阿武隈川

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阿武隈川
阿武隈川 2007年12月9日撮影
阿武隈川河口
水系 一級水系 阿武隈川
種別 一級河川
延長 239 km
水源の標高 1,835 m
平均流量 117 /s
(舘矢間観測所 1966-2009年平均)
流域面積 5,390 km²
水源 旭岳(福島県)
河口・合流先 太平洋(宮城県)
北緯38度02分47秒
東経140度55分20秒
座標: 北緯38度02分47秒 東経140度55分20秒
流域 福島県宮城県
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郡山市郊外を流れる阿武隈川、河川改修前の河道跡が残る。
角田盆地から仙台平野へ抜ける阿武隈川と阿武隈大堰。
阿武隈川河口部拡大写真と旧河口跡鳥の海。画像下中央貞山運河が接続する。
福島県中通り地方の郡山市を流れる阿武隈川。分水嶺である奥羽山脈日本海へ注ぐ阿賀川水源のひとつ猪苗代湖を望む。
阿武隈川上流域、国道4号東北自動車道東北本線東北新幹線が集中する。
(2007年1月撮影)「解説付き画像

阿武隈川(あぶくまがわ)は、福島県および宮城県を流れる阿武隈川水系の本流で、一級河川[1]である。水系としての流路延長239kmは、東北で北上川に次ぐ長さの川である。古くは大隈川と呼ばれていた。

地理[編集]

那須岳の一つ三本槍岳のすぐ北に位置する福島県西白河郡西郷村の甲子旭岳に源を発し東へ流れる。白河市に入り西白河郡中島村付近で北に流れを変えると、須賀川市郡山市福島市と福島県中通りを縦貫して北に流れる。

福島県と宮城県の境界付近では、阿武隈高地渓谷を抜ける。この区間を並走する国道349号は、待避所のある1車線の険しい道路となっている。宮城県伊具郡丸森町角田盆地に入り、角田市を流れて仙台平野に出る。現在は岩沼市亘理町の境で太平洋に注ぐが、古代の旧河口は現在の鳥の海である。

旧北上川河口から松島湾を経て阿武隈川河口まで、仙台湾沿いに全長約60kmに及ぶ日本最長の運河貞山運河が延びている。この運河により、岩手県の北上川水系、宮城県仙台平野の全ての水系、および、福島県の阿武隈川水系はつながっている。

勾配がゆるやかな川で穏やかな印象があるが、増水時にはあふれやすく洪水被害の絶えない暴れ川でもある。1986年には台風による増水で大規模な洪水が起こっているほか、2011年には津波の逆流により大規模な海嘯が発生している。

流域の市町村[編集]

福島県
西白河郡西郷村白河市、西白河郡泉崎村中島村石川郡石川町、西白河郡矢吹町、石川郡玉川村岩瀬郡鏡石町須賀川市郡山市本宮市安達郡大玉村二本松市福島市伊達市、伊達郡桑折町国見町
宮城県
伊具郡丸森町角田市柴田郡柴田町亘理郡亘理町岩沼市

流域の観光地[編集]

並行する交通[編集]

鉄道[編集]

道路[編集]

アミメカゲロウの大発生[編集]

阿武隈川の中流域、福島盆地内では、約30年前から毎年9月ごろになるとアミメカゲロウが大発生している[2]。カゲロウが橋上へ大量に落下し、がスリップするなどの事故が発生する危険があるため、通行する際には注意が必要である。国土交通省福島河川国道事務所は周辺の橋梁に集虫灯を設置し、また橋上に死骸が落下するのを最小限に抑える対策として晩夏初秋には橋の夜間照明を消灯する橋がある。

福島市中心部を流れる阿武隈川
福島県伊達市梁川町五十沢(いさざわ)の白鳥越冬地(2008年3月15日撮影)。阿武隈川には多数の白鳥越冬地がある。
阿武隈川下流(角田市、2005年4月)

阿武隈川水系の主要河川[編集]

福島県
  • 釈迦堂川
  • 笹原川
  • 大滝根川
  • 逢瀬川 - 日本のロックバンド「音速ライン」の楽曲名に用いられている。
  • 五百川
  • 六角川
  • 荒川
  • 松川 - 1600年に起きた「松川の戦い」で知られる。
  • 摺上川 - 古くは北流して現在の伊達市梁川町五十沢(福島盆地の北端)で阿武隈川と合流していたが、治水のため、現在の地(福島市瀬ノ上)で阿武隈川に合流するよう流路を変えたという伝承がある。
  • 広瀬川
    • 塩野川
    • 小国川
宮城県
  • 内川
  • 雉子尾川
  • 小田川
  • 半田川
  • 高倉川
  • 白石川
    • 大深沢川
    • 河原子沢川
    • 松川(福島県の松川とは別)
    • 荒川(福島県の荒川とは別)

