U.S.S.ヴォイジャー

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U.S.S.ヴォイジャーU.S.S.Voyager)は、テレビ番組『スタートレック:ヴォイジャー』(Star Trek: Voyager, VGRまたはVOY)に登場する架空の宇宙船である。スタートレックシリーズ初の女性艦長の主人公、キャスリン・ジェインウェイ大佐の艦である。

船体概要[編集]

要目
全長 344.4m
全幅 144.8m
全高 55.4m
デッキ数 15
乗員数 150
最高速度 ワープ9.975

スタートレック第4のテレビシリーズ『スタートレック:ヴォイジャー(VOY)』の主役艦。惑星連邦宇宙艦隊所属のイントレピッド級長距離科学艦の2番艦として就航した最新鋭艦。正式名称は「U.S.S.ヴォイジャーNCC-74656」(U.S.S.は連邦宇宙艦、NCCは船体登録番号の意)。艦長はキャスリン・ジェインウェイ大佐。それまでの連邦艦は、例えばU.S.S.エンタープライズDは全長641m総重量500万tと、大きさと優美さを強調するデザインがされていたが、当艦は全長344m総重量70万tと、流線型かつ小型化されたデザインが特徴である。

ディープスペースにおける長期間の科学調査を目的とし、それに向けての設計がなされており、3年間無補給での活動が可能となっている。エンタープライズDに代表されるギャラクシー級ほどの船体規模はないものの、搭載されている技術はより優れており、最新のセンサーやバイオ神経回路を用いたコンピュータシステムを搭載し、また宇宙艦隊最速の部類に入るワープスピードを誇る。船体隔壁はデュラニウム合金製で、クラス9のワープコアで作られたプラズマをEPS (Electro-Plasma System)というシステムで電力に変換し、艦内に配電している。その他、未知の宇宙域での様々な改造や需要にも柔軟に対応できる、非常に優れた船体設計がなされている。

なお当艦には連邦艦に通常見られる第1船体(円盤部)、第2船体(推進部)という区分はあるものの、船体分離機能を備えていない。その代わり、惑星への直接着陸が可能である。着陸する際はレッドアラート(非常警報)ともイエローアラート(警戒警報)とも異なる、なかなか見る機会のないブルーアラート(着陸警報)が発令される。

デルタ宇宙域での漂流[編集]

2371年、キャスリン・ジェインウェイ大佐は当艦の艦長に就任し、処女任務において反連邦組織マキを追跡しプラズマストームの荒れ狂う領域・通称バッドランドに赴く。その際、突如謎の力に捉えられ、75,000光年の彼方――デルタ宇宙域の端まで一気に移動させられてしまう。この移動により船体は深刻なダメージを受け、さらに副長や医療主任、機関主任といった一部の主要クルーを失うこととなる。移動させたのは「管理者」と呼ばれる異星人のアレイ型ステーションであったが、管理者は死期が迫っていた。ステーションの放置が近隣のオカンパ人の危険になると知ったジェインウェイ艦長は、ステーションを破壊する決断をするが、それは同時に帰路が断たれたことを意味し、同じく管理者に捕えられていたマキのメンバーを主要クルーに迎え入れ、彼らと団結する。

かくして、宇宙艦隊と連絡も取れない星図すらまったくない未知の領域で、地球圏まで70年以上もかかる苦難の旅を強いられることとなる。

航行システム[編集]

インパルスドライブ(通常速度推進)[編集]

インパルスエンジン(通常エンジン)は左右のワープナセルパイロン船尾側に1基ずつ設置されている(赤い発光部分)。劇中の邦訳では「インパルスエンジン」、「通常エンジン」とふたつの単語が使われるが同じものである。船体の姿勢を変更するスラスターは第1船体外縁部に4箇所設置されている(オレンジ色の部分)。インパルスドライブは主に、スラスターのみ、1/4インパルス(推力4分の1)、1/2インパルス(推力2分の1)、フルインパルス(推力最大)が運用される。フルインパルスの速度は他の連邦艦同様、光速の25%(時速2億7千万km)である。

