田村伊知郎

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田村 伊知郎
埼玉西武ライオンズ #40
Japanese baseball player tamura ichiro.jpg
2018年6月9日 東京ドーム
基本情報
国籍 日本の旗 日本
出身地 兵庫県神戸市
生年月日 (1994-09-19) 1994年9月19日(28歳)
身長
体重
173 cm
86 kg
選手情報
投球・打席 右投左打
ポジション 投手
プロ入り 2016年 ドラフト6位
初出場 2017年5月9日
年俸 1000万円(2023年)[1]
経歴(括弧内はプロチーム在籍年度)

田村 伊知郎(たむら いちろう、1994年9月19日 - )は、兵庫県神戸市出身のプロ野球選手投手)。右投左打。埼玉西武ライオンズ所属。

経歴[編集]

プロ入り前[編集]

小学校2年生から野球を始める。中学時代は山田中学校(軟式)で活躍、3年生の秋にはKボールのクラブチーム「メジャー兵庫」で全国大会に出場し、準優勝を経験した。

高校は報徳学園高等学校に進学。1年夏に全国4強、2年春に甲子園に出場(初戦敗退)し、「スーパー1年生」と騒がれた[2]。高校2年時、秋の近畿大会で後にチームメイトになる駒月仁人から本塁打を打たれた。高校3年の最後の試合は右肩痛で登板することができなかった。

立教大学に進学したが、故障に悩まされ、初勝利を挙げたのは3年春だった[2]。副主将になった4年の7月に第28回ハーレムベースボールウィーク代表に選出され、抑えを担当した[3]。大学通算成績は8勝10敗、防御率3.19。同期に田中和基澤田圭佑がいた。

2016年10月20日に行われたドラフト会議では、埼玉西武ライオンズから6位指名を受け、契約金3000万円、年俸700万円(金額は推定)で契約した[4]。背番号は40

西武時代[編集]

2017年は、5月7日に一軍に初昇格すると、同9日の北海道日本ハムファイターズ戦の9回裏にプロ初登板を果たし、1回無失点と好投した。6月7日に登録抹消となったが、8月にも2週間ほど一軍を経験した[5]。最終的に、一軍で12試合に登板して防御率6.91[6]、二軍では19試合に登板して2勝2敗、防御率2.58の成績を残した[7]。11月25日から台湾で開催された2017アジアウインターベースボールリーグにおいて、NPBウエスタン選抜に選出されたが辞退となった[8]

2018年も開幕を二軍で迎える。6月3日にシーズン初昇格を果たすも[9]、短期間で登録抹消と再登録を2度繰り返し[10][11]、8月8日に3度目の登録抹消となって以降は一軍に昇格できなかった[12]。この年は4試合の登板で防御率3.60という成績だった[13]

2019年は、初めて開幕を一軍で迎えたが[14]6試合の登板で防御率6.14と結果を残せず、4月14日に登録抹消[15]されてからは一度も一軍に上がれずにシーズンを終えた。オフにアメリカ(シアトル)のトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」へ派遣された[16]

2020年は、2年連続で開幕を一軍で迎えた[17]。ホールドの付かない場面が主戦場であったため、ブルペンで肩を作る回数も多く、マウンドに上がればイニングを跨ぐことも少なくなかったが、タフな登板を乗り切ってシーズンのほとんどを一軍で過ごした。最終的に、自己最多の31試合に登板、41イニングを投げて防御率3.95という成績を残した[18]。シーズンオフには、400万円増の推定年俸1000万円で契約を更改した[19]

2021年も開幕を一軍で迎えたが[20]、結果を残せず5月2日に登録抹消された。6月30日に再登録されたが[21]、防御率6.10と振るわず前半戦は8試合の登板に留まった。五輪による中断期間で前半戦は先発を務めていた平井克典マット・ダーモディのリリーフ転向があり[22]後半戦の開幕は二軍で迎えたが、結果を残せなかったダーモディと入れ替わる形で8月28日に一軍へ昇格[23]。9月24日の千葉ロッテマリーンズ戦では、1点を追う4回に登板し、2回1失点だったが、降板直後に味方が勝ち越したことで、プロ5年目にしてプロ初勝利を挙げた[24][25]。チームのクライマックスシリーズ進出が完全消滅したこともあり、右足首痛を抱えていた抑えの平良海馬が大事を取って登録抹消され[26]リード・ギャレットが代役を務めるも不安定な投球が続いたことで[27]、10月20日の日本ハム戦では2点リードの9回表に田村が抑えとして抜擢されると、1回を三者凡退に抑え、プロ初セーブを挙げた[28]。シーズンオフには、250万円増となる、推定年俸1250万円で契約を更改した。

