Mod (コンピューターゲーム)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
移動: 案内, 検索

MODモッド,Modification)とは、主にパーソナルコンピュータ用ゲームソフトの簡易拡張パックのこと。改造データと称される事もある。

目次

[編集] 概要

導入することによって、そのゲームソフトのグラフィックエンジン、物理エンジンなどの基本システムを用いて、本編とは別のシナリオやグラフィック、モデル、システムのゲームを楽しむことができるもの。そのゲームをModificationするのである。

MODは有志(そのゲームのファン)ベースで制作され、メーカーが制作し主に商品として発売するものは「拡張パック」や「アドオン」、「トータルコンバージョン」と呼ばれることが多い。ただしメーカーが制作することからグラフィックエンジンなどの基幹システムさえも本編とは違う場合もあるが、MODと同様に本編のシステムをベースに純粋にシナリオやグラフィックを拡充したものもある。例としてはゴースト・リコンの拡張パックであるデザートシージ、アイランドサンダー、またバトルフィールド1942の拡張パックであるシークレット・ウェポン、ロード・トゥ・ローマ。現在でこそ単体作品としても販売されているが、ハーフライフのOpposing ForceBlue Shiftといったものである。
例外的な物としては、元のゲームと別会社から出されたのにも関わらず、拡張パックとして存在する物もある。Quakeの公式トータルコンバージョンは1、2あわせて4つ出ているが、製作はid以外の3社である。

コンフィグを持ち込む事が出来ないオフライン大会用に作られたMODも存在する。MOD適応前ではコンソールを出して入力するか、コンフィグと呼ばれる別ファイルを用意しなければ調整できない項目を、メニュー画面上から調整できるようにして競技性(透明性)を高めるものである。QuakeIII:ArenaのCPMA、Quake4のQ4MAX、カウンターストライク1.6のCPLGUIなどが有名。

また、ローカライズされてないゲームを有志の手によって日本語字幕を作成するというプロジェクトも存在し、主に『日本語化MOD』と呼称される。こちらはゲーム本編には全く手を加えないが、英語の読み取り、聞き取りが出来ない人にとっては便利なMODである。

[編集] 歴史

一般販売作品としては1985年のホット・ビィの「カレイドスコープ」[1]が嚆矢とされるが、このシステムを有名にしたのは、1987年の日本ファルコムの「ソーサリアン」である。最初に基本プログラムといくつかのシナリオの入った「ソーサリアン」本体が発売され、後から追加シナリオや新しいシステムの入った拡張パックがリリースされた。ゲームを開発するほどの専門的知識がなくても、この基本的プログラムを流用することで新しいストーリーを製作することが出来、続編やまったく違ったストーリーを作って楽しめるという画期的な仕組であった。
当時はMODという言葉や概念自体がなく「ソーサリアン・システム」と呼ばれ、雑誌で出来の良いMODを公募し、アマチュア製作の優れたMODはゲーム会社が採用し販売するなど、一般的なゲーム会社からアマチュアまでが自由にストーリーや演出を作り、多数の作品が生み出された。しかし、肝心の本家のゲーム開発会社のほうに代金が集まりづらい、多数作られたMOD作品は誰に権利があるのかわかりづらくなるなど有償のゲームにおいて管理しづらいという弱点もあった。
日本ではパーソナル・コンピュータよりも、追記や改変が不可能なROMによる家庭用ゲーム機(ファミコンなど)の方が普及が早く定着しなかったが、コンピュータ・ゲームで基本プログラムがもともとフリーのRPGゲームなどではある程度普及していた。

1990年代、海外では開発の難しいFPSのような3Dゲームにおいて、技術力のあるゲームメーカーのゲームエンジンを利用して数多くのMODが作られた。1980年代のようにフロッピーディスクを実際に送る等のシステムでは公開が難しかったが、インターネットの普及により、素人でも自作MODを簡単に公開、配布できるようになったことが普及に拍車をかけた。
特に有名なのがDOOMやQuakeのMODである。DOOMの本体自身も当時革新的なインターネットによるダウンロード販売であり、ネットの普及が進んでいた海外においてはMODの公開サイトが多数立ち上げられ、素人の作品から本家を凌ぐ作品、DOOMとは別物にまで変わった優れた作品まで多数表れた。QuakeのMODとしてQuakeをまったく新しいX-Menのゲームに変える「X-Men Quake」、SFアクションに変える「MALICE for QUAKE」など、ゲームそのものを完全に別物に変化させるMODをトータルコンバージョンという。

