庄内川

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庄内川
庄内川(2005年3月)
庄内川(名古屋市西区)
水系 一級水系 庄内川
種別 一級河川
延長 96[1] km
水源の標高 727[1] m
平均流量 28.21 /s
(枇杷島観測所2000年)
流域面積 1,010[1] km²
水源 夕立山(岐阜県恵那市[1][2]
河口・合流先 伊勢湾名古屋市港区
流域 日本の旗 日本
岐阜県愛知県
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庄内川(しょうないがわ)は、岐阜県および愛知県を流れ伊勢湾に注ぐ河川一級水系庄内川の本流である。岐阜県内では、「土岐川」と呼ばれている。岐阜・愛知県境の諏訪大橋から下流の玉野渓谷区間では「玉野川」と呼ばれることもある[3] [4]

地理[編集]

流域の概要[編集]

水源は、岐阜県恵那市の夕立山[5]。 瑞浪、土岐、多治見の盆地を流れ、愛知・岐阜県境の玉野渓谷を抜けて、春日井市高蔵寺で濃尾平野に出る。名古屋市港区伊勢湾に注ぐ[5]。 途中、瑞浪市で小里川、土岐市で妻木川、多治見市で笠原川、名古屋市西区矢田川を合流する。 庄内川は都市河川にもかかわらず、河口域には藤前干潟等の豊かな河川環境も残されている[5]

下流域の名古屋市旧市街地を洪水から守るために、「洗堰」と呼ばれる越流堤や小田井遊水地(庄内緑地公園)などの遊水地を旧市街地の反対側に整備している。新川も、そうした庄内川氾濫対策の一つとして整備されたものである。

地形[編集]

庄内川は、夕立山の水源から北西に流れ、その後南西に流れを転じ、屏風山断層に並行して標高200~300メートルの丘陵地を刻むように流れる。瑞浪、土岐、多治見の盆地(東濃盆地)の間は、峡谷を刻んでいる。高蔵寺から下流は瀬戸層群の段丘地形に囲まれ、名古屋市北部から下流は低平地が広がっている。また、庄内川下流域は濃尾平野の海抜ゼロメートル地帯となっている[5]

歴史[編集]

呼称の由来 [6] [編集]

庄内川は昔、土岐川、玉野川、勝川、枇杷島川、番場川、一色川などと、その沿川の地名で呼ばれており、一貫した呼び名はなかった。江戸時代に山田庄(現在の名古屋市北区・西区付近)では、庄の内を流れる川ということで、庄内川と呼ばれるようになったと考えられる。明治になり、愛知県内では各地の異なった名称を統一し、庄内川と呼ばれるようになったと考えられる。岐阜県内では、今でも土岐川と呼ばれている。

水害の歴史 [7][編集]

庄内川流域では、昔から洪水により浸水被害を被ってきた。

  • 1779年安永8年)8月 - 新川開削と洗堰築造のきっかけとなる大洪水が発生。
  • 1839年天保10年)8月 - 高蔵寺(春日井市)地内の堤防決壊。
  • 1896年明治29年)9月 - 高蔵寺、勝川(春日井市)、瀬古(名古屋市守山区)地内で破堤。赤痢が大流行。
  • 1906年(明治37年)7月 - 志段味(名古屋市守山区)、大留(春日井市)、桜佐(春日井市)、勝川、瀬古地内で破堤。
  • 1911年(明治44年)9月 - 高蔵寺地内で破堤。
  • 1934年昭和9年)9月 - 室戸台風
  • 1957年(昭和32年)9月 - 秋雨前線の活動により多治見市中心部のほとんどの家屋が浸水。被災家屋22,428戸(愛知県)、4,540戸(岐阜県)。
  • 1959年(昭和34年)9月 - 伊勢湾台風。庄内川・新川の13ヶ所が破堤。被災家屋140,569戸(愛知県)、6,227世帯(岐阜県)。
  • 1971年(昭和46年)9月 - 台風29号により、庄内川上流圏域で河川が氾濫。床上浸水19棟、床下浸水753棟。[8]
  • 1972年(昭和47年)6月 - 梅雨前線の活動により、上流域での被害甚大。死者6名。被災家屋832棟(愛知県)、1,515棟(岐阜県)。
  • 1975年(昭和50年)7月 - 梅雨前線の活動により、被災家屋10,315棟(愛知県)、107棟(岐阜県)。
  • 1976年(昭和51年)9月 - 台風17号により、床上浸水1,327棟。被災家屋8,713棟(愛知県)。
  • 1983年(昭和58年)9月 - 台風10号と秋雨前線の活動により、出水。被災家屋7,871棟(愛知県)、164棟(岐阜県)。
  • 1988年(昭和63年)9月 - 熱帯低気圧と秋雨前線の活動により、上流域で浸水被害、洗堰からも越流。被災家屋1,896棟(愛知県)、94棟(岐阜県)。
  • 1989年平成元年)9月 - 台風22号により、上流域で浸水被害。被災家屋84棟(愛知県)、571棟(岐阜県)。
  • 1991年(平成3年)9月 - 台風18号と秋雨前線の活動により、内津川などが破堤。JR春日井駅等が冠水した。[8]床上浸水1,722棟。被災家屋6,440棟(愛知県)、16棟(岐阜県)。
  • 1999年(平成11年)6月 - 梅雨前線の活動により、上流部で床上浸水31棟。被災家屋1棟(愛知県)、120棟(岐阜県)。
  • 2000年(平成12年)9月 - 台風14号により、新川が決壊。名古屋市、北名古屋市、清須市等で浸水被害(東海豪雨)。被災家屋34,041棟(愛知県)、8棟(岐阜県)
  • 2011年(平成23年)9月 - 台風15号により、志段味地内で越水。支川では内津川、八田川地蔵川等で越水。地蔵川沿川では400棟以上が浸水。[8]

