ブレーキとアクセルの踏み間違え事故

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ブレーキとアクセルの踏み間違え事故(ブレーキとアクセルのふみまちがえじこ)とは、自動車を運転中にブレーキをかけるため、ブレーキペダルを踏むつもりで誤ってアクセルペダルを踏んで急発進・急加速することによって生じる交通事故である。主にオートマチック車の四輪車が駐車する際に発生しやすい。

「勘違いした」を理由に挙げられることは多いが、なぜ勘違いしたのかという点については、明瞭な答えは得られていない。[要出典]

解説[編集]

日本において、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違え事故は、2008年には約6,600件発生し、約9,600人の死傷者が出ている。高齢者や運転が下手なドライバーあるいは長年マイカーがマニュアル車であったがオートマチック車に買い換えたドライバーが起こすものと思いがちだが、10歳代と20歳代が全体の26%を占めている[1]

要因としては、踏み間違えているにもかかわらずではブレーキを踏んでいると錯覚しパニック状態に陥り、さらにアクセルを踏み込んだり、気付いてブレーキを踏んだものの間に合わなかったということが考えられる。[要出典][誰?]

また、捜査機関の捜査結果などの具体的な事故原因分析結果の報告等はなされていないが、クラッチペダル操作が伴う車両では、以前から発生例が少ないことから、事故を起こした多くの運転者の左足が、正常な位置(クラッチペダル位置に相当するフットレスト装備車であればその位置)以外のブレーキペダル直下などにあったために、その左足の右側のアクセルペダルを誤認操作したことなども考えられる。[要出典][誰?]

特にクラッチペダル操作を伴う車両では、運転者の姿勢、下半身の左右位置の軸や前後位置をきっちりと決めないと、半クラッチなどの微妙な操作を使った、車の発進から停車までのコントロールが困難であり、また運転が長時間に及んだ場合でも、運転中はその姿勢を維持し続けないとコントロールが困難であるため、結果、常に身体の姿勢に対してブレーキとアクセルの位置が一定に定まり、踏み間違いが起こりづらい。

ところがオートマチック車などの2ペダル車は、左足が半クラッチなどの微妙な操作を必要としないため、右足のみがペダルに触れることが可能な位置であれば、下半身の左右位置の軸が著しくずれていても、車の発進から停車までのコントロールが容易に可能なうえ、さらに下半身の前後位置が大きくずれていても(右足先だけがぎりぎりペダルに届けば)コントロールが可能なため、長時間の運転で姿勢が崩れた場合だけではなく、最初から大きく姿勢を崩した状態での運転も起こりやすい。そのため、とっさの操作などで意識下のブレーキ位置と物理的ブレーキ位置がずれてしまっていることが多いために、踏み間違いが起こる。[要出典]

この踏み間違いを防ぐには、常に運転中は運転姿勢を一定に保ち、左足をフットレストに置くなど自らの下半身の左右位置の軸や前後位置を決め、下半身位置とブレーキ位置を一定にすることが大切である。[要出典]

しかし上記の通り、オートマチック車は、不適当な運転姿勢でも車の発進から停車まで操作可能で、さらにオートマチック車限定免許修得者の中には、運転中、常に運転姿勢を一定に保つことの重要性自体を理解していない者は意外と多く、ブレーキペダルとアクセルペダルの踏み間違え事故の遠因となっている。[要出典]

場面[編集]

立体駐車場では、車両を後退させて駐車させる際に、しばしばアクセルの踏み間違いによる暴走事故が生じる。この場合、暴走した車両が駐車場外へ転落し、車両の搭乗者のほか直下を通過中の歩行者をも巻き込む事故となることもある[2]。アメリカなどでは、ドライバー側の責任として問題となることはないが、日本の国土交通省では、駐車場からの転落を防ぐ設計などを示しており[3]、強度を高めたガードレールの配置などが進められている。

コンビニエンスストアスーパーマーケットなど、駐車場店舗が近接した場所でもしばしば踏み間違いによる事故が起きる[4]。この場合は車両が店舗に突っ込んでしまうことで、中にいる客を巻き込むことがある。強度を高めた車止めや、店舗の窓ガラスに向かわないように駐車スペースを設けるなどの対策はあるが、店舗数も多いため対策の普及率は低い。

対策[編集]

左足ブレーキ[編集]

踏み間違え事故を防ぐ方法の一つとして左足ブレーキをあげる意見があるが、モータージャーナリストの菰田潔は左足で急ブレーキを踏むと、ふつう同時に右足でもアクセルを踏み込んでしまい、その結果、制動距離が伸びて危険と述べている[1]。しかしアクセルからブレーキに踏みかえる時間が考慮されていないことや、アクセルとブレーキを同時に踏んでもABSが作動する状況では制動距離は変わらないとして、この発言の根拠に疑問を持つ見解もある[誰?]