なおワープナセルの先端には、船外の燃料粒子を収集するバサードコレクターが設置されている(赤い発光部分)。VOY44話「伝説のミスター・カトー」では星雲内のシリリウムを、VOY127話「亜空間制圧戦争」では惑星大気中の放射性粒子を集めた。ただし当艦のバサードコレクターは効率が悪いようで、ベラナ・トレス中尉やセブン・オブ・ナインはしばしば改良を試みていた。

ワープドライブ(超光速推進)[編集]

当艦は最新型のクラス9のワープコア(VOY96話「新生ボーグの悲劇」によれば、毎秒4,000テラダインのパワーを産出する)を搭載し、惑星連邦宇宙艦隊屈指の高速ワープを実現する。またボーグ集合体やヴォス人などのトランスワープ艦を除けば、宇宙艦隊内のみならず、同時代同時期のあらゆる種族の宇宙艦と比較してもトップクラスのワープスピードを持つ。

他艦には見られない当艦のワープドライブの特徴に、ミクロン単位での角度調整が可能な「可変静翼ワープナセル(Variable geometry pylon)」が挙げられる。艦がワープをする際に、水平だったワープナセルパイロンが30度ほどの角度に持ち上がる。これにより艦は常に最適で鋭い形状のワープフィールドを張ることができ、航路となった時空連続体にワープ痕跡によるダメージを与えることなくハイワープ速度を出すことができる。

ワープ痕跡が宇宙空間に徐々にダメージを与え最終的に深刻な亜空間断裂を引き起こしてしまうという現象はTNG161話「危険なワープ・エネルギー」によって語られ、惑星連邦は「緊急時以外はワープ5(光速の214倍)以下での航行速度を義務づける」というヘカラス条約を制定した。以後宇宙艦隊技術部は、宇宙空間にダメージを与えず高速ワープを実現する技術の開発に尽力する。この可動式ワープナセルは「艦に可動する部分がほしい」というスタートレックのプロデューサーの注文によるものであり、いくつかの候補からワープナセルが選ばれたのだが、結果として「宇宙艦隊がヘカラス条約を教訓に新たに開発した新型ワープドライブ」という記号を当艦に与えることとなった。

ワープ速度に関しては、通常巡航速度ワープ6(光速の392倍)~ワープ8(光速の1024倍)で航行する。デルタ宇宙域での航海は1年で約1000光年進むとされており、数ヵ月単位の長時間にわたってワープ8もの速度を維持できる性能を示している。また緊急を要する場合には15光年の距離を2日で、40光年の距離を5日程度で移動可能であることから、ワープ9.9(光速の3053倍)に近い速度を数日間という長時間にわたって安定して出すことができる(エンタープライズDはワープ9.6(光速の1909倍)の速度を12時間維持するのが限界である)。さらに最大でワープ9.975(光速の5754倍)もの速度を出すことができ、プロメテウス級宇宙艦等と並び連邦艦の中で最速の部類に入る艦である。なおジェインウェイ艦長は就航時、「速度はもっと出せると思います」とパターソン提督と話していた(VOY118話「過去に仕掛けられた罠」)。実際、第6シーズン最終エピソードVOY146話「聖域ユニマトリックス・ゼロ 前編」冒頭では2光年の距離を2時間程度で移動しており、そこから逆算すると光速の8760倍、つまりワープ9.99(光速の7912倍)以上の速度を出せるまでになっている。これは元ボーグのセブン・オブ・ナインをクルーに迎え入れた第4シーズン以降、彼女の持つボーグ技術により数々の船体強化や改良がされたことに起因すると思われる。

トランスワープドライブへの挑戦[編集]

トランスワープとは、通常のワープとは似て非なる技術をもって驚異的なスピードを実現する夢の技術の総称である。惑星連邦においては23世紀のU.S.S.エクセルシオNX-2000のプロジェクトから80年以上に渡って研究が続くもののまったく実用化に至っていない技術であるが、クルーは帰還を早めるられるよう積極的にトランスワープ技術を模索する。VOY31話「限界速度ワープ10」では高性能のダイリチウム結晶を手に入れ、トランスワープの実験を行ったが、パイロットのDNAが変質してしまう上に制御が困難であることが発覚し失敗している。

