ビジュアルノベル

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ビジュアルノベル、ヴィジュアルノベル(visual novel)とは、コンピュータゲームの一ジャンルである。ビジュアルノベルそれ自体もアドベンチャーゲームの一種に分類される。ノベルゲームやサウンドノベルと呼ばれることもある。

ゲーム性は薄い場合が多い。紙媒体の小説やゲーム性が皆無のデジタルノベルとの混同を避けるためにこの呼称が使われる。制作者側では前述の呼称を区別しているが、世間では明確な区別がされていないことが多い。

ビジュアルノベルとは[編集]

電子画面上で読む小説であり、画面に表示される文章に絵と音が加わった物である。文章単体で読まず、絵と音の存在を前提とする点で、電子書籍とは異なる。

この名前は、アクアプラスのブランドであるLeafからリリースされた「リーフビジュアルノベルシリーズ」(特に『』『』『To Heart』の3作を指す場合が多い)に由来する。元々、こういった形式はサウンドノベルと呼ばれていたが、こちらがチュンソフトの商標であり、またサウンドノベルが「音+小説」を意図するものであったのに対し、映像の効果を前面に打ち出す意図があったため「画像+小説」を意味するこちらの言葉が使われた。

制作側においては、アダルトゲームや美少女ゲームにおいてでさえ、「ビジュアルノベル」の呼称を使うことは少ない。「ビジュアルノベル」の呼称が使われず、その制作元独自の表現を使わない場合には、アドベンチャーゲームの名を冠することが通常。

ビジュアルノベルの起源[編集]

上記の通り、ビジュアルノベルの起源はチュンソフトサウンドノベルに見ることができる。様々なゲームらしい挑戦を組み込んだサウンドノベル第1作『弟切草』(1992年)を経て、『かまいたちの夜』(1994年)では文章単体でも読める濃密なミステリーに加え、コンピュータゲームだからこそ可能な複雑なシナリオ分岐とフラグ管理によってサウンドノベルを一つの形として昇華させた。この『かまいたちの夜』に影響を受け、製作されたのがLeafの『』(1996年)である。

当時のアダルトゲームはエルフの『同級生』(1992年)登場以降、旧来のゲーム性重視の流れに代わってドラマ性を重視する作品が提示されつつあった。従来のアダルトゲームが、そのゲーム性については「絵をみるためのオマケ」程度のものが多かったなか、通常ジャンルにも劣らぬドラマ性を備えた『同級生』は空前の大ヒットをした。こうして生まれた流れは続編『同級生2』(1995年)のさらなるヒットで一つの完成を見、性的描写のみならずストーリー面でも評価される作品として業界に大きな影響を与えた。以後、これらの気運を受けてアダルトゲームの主流はストーリー性を持ったアドベンチャーゲームへと移行していくようになった。

この状況下で、Leafは後に「ビジュアルノベルシリーズ三部作」と呼ばれるシリーズの第1作『雫』を発表した。これは制作者本人も語るように、『かまいたちの夜』に大きく影響されたものであり、高い難易度で、背景に絵を置き、膨大なテキストを読ませるというものであった。「見せる」ことに主眼を置いた当時のアダルトゲーム業界で「読ませる」ことを売りとすることは画期的であったが、次作の『』(1996年)とともにダークな題材でカルト的な趣があったためか、大きな潮流を生み出すまでには至らなかった。

しかし、3作目である『To Heart』(1997年)の登場により状況は一変する。前2作とは雰囲気が全く異なり、誰しもが経験した学生生活の日常をギャルゲーらしく誇張された設定とキャラを交えて時に生き生きと、時に切なく、そして感動的に描ききった同作は空前の大ヒットを飛ばし、その勢いはコンシューマーゲーム業界にまで波及した。こうして『同級生2』に始まるドラマ性の追求はさらに新しい局面を迎えることになった。

この大ヒットにより大きく注目を浴びることになったビジュアルノベルが持つスタイルは、良質なシナリオスクリプトエンジンさえ用意すればゲームソフトとして成立させることができるため、開発体制が脆弱なメーカーが多いアダルトゲーム業界にとっては福音であった。のちには、アマチュアベースでも『月姫』(2000年)などの作品が注目を集めることとなった。

ビジュアルノベルの定義[編集]

