波動砲

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波動砲(はどうほう)は、アニメ『宇宙戦艦ヤマトシリーズ』に登場する架空の兵器である。正式名称は「艦首波動砲」[1]で、『宇宙戦艦ヤマト2199』においては、「次元波動爆縮放射機」とされる。宇宙戦艦ヤマトの艦載兵器。併せて、その派生兵器についても本項で記述する。

凡例[編集]

概要[編集]

ヤマトの外宇宙航行機関かつメインエンジンである波動エンジンの出力を利用する。艦載砲というよりは艦自体を巨大砲身にするという砲撃システムであるため、宇宙艦の軸線に沿って艦首に発射口を配置するレイアウト以外はありえず、照準も艦自体の姿勢制御をもって行う[2]。艦首方向から眺めた波動砲の発射口の奥は、通常はレンズシャッター状のシールドで閉鎖されており、砲本体は見えない[3]

波動エンジンで生み出される全エネルギーをそのまま使用し、小宇宙1つ分に匹敵するエネルギーを溜め込んで一気に一方方向へ押し出す[4][5]。このため、ヤマトの兵装の内で波動エンジンが作動していなければ使用できない唯一の兵器となっている[6]

波動砲の発射されたエネルギー流の中にはタキオン粒子で覆われた3次元空間があり、この空間は周囲の空間連続体と比べて非常に不安定なもので、攻撃を受けた目標は周囲の時空間が歪曲して崩壊・誘爆に至る。

威力は、初期段階でオーストラリア大陸と同程度の大きさの、木星の浮遊大陸を一撃で消滅させるほどの破壊力を持つ。その後、ヤマトが改装された際には更に強化された。

イスカンダル遠征時には、エネルギー充填率120%での発射のみである[7]ワープとの連続使用は可能であるが、バラノドンを迎撃するべくワープ直後に使用した際には、船体が損傷している。

松本零士は、「波動砲は光線銃じゃなくタキオン粒子を取り込み小宇宙を作り空間ごと吹き飛ばす兵器だから波動砲口は六角形じゃないと撃てない」と述べている[8]

発射スキーム[編集]

以下のスキームは『ヤマト』第5話の浮遊大陸への砲撃の時のもの。状況に応じて作業の追加、省略、順序の入れ替わり等がある。

  1. 波動エンジン再始動に備え、艦内の全機能の電源を切り、再始動に必要な電力を貯蓄する。
  2. エンジン内の圧力を上げ、非常弁を全て閉鎖する。
  3. 波動砲へのエネルギー伝導管の回路を開き、強制注入機を作動させ、エンジン内のタキオン粒子を波動砲のエネルギー充填用シリンダー内の薬室(タキオン圧力調節室)へ注入する。
  4. 薬室内圧力が限界に近づくタイミングで、シリンダー底板の制御ボルトのセーフティロックボルトを解除する。
  5. 操艦を航海長から戦闘班長へ委譲し、艦首を目標方向へ合わせる。
  6. 「ターゲットスコープ オープン」の号令で、ヘッドアップディスプレイトリガー(引き金)がセットされる。電影クロスゲージ(目盛り)の明度を調整した後、目標の種類と距離を読み上げる。
  7. 発射10秒前の段階で、「対ショック・対閃光防御」の号令がかかり[9]、第一艦橋など窓のある部屋にいる乗員は対閃光ゴーグルを装着、発射の反動に備えた防御姿勢をとる。
  8. 戦闘班長がカウントダウン。カウントゼロ、即ち「発射」の合図と同時にトリガーを引く。連動した突入ボルトが後方から前方の制御ボルトをシリンダー内へ押し込む形で突入する。
  9. 制御ボルトにより、一気に前方へ押し出された高圧縮タキオン粒子はバーストセクションで解放され、タキオンバースト波動流となって艦首に大きく開いた発射口から前方へ噴射される。

用語別解説[編集]

