光子魚雷

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光子魚雷(こうしぎょらい、Photon torpedo)とはSFに登場する架空の武器で、宇宙空間用の魚雷とされる。

この兵器が初登場したのは1966年放送開始のアメリカのSFドラマ『スタートレック(邦題「宇宙大作戦」)』第2シーズンである。これ以後、光子魚雷は様々なSF作品に登場してきた。

兵器としての威力や宇宙を飛行する推進方法は千差万別で一概には決められないが、光子の名称が付いている通り光速以上かそれに近い速度で飛行する兵器である場合がほとんどである。作品によってはミサイルのような誘導が出来ないと設定されていたり、一方でミサイルと同じ扱いになっているなど、ミサイルとの差別化が曖昧なものとなっている事が多い。

光子魚雷(スタートレック)[編集]

スタートレックにおいて光子魚雷は「宇宙艦が発射する反物質弾頭」のことを指し、フェイザー、シールド、転送と並び、劇中でもっともよく使われる宇宙艦装備のひとつである。光子魚雷という名称は、魚雷が着弾した時点でそれらが反応し、その際に莫大なエネルギーを発生、そのうち多くの反応物質が光子化することに由来するとされている。

光子魚雷は全長2mほどの黒いペレット型ケース内に数千に分かれた反物質パケットやワープフィールド維持装置などのメカが詰め込まれた武器である。物質反物質の対消滅反応を炸薬とした強烈な破壊力を持つ弾頭であり、劇中では魚雷の爆発力設定にもよるが、一撃で小惑星を木っ端微塵にするほどの威力がある。なおスタートレックでは劇中の多くの宇宙艦が反物質を燃料としており(正確には重水素と反重水素)、反物質を扱う術はごく一般的な技術となっている。

光子魚雷の意義[編集]

宇宙艦は人工的に発生させた高レベルの亜空間フィールドバブル(ワープフィールド)で船体を包むことで「ワープドライブ」を実現し、光速の数百倍の速度で移動する。この際、最も脅威となるのが艦の前方から相対的に光速の数百倍の速度で飛び込んでくるデブリ(宇宙塵)であり、そのデブリがたとえ分子ひとつであっても船体に深刻なダメージを与えてしまう。そのため宇宙艦には、進路上の数千kmを重力子ビームで一掃しクリアな航路を確保する「ディフレクター盤」が搭載されているが、小惑星のような巨大なデブリは排除することができない。従って宇宙艦にはワープドライブだけでなく、そういったデブリを破壊する武器も必要になってくる。

宇宙艦に搭載される武器には殺傷力が強く、光速伝播して命中しやすい素粒子ビーム兵器のフェイザーやディスラプターが一般的である。しかしそれらは光速伝播であるがゆえに、超光速移動(ワープ)中の使用に著しい制限をともなう(例えばワープ中に前方に撃つとそのまま艦に跳ね返ってきてしまう危険がある。ただしワープフィールド影響下の近距離かつ敵艦とワープ速度が等しければ、ワープ中にフェイザーを撃つこともできる(VOY82話「プロメテウスの灯を求めて」))。そのためワープ中も前方に正常に発射できる武器として、ワープフィールド維持装置を組み込んだ光子魚雷は、宇宙航行に必須の装備となっている。

なお魚雷ランチャーは艦の側面には一切なく、光子魚雷があくまで戦闘目的ではなく航路上のデブリ除去が第一の目的であることを示唆している。

運用[編集]

本来、光子魚雷はワープ中にディフレクター盤では排除しきれないほどの巨大なデブリの除去が使用目的であるが、その破壊力から宇宙艦同士の交戦にもしばしば用いられる。ワープ中に使用できる武器は実質的に光子魚雷のみであるが、戦略の幅が狭いため実際にワープ速度下で交戦することはまれである。なお、VOY121話「異空生命体を呼ぶ者達 後編」では、U.S.S.ヴォイジャーNCC-74656とU.S.S.イクワノックスNCC-72381の交戦で貴重な高速ワープ中の光子魚雷の応酬を見ることができる。通常速度下の交戦の場合でも、宇宙艦はフェイザーと光子魚雷を併用して敵艦の防御シールドを弱らせる。特に光子魚雷は威力が大きいため、決め手となることも多い。

宇宙艦隊の光子魚雷は弾頭のクラスや出力により様々なタイプがある。またクリンゴン艦やロミュラン艦などの他種族も光子魚雷を装備している。なお24世紀までは、魚雷を射出する装置である魚雷ランチャーは光子魚雷や量子魚雷などの種類毎に専用のものを設置する必要があったが、25世紀には1基で異なる種類の様々な魚雷を射出する事が出来るマルチ魚雷ランチャーが開発された(Star Trek Online)。

また光子魚雷の弾頭を外せば中は空洞であり、そのスペースを利用して探査機の容器としたり、宇宙葬の棺等に使用することもある(『スタートレックII カーンの逆襲』など)。

短所[編集]

フェイザーと比較した短所としては「実体のある弾頭兵器」である性質上、艦内に魚雷の保管場所を必要とし、積載量に限界がある点がまず挙げられる。U.S.S.エンタープライズNCC-1701-Eのような戦闘を前提とした大型艦は数百基、巨大な宇宙ステーションであるディープスペースナインは5000基もの光子魚雷を積載できるが、U.S.S.ヴォイジャーNCC-74656のような中型の科学艦の場合、魚雷はわずか32基しか積載できない。