現在ではゲームソフト自体も、最初からMODも適用できることを前提とした作りになってきている。たとえばQuakeIIIやQuake4はメニュー画面に既にMODの項目が存在する、Half-LifeエンジンやSourceエンジンで動くMODはSteamを通してダウンロードできる。有名な例としてハーフライフのMODであるカウンターストライクや、バトルフィールド1942のMODであるデザートコンバット等があげられる。特にカウンターストライクは、シングルプレー専用であったHalf-Lifeというゲームそのものを変えてしまったMODとして、今でも「奇跡の1品」や「MODのありかたを変えた1品」という言われ方をする。

[編集] 適用例

主にユーザーが作るという点から、多数あるMODが玉石混淆であることは否めないが、有志により作られた秀逸なものが多数存在し、これを適用することでまるで別のゲームのようになってしまうこともある。

[編集] カウンターストライク

先述の例で言えば、カウンターストライクはもともとハーフライフのMODであった。だが完成度と人気があまりに高かったため、メーカーから正式に後援を受け、後に単品として製品化された。

[編集] バトルフィールド

バトルフィールド1942は第二次世界大戦を舞台にしたゲームだが、デザートコンバットは湾岸戦争イラク戦争をモチーフにするなど、時代設定が変わっている。『Forgotten Hope』では第二次世界大戦内ではあるものの、より高度なリアルさを追求している。但しリアルさを追求するあまり、1GBを超えるような大きいデータとなることもある。

[編集] グランド・セフト・オートシリーズ

このゲームでは、建物から服装、車に至るまで様々なMODが存在している。ゲームに登場する架空の車を実車にする、服装のテクスチャを変更する、架空の企業の看板を実際のものに変える、町並みを変えたり新たな施設を設置する、銃声やエンジン音をリアルにする、などが可能。これらMODのモデルやテクスチャを導入するには、海外サイトなどから「IMGツール」や「Spark IV」などのデータ改造用ツール類を入手し、それを使用して既存のデータと置き換え、さらにテキストファイルに記述された数値を適切に変更をするといった作業が必要。よって改造にはそれなりの知識を要求される。
また「CLEO3」や「Scripthook」など、有志による製作の追加システムを用いることにより、更なる機能拡張が可能である。これらはカスタムスクリプトファイル(プログラムのコードを入力したファイル)を導入し、新たな機能を付加するというもの。これら有志製作のスクリプトを使ってできることは、警察官や救急隊員の仕事をする、緊急自動車の灯火をリアルなものに変更、MOD車両の可動式エアロパーツを実車同様に動かす、速度計の表示など様々である。こちらも導入と稼動にあたっては、スクリプトを動かすための基本的なプログラムの導入、スクリプト毎の動作設定、導入しようとするスクリプトに合致した.NET FrameworkMicrosoft Visual C++インストールなど、やはりそれなりの知識と作業が要求される。

[編集] Operation Flashpoint: Cold War Crisis

ゲームフォルダ内にaddonフォルダが存在し、最初からMODを自由に導入できるようになっている。多数のMODが存在しており、本編では登場しない戦闘車両航空機兵士、武器弾薬、マップ、動物、緊急車両、忍者スターゲイト、宇宙人など種類も豊富。元々ミッションエディタが標準装備なので、このエディタとMODを使うことによって様々なプレイが可能となっており、アメリカの田舎町で、自衛隊サムライが戦っているところに保安官パトカーで駆けつけ、スターゲイトで飛ばされた先で忍者と戦う」なども可能である。
この自由度の高さは後継作品となるArmA: Armed AssaultARMA 2にも引き継がれており、やはり多数のMOD(addonファイル)が製作・頒布されている。

[編集] シムシティシリーズ

主に、建物や設備などを追加する為にMODが使用されている。例えば現実にある建物をゲーム中で建てられる様にする、道路や鉄道の作りをもっとバラエティの多い物にする、またこのゲームではバス停や地下鉄駅を一個作るだけでもマップの区画を1つ使ってしまう(しかも道路の反対側に逆向きのバス停がなかったり、地下鉄駅の入り口が一カ所しかないなど)という非現実的な内容となっているので、道路とセットになっていて道路上に作れる様にする、実際にありがちな駅の様に鉄道駅とバスターミナル(バス停)が一緒になった建物を作る、高架鉄道を地表に作れる様にして、路面電車やライトレールの様に使用する、あるいは難度を少し下げる為に小型で収容人数の多い建物を作る、などの目的で、MODが使用される事がある。