阿武隈川水系の河川施設[編集]

福島市を流れる阿武隈川中流域
阿武隈川・釈迦堂川合流部付近

阿武隈水系においては、支流における河川施設が多く、阿武隈川が流れる福島県中通り地方の年平均降水量は1,500mm(奥羽山脈側)-1,100mm(阿武隈川流域・盆地部)-1,300mm(阿武隈高地側)と少ないため、その多くは灌漑、上水道用のダムである。

河川施設一覧[編集]

一次
支川
(本川)
二次
支川
三次
支川
ダム名 堤高
(m)
総貯水
容量
(千m³)
型式 事業者 備考
[位置]
谷津田川 赤坂ダム 18.3 906 アース 福島県 [1]
堀川 堀川ダム 57.0 5,500 ロックフィル 福島県 [2]
鳥首川 西郷ダム 32.5 3,299 アース 東北農政局 [3]
泉川 泉川ダム 17.5 434 アース 土地改良区 [4]
釈迦堂川 龍生ダム 32.5 939 重力式 福島県 [5]
江花川 藤沼ダム 17.5 1.504 アース 土地改良区 [6]
黄金川 犬神ダム 32.4 1,206 アース 福島県 [7]
今出川 今出ダム 79.5 14,400 重力式 福島県 計画中止
北須川 千五沢ダム 43.0 13,000 アース 福島県 [8]
笹原川 多田野川 深田調整池 55.5 8,690 アース 東北農政局 [9]
上石川 金沢調整池 30.8 1,371 重力式 東北農政局 [10]
逢瀬川 下北沢ダム 19.0 454 アース 郡山市 [11]
七瀬川 三ツ森ダム 28.8 720 アース 福島県 [12]
大滝根川 三春ダム 65.0 42,800 重力式 国土交通省 [13]
大平川 高柴調整池 24.3 115 アース 東北農政局 [14]
山ノ入川 山の入ダム 29.5 1,266 アース 福島県 [15]
原瀬川 岳ダム 60.0 1,100 重力式 福島県 [16]
八反田川 大笹生ダム 27.2 913 アース 福島県 [17]
産ヶ沢川 藤倉ダム 36. 905 重力式 福島県 [18]
摺上川 摺上川ダム 105.0 153,000 ロックフィル 国土交通省 [19]
白石川 七ヶ宿ダム 90.0 109,000 ロックフィル 国土交通省 [20]
白石川 川原子ダム 20.0 2,333 アース 宮城県 [21]
荒川 村田ダム 36.7 1,660 アース 宮城県 [22]
笠島川 山梨(上)ダム 16.0 17 アース 角田市 [23]
阿武隈川 蓬莱ダム 21.5 3,803 重力式 東北電力 [24]
阿武隈川 信夫ダム 21.5 1,872 重力式 東北電力 [25]
阿武隈川 阿武隈大堰 可動堰 国土交通省 [26]

用水路・導水路[編集]

用水路名 所在地 管理者
安積疏水 福島県 土地改良区
西根堰 福島県
東根堰 福島県
貞山運河 宮城県

発電所一覧[編集]