なおジェインウェイ艦長らは、デルタ宇宙域においてトランスワープ技術を持つ種族のボーグ集合体、ヴォス、生命体8472、生命体116らと遭遇し、それらのうちの一部のトランスワープ技術は船に適用するに至った。

量子スリップストリームドライブ[編集]

VOY94話「裏切られたメッセージ」において、トランスワープ技術のひとつである「量子スリップストリームドライブ(Quantum slipstream drive)」の技術を入手する。この技術はワープコアのパワーをワープナセルではなくディフレクター盤に直結し、そのディフレクター盤を使って艦の前方に亜空間の激流を作り出し、それに押し流される形で光速の数十万~数百万倍の速度を出す技術である。ただし船体構造上の問題か、安定した運用は不可能であり、VOY100話「過去を救いに来た男」では、可能性の未来において量子スリップストリームに失敗し、ベータ宇宙域のタカラ星域にあるとあるLクラス惑星に墜落し全滅してしまった。

当艦の地球帰還後、宇宙艦隊は持ち帰られたこの技術を適用できる船体を開発し、デュアルドーサルネック(第1船体と第2船体をつなぐドーサルネックが2つある)構造を持つオデッセイ級宇宙艦を作ったとされている。

ボーグ・トランスワープ[編集]

ボーグのトランスワープは、トランスワープコイルを使ってトランスワープチューブと呼ばれる亜空間トンネルを作り出し、光速の数万~数百万倍の速度を実現する技術である。VOY109話「ボーグ暗黒フロンティア計画」において、ボーグ艦からトランスワープコイルを入手することに成功し、コイルが壊れるまでに2万光年の距離を一気に進み、地球への帰還を早めた。

なおボーグのトランスワープチューブには既設置型のタイプもあり、ボーグはむしろこちらの方を好んで使用する。VOY最終話「道は星雲の彼方へ」においては、数千のトランスワープチューブの入り口が密集した「トランスワープ・ハブ」が発見される。ジェインウェイ艦長は、ハブを自分たちの帰還のために利用するか、見知らぬ他人を守るために破壊するかの二択を迫られることになる。

センサー[編集]

当艦は宇宙艦隊最新鋭の科学艦であり、非常に精密なセンサーを持ち、数光年先の生命反応をも正確に拾えるほどの広範囲情報収集能力に優れている。船体は外部隔壁を削ってまで各所にセンサープラットフォームが設置されており、第1船体には通常の連邦艦には見られない補助ディフレクター盤も搭載されている。航路のデブリ除去と長距離センサーを兼ねるメインディフレクター盤は船体に対してかなり大型で、高いワープ推進能力と同時にセンサーレンジの広さを確保している。

天体測定ラボ[編集]

第4シーズンのセブン・オブ・ナイン加入後、ハリー・キム少尉は彼女とともに宇宙艦隊とボーグ双方の技術を取り入れた「天体測定ラボ」を新設、従来の10倍正確な星図作成技術を確立し、地球への旅を5年短縮できる新たなコースを提案した(VOY76話「時空侵略戦争・前編」)。天体測定ラボでは大スクリーンを使って集積したセンサーデータの検証ができるため、以後のエピソードでも頻繁に使われた。

さらにボーグのセンサーをも取り入れた当艦は、通常のスキャンでは検知不可能なエネルギーフィールドや時間断裂をも見つけることができる(VOY157話「対立する時空」、VOY168話「原始惑星の人々」)。

戦術システム[編集]

科学艦である当艦は、フェイザーと光子魚雷、マルチフェイズシールドという標準的な24世紀宇宙艦隊仕様の武装をしており、戦闘に特化したディファイアントやエンタープライズEほどの火力や防御力はない。しかし地球から遥か遠いデルタ宇宙域においても、武器やシールドは異星人との交戦において充分に通用する威力を持っており、ボーグやヴォスなどの圧倒的科学力を持つ種族を除けば、まったく歯が立たないということはなかった。なお元ボーグドローンのセブン・オブ・ナインが加入した第4シーズン以降、彼女の持つボーグ技術により艦は徐々に防衛力を高め、第5シーズンにはボーグの小型探査船と同程度の力を持つほどになった(ボーグの攻撃に対して対応力が上がったともいえる)。

