秦野盆地
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地理[編集]
- 北側及び西側は丹沢山地、南側は渋沢丘陵(大磯丘陵の一部)、東側は弘法山に囲まれた盆地である。渋沢断層の活動による陥没で形成され、丹沢山地から流れ出る水無川と金目川の扇状地からなる。
- 箱根の芦ノ湖を上回るほどの水量の地下水を有している。
- 秦野盆地と秦野市主要部の範囲はほぼ一致しており、古くから盆地内で1つの経済圏ができていた。盆地の東西を横切る形で東名高速道路、国道246号、小田急小田原線が走っている。
- 神奈川県唯一の盆地である。
歴史[編集]
- 江戸時代以降は、盆地内で葉たばこ生産が盛んになり全国三大銘葉のひとつに数えられた。第二次世界大戦後は東京のベッドタウンとして人口が増加したが、その一方で葉たばこ生産は徐々に衰退していった。1984年に葉たばこ生産は終了した。
秦野盆地湧水群[編集]
秦野盆地扇端部には地下水が湧出しており、その豊富な地下水を水源として全国で3番目に近代的な上水道が整備された[1]。現在、21か所の地下水が自噴しており秦野盆地湧水群として、1985年(昭和60年)名水百選[2]の一つに指定されている。
主な湧水地[編集]
他にも、秦野駅近辺や丹沢山麓に多くの湧水がある。ただし、全体的には湧水の量は市街化の影響で減る傾向にある。
名水の汚染と復活[編集]
1989年1月に湧水の代表的な地点である「弘法の清水」が、塩素系有機化合物テトラクロロエチレンに汚染されていることが週刊誌の報道で判明した。秦野市は同年10月に専門家で構成する地下水汚染対策審議会を設置。翌年には地下水汚染対策の専従班を組織し、1991年(平成3年)から市内の事業所を対象に敷地内調査を開始。1994年(平成6年)1月には全国初の「地下水汚染防止及び浄化に関する条例」を制定した。また、汚染物質の除去を地下水の自然循環にまかせたのでは、浄化までに莫大な時間がかかるため、地下水を人工的に吸い上げ、汚染物質を除去して再び地下に戻す「人工透析的装置」を開発した。2002年(平成14年)には水道水質基準を達成し、2004年(平成16年)1月1日に「秦野盆地湧水群」の名水復活宣言をおこなった。