  • 発電所名をクリックすると発電所位置の地図が表示されます。
発電所名 河川名 ダム式
/水路式
運用開始年 最大出力
(kw)
有効落差
/水量
所在地 事業者 備考
真船 阿武隈川 水路 1927年(昭和2年) 999 福島県西白河郡西郷村 東北電力 [27]
前田川 阿武隈川 水路 1906年(明治39年) 125 福島県須賀川市 東北電力
移川 移川 水路 1921年(大正10年) 330 福島県田村郡三春町 東北電力 [28]
青石 移川 水路 1919年(大正8年) 200 福島県田村郡三春町 東北電力 [29]
三春ダム
管理用右岸
大滝根川 ダム 1998年(平成10年) (1,020) (43.9m) 福島県田村郡三春町 東北地方整備局 [30][31]
三春ダム
管理用左岸
大滝根川 水路 1998年(平成10年) 福島県田村郡三春町 東北地方整備局
沼上 五百川 水路 1899年(明治32) 2,100 37.4m
/5.6m³/s
福島県郡山市 東京電力 水源猪苗代湖
竹ノ内 五百川 水路 1919年(大正8年) 3,700 68m
/7.2m³/s
福島県郡山市 東京電力 水源猪苗代湖
丸守 五百川 水路 1921年(大正10年) 5,900 87.4m
/8.2m³/s
福島県郡山市 東京電力 水源猪苗代湖
安積疏水
管理用
多田野川 水路 2004年(平成16年) 2,230 89.8m
/3.2m³/s
福島県郡山市 土地改良区 水源猪苗代湖
仏台 口太川 水路 1915年(大正4年) 150 福島県二本松市 東北電力
沢上 口太川 水路 1908年(明治41年) 340 福島県二本松市 東北電力
小瀬川 移川 水路 1921年(大正10年) 1,100 福島県二本松市 東北電力
土湯 塩ノ川 水路 1931年(昭和6年) 1,190 福島県福島市 東北電力
荒川 荒川 水路 1939年(昭和14年) 3,100 福島県福島市 東北電力
庭坂 天戸川 水路 2001年(平成13年) 1,500 111.2m
/1.6m³/s
福島県福島市 東北電力 [32]
大笹生 松川 水路 1991年(平成3年) 11,400 215m 福島県福島市 東北電力
摺上川 摺上川 ダム 2007年(平成19年) 3,000 82.3m
/4.5m³/s
福島県福島市 東北電力
滝野 摺上川 水路 1910年(明治43年) 900 福島県福島市 東北電力
穴原 摺上川 水路 1912年(大正元年) 1,850 福島県福島市 東北電力
蓬莱 阿武隈川 ダム+水路 1938年(昭和13年) 38,500 77.6m 福島県福島市 東北電力
信夫 阿武隈川 ダム+水路 1939年(昭和14年) 5,950 福島県福島市 東北電力
横川 横川 水路 1,800 宮城県刈田郡七ヶ宿町 東北電力
横川 水路 2,100 宮城県刈田郡七ヶ宿町 東北電力
遠刈田 松川 水路 5,500 宮城県刈田郡蔵王町 東北電力
曲竹 松川 水路 2,500 宮城県刈田郡蔵王町 東北電力
七ヶ宿ダム
管理用
白石川 ダム 1992年(平成4年) 3,600 54.5m
/8.4m³/s
宮城県白石市 東北地方整備局 [33]

[34]

刈田 白石川 水路 宮城県白石市 東北電力
白石 白石川 水路 1910年(明治43年) 750 宮城県白石市 東北電力
蔵本 白石川 水路 3,100 宮城県白石市 東北電力

阿武隈川のダム画像[編集]

阿武隈川の水力発電所画像[編集]

橋梁[編集]


交通[編集]

かつては河川舟運が盛んに行われていた。 きっかけは1664年に福島県の伊達郡信夫郡一帯が天領になり、年貢米(御城米)を江戸へ移送する必要が生じたことによる。移送を請け負った江戸商人、渡辺友以は天領と仙台藩の境にあった難所を拡幅し、長良川で使用されていた小舟(小鵜飼船)を導入したことにより舟運を可能にした。その後、1671年には幕府の依頼により河村瑞賢がさらなる河川改修を行っている[4]元禄時代以降は、福島から丸森までは小型船で、丸森で荷を移し替えて下流へは大型船による運行という棲み分けができた。明治時代に入ると、さらに河道改修が行われ、丸森で乗り換えは要するものの蒸気船が運行されるようになった。明治17年当時の運行会社である逢隈川汽船会舎のチラシによれば、朝6時に福島を出発し、藤場(岩沼)で乗合馬車に乗り換え、夕方6時に仙台に着く行程が設定されていた。同区間には、陸路で馬車が運行されており競合相手となっていたが、いずれも東北本線が開通すると姿を消した[5]

脚注[編集]

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  1. ^ 国土交通大臣一級河川として指定した区間は、左岸が福島県西白河郡西郷村大字鶴生字江森山3番地先、右岸が福島県西白河郡西郷村大字真船字寺下3番のイ地先から河口まである。そのうち、福島県の管理区間は、岩瀬郡鏡石町と西白河郡矢吹町境から左岸が須賀川市大字前田川字滝下、右岸が石川郡玉川村大字滝崎までで、国の管理区間は、須賀川市前田川字深田22番の1地先の国道橋から宮城県河口までである。
  2. ^ カゲロウが大発生する模様は、1985年8月29日に『NHK特集』で「カゲロウ大発生 ~'85秋・阿武隈川異変~」と題して放送された。
  3. ^ 国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成
  4. ^ 亘理町『亘理町史』p283
  5. ^ 岩沼市『岩沼市史』p723

関連項目[編集]

外部リンク[編集]