フェイザー[編集]

素粒子ビーム兵器のフェイザーはU.S.S.エンタープライズDと同じ、タイプ10フェイザーを装備。レール状のフェイザーバンク(砲台)であるフェイザーアレイは第1船体に8基、第2船体に5基の計13基設置されている。フェイザーは本来、ボーグ艦にはほぼ通用しない兵器であるが、ボーグ技術の知識を得た当艦のフェイザー攻撃はそれなりに有効であるようである(VOY109話「ボーグ暗黒フロンティア計画」、VOY146話「聖域ユニマトリックス・ゼロ 前編」など)。

光子魚雷[編集]

反物質弾頭の光子魚雷は200アイソトンの核出力を持つクラス6弾頭を常時32基積載している。魚雷発射管は第1船体後部に2門、第2船体前部に2門の計4門装備。また魚雷発射管内にはフェイザーバンクも設置されており、時折魚雷発射管からフェイザーが撃たれる場面も見られる。他、就航時には特殊な魚雷であるトリコバルト弾も装備しており、アレイ型ステーションを破壊するのに用いられた。またVOY69話「生命体8472 後編」では光子魚雷を改造し、生命体8472への特効兵器である生体分子弾頭を作ったこともあった。

なお戦艦ではないため魚雷積載数はかなり控えめであり、さらに破壊力の強い量子魚雷、タイプ12フェイザー、パルス式フェイザー等は積載していない。

  • トリコバルト弾は惑星連邦艦に標準搭載されている武器ではなく、VOYのパイロットエピソード以外に連邦艦がこの魚雷を使用しているシーンはない。そのためスタートレックファンのさまざまな考察や解釈を呼んだが、VOY129話「果てしなき疑惑」ではこの考察が逆にネタとしてエピソードに逆輸入された。

防御シールド[編集]

防御シールドは24世紀後期宇宙艦隊の標準的なマルチフェイズシールドを搭載する。シールドは卵の殻状に船体を覆い、宇宙の自然災害や敵艦からの攻撃の直撃を防ぐ。VOY76話「時空侵略戦争・前編」では、クレニム帝国のクロノトン魚雷および時空侵略兵器に対抗すべく「時空シールド」を作ったこともあった。

なお量子魚雷同様、U.S.S.ディファイアントやU.S.S.エンタープライズE、U.S.S.プロメテウスにあったような断熱被膜塗装(アブレーティブ装甲)や、再生式シールドといった戦闘を前提とした高い防御力の仕様はされていない。

またTNGでは「防御スクリーン」と邦訳されていたが、VOYでは「防御シールド」で統一されている。

トランスフェイズ魚雷・可変型アブレーティブ装甲(最終話のみ)[編集]

VOY最終話「道は星雲の彼方へ」において、ボーグの巣窟となっている星雲に乗りこむために、未来からやってきたキャスリン・ジェインウェイ提督から与えられた技術でアップグレードされ、「トランスフェイズ魚雷」と「可変型アブレーティブ装甲」を装備する。トランスフェイズ魚雷は対ボーグに特化した魚雷で、起爆と同時に多種多様な周波数の爆発が広がり、ボーグの適応シールドの脆弱性を突く。装甲は船体表面に設置したアブレーティブジェネレーターにより実体化させた分厚く強固なアブレーティブ装甲で船全体を覆い、装甲表面でディスラプタービームや魚雷の爆発を蒸発させダメージを無効化する(この装甲で覆われた姿は俗に「Armored Voyager」と呼ばれている)。アブレーティブ装甲はボーグキューブの船体の他、U.S.S.ディファイアントやU.S.S.プロメテウスの船体外壁にも「断熱被膜塗装」として用いられているが、それらは可変型ではなく、これほど強力でもない。これらの性能はすさまじく、通常ならば大艦隊で攻撃を仕掛けなければ1隻すら沈められないボーグ・キューブ[1]3隻と交戦したが、トランスフェイズ魚雷3発の発射だけで撃退している(2隻大破、1隻退却)。それ故に、最終話の当艦がスタートレック史上最強だと言われる説もあるほどである。

