ワープ

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ワープ(英語:warp)とは、SFに登場する超光速航法の一つである。「スペース・ワープ航法」、原義「歪める」から「宇宙空間歪曲航法」などとも呼ばれる。

概要[編集]

日本ではアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のヒットで良く知られるようになったが、アメリカなどでは『スタートレック』シリーズの"Warp drive"で有名になった用語である。なお、「ワープ」という言葉の指す超光速航法は形態・原理ともに作品間で大きく異なっている。

日本においては「ワープ」本来の意味である「歪める」から離れて、その他多くの超光速航法テレポーテーション(瞬間転移)などの超力学的な特殊な移動手段を指す言葉として、SFファンにもそうでない人々にも使われている。本記事以外の関連記事も参考とされたし。

英語の発音としては、「戦争」の「ウォー」と同じで、カタカナでは「ウォープ」とするのが近いのだが、日本の初期のSFで「ワープ」と書かれ、宇宙戦艦ヤマト(1974年)で一般にも広く「ワープ」で定着してしまった。

物理理論[編集]

(この節の記述は超光速航法とも重なる)

力学相対論において、実数や要素が実数であるベクトルで表される質量速度を負にしたり、複素数にしたりすることによって、数式上は既存の物理理論と整合性を保ったまま、光速を越えることが可能であることが理論的には示される。もっとも「負の質量」や「複素数の速度」を持った物質(エキゾチック物質と総称される。具体的にはタキオンなどのこと)の存在を検証する方法は分かっていない。また単純に、光速を越えることを考えると因果律に反したことが起こるように見える。 アルクビエレ・ドライブは 負の質量によるアインシュタイン方程式の解の例である。

フィクションにおけるワープの分類[編集]

空間歪曲型ワープ[編集]

「宇宙戦艦ヤマト」で見られるタイプのワープで、極めて単純に言えば、宇宙空間内のある点AからBへ移動する際に宇宙の「外」へ飛び出して近道をするのがワープである。この原理はしばしば、紙自体を折り曲げて紙の上に書かれた2点を近づけるという例えで説明される。つまり、紙という平面(2次元)での距離は変わらなくても、空間(3次元)内では接近している。ここで紙(宇宙)から飛び出せばずっと短い距離で到達できるというわけである。

「宇宙戦艦ヤマト」の場合、宇宙空間が初めから4次元的に“曲がっている”ことを利用して近道しているが、作品によっては紙を折り曲げるように宇宙空間そのものを歪曲(これがワープの語源である)させて現在位置と目的地を4次元的に近づけることになっているものもある。空間を折り曲げたり突き抜けたりする理論的根拠としては、アインシュタインの唱えた一般相対性理論量子力学トンネル効果などが作品中で言及されている。

このワープは出口となる場所にデブリがあった場合、艦に致命的なダメージを与えてしまうため1回のジャンプに対し厳密な測定と計算が必要になるものの、速度的には極めて速く、このワープを繰り返すことでヤマトは148000光年彼方の惑星イスカンダルまで半年程度で到達している。

なお、この種のアイディアには、空間の歪みを利用しない瞬間移動型のものを「リープ航法」「ジャンプ航法」(いずれも「跳躍航法」の意)、高次元空間(ハイパースペース)からショートカットするものを「ハイパー航法」と区別することもある。ジャンプ航法はロバート・A・ハインラインStarman Jones(1953年)におけるHorst Transitionが初出であり、四次元空間を通り三次元空間でショートカットするハイパー航法はジョン・W・キャンベルのIslands of Space(1931年)で最初にアイデアが小説化された。また、『ドラえもん』のどこでもドア、『キテレツ大百科』の天狗の抜け穴もこの原理であると考えられる。

通常推進型ワープ[編集]

「スタートレック」シリーズのワープドライブは光速の数百倍の速度で宇宙空間を順当に移動するタイプのワープである。ワープドライブは2063年にアメリカのモンタナ州でゼフレム・コクレーン博士により発明された。

相対性理論によると、この宇宙ではあらゆる物体は光速を超えるスピードを出すことができない。もし加速を続けた場合、その物体の質量は無限大に向かって増え続け、さらに時間の遅れといった奇妙な現象が発生してしまう。そこでスタートレック劇中では「亜空間(Subspace)」という架空の場(電磁場のようなもの)を設定している。亜空間の内部では物質の質量は逆に小さくなり、相対性理論が通用しなくなるというものである。

この亜空間の場は自然にも存在するが、亜空間コイル(ワープコイル)という装置にプラズマを注入することで人工的に発生させることができる。さらに亜空間を1コクレーンのパワーで非対称な泡状に展開すると内部の船はワープ1(光速と等倍速度)の速度で推進する。この「推進型に展開した亜空間フィールドバブル」を「ワープフィールド」と呼ぶ。

宇宙艦のワープナセル(内部にワープコイルが並べられた宇宙艦の翼)から発生したワープフィールドは艦を包み込み、その非対称な形の亜空間の泡は、進行方向に制御可能な微小人工ビッグクランチ(船体前方空間の収縮)、一方、後方でも制御可能な微小人工ビッグバン(船体後方空間の膨張)を発生させることで(川面後方に投石されたボトルシップの如く)推進力を得て光速を突破する。したがってスタートレックの宇宙艦は、光速の数百倍の速度で宇宙空間を純粋に航海する。なおこの時、ワープフィールドが宇宙空間を歪ませ(warp/歪む)ながら推進するため、ワープドライブという名がついた。