ターゲットスコープ
ヘッドアップディスプレイ式の専用照準器。第一艦橋の戦闘班長コンソールに設置されている[10]。「電影クロスゲージ」と呼ばれる目標固定用目盛が備わっており、射撃手は目標の視認性に応じて明度を調整する[11]
通常は実像透過式の目視照準だが、艦橋窓防御シャッター作動時は外部カメラのリアルタイム映像を投影して目視に代える。
初期は計器盤から飛び出すポップアップ式で、『永遠に』での改修後は起き上がり式に変えられた。しかし、『復活篇』で再就航した後はポップアップ式に戻っている。また、リメイク作品である『2199』でもやはり初期同様ポップアップ式となっている。
波動砲トリガー
半自動拳銃の形をした波動砲の発射制御装置。やはり戦闘班長コンソールに設置されている[12][10]
銃身後部に撃鉄が備わっており、発射の際にこれを引くことで発射準備が整う[13]
『2199』では、このトリガーが操縦桿も兼ねており、トリガーのダイヤルスイッチを操作することで艦の向きを微修正し、照準を合わせる仕組みが描写されている。
対ショック・対閃光防御
波動砲発射直前[14]に掛けられる号令。波動砲発射の際に生じる強烈な衝撃と閃光に耐えるために、防御姿勢をとり[15]、目を保護する対閃光ゴーグルを装着する[16]
『2199』では号令と同時に第一艦橋の窓に減光フィルターがかかるようになっているが、それでも艦橋内には相当量の光が届くため、ゴーグルの装着は旧作同様必須となっている。
波動砲制御室[17]
艦首に存在する波動砲の制御室。数名の人員[18]がここで波動砲の微調整を行う。突入ボルトと制御ボルトが設置されており、下部には後述するボルトヘッド・プライマーが格納されている。
旧作では独立した区画だが[19]、『復活篇』では機関室と一体となっており、波動砲の全弾発射システムが起動した際には、防火隔壁によって機関室と隔離される仕組みになっている。
突入ボルト
ストライカーボルトとも呼ばれる、波動砲の撃鉄。円筒状の形状をしている。発射の際に、このボルトが制御ボルトをシリンダーの奥深くまで押し込み、シリンダー内部の薬室内に充填された波動エネルギーを、開放された砲口から放出させる。
発射後は制御ボルトに押し返され元の位置に戻る[20]
『復活篇』における突入ボルトは、リボルバー状に配置された六連波動炉心[21]となっており、他作品とは発射の仕組みそのものが異なる可能性もある。
制御ボルト[22]
シリンダー底部位置に存在する、突入ボルト受け。突入ボルト同様、円筒状の形状をしている。発射の際に突入ボルトによってシリンダー内へ押し込まれ、波動エネルギーを砲口から放出させる。
発射後は反動により後方へ飛び出し、突入ボルトを押し返す[23]が、その際に制御ボルトの隙間からおびただしい光が溢れる。
平時は4本のセーフティロックボルトで固定されており[24]、発射直前に抜き取られる。
なお、『完結編』での波動砲発射の際は、制御ボルトが描かれていなかった。
ボルトヘッド・プライマー
ヤマト自沈システムの一端である、波動砲閉鎖器。形状は円筒状で、片端が砲口の先端まで達するほど長い。片端は歯車のような形状をしており、砲門のライフリングと噛み合うようになっている。
波動砲制御室の下部に格納されており、制御ボルトが取り外された後、電磁クレーンで持ち上げられ、制御ボルトと交換する形で砲口に挿入される。
自沈の原理は砲口を塞ぐことによる波動砲の暴発を利用したもので、自沈までのスキームは波動砲と同じ。劇中では暴発した波動エネルギーを艦内に満載したトリチウムに融合させることにより、惑星間に伸びる水柱を断ち切るほどの大爆発を起こした。
『実写版』では、波動砲口を塞いだ敵ミサイルをボルトヘッド・プライマーとして利用している。
重力アンカー
波動砲発射時における艦の姿勢制御装置。波動砲による強い反動を吸収する役目を持つ[25]。この重力アンカーを解除すると、波動砲発射と同時に艦は真後ろへ大きく飛んで行ってしまう[26]

種類[編集]

ヤマト以外にも波動エンジンや波動砲を搭載する艦船が複数登場し、波動砲にもバリエーションが生まれている。

収束波動砲[編集]

ヤマトが装備する波動砲やデスラー砲が分類されている。「収束波動砲」という名称はゲーム版において拡散波動砲と区別するためにつけられたものであり、アニメ劇中でそのように呼ばれることはない。