時間規則を厳守している為か、地球に帰還した後の話である『ネメシス/S.T.X』においてこれらの技術は使用されていない。2409年が舞台の「Star Trek Online」の世界ではどちらも実用化されている。

艦内システム[編集]

バイオ神経回路コンピュータ[編集]

コンピュータはエンタープライズDに用いられていたアイソリニアオプティカルチップによる超光速演算に加え、人間の脳を模したバイオ神経ゲルパックを用いたバイオ神経回路システムを取り入れている。これにより「人間的な最良の選択」が可能になり、コンピュータの性能が向上している。膨大なデータベースはエンタープライズDと同じLCARS(エルカース/Library Computer Access and Retrieval System)というOSにより制御されている。VOY79話「空を飛んだダ・ヴィンチ」によれば、コンピュータプロッセッサは4,700万のデータチャンネルに同時にアクセス可能、1ナノ秒につき575兆の画像変換処理能力を持つ。

  • アイソリニアオプティカルチップはリニアメモリークリスタルで作られた、情報記憶メディアおよび情報処理ナノプロセッサ。形状は透明なUSBメモリのようであり、コンピュータ本体にはこのチップがぎっしり詰まっている。チップは1枚につき2.15キロクワッドの容量を持つ。
  • LCARSは、連邦艦で見られる独特の「明るい色を基調とした、角の丸い四角形」で形作られたコンピュータパネルを作り出す。これらのパネルは、それを考案したマイケル・オクダ氏にちなみ「オクダグラム(Okudagram)」という愛称で呼ばれている。またLCARSという単語は登場人物の台詞には登場しないものの、劇中のコンピュータパネルにおいては頻繁に目にすることができる。

欠点[編集]

最新鋭の連邦艦はバイオ神経回路の搭載により情報処理速度が向上した一方で、当艦はデルタ宇宙域で孤立無援となったため、予備部品・機材の補充もなく、レプリケーターでの複製も困難なバイオ神経回路の故障は致命的な事態となり得る。さらにこのバイオ神経回路は通常の生命体同様に未知の疫病やウイルスなどに弱いという欠点もあり、これにより思いがけない危機に瀕したこともあるが、ワクチンや熱消毒などの有機的治療が可能であることも判明した(VOY16話「バイオ神経回路」、VOY54話「巨大ウイルス」)。また、VOY157話「対立する時空」ではクロノキネティックサージに遭遇し艦内が時間分裂した際、人間用のクロノトン血清を全バイオ神経回路に打つことによって、艦内を同一時間へ戻すことに成功している。

転送装置[編集]

当艦には高度な転送装置が搭載されており、デルタ宇宙域で遭遇した異星人からもしばしば舌を巻かれた。一般的に難しいとされる数百人の異星人の同時転送や、送受信に転送機を直接経由しない「サイト・トゥ・サイト転送」、動く対象を転送ロックするといったことをもごく容易に行うことができる。また機関主任のベラナ・トレス中尉の突発的なひらめきで転送技術が強化されることもあり、VOY7話「ワームホールの崩壊」ではマイクロワームホールを通してその向こうにいるロミュラン艦の艦長を転送収容し、VOY68話「生命体8472・前編」では妨害電波で派遣クルーの転送ロックができなかった時、トレス中尉のひらめきで骨格のミネラルをロックし無事収容できた場面もあった。

レプリケーター[編集]

当艦はレプリケーターも標準搭載している。ただし、エネルギー消費の大きい技術であり、孤立無援の航海における節約の理由から、クルーの私的使用に制限がかけられている(使用権を賭けてゲームをする場面も見られる)。食料は主に立ち寄った惑星での探索や艦内で水耕栽培をすることで手に入れ、タラクシア人のニーリックスが第2デッキの食堂で調理し、クルーの胃袋を満たしている。

ホロデッキ[編集]