左足ブレーキを習得すると踏み替え錯覚事故が起きないと左足ブレーキ推進派は主張しているのだが、まだ左足ブレーキ法は異端なものと考える人が多く、自動車会社も大学でも科学的データに基づいて研究していない。[要出典][誰?]

なお、詳細は左足ブレーキの記事にあるが、踏み間違え問題のような徐行時の左足ブレーキの使用と、レーシングカーなどにおけるそれとは、基本的に別の技術である。

クリープ現象[編集]

駐車時にはアクセルペダルを踏まず、ブレーキペダルに足をかけ、クリープ現象を利用して駐車することが事故を防ぐ対策の一つである。ただしクリープ現象を利用してブレーキ操作で車を動かしている場合、人間の脳が「車が動く=アクセルを操作している」と勘違いしてしまい、もう片方のアクセルペダルを「ブレーキだと間違えて認識」し、車を止めようとしてアクセルを踏んでしまうことがままある。このことはあまり知られていないが非常に注意が必要である。

シフト・ロック機構[編集]

1980年代後半、アメリカ合衆国ではアウディ5000(日本欧州ではアウディ・100として流通)のオートマチック車で急加速事故が多発し問題となった。これを受け1989年、アメリカ国家道路交通安全局(NHTSA)が調査を行った結果、急加速の主な原因を「ペダルの踏み間違い」と結論づけた。アウディ側は、解決策としてキックダウン(急激なアクセルを行った際に生じるシフトダウン)を自動的に抑えるシフト・ロックを設計した。同様の設計手法は、他のメーカーも採用に広がった[5]

誤発進防止装置[編集]

センサー検知方式[編集]

踏み間違い事故の大半を占める急発進事故への対策として、センサーで障害物を検知している状態で、ドライバーが必要以上にアクセルを踏んだ場合、警報と同時にエンジン出力を絞る事で急発進を防止する装置が発売されている。これらの装置は、衝突被害軽減ブレーキと一体または同一オプションパッケージとなっており、急発進以外の踏み間違い事故に対しても効果がある。2010年にスバルEyeSightで初めて市販され、2013年には衝突被害軽減ブレーキの普及と共に多くの車種に搭載されるようになった。

アクセル感知方式[編集]

自動車部品として、アクセルペダルの開度速度を感知し、低速時のアクセルの急踏込・べた踏込を検知した場合に、急ブレーキをかける・エンジンを停止するなどの機能を持った装置が発売されている。

ナルセペダル[編集]

熊本県玉名市(旧岱明町)にある鉄工所ナルセ機材有限会社(ナルセきざい)が開発したペダル。同社社長の鳴瀬益幸自身が踏み間違いによる暴走事故を起こしたのを機に開発された[6]

『本質安全』の装置として、アクセルを横押し機構にする事で間違いそのものを発生させないワンペダル方式となっている。さらに大きなブレーキペダル上で操作するため、加速中でも踏めばブレーキ操作となり、空走距離もほぼゼロで通常より短い距離で停止できる。

導入実績もまだ少なく、またナルセ機材自身も中小企業(いわば「町工場」)である関係か、価格はそれほど安価ではないが、ナルセ機材が所在する玉名市ではATワンペダル(=ナルセペダル)の整備費用に対して補助金が申請できる(2012年度。外部リンク参照)。

疑似クラッチペダル[編集]

クラッチペダルの操作が必要な車両での発生が見られないことから、クラッチペダルの無い車両でも、それに相当する位置に「感圧センサー等を内蔵したフットレスト」を装備し、原則、その感圧センサーが左足が正常な位置にある事を感知しなければ、アクセルペダルの急加速操作が作動しない機構が考えられる。

テレビ[編集]

NHK総合クローズアップ現代」の『見過ごされてきた踏み間違い事故』(2010年10月19日放送)にて踏み間違え事故を取り上げている。

脚注[編集]

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関連項目[編集]

外部リンク[編集]