波動カートリッジ弾

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波動カートリッジ弾(はどうカートリッジだん)は、アニメ宇宙戦艦ヤマトシリーズ」に登場する架空の兵器の名称。

概要[編集]

波動砲やデスラー砲は強力な兵器だが、原理上エネルギー充填に少なからず時間が必要という弱点と切り離せない。『新たなる旅立ち』において暗黒星団帝国の指揮官たち(デーダー、メルダーズ)は発射工程への移行を察知し対策を取っており、特にデスラー砲を自動惑星ゴルバに用いる場面では、砲口や司令塔がエネルギー充填の間に外殻内に格納され、直撃にも全くダメージを与えられなかった。威力をそれなりに持ちつつ行使に手間取らない改良や新兵器が求められた事は想像に難くない。

大和徹甲弾に似た茶色の砲弾状の弾丸内に波動砲の規定エネルギー量(120%オーバーチャージ射撃時)の1/100の波動エネルギーが封入されており[注 1]、防護服に身を包んだ砲術員たちが主砲身に直接装填して発射したのち、薬莢が排出される[注 2]。着弾時には昔の徹甲榴弾のように、弾頭が目標の装甲を貫徹したのちに内部で炸薬たる波動エネルギーが解放されるという描写になっている。

『ヤマトよ永遠に』では、真田志郎が開発者であることが明かされている。

艦首方向にしか発射できない波動砲と違って攻撃方向を柔軟に変更できるうえ、波動エネルギーの使用により通常のショックカノンよりも強力な威力を発揮でき、その準備から砲撃までを迅速に行えることが最大の利点である。また、PS2用ゲーム『宇宙戦艦ヤマト 暗黒星団帝国の逆襲』のステージ12「巨大な罠・ゴルバ再臨」では、実体弾ゆえにゴルバの偏向バリヤーなど対ビーム兵器装備を無効化し、目標を物理的に打突・貫通を経て破壊することを可能とした利点も描写されている。しかし、有効射程距離はショックカノンよりも短いため、波動カートリッジ弾を用いる際には接近戦闘への移行を強いられるという弱点がある[注 3]

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』『宇宙戦艦ヤマト2』のリメイク作品『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』には、波動カートリッジ弾に類似した機能を持つ兵器「波動掘削弾」が登場する。詳細は波動砲#波動掘削弾を参照。

劇中での使用[編集]

ヤマトよ永遠に
シリーズ初使用。弾頭が見える実体弾として描かれており、装填時には弾体をアナライザーが複数担ぐほか、台車に乗せて人力で運ぶ。ゴルバ型浮遊要塞の魚雷発射管から内部へ着弾し、数発で同要塞7基を丸ごと爆発させる威力を見せる。これは、暗黒星団帝国の機械類が波動エネルギーに誘爆しやすい性質を持っていたためである。
宇宙戦艦ヤマトIII
ショックカノンと同様の光線状に描かれており、弾体は動力揚弾により装填されている。波動砲を撃つ暇も与えないほど攻撃してくるボラー連邦の大艦隊に対し、迅速な反撃を目的として使用される。射程は250宇宙キロである。
宇宙戦艦ヤマト 完結編
ショックカノンと同様の光線状に描かれており、弾体は動力揚弾により装填されている。冥王星会戦でコスモゼロからの精密な位置座標の報告を受け、ディンギル帝国移動要塞母艦へ主砲の最大射程距離である42,000宇宙キロから全弾とも完全な放物線を描いて着弾させ、撃沈する。

脚注[編集]

注釈[編集]

  1. ^ 『ヤマトよ永遠に』劇場パンフレットには1/50との解説がある。
  2. ^ 史実の主砲クラスの艦砲には薬莢を用いず、薬嚢やくのうを薬室に装填するが、薬莢が排出される際の演出上の見栄えから、アニメの設定では薬莢方式が採用された[1]
  3. ^ 『宇宙戦艦ヤマトIII』第23話では、波動カートリッジ弾の射程距離の短さから、ヤマトはボラー連邦艦隊への接近戦闘を強いられる描写がある。

出典[編集]

  1. ^ 『ロマンアルバムデラックス36 ヤマトよ永遠に』〈徳間書店、1980年〉p. 83より。