ホロデッキは艦内に2箇所あり、娯楽のホロノベルから任務のシミュレーションまで幅広く活用された。特に、危険なボーグ艦への潜入任務や、困難な外科手術、トランスワープ実験のシミュレーションなど、失敗が許されない状況に陥ることが多い当艦にとってホロデッキ訓練は非常に有効であり、まさに必須の訓練設備であった。

娯楽設備としては、トム・パリス中尉はよくホロプログラムを自作し、20世紀初期のレトロな白黒SF映画の世界観の「キャプテン・プロトンの冒険」や、1800年代のアイルランドの田舎町を再現した「フェア・ヘブン」などでクルーを楽しませた。またトゥヴォック少佐が訓練用に作った「反乱計画」がベラナ・トレス中尉によって発見され、ホロノベルとして楽しまれたこともあった。さらに小児用ホロノベルの不朽の名作とされる「フロッターの冒険」は、当艦で生まれた子供のナオミ・ワイルドマンに永らく愛された。

またレプリケーターとホロデッキは、デルタ宇宙域においては見たこともないという種族も多数おり、生き残るための外交手段としても威力を発揮した。ただしレプリケーターは武器をも容易に作ることができるため、「生き残るためとはいえ、教える相手を選ばないといけない」という教訓をジェインウェイ艦長に与えた。

EMH(緊急医療ホログラム)[編集]

当艦は就航当時最新鋭技術だった緊急用医療ホログラム(EMH-Mark1――通称「ドクター」)を搭載している。これはルイス・ジマーマン博士が開発をした高度な医療用ホログラムで、数多くの文明の医学知識や医療技術がプログラムされており、医療室内のホロエミッタにより投影される。EMHは通常のホログラム同様、光子とフォースフィールドで構成された物理的な体を持ち、本物の医者と変わらない仕事をすることができる。

デルタ宇宙域に飛ばされた際の船体ダメージにより医療部員全員が死亡してしまったため、このEMHなしに生還は考えられなかったと言っても過言ではない。EMHは本来人間の医者の代理を務める短期間運用ホログラムドクターであったが、デルタ宇宙域に孤立し、長期的運用を余儀なくされた。当初、ドクターは短期間代用ドクターである自分には荷が重すぎる、どうしていいか分からないと悩んでいたが、医療助手のケスの助けを借りて徐々に人間性を高めていく。またベラナ・トレス中尉らの手によってそのホロマトリックスに数々の拡張プログラムが追加され、結果として彼はユーモアにあふれ、絵画やオペラを愛する医療主任・ドクターの地位を確立していった。また最終的にはクルーが全員退避するような緊急事態における艦の指揮機能「緊急指令ホログラム(ECH)」も得るようになる。

なおEMHはホロエミッタのある医療室かホロデッキのみ活動可能であった。しかしVOY51話「29世紀からの警告・後編」において、29世紀の超小型のホロエミッタである「モバイルエミッタ」を入手し、それ以後EMHは船外にすら出ることができるようになった。

またEMHは宇宙艦隊指折りのホロエンジニアが何年もかけ高度にプログラムされたホロマトリックスを持つ。そのため普通のホロキャラクターを作るように簡単に作成することはできない。ハリー・キム少尉はEMHを作ろうとしたが、医学知識がホロマトリックスに入りきらず失敗している。

アルファ宇宙域においてはバージョンアップされた新型EMHも続々登場している。DS9 114話「ジュリアンの秘密」(VOYでは59話あたりの時期)ではルイス・ジマーマン博士はEMH-Mark2のモデルにDS9のドクターであるジュリアン・ベシア大尉を使おうとしたが、諸事情により結局採用はされなかった。その後VOY82話「プロメテウスの灯を求めて」でベシアがモデルではないEMH-Mark2が登場、VOY144話「ジマーマン博士の屈辱」ではEMH-Mark4まであることが示唆されている。

ECH(緊急指令ホログラム)[編集]

EMHに拡張プログラムとして組み込まれた独自の機能。何らかの理由で人間のクルーが全員退避しなければならない状況において起動され、艦の指揮を任される。ECHは膨大な戦術データベースを参照して適切な指揮をすることができる他、艦の修理もすることができる。

