コンシューマーゲーム
コンピュータゲーム |
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コンピュータゲーム産業 |
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コンシューマーゲーム(和製英語: consumer game, CS)、コンソールゲーム(英語: console game)とは家庭や個人向けに作られたゲーム機とゲームソフト(テレビゲームや携帯型ゲーム)でプレイするコンピュータゲーム(家庭用ゲーム)を指す業界用語[1][2]。
アーケードゲーム(業務用向けゲーム、AC)との区別として使われている[1]。狭義では携帯型ゲームとも区別され、テレビゲーム(据え置き型ゲーム)を指す[1]。
略歴
1972年のマグナボックスによる「オデッセイ」が、世界初のゲーム機である[3]。この当時はゲームソフトをハードウェアに内蔵した機種しかなく、1つのゲーム機では内蔵されたゲームしかプレイできなかった[3]。しかし、アタリの「Atari 2600」に代表されるゲーム機とゲームソフトを物理的に分離し、ゲームソフトをロムカセットで供給することが可能になると、1つの機種でもロムカセットを交換すれば別のゲームをプレイできるゲーム機が登場した[3]。これが大ヒットしたことによりゲームソフトの販売市場が形成され、ゲーム機は爆発的に普及することとなった[3]。
日本では1983年の任天堂による「ファミリーコンピュータ」の影響が大きく、その後も「ゲームボーイ」「スーパーファミコン」と海外でも大成功を収めたが、同時にゲームへの批判や偏見も生まれた[4]。『スペースインベーダー』が流行した当時、非行の温床といった社会問題が起きていたことからゲームは社会の害悪と見られており[5]、その後も同様な意見が起こった[6][7]。
3DCGが特殊だった当時はゼロからゲーム機を作り出さなければならなかったが、時代が進むと汎用デバイスはそれらの機能を持ち始め、コストの関係から汎用デバイスを超えたゲーム機を作ることが難しくなった[8]。そのため、ゲーム機の設計は汎用品のセミカスタムへ移行し、クローズドだったビジネスモデルも変化している[8]。
PlayStation 4とXbox Oneの世代ではPCベースでの開発に移行し、マルチプラットフォーム化やプラットフォームの枠を越えたタイトルも増加した[9]。また、2013年のアメリカではPCやスマートデバイス用ゲームソフトの市場規模が家庭用ゲームソフトを上回った[9]。日本においても、スマートデバイス用ゲームソフトの市場規模が家庭用ゲームソフトの2.2倍となった[10]。
市場規模
CESA(コンピュータエンターテインメント協会)によると、日本の家庭用ゲーム市場規模(ソフト・ハード合計)は1983年から毎年成長を続け、1997年に約7600億円でピークを迎え、2004年になると約4400億円となった[11][12]。2013年の海外の家庭用ゲーム市場規模については2兆8222億円となっている[13]。
ソフト | 合計 | |
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2000年 | 4131億円 | 6232億円 |
2001年 | 3685億円 | 6134億円 |
2002年 | 3367億円 | 5014億円 |
2003年 | 3091億円 | 4462億円 |
2004年 | 3160億円 | 4361億円 |
2005年 | 3141億円 | 4965億円 |
2006年 | 4133億円 | 6799億円 |
2007年 | 3823億円 | 7114億円 |
2008年 | 3980億円 | 6580億円 |
2009年 | 3341億円 | 5616億円 |
2010年 | 3442億円 | 5321億円 |
2011年 | 3185億円 | 5019億円 |
2012年 | 2932億円 | 4857億円 |
2013年 | 2537億円 | 4095億円 |
2014年 | 2356億円 | 3733億円 |
分類
- テレビゲーム機(据え置き型ゲーム機)
- 2014年現在では新世代機としてWii U・PlayStation 4・Xbox Oneが登場している[9]。バーチャルリアリティの実現も図られている[14]。
- 狭義における典型的な「家庭用」ゲーム機であり、1台で複数人が遊ぶ、1人で遊ぶゲームであっても家族で別々のセーブできる、バラエティーやパーティグッズとしてのゲームで使える、携帯型より大型にできるために比較的高性能にできるなどが挙げられる。