エネルギー流がほとんど拡散することなく、文字通り収束した状態でビームのように直進していく。単位面積あたりの破壊力は膨大で、対地戦や対要塞戦など、単一目標に対しては非常に有効であり、劇中では白色彗星の渦の中心核へのピンポイント攻撃などに活躍している。反面、効果範囲が狭い[27]ため、敵が分散している場合はほとんど効果がなく、対艦隊戦での使用には不向きである。

新波動砲[編集]

『永遠に』で登場した、ヤマトの改良型波動砲。波動エンジンのパワーアップによって射程距離・威力などが強化されたものと思われるが、劇中では具体的描写や説明はなされなかった。ただ、波動砲発射後にヤマトが連続ワープを行って二重銀河から離脱していることから、波動砲とワープ航法の連続使用も可能になったことがうかがえる。[独自研究?]

ヤマト自体も何度か改修された結果、エネルギー充填率100%以下での波動砲発射例が確認されている。また、波動カートリッジ弾波動爆雷という派生兵器も開発されている。

なお、「新波動砲」という名称は『永遠に』においてのみ使用されており、その後の作品では単に波動砲と呼んでいる。

拡散波動砲[編集]

『さらば』『ヤマト2』で登場した発展型で、対白色彗星帝国戦で使用された。地球防衛艦隊の旗艦アンドロメダに2門装備され、他の地球防衛艦隊の主力戦艦巡洋艦、パトロール艦などにも1門ずつ装備されている。護衛艦にも装備されているとされるが、こちらは資料によっては大型衝撃砲と表記されているものもある。

各艦とも波動エネルギー増幅装置を装備し、ヤマトの波動砲を上回るエネルギー量がある。無駄に高エネルギーで効果範囲の狭い波動砲の運用上の欠点を、比較的低威力広範囲型に改良したものである。榴散弾のように、ある程度の距離を進んだ後にエネルギー流がシャワー状に拡散し、飛散範囲内にあるものすべてを貫通する。目標を消滅させるのではなく、目標に大穴を開けることによって破壊する。ある程度は拡散点の調整も可能らしい。[要出典]

ヤマトの波動砲よりも広範囲の敵に対して有効とされ、特に艦隊同士の戦闘で威力を発揮する。『さらば』では、アンドロメダが単艦でバルゼー艦隊に先制射撃をかけ、大戦艦駆逐艦などを多数撃沈している。一方で、単位面積当たりの破壊力は低下してしまうデメリットがあり、白色彗星本体に対しては中心核を貫くことができずまったく効果がなかった[28]。以後のシリーズでは、『復活篇』の序盤で、主力戦艦(ドレッドノート級)の武装に採用されていることが確認できるので、対艦隊用波動砲としては高く評価されていたことがうかがえる。[独自研究?]

拡大波動砲[編集]

『完結編』で、地球艦隊の戦艦・巡洋艦に装備されている波動砲。「拡大」という名称ではあるが、劇中の描写では直線的な軌跡となっており、ヤマトの波動砲との違いは不明である。

艦隊の一斉発射をディンギル艦隊の小ワープによってあっさり回避されたため、具体的な威力は不明。ただ、エネルギーチャージタイムはかなり短縮されている。アンドロメダや、ヤマトの「新波動砲」や、護衛戦艦群などを経た、技術蓄積の成果が生かされていると考えられる。[独自研究?]

トランジッション波動砲[編集]

『復活篇』で、ヤマトに新装備された波動砲。波動炉心を6基装備したことで、収束波動砲の6連発が可能となった。大幅にパワーアップされたものの、エネルギーチャージに時間がかかるほか、6発すべてを撃つとエネルギーが0になり、しばらく動けなくなってしまう弱点もある。

6発を1発にまとめて発射することも可能ではあるが、威力が6倍になる分だけ反動と負荷も大きくなるため、ヤマトの艦体がもたない。そのため、6発一斉発射機能については安易に使用できないよう初期状態では隠し機能として秘匿ロックされ、艦内の電算室で可否についての検索が行なわれて初めてモードのスタッフへの開示と機器のロック解除、内部破壊に備えての防護措置(機関室内の防護隔壁の展開)などが一斉に行なわれるようになっている。

デスラー砲 / ハイパーデスラー砲[編集]

ガミラス軍が保有する波動砲と同原理の艦載兵器。

戦闘衛星[編集]