ECHはVOY124話「幻の指揮官」において提案がされ、VOY162話「人間改造惑星クアラ・前編」において初運用された。プログラム起動にはジェインウェイ艦長の指令コードによる起動のほか、EMHが自分自身で機動することもできる。またEMHがECHとなると、制服の色が科学部門の緑から指令部門の赤へと変化するが、階級章はない。

シャトルクラフト[編集]

第2級シャトル[編集]

短距離用の小型ワープ艇シャトルクラフトは第2級・タイプ6「サカジャウェア」、タイプ8「テレシコワ」「ドレイク」、タイプ9「コクレーン」を艦載している。当艦ほどシャトルクラフトの有効性を実証した艦もないであろうと言われるほど、物資の調達や偵察、調査などの数々の任務においてたびたび利用された。また「コクレーン」はトランスワープ実験にも用いられた。

しかし連邦宇宙域に比べ過酷かつ長期になりやすいデルタ宇宙域でのシャトル任務においては、エンジンパワーと船体強度に乏しく船内も狭いシャトルは、徐々にその能力不足が指摘されるようになっていった。実際シャトルはそのパワー不足からたびたび墜落などの憂き目に遭い、死亡したクルーもいる。

なおVOY96話「新生ボーグの悲劇」冒頭では、ベラナ・トレス中尉とトム・パリス中尉の「第2級シャトルの閉所恐怖症」の会話を聞いたセブン・オブ・ナインが「広くて能率的なシャトルを設計すればいいのだ」と述べるシーンがあり、次の97話のデルタフライヤー建造の伏線となっている。

デルタフライヤー[編集]

VOY97話「心は闘いに傷ついて」において、クルーは従来の宇宙艦隊のシャトルより大型かつパワフルで頑丈な新型シャトル「デルタ・フライヤー」を開発・建造した。構想と設計はトム・パリス中尉が中心となり、ベラナ・トレス中尉、トゥヴォック少佐、ハリー・キム少尉、セブン・オブ・ナインによる。従来の箱型をしたシャトルとは異なり、デルタフライヤーは上から見ると菱形の船体をしている。また惑星連邦とボーグ双方の技術が融合されており、船体各所にボーグ艦のような黒地に緑色発光の機関ディティール・ボーグシステム強化装置が見られる。またメインビューウインドウ(車でいえばフロントガラス)はボーグの文様を思わせる独特のピラーが敷かれている。その他、母艦同様の可動式ワープナセル(格納式ワープナセル)、テトラバミューム合金の船体、ユニマトリックスシールド、ボーグ仕様の武装を持つ異色のシャトルとなっている。

また内装セットはシリーズに登場したシャトルの中でもっとも力が入っている。特筆すべきはLCARSコンソールパネルが平面ではなく一部が曲面状という、連邦の最新技術を思わせる新しいデザインをしている点である。デルタフライヤー以外に曲面コンソールパネルを持っているのはVOY94話「裏切られたメッセージ」に登場した偽の連邦艦U.S.S.ドーントレスと、劇場版第10作「ネメシス」のU.S.S.エンタープライズEのみである。さらに操舵席には1999年当時まだ珍しかった薄型液晶ディスプレイが空中設置されコンピュータ画面をアニメーション表示している。しかしすべて新デザインと思いきや、操舵席は古めかしい操縦桿やレバー、アナログメーターなどのトム・パリス中尉の遊び心が反映されたディティールがあり、これまでのシャトルとは一線を隔す愛嬌のある内装となっている。

従来のシャトルと比較してすべての面において強力ではあるが、特にシールドとセンサー、通常速度での機動力が強力で以後のエピソードで頻繁に運用されるようになり、VOY103話「水の惑星に消えた夢」ではモニアン海洋国の深海に潜り、VOY110話「ボーグ暗黒フロンティア計画・後編」では危険なボーグ本拠地であるユニマトリックス01に潜入した。VOY148話「セブンの涙」ではU.S.S.ディファイアントを思わせる鋭い機動力でボーグ艦の残骸デブリが大量に浮かぶ宙域で敵小型艇をかわし、VOY149話「愛の危機」では亜光速限定のラリーレースに参加し、強化されたインパルスエンジンでその機動力をいかんなく発揮した。なお同エピソードエピローグでは船体に「Just married」と書かれ、トム・パリス中尉とベラナ・トレス中尉のブライダルカーとしても使われた。

