ワイルドカードシリーズ
ワイルドカードシリーズ(英: Wild Card Series, WCS)は、メジャーリーグベースボールにおいて、2022年から採用されている一連のポストシーズントーナメント1回戦に相当するステージである。
一部の日本語メディアでは地区シリーズ進出決定戦と訳される場合がある。
概要
[編集]新型コロナウイルスの影響で変則シーズンとなった2020年にも1年だけ行われた(後述)。
3地区の優勝チームに加え、地区優勝を逃したチームのうち、勝率の高い3チームをワイルドカードとして6チームでポストシーズンは行われる。地区優勝チームは勝率順にシード1,2,3が割り当てられる。ワイルドカードチームは勝率順にシード4,5,6が割り当てられる。シード1,2はワイルドカードシリーズが免除されて直接ディビジョンシリーズ(地区シリーズ)に進出する。シード3,4,5,6がワイルドカードシリーズを戦う。
シード、地区優勝、およびワイルドカードのチームを決定する際、勝率が同じチームが存在した場合はタイブレーカーが適用される。
ワイルドカードは次の2カードとなる。シード3(地区優勝チームの中で最低勝率チーム)がシード6と戦い、シード4がシード5と戦う。シード順の高いチームの本拠地球場にて3戦2勝制を争い、その勝者が、ディビジョンシリーズへ進出する。
ディビジョンシリーズでは、シード3と6の勝者がシード2と戦い、シード4と5の勝者がシード1と戦う。
レギュラーシーズンを別表に示した3地区制にした1994年[1]から2011年までは、各地区の1位チーム3チームに加え、2位の中の最高勝率チーム1チームをワイルドカードとしてプレーオフのリーグセミファイナルに当たる1回戦・ディビジョンシリーズに出場させていた。2012年から2021年までは、ワイルドカードゲームとして、地区優勝3チームを除いたリーグの勝率上位2チームがワイルドカードへのノミネートチームとして進出する形式[2]を取り、そこでの1試合でのプレーオフで勝利したチームが、ワイルドカードチームとして、このときからプレーオフの2回戦となったディビジョンシリーズへの進出ができるようになっていた。
歴代結果
[編集]アメリカンリーグ
[編集]| 開催年 | 地区1位の最低勝率チーム (ホーム球団) |
勝敗 | 第3ワイルドカード (ビジター球団) |
第1ワイルドカード (ホーム球団) |
勝敗 | 第2ワイルドカード (ビジター球団) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | クリーブランド・ガーディアンズ(中) | 2-0 | タンパベイ・レイズ(東3位) | トロント・ブルージェイズ(東2位) | 0-2 | シアトル・マリナーズ(西2位) |
| 2023 | ミネソタ・ツインズ(中) | 2-0 | トロント・ブルージェイズ(東3位) | タンパベイ・レイズ(東2位) | 0-2 | テキサス・レンジャーズ(西2位) |
| 2024 | ヒューストン・アストロズ(西) | 0-2 | デトロイト・タイガース(中3位) | ボルチモア・オリオールズ(東2位) | 0-2 | カンザスシティ・ロイヤルズ(中2位) |
| 2025 | クリーブランド・ガーディアンズ(中) | 1-2 | デトロイト・タイガース(中2位) | ニューヨーク・ヤンキース(東2位) | 2-1 | ボストン・レッドソックス(東3位) |
ナショナルリーグ
[編集]| 開催年 | 地区1位の最低勝率チーム (ホーム球団) |
勝敗 | 第3ワイルドカード (ビジター球団) |
第1ワイルドカード (ホーム球団) |
勝敗 | 第2ワイルドカード (ビジター球団) |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 2022 | セントルイス・カージナルス(中) | 0-2 | フィラデルフィア・フィリーズ(東3位) | ニューヨーク・メッツ(東2位) | 1-2 | サンディエゴ・パドレス(西2位) |
| 2023 | ミルウォーキー・ブルワーズ(中) | 0-2 | アリゾナ・ダイヤモンドバックス(西2位) | フィラデルフィア・フィリーズ(東2位) | 2-0 | マイアミ・マーリンズ(東3位) |
| 2024 | ミルウォーキー・ブルワーズ(中) | 1-2 | ニューヨーク・メッツ(東3位) | サンディエゴ・パドレス(西2位) | 2-0 | アトランタ・ブレーブス(東2位) |
| 2025 | ロサンゼルス・ドジャース(西) | 2-0 | シンシナティ・レッズ(中3位) | シカゴ・カブス(中2位) | 2-1 | サンディエゴ・パドレス(西2位) |
2020年のワイルドカードシリーズ
[編集]2020年は新型コロナウイルス対策により公式戦の試合数が60試合と短縮された関係もあり、出場枠を各リーグ8チームずつの16チームに広げることになった。これにより、各地区2位までの6チームと、3位以下の中から勝率の高かった2チームがワイルドカードとしてノミネートされ、それぞれの順位ごとに勝率の高い順番にシード順位を決定した。
- 地区1位の3チームが第1・2・3シード
- 地区2位の3チームが第4・5・6シード
- ワイルドカードノミネートの2チームが第7・8シード
これによりワイルドカードゲームの組み合わせは
- 第1シード(地区1位)対第8シード(ワイルドカード)
- 第2シード(地区1位)対第7シード(ワイルドカード)
- 第3シード(地区1位)対第6シード(地区2位)
- 第4シード(地区2位)対第5シード(地区2位)
となり、各カードにつき3戦2戦先勝方式を行った[3]。また試合会場については、それぞれの対戦カードごとの勝率の高いチーム(すなわち第1-4シードにノミネートされた側の球団)の本拠地での集中開催となった[4]。
結果は下記のとおり。
| リーグ | シード上位 | 勝敗 | シード下位 |
|---|---|---|---|
| ア・リーグ | タンパベイ・レイズ | 2-0 | トロント・ブルージェイズ |
| オークランド・アスレチックス | 2-1 | シカゴ・ホワイトソックス | |
| ミネソタ・ツインズ | 0-2 | ヒューストン・アストロズ | |
| クリーブランド・インディアンス | 0-2 | ニューヨーク・ヤンキース | |
| ナ・リーグ | ロサンゼルス・ドジャース | 2-0 | ミルウォーキー・ブルワーズ |
| アトランタ・ブレーブス | 2-0 | シンシナティ・レッズ | |
| シカゴ・カブス | 0-2 | マイアミ・マーリンズ | |
| サンディエゴ・パドレス | 2-1 | セントルイス・カージナルス |
出典
[編集]- MLBプレーオフ2022(日刊スポーツ)
脚注
[編集]- ^ ただし、1994年は労使交渉によるストライキのため途中打ち切り、ポストシーズンも行われなかったため、実際に行われたのは1995年からである
- ^ 2020年を除く。
- ^ 【MLB】メジャーリーグ、今季のプレーオフ出場枠が16チームに拡大 選手会が合意
- ^ ワールドシリーズはテキサス州アーリントンで開催 76年ぶりの1カ所開催