『ヤマト2』でヤマトを妨害するために使用された、地球防衛軍所属防衛用戦闘衛星。元々はガミラス帝国による地球本土上陸に備えて建造された、本土決戦用の兵器であり、地球衛星軌道に配備されていた。主武装は衛星の外周部に連装ショックカノン砲塔6基の他、中心部にタキオン粒子砲(波動砲と同一原理)である。本来の用途からすれば、攻撃面を宇宙側に向けるが、上昇中のヤマトを迎撃する際には、地球側に向けられた。ヤマトの背後が地球だったためか、波動カートリッジ弾にも満たない低威力の砲撃しかできず、ヤマトに破壊された。後に白色彗星帝国の地球襲来の際に実戦投入され、やはり低威力で、侵攻してきた敵艦隊相手にはまったく無力だった。

『ヤマトIII』では、人類の外宇宙進出に伴い、本衛星を始めとする数種類の戦闘衛星がケンタウルス座アルファ星系第4惑星など各植民星にも配備されたが、侵攻してきたガルマン・ガミラスの艦隊には無力で、瞬く間に返り討ちに遭っている。

劇中描写[編集]

最初の使用は試射を兼ね、木星でのガミラス帝国浮遊大陸前線基地との交戦時。松本版コミックとPSゲームでは、ちょうど波動エンジンが暴走中でありエネルギーを消費させるためでもあった(アニメ版ではこの設定は無い)。この時、ガミラスの基地のみならず、オーストラリア大陸ほどの大きさを持っていた浮遊大陸そのものも完全に粉砕してしまうという想像を超えた破壊力を示したため、ヤマト技師長真田志郎は「許されないことをしてしまったのではないのか」と漏らしたほどである。その後の冥王星での戦いでも真田は波動砲の準備を打診するが、今度は沖田が太陽系の共有財産である冥王星や原住生物への配慮から、使用を許さなかった。また、対ゴーランド戦や対プレアデス戦、対グロデーズ戦などで、目標の背後に位置する惑星(それぞれ、テレザート、イスカンダル偽装地球)を巻き込んでしまうため、波動砲の使用を躊躇するシーンがたびたび見られた。強力であるがゆえにかえって使用を制限されるという葛藤や、いかにして波動砲を使用可能な状態に持ち込むかといった戦術上の駆け引きは、ヤマトシリーズの主要な見せ場の1つともなった。

続編では、波動砲装備艦が多数登場するようになり、敵の艦隊や本体の進撃に対して横陣で艦を配し、一斉に波動砲を発射して敵を撃破する戦術が、地球防衛艦隊の特徴的な戦術となった。また、ガルマン・ガミラス艦隊も『ヤマトIII』最終話でボラー連邦艦隊にデスラー砲斉射を行っている。このような艦隊による波動砲砲撃の場合は、最終兵器や切り札としての演出上の役割は薄く、逆に敵に有効打を与えられずかませ犬となることもある。

防御方法[編集]

波動砲やデスラー砲の直接防御方法として、空間磁力メッキ[29]が存在する。真田志郎がガミラス冥王星基地の反射衛星砲をヒントに密かに開発しており、ヤマトの地球帰還直前に受けたデスラー砲による攻撃に対して使用され、跳ね返された自らのデスラー砲によってデスラー艦は撃沈された。また、『ヤマトIII』では、ガルマン・ガミラス帝国東部方面総司令部がヤマトを捕獲した際の要塞の内部に、空間磁力メッキと同様の効果を持つ装甲が施されていた。

『新たなる旅立ち』に登場する自動惑星ゴルバも、波動砲の防御幕を発生させる防御方法を用いている。『ヤマトIII』に登場するボラー連邦機動要塞はデスラー砲の斉射を完全に防御していたが、防御方法は不明。

その後の作品群[編集]

YAMATO2520[編集]

『完結編』より317年後を舞台とする本作では、波動砲やそれに匹敵する兵器がほとんどの戦闘艦に標準装備されており、収束・拡散モードでの打ち分け発射が可能となっている。また、従来の波動砲の欠点である著しい機動力の低下が完全に改善されており、巡航速度での空間移動中に発射することもできるようになっている。これは単純に波動エンジンの小型化と出力アップがなされたことに加え、戦闘艦に改良波動エンジンやそれに匹敵するエンジンの複合式が搭載されていることが、大きな要因となっている。なお、対閃光・対ショック姿勢は不要。