ビジュアルノベルの定義には大きく2種類ある。1つ目は画面全体に文字が表示されるものと定義される(狭義のビジュアルノベル)。2つ目は文字の表示形式に拘らず、文字+画像の組み合わせで文章を読ませるもの全般を含むと定義される(広義のビジュアルノベル)。広義のビジュアルノベルは狭義の定義を含んでいる。

ビジュアルノベルの定義が2種類あるのは、呼称考案者のLeafがビジュアルノベルの定義について明確に示しておらず、Leaf自体のビジュアルノベルの呼称使用の基準がはっきりせず、ユーザーに独自に考察・解釈されたためである。

サウンドノベルの定義[編集]

ビジュアルノベルはチュンソフトのサウンドノベルから影響を受けている。サウンドノベルは全画面表示形式である。チュンソフトの定義によればサウンドノベルとは「臨場感あふれるサウンドと、さまざまな映像表現を組み合わせることで『目』と『耳』からストーリーを体感する『アドベンチャーゲーム』です[1]と定義している。文章・画像・音・演出があればサウンドノベルの定義に当たることになり、広義の意味のビジュアルノベルと同義と言える。

Leafの定義[編集]

サウンドノベルを基にして作られたことからすれば、Leafは広義の意味で使っているようにも思われる。ただLeafがビジュアルノベルの呼称を使うのは、作品の内容すべてが全画面表示形式に統一されているものに限られている。このことからすれば狭義の意味のようにも思われる。アドベンチャー以外にゲーム部分を持つ『WHITE ALBUM』や『こみっくパーティー』はもとより、完全アドベンチャーゲーム形式だが全画面表示でない『誰彼』や『鎖 -クサリ-』にもビジュアルノベルの呼称は冠されていない。

同じ『To Heart』でもパソコン版はビジュアルノベルとされているが、PS版はただのアドベンチャーゲームとなっているなど不可解な部分は多い。アクアプラスが18歳以上向けと全年齢向けでブランドを使い分けているように、ビジュアルノベルは年齢制限を有するときの呼称とも考えられた。実際、当初PS2で発売された『ToHeart2』はアドベンチャーゲームで、その後に18禁要素を付加して発売されたパソコン版『ToHeart2 XRATED』はビジュアルノベルの名がついている。しかし、PS2・PSPに移植された『Routes』はともにビジュアルノベルの呼称のまま販売されている。その後、『ToHeart2 XRATED』はPSPに再移植された。こちらはアドベンチャーゲームではなくビジュアルノベルとして発売され、同じ作品でも表記が混在する事態となっている。

結論としてはLeafが何をもってビジュアルノベルとしているかは不明である。

Leafビジュアルノベルシリーズの早見表
 To Heart Routes ToHeart2
PC(18R)
PCリニューアル(18R)
PCリメイク(18R)
PC(全年齢)  ?
PS ノベル形式
PS2  ? 恋愛ADV
PSP

※○はビジュアルノベルの呼称が冠されていることを示す。

他社の定義[編集]

チュンソフトが「サウンドノベル」を商標登録したのに対し、Leafは「ビジュアルノベル」を商標登録しなかった。そのため他の制作者も自由にビジュアルノベルの呼称を使える状態である。ただし、ビジュアルノベルの呼称を使う制作元はアダルトゲーム業界ではむしろ少数派である。TYPE-MOONねこねこソフトなど一部の制作元が使うくらいで、ほとんどの制作元が「アドベンチャーゲーム」ないしは独自のジャンル名を使っている。

むしろビジュアルノベルの呼称を使うのは、全年齢向けゲームを発売する会社に多い。ビジュアルノベルの呼称が使われたゲームとしては『片神名〜喪われた因果律〜』、『快盗天使ツインエンジェル 幻の少女』、『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド 特別編 ポータブル』などがある。特に『新世紀エヴァンゲリオン 鋼鉄のガールフレンド 特別編 ポータブル』については、もともと「マルチエンディングアドベンチャーゲーム」の呼称を使っていたが、PSP版発売に当たりわざわざビジュアルノベルに改称している。

これらの制作元の多くは文章全表示形式には必ずしも拘っておらず、広義の意味で捉えている。

2000年代中盤には、「ビジュアルノベル」という言葉が広義の枠を飛び出て使用される事態も起こっている。アスキー・メディアワークスは自身の持つ電撃文庫レーベルの作品の絵本を「ビジュアルノベル」と称して売り出している。