治水事業の歴史 [5][編集]

小里川ダム
  • 1614年慶長19年)- 徳川家康の名古屋築城に伴う治水事業で、現在の堤防位置に大半の堤が完成する。
  • 1784年天明4年)- 「天明の治水」により、新川洗堰を築造、分派し、庄内川とほぼ並行して伊勢湾に至る新川を開削。
  • 1917年大正7年)度 - 愛知県による改修事業着手。
  • 1932年昭和7年)度 - 岐阜県による改修事業着手。
  • 1932年(昭和7年)度 - 矢田川の河道付替完成。
  • 1936年(昭和11年)度 - 多治見市脇之島地区の河道付替完成。
  • 1937年(昭和12年)度 - 直轄砂防事業着手。
  • 1942年(昭和17年)度 - 直轄改修事業着手。
  • 1950年(昭和25年)度 - 愛知県による改修事業着手。
  • 1958年(昭和33年)度 - 枇杷島「中島」の撤去完成。疎通能力が増強される。
  • 1963年(昭和38年)度 - 昭和34年9月の伊勢湾台風を受けた、伊勢湾等高潮対策事業で高潮堤完成。
  • 1969年(昭和44年)3月 - 一級水系に指定。同4月、大臣直轄区域指定。
  • 1969年(昭和44年)度 - 庄内川水系工事実施基本計画。
  • 1975年(昭和50年)度 - 庄内川水系工事実施基本計画改定(施行)。
  • 1989年平成元年)度 - 小田井遊水地概成。
  • 1999年(平成11年)度 - 同年6月の洪水を受け、土岐川河川災害復旧等関連緊急事業着手。
  • 2000年(平成12年)度 - 東海豪雨を受け、庄内川・新川河川激甚災害対策特別緊急事業着手。
  • 2003年(平成15年)度 - 土岐川河川災害復旧等関連緊急事業完成。
  • 2004年(平成16年)3月 - 小里川ダム竣工。[9]
  • 2004年(平成16年)度 - 庄内川河川激甚災害対策特別緊急事業完成。
  • 2005年(平成17年)11月 - 庄内川水系河川基本整備方針の策定。
  • 2008年(平成20年)3月 - 庄内川水系河川基本整備計画の策定。[10]

河川環境[編集]

水質[編集]

庄内川の水質は、昭和20年代から40年代にかけて、陶磁器原料、釉薬生産、製紙工場等の排水や、生活雑排水の流入により悪化した。その後、昭和45年に制定された水質汚濁防止法の排水規制や下水道整備により改善され、環境基準の類型の変更が行われてきた。現在、水質は改善しつつあり、BODは概ね環境基準を満たしているものの、環境基準の類系指定が、庄内川下流域、矢田川ではD類型、新川下流域ではE類型となっており、全国の一級河川では下位である。[5]

庄内川水系主要河川のBOD平均値 (mg/l)
河川 類型 観測地点 BOD 河川 類型 観測地点 BOD 河川 類型 観測地点 BOD
庄内川上流 A 瑞浪大橋 0.9[11] 庄内川中流(2) D 大留橋 1.3[12] 矢田川下流 D 天神橋 2.9[12]
庄内川中流(1) B 多治見橋 1.0[12] 庄内川中流(2) D 水分橋 3.0[12] 堀川 D 港新橋 8.1[11]
庄内川中流(1) B 天ヶ橋 1.3[12] 庄内川下流 D 枇杷島橋 2.5[12] 新川下流 E 萱津橋 3.1[11]
庄内川中流(1) B 城嶺橋 1.1[12] 小里川 B 小里川ダム貯水池基準 1.5[12] 五条川下流 E 待合橋 2.4[11]