発射されるタキオン粒子自体にも改良が加えられており、発射時にはプラズマ状態へ加工される。これによって宇宙空間でのタキオン粒子の余分な拡散を心配せず、高密度のエネルギー体の生成が可能になった。

本作のメイン艦である18代宇宙戦艦ヤマト(本編ではコスモアドベンチャー型スーパー宇宙戦艦YAMATO)に搭載されている波動砲は、艦体に改良波動エンジン2基を補助エンジン、敵の技術であるモノポールエンジンをメインエンジンとして搭載した結果、従来の収束・拡散型プラズマ波動砲に加え、超波動砲「モノポール砲」やツインノヴァ波動砲といった新兵器が使用可能(制作会社倒産までに発表されたOVA3作品中では、モノポール砲やツインノヴァ波動砲は未使用)という、特殊さを持つに至った。

ヤマトではないものの、セイレーン連邦軍の軍艦も明確に「モノポール砲」という名称の艦首砲を装備した艦が登場している。

宇宙戦艦ヤマト2199[編集]

『ヤマト』のリメイク作品である本作では、波動エンジンの設定再構築に伴い、波動砲にも「次元波動爆縮放射機」(じげんはどうばくしゅくほうしゃき)という正式名称が設定されている。

『ヤマト』から『復活篇』までの旧シリーズのようにタキオン粒子を放射するというものではなく、波動エンジン内で発生した余剰次元を射線上に展開し、発生した超重力で形成されたマイクロブラックホールが放つホーキング輻射により域内の敵を一瞬で蒸発させ吹っ飛ばすという設定に変更されている。また、射線上に強力な次元波動を発生させるため、次元断層の位相境界面等に撃ち込むと、次元の裂け目が生じる。

具体的な原理は、ブチンスキー波動方程式の特殊解に従い、コンパクト化されたカラビ-ヤウ空間の一部を解放するというもの。その本質は超弦コンパクト化ランドスケープであり、時空超対称性モジュライとは直に結びついているというわけではなく、カラビ-ヤウ空間を解放した際のエネルギー放出量は時空超対称性モジュライの散逸には比例していない。そのため超弦真空が発散する可能性があり、そうなれば宇宙が引き裂かれることもありえるらしい[30]

原理的な面以外で劇中での描写に旧シリーズとの大きな違いはないが、本作の波動砲は地球が波動エンジンを建造した際に独自に開発したものであるため、ガミラス側がその存在と威力に驚愕し、恐怖している描写がある。しかし、この時点で既にガミラス側も波動砲と同一原理の砲の開発は進められており、後に「ゲシュ=ダールバム(通称:デスラー砲)」を完成させた。

波動砲と同一原理の砲を最初に作ったのはイスカンダルであり、かつてはそれを使って大マゼラン銀河に大帝国を築き上げた。回想シーンでは、わずか数発の波動砲をもって惑星を粉砕するという残酷な描写がある。やがてこの愚行を恥じるようになったイスカンダルはこの兵器を封印し、なおかつ同じ過ちを繰り返す者がいないようどこにも技術供与はせず、独自に開発したガミラスや地球に対しても難色を示している。そのため、ヤマトのイスカンダル到達後に結ばれた地球イスカンダル和親条約に基づき波動砲は封印、砲口には封印プラグが挿入された。

対艦隊使用に不向きな面が旧シリーズ以上にはっきり描写されており、バラン星宙域において波動砲を撃った際、射線上周囲にいる艦艇はほとんど巻き込まれていなかった。

発射スキーム(2199)[編集]

大凡の内容に変更はないが、作業の順序や各人の役割の一部変更等がある。

  1. 艦内の電源が再起動時に備え非常用に切り替えられ、波動砲口のシャッターが開かれる。
  2. 操艦を航海長から戦術長へ委譲する。
  3. レーダー手から目標の座標が戦術長に伝えられ、戦術長がトリガーを使い艦首を目標方向へ合わせる。
  4. 機関長が波動砲への回路を開き、非常弁を全閉鎖。強制注入機を作動させる。砲雷長が代行することもある。
  5. 戦術長が強制注入機の作動を確認。最終セーフティを解除し、制御ボルトからセーフティロックボルトが抜き取られる。
  6. ターゲットスコープを開く。
  7. 砲雷長が薬室内のエネルギー120%充填完了を報告。
  8. 戦術長が照準の誤差を修正する。
  9. 「対ショック・対閃光防御」の号令とともに、窓に減光フィルターがかかり、乗員は対閃光ゴーグルを装着する[31]
  10. 戦術長が電影クロスゲージの明度を調整し、照準を固定する。
  11. 砲雷長が秒読みを開始し、艦長の「撃て」の号令と同時に戦術長が引き金を引き、波動砲を発射する。

