長良川

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長良川
長良川 2005年6月5日撮影
長良橋付近より長良川と金華山を望む
水系 一級水系 木曽川
種別 一級河川
延長 166 km
平均流量 115.4 m³/s
(忠節観測所1954年 - 2004年)
流域面積 1,985 km²
水源 大日ヶ岳(岐阜県郡上市
水源の標高 1,709 m
河口・合流先 伊勢湾(三重県桑名市
流域 日本の旗 日本
岐阜県愛知県三重県
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長良川(ながらがわ)は、岐阜県郡上市大日ヶ岳に源を発し、三重県を経て揖斐川と合流し、伊勢湾に注ぐ木曽川水系の一級河川である。濃尾平野を流れる木曽三川のひとつ。なお、下流の一部では愛知県にも面し、岐阜県との県境を成している。四万十川柿田川とともに「日本三大清流の一つ」と呼ばれる。

概要[編集]

幹川流路延長166km流域面積1,985km2河床勾配1/500から1/5,000程度の一級河川である[1]。流域内市町村は岐阜市羽島市など13市7町、流域内人口は約88万人。流域の年平均降水量は山間部で約2,500~3,000mm以上、平野部で約2,000~2,500mmで[2]、年間総流量は年度によって増減するが約40億m3である[3]清流として有名であり、柿田川、四万十川とともに日本三大清流のひとつと言われ、中流域が1985年昭和60年)に環境庁(現・環境省)の「名水百選[4] に、また岐阜市の長良橋から上流約1kmまでの水浴場1998年平成10年)に環境庁の「日本の水浴場55選」に、2001年(平成13年)に「日本の水浴場88選」に全国で唯一河川の水浴場で選定された。「長良川鵜飼」で有名。本流河川法で規定されるダムが存在しない事でも知られる。1994年(平成6年)に長良川河口堰が出来るまでは、本州で唯一の本流にの無い大きな川だった。

かつては下流域で木曽川・揖斐川と合流分流を繰り返していたため、木曽川の「支流」という扱いになっていたが、木曽三川分流工事により、現在は堤防によって河口まで流路が分けられている。また、昭和初期まで中流域の岐阜市長良福光で長良古川と長良古々川が分派していたが、1939年(昭和14年)に完成した長良川改修工事によって締め切られ、現在の姿となった。締め切りによって生まれた約160haの広大な土地には岐阜県総合運動場(現・岐阜メモリアルセンター)、岐阜市立中学校(現・岐阜県立岐阜北高等学校)、岐阜県立岐阜商業高等学校岐阜市立伊奈波中学校2012年3月閉校)、岐阜市立明郷中学校(2012年3月閉校)、岐阜市立岐阜清流中学校(2012年4月開校)などの文化施設や教育機関、県営近の島住宅などの住宅団地が多数建てられ、岐阜市の発展の一助となった。なお、長良古川は「早田川」、長良古々川は「正木川」として、かつての流路を確認する事が出来る。

中・下流域では洪水から家屋を守るために大小多数の「輪中」が形成されており、現在もその一部が残されている[5]

また、流域市町村の小中学校や公私立高等学校の校歌にも、金華山とともに長良川が詠われている[6]

流域の自治体[編集]

岐阜県
郡上市美濃市関市岐阜市瑞穂市大垣市墨俣町)、羽島市安八郡安八町、同郡輪之内町海津市
愛知県
愛西市
三重県
桑名市

歴史[編集]

旧名[編集]

江戸時代以前は各流域で異なる名前で呼ばれていた。現在の「長良川」という名称は、大きな洪水により川が長良村を流れるようになって付けられたとされる[7][8]

古事記日本書紀に記載されている「藍見川」[9] が、長良川の旧称という説がある。

かつての流路[編集]

長良川中流域の従来の河筋は、山県郡中屋で武儀川を合流して西へ流れ、太郎丸、高富梅原を経て伊自良川を合流し、方県郡岩利で南流して交人今川折立黒野を経て同郡木田村に至り、津保川の下流(後の長良古川)を合わせて南流し、尻毛江口を経て、墨俣境川(旧木曽川)と合流していた[10][11]

天文3年9月6日1534年10月13日)の大洪水で、激流が中屋村から陸地を押し破り、戸田側島を貫通して各務郡芥見まで新川を形成して津保川と合流し、二川一大河となって方県郡長良村に至り、厚見郡早田村馬場で井水口を押し破って新川(井川、現・長良川本流)を形成し、早田、今泉、若木、池ノ上東島、江口等の諸村を貫通した[10][11]。また、この洪水以前は長良川の河道は厚見郡鏡島村東部を流れ、江崎村の東を経て下奈良村に至っていたが、この洪水後は今の川筋になったとされる。