流域の自治体[編集]

岐阜県
恵那市瑞浪市土岐市多治見市
愛知県
瀬戸市春日井市名古屋市清須市あま市海部郡大治町

主な支流[編集]

( )内の自治体は合流・分流地点を表す。[13]

  • 洞川(恵那市・右支川)
  • 藤川(恵那市・左支川)
  • 佐々良木川(瑞浪市・右支川)
  • 滝沢川(瑞浪市・右支川)
  • 寺沢川(瑞浪市・右支川)
  • 豆沢川(瑞浪市・左支川)
  • 小里川(瑞浪市・右支川)
  • 万尺川(瑞浪市・右支川)
  • 狭間川(瑞浪市・左支川)
  • 日吉川(瑞浪市、土岐市・左支川)
  • 賎洞川(土岐市・左支川)
  • 定林寺川(土岐市・左支川)
  • 肥田川(土岐市・右支川)
  • 伊野川(土岐市・左支川)
  • 久尻川(土岐市・左支川)
  • 妻木川(土岐市・右支川)
  • 高田川(多治見市・左支川)
  • 生田川(多治見市・右支川)
  • 笠原川(多治見市・右支川)
  • 大原川(多治見市・左支川)
  • 辛沢川(多治見市・左支川)
  • 市野倉川(多治見市・右支川)
  • 蛇ヶ洞川(瀬戸市・右支川)
  • 定光寺川(瀬戸市・右支川)
  • 鯎川(春日井市・左支川)
  • 水野川(瀬戸市・右支川)
  • 新繁田川(春日井市・左支川)
  • 繁田川(春日井市・左支川)
  • 野添川(名古屋市守山区・右支川)
  • 内津川放水路(春日井市・左支川)
  • 長戸川(名古屋市守山区・右支川)
  • 深沢川(名古屋市守山区・右支川)[要出典]
  • 内津川(春日井市・左支川)
  • 八田川(春日井市、名古屋市北区・左支川)
  • 堀川(名古屋市守山区・右派川)
  • 矢田川(名古屋市西区・右支川)
  • 新川(名古屋市北区、西区・左派川[14]

橋梁[編集]

土岐川橋
多治見橋
城嶺橋
新名西橋(画像手前)と赤とんぼ橋(画像奥)
名港西大橋

(水源)

(河口)

関連画像[編集]

1987年度(昭和62年)に撮影された愛知県春日井市にある高座山の南部を流れる庄内川の航空写真国土交通省 国土画像情報(カラー空中写真)を基に作成。 
土岐市を流れる土岐川。 
庄内緑地の南側にある庄内川の堤防。洗堰になっており、洪水時にはここから庄内緑地に水が流れ込む。 
庄内用水頭首工(名古屋市守山区)。水分橋のすぐ上流にある庄内用水・堀川の基点。 
藤前干潟。庄内川河口部に所在し、ラムサール条約の登録地となっている。 

脚注[編集]

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  1. ^ a b c d 庄内川水系の河川”. 名古屋市. 2012年9月15日閲覧。
  2. ^ 一級河川庄内川水系庄内川”. 愛知県. 2012年9月15日閲覧。
  3. ^ 古虎渓 多治見市の観光スポット”. るるぶ.com. 2016年8月24日閲覧。
  4. ^ 玉野川渓谷”. 春日井市. 2016年8月24日閲覧。
  5. ^ a b c d e f 庄内川水系河川整備計画”. 国土交通省中部地方整備局. 2016年8月22日閲覧。
  6. ^ 土岐川と庄内川”. 国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所. 2016年8月24日閲覧。
  7. ^ 流域の災害史”. 国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所. 2016年8月24日閲覧。
  8. ^ a b c 庄内川水系庄内川上流圏域河川整備計画”. 愛知県、名古屋市. 2016年8月24日閲覧。
  9. ^ 写真で見る小里川ダム工事史”. 国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所. 2016年8月30日閲覧。
  10. ^ 河川整備基本方針・河川整備計画”. 国土交通省. 2016年8月30日閲覧。
  11. ^ a b c d 平成26年度公共用水域水質測定結果(平成27年12月)p79,p81”. 環境省. 2016年9月22日閲覧。
  12. ^ a b c d e f g h 平成27年全国一級河川の水質現況p163”. 国土交通省. 2016年9月22日閲覧。
  13. ^ 流域図”. 国土交通省中部地方整備局庄内川河川事務所. 2016年9月14日閲覧。
  14. ^ 新川洗堰を通して洪水時のみ分流

関連項目[編集]

外部リンク[編集]