いずれにせよビジュアルノベルの呼称が成人向けの響きを持っていたのは過去のことである。制作サイドにおいてはむしろ全年齢向けにおいて積極的に使われている。

ビジュアルノベルの文章表示形式[編集]

ビジュアルノベルはその発展経緯からアドベンチャーゲームの一種に分類される。ビジュアルノベルを考案したLeaf自身も製品情報ページでアドベンチャーゲームに分類している。

ビジュアルノベルは大別して2つの形式がある。狭義のビジュアルノベルの全画面表示形式と、三行下部表示形式である。

三行下部表示では長い文章が細かくぶつ切りになるため、改行文体を用いるのに対し、全画面表示はより段落文体に近く、基本的に文章単体でも内容が理解できる必要がある。その他、画面効果の使用頻度・方法などは全画面表示形式の方が制約が多い。しかしながら、全画面表示では縦書き演出も可能なことや、ルビ等テキストへの装飾が可能である、ボタン配置をしなくても右クリックだけで良いなど三行下部表示よりも制約が少ない部分もある。しばしば三行下部表示がその制限から冗長を避けるため音と絵の描写を不可欠とするのに対し、全画面表示型は文字だけでも良く、文の「またぎ」も可能なため、長文の自由度が高い。全画面はまた、必要な時には三行下部表示に切り替えることもできる。

一般的なビジュアルノベルの構成[編集]

背景+立ち絵による画面構成

ビジュアルノベルを簡潔に説明すると、クリックする度に一定の文章が画面に表示され、それとともに立ち絵(人物の絵)が文章の状況に沿って変化する。音楽はBGMと効果音が用意され、場面の状況に合わせて切り替わるものである。

文章[編集]

基本的には小説と同じ。極端な話、市販されている小説をそのまま持ってきて、絵と音さえつければビジュアルノベルとして成立する。小説と異なるのは人物絵と背景が用意されプレイヤーが一見してわかるため、ビジュアルノベルでは人物の外見描写や場面描写を細かくする必要はない。加えて文章画面一部表示方式ではの脚本のように、話す人物の名前も画面表示されるため、小説のように誰がしゃべったかを地の文でわかるようにする必要はない。

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一般的には、背景・立ち絵・イベントCGの組み合わせからなる。背景は画面全部に表示され、立ち絵は画面の一部に表示される。どちらも複数用意される。