波動砲の観点からの作品評価[編集]

シリーズ第1作におけるヤマトは、波動砲を最初の試射を除き一度も対人使用しておらず、対人使用はヤマトに対して発射されたデスラー砲が初となる。このことから「波動砲を対人兵器として使用しない」という「波動砲神話」なるものが一部で誕生し[32]、第1作を倫理的に優れた作品と神聖視したり、続編での乱用を批判したりする要因になった。しかし、実際には七色星団戦で対人使用を考えるシーンがあるほか、第1作の派生作品では普通に対人使用されている[33]ことから、「波動砲を対人使用しない」というのは結果論で、当時のスタッフにそのような意識はなく、「波動砲神話」自体の是非はともかくそれが第1作の評価材料になるようなことはないとする意見もある[32]

一方で、続編での乱用やそれによる敵味方のパワーインフレを快く思わない声は多く、『2199』では上記の通り波動砲の是非に関する描写が深く描かれている。また、同作終盤で波動砲は封印され、サイドストーリーである『星巡る方舟』でも封印された状態となっているが、これは波動砲の便利アイテム化を防ぎ、なおかつ波動砲封印を味方側の枷として演出する意図がある[34]

ヤマトシリーズ以外での波動砲[編集]

コンピュータゲームの中には、「波動砲」の名称を持ち、『宇宙戦艦ヤマト』と似た描写で発射される兵器が登場する作品が存在する。

脚注[編集]