慶長16年8月12日1611年9月18日)の洪水で、長良村崇福寺前で決壊して方県郡鷺山正木の南を流れる新川(後の長良古々川)を形成して本流筋となったが、漸次その河道が埋まるようになり、元禄寛永の頃には水は主に井川に流れるようになった[12]。寛永13年8月6日1636年9月5日)の洪水で井川が本流筋になると、長良古川と長良古々川には洪水の時にのみ分流することとなった[13]

1921年大正10年)に始まる内務省木曽川上流改修工事の一環として1933年昭和8年)から井川(長良川本流)河道の拡幅工事と長良古川・長良古々川の分派口締め切り工事が行われて1939年(昭和14年)3月31日に竣功し、長良川中流域の河道は現在の姿になった。

治水[編集]

  • 岐阜県岐阜市長良橋両岸には電動式の大規模な陸閘長良橋陸閘)がある。この付近にはこのほか大小約100の陸閘(角落しを含む)がある。
  • 忠節橋から金華橋にかけての長良川左岸には玉石積みの堤防(岐阜特殊堤)がみられ、その堤防上部にはをはさみ込んでかさ上げできるようにした角落しを備えている。

利水[編集]

  • 中流域の岐阜市付近では、地下を長良川の伏流水が流れており、良質の地下水を汲み上げて上水道として供給しているほか[14]、一部では自家井戸で汲み上げて飲料水として利用している。

主な支流[編集]

長良川上の構造物[編集]

鵜飼い大橋
長良大橋

長良川に架かる橋[編集]

下ノ叺橋 - 旧大滝橋 - 大滝橋 - 折立2号橋 - 喰栃橋 - 折立2号橋 - 新井田橋 - 井田橋 - 宮ヶ瀬橋 - 天王橋 - 平成橋 - 中の島橋 - 郡上谷橋 - 大向橋 - 観音橋 - 下向橋 - 油島橋 - 藤の森大橋 - 大向橋 - 歩岐島大橋 - 歩岐島橋 - 平家平橋 - 長滝橋 - 上切橋 - 下向山橋 - 大芝原橋 - 第3上之保川橋梁 - 赤瀬橋 - 白鳥橋 - 奥美濃橋 - 中川原橋 - 越佐橋 - 大島橋 - 中津屋大橋 - 第2上之保川橋梁 - 中津屋橋 - 上万場橋 - 第1上之保川橋梁 - 万場橋 - 名皿部橋 - 釜淵橋 - 西河橋 - 大和橋 - 和合橋 - 中元橋 - 坪佐橋[15] - 報徳橋 - 勝更大橋 - 稲成橋 - 第6長良川橋梁 - 法伝橋 - 第5長良川橋梁 - 貝付橋[16] - 深戸橋[16] - 新美並橋 - 講和橋 - 新三日市橋 - 第4長良川橋梁 - 第3長良川橋梁 - 赤池橋 - 野首橋[17] - 円空街道歩道橋[18]・三城橋 - 郡南橋 - 福野農道橋[19] - 下田橋 - 吉田橋 - 新吉田橋 - 勝原橋 - 第2長良川橋梁 - 白石橋 - 上河和橋[20] - 神母橋 - 上河和大橋 - 洲原橋 - 新立花橋 - 第1長良川橋梁 - 立花橋 - 立花橋 - 新美濃橋 - 美濃橋 - 下渡橋 - 山崎大橋 - 東海環状自動車道長良川橋[21] - 鮎之瀬橋 - 鮎之瀬大橋 - 千疋大橋 - 岐関大橋 - 藍川橋 - 千鳥橋 - 鵜飼い大橋 - 長良橋 - 金華橋 - 忠節橋 - 大縄場大橋 - 鏡島大橋 - 河渡橋 - JR東海道本線長良川橋梁 - 穂積大橋 - 長良大橋 - 羽島大橋 - 東海道新幹線長良川橋梁 - 名神長良川橋 - 大薮大橋 - 南濃大橋 - 東海大橋 - 長良川大橋 - 揖斐長良川水管橋[22] - 東名阪自動車道揖斐長良川橋 - JR関西本線橋梁 - 近鉄名古屋線橋梁 - 伊勢大橋 - 長良川河口堰 -(揖斐川に合流)- 揖斐長良大橋 - 伊勢湾岸自動車道揖斐川橋[23] -(伊勢湾

注記のない出典は[24] による

長良川の堰[編集]

