出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
2010年の野球において、メジャーリーグベースボール(MLB)のポストシーズンは10月6日に開幕した。ナショナルリーグの第41回リーグチャンピオンシップシリーズ(英語: 41st National League Championship Series、以下「リーグ優勝決定戦」と表記)は、16日から23日にかけて計6試合が開催された。その結果、サンフランシスコ・ジャイアンツ(西地区)がフィラデルフィア・フィリーズ(東地区)を4勝2敗で下し、8年ぶり21回目のリーグ優勝および18回目のワールドシリーズ進出を果たした。
両球団がポストシーズンで対戦するのはこれが初めて。ジャイアンツ監督のブルース・ボウチーは、かつてサンディエゴ・パドレス監督として就任4年目の1998年にチームをナショナルリーグ優勝へ導いたことがあるが、ジャイアンツでも同じく就任4年目のこの年にナショナルリーグを制した[2]。一方のフィリーズは、2008年・2009年に続くリーグ3連覇を逃した。ナショナルリーグ3連覇は1942年から1944年にかけてのセントルイス・カージナルスを最後に途絶え、今回のフィリーズ以前にも延べ9球団が2連覇止まりに終わっていた[3]。シリーズMVPには、第1戦で先制と決勝の2本塁打を放つなど、6試合で打率.350・3本塁打・5打点・OPS 1.385という成績を残したジャイアンツのコディ・ロスが選出された。このあとジャイアンツは、ワールドシリーズでもアメリカンリーグ王者テキサス・レンジャーズを4勝1敗で下し、56年ぶり6度目の優勝を成し遂げた。
10月10日にまずフィリーズ(東地区優勝)が、そして11日にはジャイアンツ(西地区優勝)が、それぞれ地区シリーズ突破を決めてリーグ優勝決定戦へ駒を進めた。
フィリーズは、2009年は93勝69敗で地区3連覇・リーグ2連覇を達成したが、ワールドシリーズで敗退した。エース左腕クリフ・リーがFAまで残り1年となったため、チームは12月にリーをトレードで放出する一方、同じ日に別のトレードで新エースとしてロイ・ハラデイを迎え入れた[4]。2010年は前半戦終了時点で47勝40敗、ポストシーズン進出圏外の地区3位に沈み、首位アトランタ・ブレーブスとは4.5ゲーム差離された。前半戦はジミー・ロリンズやチェイス・アトリーら中軸の相次ぐ故障離脱により打線が弱体化し[5]、ハラデイも7完投・防御率2.19と好投したものの、援護に恵まれず勝敗は10勝7敗にとどまった[6]。だがチームは7月31日のトレード期限までに、打者でなく先発投手のロイ・オズワルトを補強した。打線の故障者が復帰してきたところにオズワルトが加入し、先発ローテーションにハラデイやコール・ハメルズとの3本柱が形成されたことで、後半戦はチームの勝率が50勝25敗と上昇した[7]。ブレーブスとのゲーム差も徐々に縮め、9月上旬に逆転すると12日からは11連勝で突き放す。そのまま27日に地区4連覇を決めた[8]。平均得点4.77はリーグ2位、防御率3.67はリーグ5位。救援投手陣の層が薄いなか、ローテーションの3本柱が1先発あたり7イニング弱を消化したことで、ライアン・マドソンら切り札的投手を終盤の重要な場面で起用しやすくなったのも勝因に挙げられる[9]。地区シリーズではシンシナティ・レッズを3勝0敗で下した[10]。
ジャイアンツは2009年、88勝74敗の地区3位でポストシーズン進出を逃した。チームはオフにFAとなった捕手のベンジー・モリーナと再契約したが、新人バスター・ポージーへの正捕手移行も視野に入れていた[11]。2010年は開幕から1か月ほど地区首位を維持したあと、5月7日にサンディエゴ・パドレスに抜かれる。ポージーは5月29日にメジャーへ昇格し、6月は主に一塁で出場したが、チームはその間に4位まで落ちた。6月が終わるとモリーナはトレードで放出され、7月からはポージーが正捕手に抜擢された。チームの勝敗は、ポージー昇格から6月終了までが15勝15敗だったのに対し、7月は20勝8敗と上向いた[12]。チームは前半戦を47勝41敗で終え、4.0ゲーム差の首位パドレスを後半戦も追う。パドレスが8月26日から15戦13敗と失速したのも相まって[13]、9月半ばから両球団による抜きつ抜かれつの首位争いが展開された。その結果、10月3日のレギュラーシーズン最終戦で直接対決に勝ったジャイアンツが地区を制した[14]。平均得点4.30はリーグ9位、防御率3.36はリーグ最高。投手陣ではエース右腕ティム・リンスカムが一時不振に陥ったものの[15]、ポージーは捕手として全体的に投手陣を好リードしながら、打線でも中軸の重責を果たした[12]。彼のほかに打線で活躍したのはオーブリー・ハフやパット・バレルら、オフやシーズン途中に獲得した選手たちであり、チームの補強も成功といえる[15]。地区シリーズではブレーブスを3勝1敗で下した[16]。
リーグ優勝決定戦の第1・2・6・7戦を本拠地で開催できる "ホームフィールド・アドバンテージ" は、地区優勝球団どうしが対戦する場合はレギュラーシーズンの勝率がより高いほうの球団に、地区優勝球団とワイルドカード球団が対戦する場合は地区優勝球団に与えられる。したがって今シリーズでは、フィリーズがアドバンテージを得る。この年のレギュラーシーズンでは両球団は6試合対戦し、3勝3敗の五分だった[17]。
