- ^ a b Rick Hummel, "Pierzynski on, Freeman off Cards roster," St. Louis Post-Dispatch, October 10, 2014. 2021年9月25日閲覧。
- ^ Associated Press, "Cards add A.J. Pierzynski for NLCS," ESPN.com, October 11, 2014. 2021年9月25日閲覧。
- ^ Ray Slover, "Michael Morse injury update: Outfielder likely ready for NCLS," Sporting News, October 11, 2014. 2021年9月25日閲覧。
- ^ Alex Pavlovic, "NLCS NOTES: Morse is back on the roster, but Bochy doesn t see him in starting lineup yet; Giants have strong matchup Sunday," The Mercury News, October 11, 2014. 2021年9月25日閲覧。
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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文化 | |
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永久欠番 | |
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ジャイアンツ球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(08回) | |
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ワールドシリーズ敗退(12回) | |
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リーグ優勝(23回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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球団 | |
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歴代本拠地 | |
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永久欠番 | |
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カージナルス球団殿堂 | |
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ワールドシリーズ優勝(11回) | |
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ワールドシリーズ敗退(08回) | |
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リーグ優勝(19回) | |
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できごと | |
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傘下マイナーチーム | |
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