  1. ^ 宝島社『銀河鉄道999 PERFECT BOOK』では、「タキオン波動収束砲」。
  2. ^ 旋回砲塔に載せたり、地上の固定砲台として建造された例は、デスラー砲を含めて登場しない。
  3. ^ 発射の際には開放されるはずであるが、開放される様子が具体的に描写されたのは『2199』が初となる。なお、『復活篇』では、エネルギーが放出される寸前に開いているような描写がある。
  4. ^ 『ヤマト』第5話での沖田十三の台詞より。
  5. ^ 厳密には若干異なるが、空気砲をイメージすると解りやすい。
  6. ^ 『2199』では、主砲(陽電子衝撃砲)が「射撃機構に波動エネルギーを利用することで小型化と連続砲撃を可能にした」という設定になっている。そのため、主砲も基本的に砲撃には波動エンジンからのエネルギー供給が必要となっており、波動エンジンが作動していなければ数発しか砲撃できない。
  7. ^ 後年の作品である『永遠に』の対グロデースでは充填率を100%までしか読み上げていないほか、『ヤマトIII』の第11話では150%まで充填している。また若桜木虔による小説版 「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」では100%未満で発射する描写がある。
  8. ^ しかし、松本が執筆した漫画作品以外で波動砲口が六角形で描かれたことは滅多にない。
  9. ^ 初回使用時は艦長の沖田が号令しているが、以降は射撃手である古代が号令している。
  10. ^ a b 完結編』では艦長席にも独自のターゲットスコープとトリガーが配備されており、艦長権限のみで使用することも可能。
  11. ^ 劇中では概ね明度は20に合わせられる。例外として、『永遠に』におけるグロデーズ艦隊への発射の際は、明度を9に合わせていた。どちらが明るくどちらが暗いのかは不明。
  12. ^ 銃把が床に固定されており、発射の際に手元まで上がってくる。なお、『復活篇』では戦闘班長コンソールの台の裏に固定されており、発射の際に台が裏返ってトリガーが出現する。『2199』では戦術長コンソールの台の中に収納されており、発射の際に手元まで上がってくる。
  13. ^ 『永遠に』から『完結編』までは、撃鉄に安全装置が備わっていた。
  14. ^ 劇中では概ね秒読み直前である。
  15. ^ 木星での波動砲初使用時は、発射とほぼ同時に射撃手の古代が前屈みになる。ガミラス星での発射時は、乗員がシートに深く座り身構えている描写がある。『ヤマト2』では、シートベルトを締め直すなどの描写がある。
  16. ^ アルファ星通過時や、ガミラス本星の濃硫酸の海への潜航時など、第一艦橋の窓にシャッターが下りている時は、対閃光ゴーグルは不要となる。なお、『永遠に』では、サーシャが聖総統スカルダートに射殺された際、逆上した古代が窓にシャッターが下りていないにもかかわらずゴーグル未装着で波動砲を撃っている。また『ヤマト2』でイレギュラーで艦橋に上がった斉藤始が、ゴーグルが足りずに鉢巻状の布で代用している描写が存在する。『完結編』では水惑星アクエリアスの接近による地球水没を死の覚悟を決めた沖田十三はゴーグル未装着で波動砲を撃っている。『2199』では船外服のバイザーも対閃光効果がある。
  17. ^ 名称は『週刊宇宙戦艦ヤマト OFFICIAL FACT FILE』より。『2199』では劇中でも登場する正式名称である。
  18. ^ 『完結編』以前の作品では機関部員が行っている描写があったが、『2199』では戦術科が行っている。
  19. ^ 『ヤマト』第22話では、「エンジンルーム」と言われているが、脚本ミスと推測される。
  20. ^ 劇中では発射前に突入ボルトが制御ボルトを押し込んだ状態になり、発射と同時に戻ってくるという作画ミスが多々見られる。
  21. ^ 形状は『2520』において18代YAMATOが搭載したものに近い。それに限らず、『復活篇』のメカニックは『ヤマト2』時代から『2520』時代への流れを意識したデザインのものが多い。
  22. ^ 『完結編』では波動圧縮ボルトと呼称されている。また、『週刊宇宙戦艦ヤマト OFFICIAL FACT FILE』では、閉鎖ボルト波動エジェクターと表記されている。
  23. ^ 『宇宙戦艦ヤマト』第5話での描写から。
  24. ^ 『実写版』ではセーフティロックボルトがない代わりに、蓋が備わっていた。
  25. ^ 『2199』では、波動砲発射の際における艦の駐退機となっており、艦体を空間に固定する役目を持つ。
  26. ^ 『ヤマト2』第12話では、それを逆に利用して、デスラーが磁力線封鎖装置を仕掛けた小惑星から脱出した。また、『2199』ではそのオマージュとして、敵の追撃を防ぐため、亜空間ゲートを背にした状態で波動砲を発射し、ゲートへのエネルギー供給を担うコアを破壊しながら後ろ向きにゲートに突入する演出がある。
  27. ^ 範囲は作品ごとにばらつきがあり、『さらば』や『ヤマト2』ではゴーランド艦隊を丸ごと飲み込むほどの広い範囲に効果を及ぼしていたが、『永遠に』や『ヤマトIII』では敵艦1隻や大型ミサイル1発を貫く程度の狭い範囲でしかなかった。『復活篇』では、散開している敵艦隊に波動砲を発射しようとした上条を古代が咎めている。
  28. ^ 『ヤマト2』では、艦隊に対しては火炎直撃砲に阻まれて発射の機会が得られずに終わる。後に、本来不向きな白色彗星本体へのピンポイント攻撃に使用され、周囲のガス体を取り払うことには成功したが、都市帝国本体にはまったくダメージが及ばなかった。
  29. ^ 松本零士の漫画『宇宙戦艦ヤマト』では、空間メッキ防護膜。
  30. ^ 『2199』第15話での真田と百合亜ユリーシャ憑依状態)の会話より。
  31. ^ ただし、実際に乗員が対閃光ゴーグルを装着したのは第一射と第三射のときのみ。第二射と第四射では防御隔壁が閉じていたためゴーグルを未着用で、第五射では船外服のヘルメットのバイザーを使用している。
  32. ^ a b 『いま語るべき宇宙戦艦ヤマト』P62。
  33. ^ 松本零士の漫画版「永遠のジュラ編」や、石津嵐の小説版において。
  34. ^ 出渕裕総監督が語る"波動砲封印"とSFドラマの主眼「相互理解を描きたかった」-『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』 (2) SF的な種明かしもありつつ、主題は"相互理解"をきちんと描くこと、マイナビニュース、2014年12月7日

参考文献[編集]