本流には河川法で規定されるダムは存在せず、長良川河口堰を除くと治水を目的としたも存在しないが、上流部には農業用水用の取水用に幾つかの取水堰が設けられている。

名称 長さ(m) 所在地
正ヶ洞水路堰 40 郡上市高鷲町
郡上谷水路堰 30 郡上市高鷲町
観音堂水路堰 45 郡上市高鷲町
二日町用水堰 80 郡上市白鳥町
大井用水堰 84 郡上市白鳥町
白鳥床止め 55 郡上市白鳥町
越佐上用水堰 88 郡上市白鳥町
剣用水堰 78 郡上市白鳥町
万場用水堰 81 郡上市白鳥町
名皿部用水堰 58 郡上市大和町
五町用水堰 136 郡上市八幡町
美並用水堰 90 郡上市美並町
中濃用水堰 152 美濃市
保戸島用水堰 100 関市
長良川河口堰 661 三重県桑名市長島町

長良川を舞台にした作品[編集]

歌謡[編集]

文芸[編集]

その他[編集]

長良川河畔で行われている長良川鵜飼

漁業組合[編集]

  • 郡上漁業協同組合
  • 長良川中央漁業協同組合
  • 長良川漁業協同組合

関連画像[編集]

脚注[編集]

[脚注の使い方]
  1. ^ 木曽三川の概要国土交通省中部地方整備局 木曽川下流河川事務所
  2. ^ 長良川直轄河川改修事業 説明資料、国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所・木曽川下流河川事務所、2020年2月13日、2頁
  3. ^ 第1回 木曽三川下流域自然再生検討会 流域の概要と木曽三川下流域の河川環境について、国土交通省中部地方整備局 木曽川下流河川事務所、2009年2月16日、5頁
  4. ^ 長良川(中流域) - 環境省選定 名水百選
  5. ^ 安藤萬寿男輪中に関する二,三の考察(1)」『水利科学』第115号、水利科学研究所、1977年6月、 1-15頁、 NAID 220000009654
  6. ^ 史跡岐阜城跡保存管理計画書 第3章 岐阜城跡の調査、岐阜市、2014年4月24日、60-63頁
  7. ^ 木曽三川について、国土交通省中部地方整備局
  8. ^ 岐阜県の河川名の由来 - ウェイバックマシン(2016年10月19日アーカイブ分)、国土交通省中部地方整備局 木曽川上流河川事務所
  9. ^ 天若日子命の葬儀のさい、天若日子命と間違えられた阿遅志貴高日子根神が怒り、破壊して蹴飛ばした喪屋が美濃国藍見川上流の喪山となったという。喪山は現在の美濃市(旧・大矢田村)の喪山であり、喪山天神社がある。
  10. ^ a b 『再版 美濃氣候編』附録「美濃往古以来ノ天災地変概禄」、岐阜縣岐阜測候所、1914年3月31日、4頁
  11. ^ a b 『長良川北治水略記』、1-2頁
  12. ^ 『長良川北治水略記』「河川変遷図」注記
  13. ^ 『長良川北治水略記』、4-5頁
  14. ^ [清流・長良川](39)鏡岩水源地 金華山地下、潤いたたえ(連載)=愛知讀賣新聞2004年7月1日朝刊28面、読売新聞中部本社
  15. ^ 北緯35度46分8.7秒 東経136度56分12.7秒”. ウォッちず. 国土地理院. 2013年1月5日閲覧。
  16. ^ a b 東海北陸自動車道 4車線化工事位置図 (PDF)”. 中日本高速道路. 2013年1月5日閲覧。
  17. ^ 北緯35度40分2.1秒 東経136度57分12.4秒”. ウォッちず. 国土地理院. 2013年1月5日閲覧。
  18. ^ 5.長良川 今昔筏場の風景と清流を巡る旅 (PDF)”. 長良川鉄道レール&ウオーク. 郡上地域活性化協議会. 2013年1月5日閲覧。
  19. ^ 長良川リバーマップ 深戸-美並苅安”. YHAラフティング. 2013年1月5日閲覧。
  20. ^ 北緯35度35分51.9秒 東経136度56分41.8秒”. ウォッちず. 国土地理院. 2013年1月5日閲覧。
  21. ^ プレストレスト技術協会賞受賞作品の紹介”. プレストレストコンクリート工学会. 2013年1月5日閲覧。
  22. ^ 北緯35度5分47.2秒 東経136度40分37.5秒”. ウォッちず. 国土地理院. 2013年1月5日閲覧。
  23. ^ 揖斐川橋(その1) (PDF)”. PC設計NEWS. 三井住友建設. 2013年1月5日閲覧。
  24. ^ 水生生物の保全に係る環境基準の類型指定について (PDF)”. 環境省. p. 122. 2013年1月5日閲覧。
  25. ^ ぎふめぐりマップ 広域コース、岐阜市、2014年7月
  26. ^ 暑い日を涼やかに。長良川の名水を使った夏のドリンク、長良川STORY
  27. ^ ペットボトル水「清流 長良川の雫(しずく)を製造しました - ウェイバックマシン(2005年11月17日アーカイブ分)、岐阜市上下水道事業部
  28. ^ 第5位 清流 長良川の雫、環境省 名水百選ポータル

参考資料[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]