なおVOY146話「聖域ユニマトリックス・ゼロ 前編」でボーグキューブからの攻撃で破壊されており、148話から登場しているものは別機体で内装がマイナーチェンジされている。

艦長専用シャトル[編集]

第1船体腹部に船体に埋め込まれるようにして格納されているが、劇中では使用することがなかったため、その存在はあまり知られていないが、第1船体下部の切れ込みからその存在を知ることができる。なお劇場版第9作『スタートレック 叛乱』では、同様の場所に格納されたU.S.S.エンタープライズEの艦長専用シャトルが登場し、こちらはクストー(Cousteau)と名づけられている。ちなみにU.S.S.エンタープライズDにも同様の艦長専用シャトルが埋め込まれているが同様にテレビシリーズでは運用されず、関連書籍のイラストで紹介されるに留まった。

  • 第1船体腹部にはセンサーパレット群の他、扇形の貨物室シャッターがあるがこちらも劇中で使用されるシーンはない。当艦に限らずエンタープライズにも言えることだが、スタートレックに登場する連邦艦は艦長専用シャトルに限らず「無駄になってもいい」という思いでデザインされたディティールがかなり多い。具体的な一例としては、後部魚雷発射管のすぐ上には貨物室やホロデッキ入口と同じデザインの扉のEVAハッチが、第2船体腹部にはワープコア射出口(何回か使われた)の他に補助パワーコア射出口と燃料給油口および貨物室シャッターがあるが、劇中で使われたことは一度もない。

デッキ構成[編集]

  • 第1デッキ:メインブリッジ、艦長室、会議室
  • 第2デッキ:食堂
  • 第3デッキ:乗員私室、転送室
  • 第4デッキ:乗員私室
  • 第5デッキ:医療室
  • 第6デッキ:乗員私室、第1ホロデッキ、第2ホロデッキ
  • 第7デッキ:貨物室
  • 第8デッキ:天体測定ラボ、貨物室
  • 第9デッキA:艦長専用シャトル
  • 第9デッキB:乗員私室
  • 第10デッキ:シャトル格納庫
  • 第11デッキ:機関室
  • 第15デッキ:プラズマリレー室

主要クルー[編集]

生粋の宇宙艦隊士官だけではなく、マキ出身の暫定士官が1/4ほどを占める。第1シーズンではアウトローのマキのクルーと、士官然とした艦隊クルーとの対立エピソードが見られるが(VOY11話「裏切り者」、16話「バイオ神経回路」)、不評であったために早々に見られなくなり、代わりに困難に対して一致団結する姿が描かれるようになった。

ケスは第3シーズンまでのレギュラーで、第4シーズンからセブン・オブ・ナインと交代する。そのため第4シーズンの69、70話はケスが重要な役回りをするエピソードであるものの、クレジットでは演者のジェニファー・リーンはすでにゲスト扱いとなっている。ケスの離脱理由はジェニファー・リーンに原因があったのではなく、DVDの特典映像によれば「敵であるボーグをクルーに加えたら……」というアイデアを実現したかったという、スタートレックプロデューサーの意向である。

  • 艦長:キャスリン・ジェインウェイ大佐
  • 副長:チャコティ少佐
  • 戦術・保安主任/第2副長:トゥヴォック大尉(73話で少佐に昇格)
  • 操舵主任:トーマス・ユージン・パリス中尉
  • 機関主任:ベラナ・トレス中尉
  • オペレーター主任:ハリー・キム少尉
  • 医療主任:緊急医療ホログラム
  • 医療助手:ケス(70話で離脱)
  • デルタ宇宙域ガイド・コック・親善大使:ニーリックス
  • 元ボーグドローン:セブン・オブ・ナイン(69話から加入)

脚注[編集]

  1. ^ 宇宙艦隊はウルフ359の戦いでは一隻のボーグ・キューブ相手に39隻の宇宙艦を損失して全滅しており、セクター001の戦いを一撃で爆散させた。

関連項目[編集]