背景
通常場面で使われる。一場面につき一つしか表示されない。場所が移ると背景が切り替わる。人物が出てくるまで、背景単体で表示されることもある。背景にはCGと写真加工の2種類がある。写真を使う場合はそのままだと背景が目立ち過ぎるため、画像を暗色系にしたりぼかしたりと加工されることが多い。CGを使う場合であっても、現実を舞台にしたゲームならば、場面に合いそうな写真を取り模写して描き起こす方法も取られる。
商業はCGがほとんどであるが、CGを描くのは手間であるため、人手がない同人では写真加工が多く使われる(『月姫』『ひぐらしのなく頃に』など)。サウンドノベルを産み出したチュンソフトは雰囲気を出すため、伝統的に写真加工を使っている。『かまいたちの夜』のペンションクヌルプ、『ひぐらしのなく頃に』の白川郷のように、この背景のモデルになった場所が聖地として、ファンが訪れることもある。
立ち絵
人物の絵のこと。人物の立っている絵であることが語源。背景と同じく通常場面で使われるが、単体では使われない(暗闇を表す黒一色なども背景に含めた場合)。上半身の人物絵であることから、バストアップ(胸より上を写す撮影用語から由来)の名称も使われる。
上半身・胸より上の絵と言っても、ビジュアルノベルでは下半身の一部つまりズボンやスカートの一部まで画面表示されることが通常。だいたい頭から3分の2〜5分の4程度が表示され、つま先までは表示されないことが多い(全身が表示されているCGも立ち絵である)。多くのビジュアルノベルではプレイヤーが主人公になり、視点も主人公目線になる。人が立って話すとき相手の全身は目に入らないので、それに合わせたもの。
一人の人物に複数のものが用意されており、場面に合わせて使い分ける。例えば通常状態+喜怒哀楽の5枚の絵を用意したとして、通常→楽しい→哀しい→怒り→喜びという風に、キャラクターの感情によって絵をころころ変えることで表情を出す。
労力の関係から、アニメのように全ての人物に必ず立ち絵が用意されているとは限らず、会話文はあるがストーリーにほとんど関わらないキャラクターには立ち絵が存在しない事もある。一人称の文章の場合には、その人物の目線で見ている設定なので、一人称の立ち絵は表示されないことが通常。多くのゲームで、プレイヤーは主人公の目線を通すので、主人公の立ち絵は最初から存在しない場合も多々ある。
数人と一緒に話す場面では、違う人物のものが数枚まとめて同時に表示される。双子でビジュアルがまったく同じ、もしくは主人公が分裂するなど特殊なケース以外では、同一人物の立ち絵が同時に表示されることは通常ない。
複数人の会話シーンの場合、全員が主人公に顔を向けていることが多い。実際の会話では、お互いがお互いを向き合って輪のようになって会話をするので、主人公の視点からはやや斜めを向いた人物たちが見えるはずだが、ビジュアルノベル独特の演出、または立ち絵枚数の削減のために、全員が顔を向ける独特の画面構成をする。元をたどればオペラや現代演劇で登場人物たちが観客のほうに顔を向けたまま会話する演出方法が昔から存在するため、必ずしもビジュアルノベル独特の演出だとはいえない。
イベントCG
ストーリーの核となる部分では背景+立ち絵の組み合わせではなく、イベントCGという一枚絵が使われることもある。イベントCGは背景とキャラクターが一緒に、一枚の絵として描かれたものである。背景や立ち絵と違って流用が効かず、その場面のみでしか使われないため、労力を要する割にゲームでは少しの時間しか表示されない。しかし、ストーリーを盛り上げてくれる効果があるために加えられる。
イベントCGを使うときには、写真加工背景を使っているゲームでも、人物と背景含めてCGで描くことが多い。

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効果音、BGM、音声からなる。効果音とBGMはほぼすべてのビジュアルノベルで採用されているが、音声はつかないものもある。

効果音(SE)
扉の開く音、時計の鐘や針の音、雨音などの音。SE(Sound Effectの略称)とも呼ばれる。臨場感を高めるために使われる。初期サウンドノベルには音声は入っていなかった。つまりサウンドノベルの言うサウンド(音)とは効果音とBGMのことで重視されていたが、それはビジュアルノベルでも導入されている。
初期サウンドノベル、初期ビジュアルノベルは効果音はすべて現実にある音だけで、擬声語(オノマトペ)はなかった。後に現実にはない「ぱあああ」という笑顔の音などの擬音語を入れることも行われるようになった。
音楽(BGM)
いわゆるバックグラウンドミュージック(BGM)。サウンドノベルで導入されたが、サウンドノベル以前からBGMはジャンルを問わずゲームに普通に使用され、ビジュアルノベルを出す以前のLeafのゲーム『DR2ナイト雀鬼』『Filsnown -光と刻-』にもBGMは使用されていることから、厳密にはサウンドノベルの影響とは言い難い。
Leafの前身は音楽事務所だったことそして専務の下川直哉作曲家だったことから、ビジュアルノベル第1作『雫』からBGMには重点がおかれていた。
初期ビジュアルノベルでは器楽曲(ボーカルなしの音楽)のみだった。後にオープニングやエンディングで声楽曲(ボーカルあり)を使ったゲームが出てきた(1997年の『To Heart』のOPとEDで既に使用されていることから比較的初期に導入されたことがわかる)。さらに後には本編中に挿入歌として声楽曲を入れるゲームも出てきた。
音楽は通常十種以上は用意されて場面によって使い分けられるが、ほとんどが器楽曲で占められる。初期ビジュアルノベルから、キャラクター特有のテーマ曲を用意して、そのキャラクターの登場に合わせて使うことも行われている。例えば『雫』においては各ヒロインに対して、曲名にヒロインの名前がつけられたBGMが用意されている。
声楽曲においてはボーカルは基本的にプロを外注として雇うが、作品にアフレコした声優がボーカルを務めることもある。
音声(ボイス)
人物の会話を声優が朗読(いわゆるアフレコ)したもの。ボイス(Voice)とも言われる。文字だけでは伝わらない微妙な感情を伝えることができる。初期サウンドノベル、初期ビジュアルノベルにはなかった要素(ただし『雫』には女性の悲鳴が効果音として流れる場面がある)。2000年代後半にはほとんどの商業ビジュアルノベルで音声が当てられるようになり、同人ビジュアルノベルでも音声がつくゲームも出ている。
音声ありと言っても、フルボイス、女性のみフルボイス(女性向けゲームにあっては男性のみフルボイス)、一部ボイスありのものなど様々である。他にもフルボイスを謳っていても、主人公の音声はつかないことも多々ある。これには常にゲームに登場する主人公は一番発言数が多く声優に払う費用がかさむ、プレイヤーを主人公に感情移入させるためにあえてボイスをつけないなどの理由がある。
シナリオライター、原画家、作曲家、システムエンジニアなどを自社の社員として雇用するケースは多くある(同様にこれらの外注も一般的に行われている)が、有名企業でも声優を社員として登用するケースはなく、すべて外注となる。