選手としての特徴[編集]

大学時代は最速150km/hのストレートスライダーの2球種が投球のほとんどを占めていた[29]。プロ入り後はチェンジアップフォークナックルカーブカットボールツーシームシュートと様々な球種に挑戦[30][31]。一時期はシュートを中心に右打者のインコースを攻めるスタイルを目指していたが好不調の波が激しく[32]、また2019年オフのアメリカ派遣の成果もあり2020年シーズン終盤からは150km/hを連発するなどストレート主体の投球スタイルに変化している[33]。プロ入り後のストレートの最速は151km/h[34]

人物[編集]

高校の先輩にあたる大谷智久を目標としている[35]

中学時代から非常に成績優秀で、報徳学園高校には選抜クラスの生徒を含め、学年2番で入学した。

中高の体育の教員免許を取得。ドラフト会議直後に教育実習を行なった[36]。単位は3年次までに取り終えるなど、文武両道の選手であった。

2018年のシーズン中に大学時代から交際していた女性と結婚している[37]

詳細情報[編集]

年度別投手成績[編集]





















































W
H
I
P
2017 西武 12 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 66 14.1 18 6 6 0 0 9 0 0 12 11 6.91 1.67
2018 4 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 21 5.0 6 1 0 0 0 3 0 0 2 2 3.60 1.20
2019 6 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 34 7.1 9 1 4 0 0 3 2 0 5 5 6.14 1.77
2020 31 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 181 41.0 47 4 16 0 2 27 4 0 20 18 3.95 1.54
2021 22 0 0 0 0 1 0 1 0 1.000 130 31.0 17 2 16 2 4 20 0 0 10 10 2.90 1.06
2022 3 0 0 0 0 0 0 0 0 ---- 13 3.0 3 0 1 0 0 1 1 0 2 2 6.00 1.33
通算:6年 78 0 0 0 0 1 0 1 0 1.000 445 101.2 100 14 43 2 6 63 7 0 51 48 4.25 1.41
  • 2022年度シーズン終了時

年度別守備成績[編集]



投手












2017 西武 12 0 0 0 0 ----
2018 4 0 0 0 0 ----
2019 6 0 2 1 0 .667
2020 31 4 6 0 0 1.000
2021 22 2 7 1 0 .900
2022 3 0 0 0 0 ----
通算 78 6 15 2 0 .913
  • 2022年度シーズン終了時

記録[編集]

初記録

背番号[編集]

  • 40(2017年 - )

代表歴[編集]

脚注[編集]