- 携帯型ゲーム機
- 2014年現在では新世代機としてニンテンドー3DS・PlayStation Vitaが登場している[9]。据え置き型との連携も図られている[9]。
- 元来ゲームを「携帯する」という意図の元に市場を開拓していったが、通信機能など個人ごとに所有するゲーム機という方向で市場が広がった。
ソフトの供給媒体
大きく分けて「パッケージ版」と「ダウンロード版」がある[15]。
インターネットインフラの発達に伴い、追加コンテンツとして利用されるダウンロードコンテンツや、「ダウンロード版」という形でデジタル配信(ダウンロード販売)での提供も行われている[15]。また、クラウドゲーミング上で提供されるストリーミングの形式もある[16]。
「パッケージ版」に代表される日本国内で見る主なゲームソフトの供給媒体と対応ゲーム機としては、以下の通りである。
- ロムカセット(ファミリーコンピュータ/セガ・マークIII&セガ・マスターシステム/メガドライブ/スーパー32X/スーパーファミコン/NINTENDO64/ゲームボーイ/ゲームギア/ゲームボーイアドバンス 他)
- カード(セガ・マークIII&セガ・マスターシステム(マイカード)/PCエンジン(Huカード)/ニンテンドーDS/ニンテンドー3DS/PlayStation Vita)
- CD-ROM(CD-ROM2/SUPER CD-ROM2/メガCD/セガサターン/PlayStation/PlayStation 2)
- LD-ROM(レーザーアクティブ(LD-ROM2,MEGA-LD))
- DVD-ROM(PlayStation 2/Xbox/Xbox 360)
- GD-ROM(ドリームキャスト)
- BD-ROM(PlayStation 3/PlayStation 4/Xbox One)
- UMD(PlayStation Portable)
- 独自規格の光ディスク(ニンテンドーゲームキューブ/Wii/Wii U)
オーディオ・ビジュアル(AV)機能
ドリームキャストのインターネット(ウェブブラウザ)機能やPlayStation 2のDVD-Video再生機能が付いていたことをはじめ、デジタルカメラの画像表示やDLNA、通信カラオケやビデオ・オン・デマンドなど、ゲーム機は次第にAV機能を標準で搭載するようになった(スマートテレビ)[17][18]。また、ハードディスク搭載DVDレコーダーとしての機能を持つPSXのように、家電製品の色彩を帯びた製品も珍しくなくなった[19]。
家庭用ゲーム機は「ゲーム専用機」と呼ばれることもあるが、ソニー・コンピュータエンタテインメントは「ゲーム専用機」という呼び方は時代遅れとなっているため、「優れたUIを持つ多機能な総合的なエンタテインメント機器」として提唱したいと述べた[20][21]。また、欧米ではHuluやNetflixなどセットトップボックスとして「ゲーム専用機」が利用されている[9]。
電化製品として
広義においては、家電製品でもある。ゲームを含む家電製品のカテゴリーとして、娯楽家電(情報娯楽家電ないしデジタル家庭電化製品とも)という分野がある。電気(→電力)を消費して娯楽を提供する装置であり、家庭内にあるために電気保安上の制約として電気用品安全法の適用対象となっているが、2006年4月からはPSEマークの無いものを発売できないという規制が、段階を追って発効されている。
参考文献
- 新清士 (2013年4月18日). “「ゲーム」のない日本のコンテンツ産業政策は何か勘違いしてないか?”. アゴラ 言論プラットフォーム (アゴラ研究所) 2013年10月18日閲覧。
- 新清士 (2013年7月2日). “ゲーム産業の興亡--勝ち組産業はどこに向かう? 池田信夫×新清士”. 言論アリーナ (アゴラ研究所) 2013年9月21日閲覧。
- 新清士 (2013年10月17日). “私が躁鬱病と戦い続けた10数年”. アゴラ 言論プラットフォーム (アゴラ研究所) 2013年10月18日閲覧。
- iwatani(a.k.a. hiwa) (2014年3月11日). “ゲーム専用機:いよいよご臨終か?”. TechCrunch. AOL. 2014年6月3日閲覧。
- NewSphere編集部 (2014年4月24日). “日本の家庭用ゲームは“死んだ”? Wii UとPS4の販売不振を海外メディアが指摘”. NewSphere. ザッパラス. 2014年6月3日閲覧。
- 田下広夢 (2014年9月30日). “日本据え置きハード市場の現状とテレビゲームの崩壊”. All About. オールアバウト. 2014年10月11日閲覧。