[編集] MODの長所と短所

[編集] 長所

下手にいじれば起動不能と言う事にもなりかねないのはコンピューターソフト改変の常であり、ソフトに通常動作外の動作をさせることから、メーカーや購入店補償が効かないことが多い。しかしユーザーによる自由な拡張を許すことで、飽きさせず長期間人気を持続させることができるという点では、メーカーにもメリットがあると言える。
そのメリットからか、メーカーは自社のゲームを動かす基幹部分(俗にエンジンと呼ばれる)をフル活用させるためにSDKと呼ばれる開発キットをリリースして、有志による開発をサポートすることがある。SDKには実際にマップを設計するためのソフトウェアからサンプルのマップやマップをモデリングするためのドキュメントまで含まれることもあり、場合によってはすべて無料で完結させることも可能な場合もある。

[編集] 短所

マルチゲームにおいて顕著な問題が、MODのバージョンが合っている人同士でないと対戦できない、という点である。このため、人気MODのバージョンアップ・ファイルの公開日には、サーバがパンクしてしまうほどダウンロードが集中する。このためにBitTorrent等のP2Pツールで拡散配布、という手段を取る場合も増えている。

またCS:SをCS1.6に近づけようとするプロジェクト(未だにCS1.6に人が多いので、それをCS:Sに取り込む意味もあった) であるCSProMODでは、βキーの配布が10000人以上になったら開始し、配布は3人のみというコミュニティを激怒させる事態を起こした。しかも1.5以前のシステムを組み合わせるというコンセプトから、CS:S以上にCS1.6から遠ざかるという結果になっていて、その点でもコミュニティを激怒させているなど、期待と出来の開きによって製作者側へもダメージが及ぶ可能性がある。

ゲームによるが、メーカー製拡張パックを全部購入していないと当てられないMODもある。MOD適用前には説明テキストに注意を払う必要がある。たいてい英語で書かれているが、人気MODであれば、ファンの『まとめサイト』などで日本語FAQが作られていることも多い。

MODフレンドリーだった製作会社が近年MODに厳しくなりつつある。 著名なソフトだとコール オブ デューティ モダン・ウォーフェア2バトルフィールド バッド カンパニー2が該当し、以前までは両者共にMODツールが提供されていたシリーズだが、このソフトにはMODツールが提供されていない。その上、ファイルに暗号化を施し容易にデータを閲覧することもできなくなっている。ユービーアイソフトのゲームなどは特にMODに不寛容な事で悪名が高く、人気タイトルでもMODは殆ど存在しない。

また、個人レベルのMOD制作チームでは近年の大作ゲームのグラフィックの表現力の向上に対して追随が困難になっており、トータルコンバージョンのような大掛かりなものは殆ど無くなってしまった。完成までこぎつける数少ないものも制作期間が極めて長期に渡るのが常である。

家庭用ゲーム機プレイステーション2など)では拡張するプログラムを入れる部分が無いため、MODが当てられない。一応ハッキングツールを用い、HDDにデータを格納した上でリバースエンジニアリングによって改変するという手段もあるにはあるが、インストーラや開発環境なども含めて、PC版に分があるが、PS3版のUT3では、PC上で作られたMODをユーザーが自由に適用出来るなど、環境も徐々に整備されつつある。

[編集] MODの制作

MOD制作用のツール(マップエディタなど)は、メーカー側が別個に提供する場合(例:バトルフィールド2の『オープンベータMODエディタ』)や、インストール時に同時に添付されている場合がある(例:ゴースト・リコンの『IGOR.exe』)。マップや武器などを編集する場合には、CADのセンスが求められる。

DOOM3エンジンに至ってはゲームとマップエディターが既に合体しており、コンソールからエディターを呼び出すことが可能である。これによりテストプレイ中に不具合が見つかったとしても、ショートカットキー1発でエディターを起動させて修正する事が可能になっている。

ツールがない場合には、ユーザーが素材を加工することとなる。具体的には、グラフィックツールでテクスチャ(ポリゴンに貼り付けるパターン)を加工したり、音声ファイルを用意したり、説明文や武器名などのテキストを書き換えたり、といった作業となる。