両チームの出場選手登録(ロースター)は以下の通り。
- 名前の横の★はこの年のオールスターゲームに選出された選手を、#はレギュラーシーズン開幕後に入団した選手を示す。
- 年齢は今シリーズ開幕時点でのもの。
フィリーズは地区シリーズのロースターから1枠を入れ替え、内野手のグレッグ・ダブスに代えて投手のカイル・ケンドリックを加えた。フィリーズは、5戦3勝制の地区シリーズでは先発ローテーションを3人で回し、4番手のジョー・ブラントンはロングリリーフ役にして、5番手のケンドリックをロースターから外していた[18]。リーグ優勝決定戦は7戦4勝制と試合が増えるため、ブラントンが4人目の先発投手としてローテーションに戻り、ブラントンに代わってケンドリックがロングリリーフ役を務める見通しとなった[19]。投手をひとり増やすにあたり、ロースターから外す野手の候補にはダブスと外野手のドモニク・ブラウンが挙がっていた。ダブスを外した場合、三塁手・遊撃手の控えがウィルソン・バルデスだけと手薄になる恐れもあるが、それよりもブラウンの足の速さが買われた[20]。ダブスは地区シリーズでは出番なしに終わっていた。これに対してジャイアンツは、地区シリーズからのロースター変更はない[21]。
2010年のナショナルリーグ優勝決定戦は10月16日に開幕し、途中に移動日を挟んで8日間で6試合が行われた。日程・結果は以下の通り。
| 日付 |
試合 |
ビジター球団(先攻) |
スコア |
ホーム球団(後攻) |
開催球場
|
| 10月16日(土) |
第1戦 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
4-3 |
フィラデルフィア・フィリーズ |
シチズンズ・バンク・パーク |
|
| 10月17日(日) |
第2戦 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
1-6 |
フィラデルフィア・フィリーズ
|
| 10月18日(月) |
|
移動日 |
|
| 10月19日(火) |
第3戦 |
フィラデルフィア・フィリーズ |
0-3 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
AT&Tパーク
|
| 10月20日(水) |
第4戦 |
フィラデルフィア・フィリーズ |
5-6x |
サンフランシスコ・ジャイアンツ
|
| 10月21日(木) |
第5戦 |
フィラデルフィア・フィリーズ |
4-2 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ
|
| 10月22日(金) |
|
移動日 |
|
| 10月23日(土) |
第6戦 |
サンフランシスコ・ジャイアンツ |
3-2 |
フィラデルフィア・フィリーズ |
シチズンズ・バンク・パーク
|
| 優勝:サンフランシスコ・ジャイアンツ(4勝2敗 / 8年ぶり21度目)
|
- ^ Associated Press, "Gerry Davis, Derryl Cousins lead crews," ESPN.com, October 15, 2010. 2021年7月1日閲覧。
- ^ David Waldstein, "Bochy Again Takes Underdog to the World Series," The New York Times, October 24, 2010. 2021年7月1日閲覧。
- ^ Frank Fitzpatrick, Inquirer Staff Writer, "History tells teams just don't three-peat," Inquirer.com, October 16, 2010. 2021年7月1日閲覧。
- ^ Associated Press, "Trade complete: Halladay to Phillies; Lee to Mariners," New York Post, December 16, 2009. 2023年8月5日閲覧。
- ^ David Murphy, "Phillies fire hitting coach Milt Thompson," Inquirer.com, July 23, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ "Five Phillies Predictions for the Second Half," NBC Sports Philadelphia, July 15, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ 杉浦大介 「2010MLB30球団の通信簿 フィラデルフィア・フィリーズ 9月に21勝6敗と勝ちまくり軽々とブレーブスを抜き去る」 『月刊スラッガー』2010年12月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-12、70頁。