また同作ではワープ速度の単位として「ワープファクター(ワープ係数)」という単語が使われる。ワープファクターは宇宙艦が張り出すワープフィールドの枚数によって、その速度が10/3乗ずつ加速していくことから用いられる。ただしワープフィールドは同時に9枚までしか張ることができず、ワープ10は無限大の速度(あらゆる場所に同時に存在する)として不可能となっている。なおワープフィールドを多重に張れば張るほど艦のスピードは上がるが、同時にワープコア(ワープエンジン)の負担も指数関数的に増加していく。

よく用いられる巡航ワープ速度は、スタートレック劇中にもっともよく登場する24世紀後期の惑星連邦艦で通常時にワープ5~6程度、緊急時にワープ9といった運用がされる。最高速度に関しては、有名なジャン=リュック・ピカード艦長のU.S.S.エンタープライズNCC-1701-Dはワープ9.6の速度を12時間維持可能であり、惑星連邦最速の部類に入るキャスリン・ジェインウェイ艦長のU.S.S.ヴォイジャーNCC-74656はワープ9.975の速度を数時間維持できる。

  • ワープ1(光速の1倍)
  • ワープ2(光速の10倍)
  • ワープ3(光速の39倍)
  • ワープ4(光速の102倍)
  • ワープ5(光速の214倍)/ヘカラス条約による制限速度
  • ワープ6(光速の392倍)
  • ワープ7(光速の656倍)
  • ワープ8(光速の1024倍)
  • ワープ9(光速の1516倍)
  • ワープ9.2(光速の1649倍)
  • ワープ9.6(光速の1909倍)/U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Dの最高速度
  • ワープ9.9(光速の3053倍)
  • ワープ9.975(光速の5754倍)/U.S.S.ヴォイジャーNCC-74656の最高速度
  • ワープ9.99(光速の7912倍)
  • ワープ9.9997(光速の198696倍)/亜空間通信速度
  • ワープ9.9999(光速の199516倍)/亜空間通信速度(ブースターリレー使用時)
  • ワープ10(∞)

なおスタートレックには22世紀と23世紀とを舞台にしているシリーズもあるが(それぞれジョナサン・アーチャー船長の「ENT」、ジェイムズ・T・カーク船長の「TOS」シリーズ)、そちらのワープファクターは24世紀式と異なり、ワープスピードは係数の3乗ずつ増加していくというシンプルなものとなっている。これは「旧ワープファクター」と呼ばれており、この場合ワープ10を超える係数が登場する。カーク船長のU.S.S.エンタープライズNCC-1701は一時ワープ14.1の速度を経験したが、これは24世紀式だとおよそワープ9.7となる。

またスタートレックのワープは足が遅いことでも知られ、巡航速度のワープ6では速度を維持し続けたとしても1年間で392光年しか進むことはできない。これは直径10万光年の天の川銀河を旅するどころか、8000光年四方の統治範囲を持つ惑星連邦内の移動にも不十分な速度である。そのため劇中ではワープを遥かに凌駕する速度を実現する夢の技術「トランスワープドライブ」の研究や実験がされる場面をよく目にするが、惑星連邦ではいまだ実現していない。

並行宇宙型ワープ[編集]

一旦、時空の異なる別の並行宇宙へ移動し、また元の宇宙空間へ戻るという物である。時間の流れが異なるため、瞬間移動したように見える。

ワームホール型ワープ[編集]

単純に、ブラックホールからホワイトホールへと空間跳躍する航法である。ブラックホールに突入し、ワームホールを介しホワイトホールから出るという物である。

なお、類似のシステムとして、『スタートレック』シリーズでサイボーグ生命体ボーグが用いているトランスワープチューブ(transwarp conduit)というものもある。

トランスワープとは同シリーズにおける従来のワープの限界を超えるハイスピードワープの総称である。warp9とwarp10(無限速)との間には加速を続けると必要エネルギーが指数関数的に無限に増大するという性質があり、それがこのシリーズにおけるワープシステムの一つの限界となっている。

トランスワープチューブは、安定的な人工ワームホール(厳密には亜空間トンネル・並行宇宙に作られたトンネル)を設置することによって、同シリーズの標準ワープシステムが出せるワープ速度限界をはるかに超えるワープスピードを容易に達成するものである。

研究[編集]

アメリカ航空宇宙局では、ワープ航法を実現する宇宙船の研究を2010年から開始した。2013年には、ワープ航法の存在はまだ実証されていないものの、その理論は物理学の法則に反していない。実現できるという保証はないとしつつも、光速を超えて宇宙空間を移動するワープ航法の性能をもった宇宙船の設計画像を公開している[1]

関連作品[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

脚注[編集]

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  1. ^ これがワープ実現の宇宙船――NASAが画像公開CNN.co.jp(2014年6月13日)2017年1月7日閲覧
  2. ^ キャサリン・アサロ自身による "Complex speeds and special relativity"(1996) が良い解説である。"More on special relativity and complex speeds"(1997) というワークショップでの発表もある。