元のゲーム用ファイルを上書きしてしまわないように、別フォルダに格納され、MOD適用時にはそちらが使われる仕組みが取られているものもある。たとえばQuakeIIIやQuake4はオリジナルのデータ(Q3base/Q4base)と同じ階層にMODフォルダを生成すると、それが自動的に認識され、メニューに登場する。Source系MODは専用のSourceModというフォルダが用意され、MODのファイルはそちらへ格納されるが、本編のデータが必要な時は本編のフォルダを自動的に読みに行くようになっている。他にもUnrealエンジンのMODは.umodと呼ばれるインストーラで、Valve公認MODはSteam経由でDLすると勝手にインストールされ、Steamのゲームランチャーから起動出来る様になるなど、MODフレンドリーなメーカー側の配慮で、コマンドラインを使わずに適用&起動が出来るようになっているMODも多い。

[編集] 家庭用ゲーム機のMOD

家庭用ゲームはPCゲームとは異なり、専用機を用いてソフトを動かす。その為、一般的にはPCよりもMODを導入するハードルは高い。しかし以下に記すように、様々な手段で拡張する手法が試みられた。

[編集] ハードウェアMOD

通称MODチップ(モッドチップ、MOD Chip)は、本来できないことをハードウェアレベルで実現するための苦肉の策である。主に流通していたチップは、CD-Rから起動できないようにされている家庭用ゲーム機にワンチップマイコンを付け、あたかも純正のCD-ROMがセットされたように見せかけて、CD-Rでも起動できるようにするというものである。はんだ付け作業を伴うので、普通のユーザーには手が出しにくいものであった(セガサターンの場合は、ドライブと本体のケーブルの間に噛ますタイプであった)。最初に「MOD」と言われ出したのは、こちらの方が先である[要出典]

これは、著作権法的にグレーゾーンに踏み込んだものであったが、1999年10月改正の不正競争防止法著作権法により、法律的に販売・配布することが禁止された。ただし、製造と個人製作までは禁止されていない。しかし、最近のコピーガード無効化MOD Chipは、自作ソフトは動かせるようになるが、違法コピーソフトは動かせないように書かれたファームウェアを使用することで、合法的に販売されているケースがある(しかし、購入したユーザーが、自分で違法コピーソフトを動かせるファームウェアに書き換えるのが暗黙の了解となっている)。詳しくはコピーガードの項を参照。

コピーガードキャンセル以外には、ハードのリージョンコードを切り替えるチップ等が存在する。

[編集] ソフトウェアMOD

物理的な改造を施していないWiiコピーゲームを起動するために、カスタムIOSとBackup LoaderやGeckoなどといったアプリケーションローダが用いられた。これらは、MODのような働きをすることから、「ハードウェアMOD」に対して「ソフトウェアMOD」と呼ばれる。これらは、Wiiに本来備わっている各種著作権保護システム(コピーガード)やソフトウェア実行規制システム(正規のソフトしか実行できない)などを無効化したり、あたかも正規品ディスクが挿入されたように見せかけるというものである。また、Wiiのドライブの読み込み規制を解除する「DVDX」と呼ばれるソフトウェアMODも存在する[2]

ハードウェアMODと同じく、本体のリージョンコードを変更したり、リージョンフリーにしたりするものも存在する。ハードウェアに直接取り付けるタイプのMODよりは導入が非常に簡単だが、ソフトウェアファームウェアを改変するため、ブリックなどのリスクが付きまとう。

ニンテンドーゲームキューブにおいても無改造キューブHomebrewコピーソフトを起動できるローダがかつて発売されており[3]PSOを利用したHomebrew実行環境で吸い出されたディスクイメージPSO側に転送して実行させるという荒技まで登場した。

[編集] 脚注

  1. ^ シリーズは初期パック「7万光年の胞子たち」と翌年発売の拡張「発・汗・惑・星」2作で終わってしまった。
  2. ^ これは元々WiiのHomebrewDVDプレイヤーDVDビデオを見るために必要なものであった
  3. ^ これらはSDメモリーカードに保存されたディスクイメージを起動するためのローダなので、ドライブから、DVD-Rに焼かれたコピーゲームを起動させることができない。

[編集] 関連項目

個人用ツール
名前空間
変種
操作
案内
ヘルプ
ツールボックス
他の言語