プログラム[編集]

ビジュアルノベルがコンピュータゲーム・テレビゲームである以上は、コンピュータ上で動かすためにプログラムが必須になる。プログラムはプレイヤーに見えない部分で動作していて、プレイヤーには演出・選択肢・システムという形で現れる。

演出
文章・絵・音が用意されても、それらを効果的に組み合わて表示させ、プレイヤーに効果的に訴えることが重要である。ビジュアルノベルは文章・絵・音を表示させるだけなので、他ジャンルに比べると、プログラム作業が簡単であると言われる。一般的には正しく、最低限のものをつくるならば他ジャンルよりは簡単である。ただし、2000年代以降においては『Fate/stay night』(2004年)や『マブラヴ オルタネイティヴ』(2006年)などのように、立ち絵に細かい動きをさせたり、画面効果に凝った演出をするものも登場している。ビジュアルノベルでも凝った演出を行おうとすれば、複雑なプログラムが必要であり、一概にビジュアルノベルすべてを指してプログラムが簡単とは言えない。
選択肢
物語を進めていくと現れる登場人物のいくつかの行動のこと。2以上の選択肢が用意され、プレイヤーが任意に選ぶ。選択肢が表示される際にプレイヤー目線となっているものの行動(主に主人公)であることがほとんどで、プレイヤー目線以外の人物の行動や自然現象を操る選択肢は通常ない。
制作側においてどの選択肢を選べばどの結末に行くかを管理することをフラグ管理と呼ぶ。この管理が甘いと行っていない行動をやっていることになっていたり、最後に到達するはずのエンディングに途中のエンディングで到達することが起こる。選択肢ひとつひとつでその後の発言をちょっとずつ変えていくなどすれば、演出と同じく無限に複雑なプログラムにできる。
元々はサウンドノベルで導入されていたものを、ビジュアルノベルで取り入れた。ビジュアルノベルがゲームなのは、選択肢があってそれをプレイヤーが選択することで、物語が変化するからと言われた。ビジュアルノベル初期においては正しくビジュアルノベルの要素とされ、形式的なものであっても存在していた。2000年代になって、『鬼哭街』(2002年)のように選択肢がまったくない完全な読み物としてのビジュアルノベルも登場し、必ずしも選択肢は求められなくなった。しかし、選択肢がないと完全な一本道になるため、ほとんどのビジュアルノベルで選択肢がある現状は変わらない。
システム
セーブ&ロード機能、もしくは文字表示の設定・既読スキップ・音量などのプレイヤーの任意で変えられる設定のこと。プレイヤーの好みに合わせた環境を実現するために用意されている。あくまでもプレイヤーの利便性のために用意されているものなので、必ずしもビジュアルノベルの要素ではない。ビジュアルノベルは繰り返し読むことが前提のため、実際にはよほど短いビジュアルノベルでない限りは既読スキップ(一度読んだ文章を読み飛ばす機能)とセーブ&ロード機能は必須である。
セーブデータ機能はもっとも変革した機能である。短いものでもビジュアルノベルの分量は中編小説以上にあるため、一回でクリアできず基本的に途中で中断することになる。そこで読み進めた場所まで戻れる小説のしおりに代わるものが、セーブとロード機能である。初期ビジュアルノベルはサウンドノベルの影響を受けていたため、「セーブ」「ロード」という言葉を使わずに「しおり」を使っており、エンディング管理もしおり毎に行っていた(いわゆる「しおりシステム」)。この方式は必ず同じしおりを使わなければならないデメリットがあり、いくつもの場所でセーブを行って後でプレイしたいときにロードしてその場面に戻ることができなかった。「しおりシステム」は普及せず、クリアデータの管理はセーブデータに関わらず、共通して管理することとなった。
ビジュアルノベルは基本的にマルチエンド方式を採用するため、すべてのエンディングを見たかを判別する指標が必要である。サウンドノベルでは「ピンクのしおり」を用意して本編のエンディングをすべて見たか否かを表示していた(それでもわかり難いため後にフローチャート方式に改められた)。ビジュアルノベルにおいてはイベントCG登録方式が取られ、イベントCG閲覧画面を用意して穴抜け部分があるか否かを確認することで、すべてのエンディングを見たかを表す。チュンソフトと同じフローチャート方式、結末を見る度にエンディング一覧に登録されるエンディング登録方式など、他の方式を取るビジュアルノベルもある。

