宮武一貴
![]() | この存命人物の記事には検証可能な出典が不足しています。信頼できる情報源の提供に協力をお願いします。存命人物に関する出典の無い、もしくは不完全な情報に基づいた論争の材料、特に潜在的に中傷・誹謗・名誉毀損あるいは有害となるものはすぐに除去する必要があります。(2012年2月) |
宮武 一貴(みやたけ かづたか、1949年9月21日- )は、スタジオぬえ所属のメカニックデザイナー、イラストレーター、コンセプトデザイナー。神奈川県横須賀市出身。本名は渡邊一貴[1][2]。
大河原邦男と並び、日本のメカニックデザイナー職を確立した草分け的存在である。
目次
経歴[編集]
幼少時より父親の仕事で海上自衛隊横須賀基地に出入りする機会が多く、軍艦などに間近に接した経験からミリタリーイラストを描き始める。後に『2001年宇宙の旅』の特撮メカニックに衝撃を受け、宇宙船などのSFイラストに開眼する。
同人時代にはSF小説も執筆し、1972年と1974年にSF同人誌『宇宙塵』に発表した『スーパーバード』『コッペリア』の2編は1977年と1987年に講談社と河出書房新社から出された『宇宙塵』の傑作選にも収録された。
東京農工大学農学部大学院在学中の1972年、同人会の仲間とSFクリスタルアートスタジオを創設(のちにスタジオぬえへ移行)。同僚加藤直之と共に同社の専門であるSFアニメなどのメカニックデザインや、SF関連のイラストを多数手掛け、当時のSFビジュアルシーンに大きな影響を与えた。加藤との共同デザインである小説『宇宙の戦士』(ハヤカワ文庫版)のパワードスーツは、『機動戦士ガンダム』を始めとするリアルロボットアニメの誕生に繋がった。
以来、スタジオぬえ名義のものも含め、メカニックデザイナーとして質・量共に圧倒的な仕事量をこなしてきており、現在でも第一線で活躍している。
アニメの主役級メカとしては『超時空世紀オーガス』のオーガス[3]『聖戦士ダンバイン』のダンバイン[4]などがある。また、幼少時の経験を基にして宇宙艦艇をデザインし、『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』のアンドロメダ[5]や劇場版『銀河鉄道999』のアルカディア号[6]などを手掛けた。スタジオぬえの代表作「マクロスシリーズ」では後輩の河森正治とともにメカニックデザインを手がけ、敵対する異星人の文明(文字・言語・技術・美術体系)など、作品世界全体の設定も行っている。
作風[編集]
SF理論のみならず科学・軍事・生物・建築など多分野にわたって知識を幅広く持つ人物であり、その博識を活かした兵器から動植物まで描き分けるデザインの幅広さや応用力の高さが特徴である。美術全般の設定にも能力を発揮し、近年は作品のトータルの世界観を創造するコンセプトデザイナーとしての活動を主としている。
戦艦や要塞など大きなものをデザインするときは、大きな紙に描くのが望ましい[7]。『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』に登場する超巨大戦艦は紙を横に3枚つなげて設定画を描いた[8]。『超時空要塞マクロス』に登場するブリタイ艦(全長約4,000m)はホワイトボードに描いた[7]。
若手時代から数多く制作し名高いものとして、メカの外装を透かしてその内部構造や機能を描き出すいわゆる「透視図解」イラストがある。『マジンガーZ』のエンディングに使用された図版が有名であるが、これは宮武が学生時代にアルバイトで描いたもので、エンディングで大きく扱われたことには本人が驚いたという[9]。SF小説に登場する宇宙船の他、スーパーロボット系アニメ作品でも自らがデザインしていないメカでも数多く手掛けている。
CG制作に早くからとりくんだ同僚加藤直之とは対照的に、「意思がダイレクトに伝わる」アナログの鉛筆画にこだわり続けている[1]。パソコンや携帯電話は必要性を感じていないため所持しておらず、仕事上での連絡ツールは主に電話とファックス。
人物・エピソード[編集]
小澤さとるを「生みの親」として私淑する一方、本人に会うまでは意図的に、彼に接近する作品を避けてきたと話している[10]。