- ^ Associated Press, "Roy Halladay's 21st win seals Phillies fourth straight NL East title," ESPN.com, September 28, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ Marc Normandin, Kevin Goldstein, and ESPN Insider, "Kiss'Em Goodbye: Philadelphia Phillies," Baseball Prospectus, October 27, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ Reuters Staff, "Philadelphia Phillies sweep away Cincinnati Reds to advance," Reuters, October 11, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ ESPN.com news services, "Sources: Molina, Giants agree to deal," ESPN.com, January 19, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ a b Jason Turbow, "For Posey and Giants Fans, Timing Is Everything," The New York Times, October 2, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ AP, "Padres Alone In First Again," NBC Bay Area, September 12, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ Associated Press, "Jonathan Sanchez eliminates Padres to give Giants NL West title," ESPN.com, October 3, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ a b 石井孝尚 「2010MLB30球団の通信簿 サンフランシスコ・ジャイアンツ 不安視されていた攻撃陣はセイビアンGMの補強が大当たり」 『月刊スラッガー』2010年12月号、日本スポーツ企画出版社、2010年、雑誌15509-12、82頁。
- ^ Reuters Staff, "SF Giants edge Atlanta Braves to reach NLCS," Reuters, October 12, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ "Head-to-Head Records," Baseball-Reference.com. 2021年7月1日閲覧。
- ^ David Murphy, "Phillies Notebook: Phillies considering Blanton as Game 4 starter," Inquirer.com, October 13, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ Aaron Gleeman, "Phillies tab Domonic Brown, Kyle Kendrick for NLCS roster," NBC Sports, October 15, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ foxsports, "Phillies Notes: Kendrick added; Dobbs off," FOX Sports, October 16, 2010. 2023年8月5日閲覧。
- ^ SFGiantsの2010年10月16日のツイート、2023年8月5日閲覧。
|
|---|
| 球団 | |
|---|
| 歴代本拠地 | |
|---|
| 文化 | |
|---|
| 永久欠番 | |
|---|
| ジャイアンツ球団殿堂 | |
|---|
| ワールドシリーズ優勝(08回) | |
|---|
| ワールドシリーズ敗退(12回) | |
|---|
| リーグ優勝(23回) | |
|---|
| できごと | |
|---|
| 傘下マイナーチーム | |
|---|
|
|---|
| 球団 | |
|---|
| 歴代本拠地 | |
|---|
| 文化 | |
|---|
| 永久欠番 | |
|---|
| フィリーズ球団殿堂 | |
|---|
| ワールドシリーズ優勝(2回) | |
|---|
| ワールドシリーズ敗退(6回) | |
|---|
| リーグ優勝(8回) | |
|---|
| 傘下マイナーチーム | |
|---|