脚注
- ^ a b c “家庭用ゲーム機 【 consumer game machine 】 コンシューマゲーム機”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ a b “家庭用ゲーム機とは”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ a b c d 武宗しんきろう (2012年12月11日). “テレビゲーム・ファーストジェネレーション”. ファミ通. KADOKAWA/エンターブレイン. 2014年6月3日閲覧。
- ^ 平林久和 (2013年9月20日). “日本ゲーム産業の父、任天堂・山内溥前社長死去”. Yahoo!ニュース (Yahoo! JAPAN) 2013年9月21日閲覧。
- ^ “任天堂・山内溥氏が守った「ゲームの品格」”. 日本経済新聞 (日本経済新聞社). (2013年10月9日) 2013年10月18日閲覧。[リンク切れ]
- ^ 辻元 (2013年10月17日). “勉強しなくなった日本人”. アゴラ 言論プラットフォーム (アゴラ研究所) 2013年10月18日閲覧。
- ^ 夏野剛 (2014年7月26日). “「子どもにスマホを渡すな」は時代遅れ!?”. 東洋経済オンライン (東洋経済新報社) 2014年7月31日閲覧。
- ^ a b “後藤弘茂のWeekly海外ニュース NVIDIAフアンCEOインタビュー 〜SHIELDはゲームのビジネスモデルの変化で産まれた”. PC Watch (Impress Watch). (2013年1月16日) 2013年6月10日閲覧。
- ^ a b c d e f “浜村弘一 ファミ通グループ代表による講演“ゲーム産業の現状と展望<2013年秋季>”詳報”. ファミ通 (KADOKAWA/エンターブレイン). (2013年10月16日) 2013年10月18日閲覧。
- ^ “スマホゲームの市場はすでに家庭用ゲームソフトの市場よりも大きい——CyberZ調査”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “コンシューマーゲームの市場は縮小している?”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “今や5000億円割れ・縮小続く家庭用ゲーム機市場”. Yahoo!ニュース (Yahoo! JAPAN). (2013年8月26日) 2013年8月29日閲覧。
- ^ a b “ソフトハード合わせて国内市場規模は4095億円、プラスダウンロードで103億円…CESA、2013年分の国内外家庭用ゲーム産業状況発表”. 2014年7月31日閲覧。
- ^ “SCE WWSプレジデント吉田修平をインタビュー、「ゲームの定義を広げたい」”. 2014年10月11日閲覧。
- ^ a b “『とびだせ どうぶつの森』 パッケージ版とダウンロード版はどちらがお得か?”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “ゲーム業界を変えるクラウド化の波”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “Xbox360、PS3、Wii─、「ゲーム機」の枠を出てどこへ向かうのか”. 2014年10月11日閲覧。
- ^ “第21回 いよいよ日本で発売されたPlayStation4は、AV的にどこまで使えるか? 2014年2月28日/麻倉怜士”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “nasne(ナスネ)™ オフィシャルサイト”. 2014年6月3日閲覧。
- ^ “[TGS 2013]PlayStation 4が創り出すゲームの新しい楽しさをSCEのキーマンがアピール。TGS 2013基調講演【第一部】レポート”. 4Gamer.net (Aetas). (2013年9月19日) 2013年9月21日閲覧。
- ^ “アンドリュー・ハウス氏らが語る「『プレイステーション 4』が創造する世界」”. GAME Watch (Impress Watch). (2013年9月19日) 2013年9月21日閲覧。
関連項目
- アタリショック - 日本におけるゲーム機戦争
- ゲーム脳 - ゲーム依存症 - ゲーム離れ
- シリアスゲーム - ゲーミフィケーション
- エレクトロニック・スポーツ - ゲーマー - プロ・ゲーマー