体格が良く、仕事でアメリカに行ったときは現地の人にインディアンだと思われたというエピソードがある。
参加作品[編集]
記載は年代順である。
アニメ作品[編集]
- マジンガーZ(内部図解)
- ゼロテスター(テスター1 - 3号機のデザイン、ジョン・デドワ名義)
- 宇宙戦艦ヤマト(松本零士原案のメカの清書・細部設定、掲載雑誌用の透視図解)
- 勇者ライディーン
- UFOロボ グレンダイザー(内部図解)
- 超電磁ロボ コン・バトラーV
- 超電磁マシーン ボルテスV
- 無敵超人ザンボット3(戦艦キングビアルのデザイン)
- 超合体魔術ロボ ギンガイザー
- さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち(松本零士原案のメカの清書、その他メカニックデザイン)
- 宇宙海賊キャプテンハーロック(松本零士デザインのアルカディア号クリンナップ、細部設定)
- 闘将ダイモス
- 劇場版銀河鉄道999(アルカディア号のデザイン変更)
- サンダーバード(パイロット版(TV未放映))
- テクノポリス21C(メカニカルデザイン、スクリプター)
- 超時空要塞マクロス(マクロス、デストロイド、ゼントラーディの兵器など多数)
- 聖戦士ダンバイン(オーラマシンのコンセプト作成、ダンバイン、ドラムロ、ダーナ・オシー、ゼラーナ等最初期メカのデザイン)
- 超時空世紀オーガス(メカニックデザイン・シリーズ構成協力)
- ダイコンIVオープニングアニメ(作画協力)
- 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか(プロダクションデザイン)
- ダーティペア 劇場版
- 宇宙の戦士(小説版デザインのリファイン)
- トップをねらえ!(ヱクセリヲン、ヱルトリウムほか宇宙戦艦)
- クラッシャージョウ OVA版
- モルダイバー(コンセプトデザイン)
- マクロスプラス(舞台設定・メカニカル設定)
- マクロス7(艦艇、バロータ軍兵器、プロトデビルンほか、レイアウト設定)
- マクロス ダイナマイト7(プロダクションデザイン)
- ドラえもん のび太の宇宙漂流記(メカニカルデザイン)
- 星方天使エンジェルリンクス(コンセプトメカデザイン)
- ∀ガンダム
- 地球防衛家族
- ラーゼフォン(アートコンセプト)
- 機動戦士ガンダムSEED(デザイン協力)
- マクロス ゼロ(鳥の人デザイン)
- サブマリン707R(メカニックデザイン、画面構成、レイアウト、原画)
- 舞-HiME(カグツチ&オーファン)
- 交響詩篇エウレカセブン(コンセプチュアルデザイン)
- 創聖のアクエリオン(デザイン協力)
- 舞-乙HiME
- ガラスの艦隊[11]
- FLAG
- 機神大戦ギガンティック・フォーミュラ
- マクロスF(コンセプチュアルデザイン)
- スーパーロボット大戦OG -ディバイン・ウォーズ-
- TYTANIA -タイタニア-[12]
- 宇宙をかける少女(メカデザイン)
- いちばんうしろの大魔王(玄鶴・黒龍デザイン)
- スーパーロボット大戦OG -ジ・インスペクター-(メカニックデザイン)
- 宇宙戦艦ヤマト2199(コンセプトデザイン協力)
- クロスアンジュ 天使と竜の輪舞(ドラゴンデザイン)
- ハンドレッド(リトルガーデンデザイン)
- マクロスΔ(シグル=バレンスデザイン)
- ナイツ&マジック(コンセプトデザイン)
特撮作品[編集]
- 仮面ライダーV3(V3およびハリケーン号図解イラスト)
- 秘密戦隊ゴレンジャー他、石ノ森章太郎原作ヒーローのメカニック内部図解も多数てがける。
- 八岐之大蛇の逆襲(機材協力)
- さよならジュピター(メカデザイン・ストーリーボード)
小説・イラスト[編集]
- SUPERBIRDシリーズ(小説挿絵)
- 宇宙の戦士(小説挿絵)
- 北極シティーの反乱(著:小隅黎。ハードカバー版の挿絵)
- 全艦発進せよ!(オール・ファイヤー)SF未来戦記 徳間書店 1978年 (表紙・挿絵)
- ハードSF研究所(会報表紙)