ビジュアルノベルというジャンル[編集]

他ジャンルゲームの違い[編集]

ビジュアルノベルは、文字・絵・音の集合体である。文字・絵・音の3つのどれかが欠けているビジュアルノベルは存在しない。これはコンピュータRPGシューティングゲームなどすべてのジャンルのテレビゲームに含まれる要素であり、実際にはビジュアルノベルと他ジャンルを区別する指標とはならない。

ビジュアルノベルは他ジャンルと違い、文章を読むのに重点が置かれている。例えばコンピュータRPGではダンジョン攻略を行う、シューティングゲームでは弾を撃って敵を迎撃することなど、システムに重点が置かれている。他ジャンルでもストーリー性は重視されるが、ストーリーがあることは必ずしもそのジャンルであるために必要不可欠なものとはならない。ビジュアルノベルもコンピュータ上で処理されるものである以上システムは必要不可欠だが、クリックする度に文章が表示される、選択肢のフラグ管理などの最低限のもので足りる。これらのシステムが文章を順に読み進めてストーリーの結末に至るのを目的とするものであることからも、ビジュアルノベルでいかに文章が重視されていることがわかる。

ビジュアルノベルの今[編集]

Fate/stay night』や『ひぐらしのなく頃に』、『CLANNAD』のようにマルチメディアに発展する大ヒット作もしばしばみられる。ただし、文章のみで勝負するものをビジュアルノベルと呼ぶべきか、文章と絵やゲーム的要素といった他の要素がどういうバランスのものをビジュアルノベルと呼ぶべきかと考えていくと、もともとのビジュアルノベルの手法が純粋に維持されているわけではない。

例えば最近では全画面表示と三行下部表示の融合する作品もある。即ち、独白を多用し動きに乏しいシーンでは部分的に全文表示形式を使い、対話や活発な動きがあるシーンでは地の文やセリフを画面下部に三行だけ表示する方式を使うものである。『WHITE ALBUM』(Leaf 1998年)、『天使のいない12月』(Leaf 2003年)、『シンフォニック=レイン』(工画堂スタジオ 2004年)などが挙げられる。『終ノ空』では、主人公のコメントが全画面、その他登場人物のセリフなどが三行下部という独特の演出が行われている。(製作者サイドはオルタナティブエモーションシステム(AES)と呼称している。)

主なビジュアルノベル作品[編集]

LVNS・リーフビジュアルノベルシリーズ(Leaf)[編集]

  • To Heart
  • Routes
  • ToHeart2 XRATED
    • ToHeart2(PS2)及び、これらのコンシューマー移植版や全年齢版も、実際にはビジュアルノベル(LVNS)形式である。

全画面表示形式[編集]

全画面表示と三行下部表示との混用[編集]

雑記[編集]

コナミGBA用ソフト『サイレントヒル』(シリーズ1作目をノベルゲーム化した作品で、後の『プレイノベル サイレントヒル』の事である)のジャンル名としてこの「ビジュアルノベル」という呼称を商標登録しようとしたことがあったが、特許庁が拒絶査定を下したため認められなかった。

結果として、GBA用『サイレントヒル』は「プレイノベル」というジャンル名において発売されることとなった。

脚注[編集]

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関連項目[編集]