またデルタ宇宙域に孤立無援となったU.S.S.ヴォイジャーNCC-74656の例から見て、光子魚雷は艦内で自作できるようであるが、それにはエネルギー消費の大きいレプリケーターの使用と機関部員の労働は必須であり、フェイザーより燃費の悪い武器といえる。

さらにフェイザーと異なり魚雷を装填するタイムラグが存在するため連続発射には限界がある上に、魚雷ランチャーは艦首と艦尾にしかないためフェイザーのように多方位へ向けて同時発射といった柔軟な射撃は不可能である。またこれら魚雷の発射システムや自動装填機構は艦のダメージトラブルにより故障する場合がある。ブリッジからの操作が出来ない場合、非常に危険だが、魚雷発射管のある部屋から手動コントロールで発射するなども行われる(VOY51話「29世紀からの警告 後編」)。

また通常速度下では、光速伝播のフェイザーより弾速が著しく遅いために命中率が低い欠点もある(劇場版10作目「ネメシス」など)。ただしVOY163話「人間改造惑星クアラ 後編」では、U.S.S.ヴォイジャーNCC-74656はあらかじめ発射させた光子魚雷を自らのフェイザーで撃ち抜き、爆発による光衝撃波を発生させて敵艦を無力化させた。

長所[編集]

光子魚雷の長所はその破壊力の大きさと、内蔵されたワープフィールド維持装置の機能によって超光速航行中に使用できる点であり、この場合はフェイザーより弾速は速いことになる。

また用途に合わせて搭載されたメカを調整・改造することができるのも利点である。劇場版6作目「未知の世界」ではU.S.S.エンタープライズNCC-1701-Aが、遮蔽装置によって透明偽装したクリンゴン艦のイオン化ガスを自動追尾するように魚雷を改造して、これを撃破した。またVOY69話「生命体8472後編」ではU.S.S.ヴォイジャーNCC-74656が光子魚雷にナノプローブを組み込み改造した生体分子弾頭を作成したり、VOY167話「終焉の星」では改造した魚雷の爆発を放射能汚染された惑星の大気浄化の触媒にしたこともあるが、これも光子魚雷だからできることである。

さらに「実体のある武器」であるため、直接射撃せずにばら撒くことで機雷のように使ったり(VOY76話「時空侵略戦争 前編」)、シールドの弱まった敵艦の内部に光子魚雷を転送で送り込み敵艦を内部から爆破させる戦術も可能である(VOY109話「ボーグ暗黒フロンティア計画 前編」、VOY139話「苦悩するボーグ・チャイルド」)。

演出[編集]

劇中において光子魚雷は、宇宙艦の艦首・艦尾に座する魚雷発射管から、赤~オレンジ色の光弾として撃たれ、独特の効果音を伴って敵艦に向かっていく。また連邦の光子魚雷がオレンジ色であるのに対し、ボーグの光子ミサイルは緑色であり、トリコバルト弾頭や量子魚雷は青白い。

劇中の登場[編集]

光子魚雷が作中で登場したのは『宇宙大作戦』(オリジナルシリーズ、TOS)の第2シーズンからである。また、2371年頃(『DS9』第3シーズン)からはU.S.S.ディファイアントの配備にともなって、さらに強力な量子魚雷Quantum torpedo)が実用化された。量子魚雷は反物質反応に代わってゼロ・ポイント・フィールド・エネルギー(零点エネルギー場)を利用しているため、光子魚雷よりも防御シールドへの浸透率が高い。ちなみに2153年頃(『スタートレック:エンタープライズ』第3シーズン)においてデルフィック領域への任務の際、エンタープライズ(NX-01)に装備されたのは光子性魚雷Photonic torpedo)であるが、両者の違いは光子魚雷が光速を超える速度で飛ぶのに対して光子性魚雷は亜光速までしか速度が出ない事だけで、反物質弾頭である点や射出の仕組みは同じである。なお宇宙艦隊では2215年より光子性魚雷から光子魚雷への更新が始まった[1]

光子魚雷(トップをねらえ!)[編集]

日本のSFアニメ『トップをねらえ!』では縮退兵器(マイクロブラックホール兵器)の一種とされており、対宇宙怪獣用の切り札として開発された。光子魚雷以前には宇宙魚雷と呼ばれる兵器が存在したが、宇宙怪獣にはまるで歯が立たなかった。

『スタートレック』のものと違って亜光速で目標に飛んでいくが、破壊力は桁違いで、最初の発射実験では火星の衛星フォボスを一撃で消滅させた。その後も改良が続けられ、ヱクセリオン艦隊が進宙する頃に配備されたものはフォボスより質量が大きいをも一撃で破壊する程の威力となっていた。

だが、これ程の威力があっても宇宙怪獣を一撃で撃破する事はできず、ガンバスターで運用された時は数十発以上撃ち込んでようやく1体を倒す事が出来たくらいであった。その際、命中した箇所が円形に削られていくシーンが印象的となっている。

カルネアデス計画の最終決戦では更に強化されており、母艦クラスの宇宙怪獣に集中砲火を浴びせて撃破するシーンがある。

脚注[編集]

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  1. ^ StarTrek:TheNextGenerationTechnicalManual

外部リンク[編集]