- キャプテン・ケネディ・シリーズ(小説挿絵)
- 銀河乞食軍団・シリーズ(宇宙船デザイン)
- 宇宙防衛軍 遠藤賢司(ジャケット・イラスト) ベルウッド・レコード 1980年
ゲーム作品[編集]
- スーパーロボット大戦シリーズオリジナル(グルンガスト、超機人、鋼機人、スペースノア級万能戦闘母艦)
- 新聖伝メガシード 復活編
- 超時空要塞マクロス 愛・おぼえていますか
- マクロス デジタルミッション VF-X
- ダークアイズ
- 重装機兵ヴァルケン2
- マクロス VF-X2
- パンツァーフロント
- 超鋼戦紀キカイオー
- 宇宙戦艦ヤマト(PlayStation及びPlayStation 2、デザインリファン)
- マクロスM3
- アニムンサクシス(トレーディングカードゲーム)
- 機甲武装Gブレイカー
- ARMORED CORE for Answer(アームズフォート・スティグロ)
- STEEL FANG
- 無限航路
工業製品[編集]
- ガンウォーカー 零壱式主力戦闘足機・全方位移動型6輪走行R/C ガンローラー(京商のラジコンロボット玩具)
その他[編集]
- 宝塚ファミリーランド(閉園)ジェットコースターのりば
- ダイアクロン(メカデザイン)
- ミクロマン(メカデザイン)
- 青の6号 AO6(原作:小澤さとる、メカデザイン)
- 聖剣王シグリード(原作:皆川ゆか、漫画:環望、メカデザイン)
画集[編集]
- 『宮武一貴 マクロス&オーガスデザインワークス』 MOVIC 2005年 ISBN 4-89601-629-7
- 『宮武一貴デザイン集 HIGHLY ORIGINAL WORKS』幻冬舎コミックス 2007年 ISBN 4-344-80957-2
- 『機甲天使ガブリエル』ラピュータ 2008年 ISBN 978-4-947752-84-0 加藤直之と共著
- 『MIYATAKE KAZUTAKA MEGA DESIGNER CREATED MEGA STRUCTURES 宮武一貴画集』ホビージャパン 2017年 ISBN 978-4-7986-1424-3
個展[編集]
- メカニックデザイナー宮武一貴原画展
- 2015年10月24日-11月23日、神奈川県横須賀市の世界三大記念艦「三笠」艦内にて開催[13]。主催:公益法人 三笠保存会、横須賀集客促進実行委員会、協力:スタジオぬえ。
脚注[編集]
- ^ a b “宮武 一貴(かづたか)さん”. タウンニュース横須賀版 人物風土記. (2015年11月20日) 2017年5月1日閲覧。
- ^ 『月刊OUT』1978年3月号17頁の自己紹介文において「スペック…登録名称、渡邊一貴・九百年前の先祖の旧姓「宮武」を名乗る」と記している。
- ^ 後輩の石津泰志をアシストしてデザインをまとめた。主人公側(エマーン)のメカはF1などのモータースポーツをイメージしている。
- ^ 監督富野由悠季の構想から昆虫型メカオーラバトラーのコンセプトを生み出すが、実家の都合で作業を外れたため、出渕裕がデザインを発展させる形となった。
- ^ 艦橋部分は松本零士が修正している。
- ^ 漫画・テレビ版の松本零士デザインのリファイン。艦首に髑髏マークを付けた。
- ^ a b 『マクロスデジタルミッションVF-X 最強攻略ガイド』 小学館、1997年、pp.102-103。
- ^ 「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち設定資料集」 スタジオDNA 2001年。
- ^ 「鉄の城 マジンガーZ解体新書」 講談社 1998年
- ^ ガイナックス『G-Press Stage 23』
- ^ “ガラスの艦隊”. GONZO公式サイト. 2016年5月16日閲覧。
- ^ “スタッフ&キャスト”. NHKアニメワールド タイタニア. オリジナルの2009年3月1日時点によるアーカイブ。 2016年5月6日閲覧。
- ^ “メカニックデザイナー宮武一貴原画展”. 横須賀市観光情報サイト ここはヨコスカ (2015年). 2017年5月1日閲覧。
関連項目[編集]
|
|
|