  1. ^ 西武 - 契約更改 - プロ野球”. 日刊スポーツ. 2022年12月1日閲覧。
  2. ^ a b 挫折が人を成長させる 元“スーパー高校1年生”立大・田村に吉報は?”. スポーツニッポン (2016年10月6日). 2022年1月22日閲覧。
  3. ^ a b 東京六大学選抜チームが日本代表として出場”. 東京六大学野球連盟. 2017年11月20日閲覧。
  4. ^ 西武 ドラ6の立大・田村と合意”. スポーツニッポン (2016年11月9日). 2022年1月22日閲覧。
  5. ^ 21日の公示 中日は岩瀬、ソフトBは武田らを登録抹消”. Sponichi Annex (2017年8月21日). 2021年9月26日閲覧。
  6. ^ 西武・田村 縄跳びトレで“にゃんこスター級”大ブレークだ”. Sponichi Annex (2017年12月27日). 2021年9月26日閲覧。
  7. ^ 2017年度 埼玉西武ライオンズ 個人投手成績(イースタン・リーグ)”. 日本野球機構. 2017年11月20日閲覧。
  8. ^ 2017アジアウインターベースボールリーグ(AWB)NPBメンバー一覧”. 日本野球機構 (2017年11月22日). 2017年11月23日閲覧。
  9. ^ 阪神藤浪ら1軍登録、阪神ロサリオら抹消/3日公示”. 日刊スポーツ (2018年6月3日). 2021年9月26日閲覧。
  10. ^ 広島今村、巨人今村ら抹消/25日公示”. 日刊スポーツ (2018年6月25日). 2021年9月26日閲覧。
  11. ^ DeNA今永、神里、巨人鍬原ら抹消/12日公示”. 日刊スポーツ (2018年7月12日). 2021年9月26日閲覧。
  12. ^ オリックス小谷野、ヤクルト塩見ら抹消/8日公示”. 日刊スポーツ (2018年8月8日). 2021年9月26日閲覧。
  13. ^ 西武田村50万減で更改「経験生かして挑戦した」”. 日刊スポーツ (2018年11月16日). 2021年9月26日閲覧。
  14. ^ 秋山、山川、中村ら/西武開幕1軍メンバー”. 日刊スポーツ (2019年3月28日). 2021年9月26日閲覧。
  15. ^ 【14日の公示】巨人・吉川尚、ヤクルト・寺原が抹消”. Sponichi Annex (2019年4月14日). 2021年9月26日閲覧。
  16. ^ 西武6投手が“米国留学”リンスカムも利用した施設”. 日刊スポーツ (2019年10月26日). 2021年9月26日閲覧。
  17. ^ 西武開幕1軍メンバー公示/一覧”. 日刊スポーツ (2020年6月18日). 2021年9月26日閲覧。
  18. ^ 西武田村1000万円で更改 キャリアハイの登板数”. 日刊スポーツ (2020年12月3日). 2021年9月26日閲覧。
  19. ^ 西武・田村が400万円増の1000万円でサイン「夢かと思った」”. サンケイスポーツ (2020年12月3日). 2022年2月23日閲覧。
  20. ^ 西武山川、森、中村、高橋光成ら開幕1軍/一覧”. 日刊スポーツ (2021年3月25日). 2021年9月26日閲覧。
  21. ^ ヤクルト・サンタナら登録、巨人石川ら抹消/30日公示”. 日刊スポーツ (2021年6月30日). 2021年9月26日閲覧。
  22. ^ 西武ダーモディ1回0封、後半戦は平井とともに中継ぎてこ入れ配置転換”. 日刊スポーツ (2021年7月29日). 2021年9月26日閲覧。
  23. ^ 西武、ダーモディを抹消 27日に1回3失点”. 西日本スポーツ (2021年8月28日). 2021年9月26日閲覧。
  24. ^ 西武・田村 プロ5年目“無印男”涙の1勝 勝ちも負けもセーブもホールドもなし”. Sponichi Annex (2021年9月25日). 2021年9月26日閲覧。
  25. ^ 西武、首位ロッテに逆転勝ち 大卒5年目の田村が66試合目で待望のプロ初勝利”. BASEBALL KING (2021年9月24日). 2021年9月26日閲覧。
  26. ^ 西武平良海馬が右足首痛で登録抹消「たまに痛みでるって、検査して」辻監督”. 日刊スポーツ (2021年10月15日). 2021年10月20日閲覧。
  27. ^ 西武期待のナベUが6回無失点、3年目渡辺4勝目 田中将KOで楽勝ムードも最後はヒヤヒヤ”. 西日本スポーツ (2021年10月17日). 2021年10月20日閲覧。
  28. ^ 西武・松本が初の2ケタ勝利も猛省「たくさんランナーを出して…」”. BASEBALL KING (2021年10月20日). 2021年10月20日閲覧。
  29. ^ 「スーパー1年生」と騒がれて6年。愚直な田村伊知郎(立教大)が気づいた”適当”の大切さ”. ベースボールチャンネル (2016年9月17日). 2021年9月26日閲覧。
  30. ^ 西武・田村伊知郎「プロ向きの性格」と首脳陣も評価する右腕/新天地1年目を終えて”. 週刊ベースボールONLINE (2017年11月5日). 2021年9月26日閲覧。
  31. ^ 西武田村が新球シュートに手応え、元広島黒田を参考”. 日刊スポーツ (2018年11月18日). 2021年9月26日閲覧。
  32. ^ 西武田村、現状維持700万円でサイン 米トレで課題発見「柔軟性を高めていく」”. Full-Count (2019年12月23日). 2021年9月26日閲覧。
  33. ^ 西武田村の重量感ある下半身/広報イチオシ日誌”. 日刊スポーツ (2021年2月4日). 2021年9月26日閲覧。
  34. ^ 西武田村「高め速球で勝負」米で早くもプルペン入り”. 日刊スポーツ (2019年12月8日). 2021年9月26日閲覧。
  35. ^ 西武 ドラ6田村 目標は“大谷さん”「ずっと背中を追いかけてきた」”. スポーツニッポン (2016年12月9日). 2022年1月22日閲覧。
  36. ^ ギリギリ!?”. 成立学園中学・高等学校 (2016年11月16日). 2022年1月22日閲覧。
  37. ^ 西武・田村が結婚「一軍で活躍することは、2人の目標」”. BASEBALL KING (2018年6月12日). 2021年9月26日閲覧。

関連項目[編集]

外部リンク[編集]