攻殻機動隊
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
![]() |
| ウィキポータル |
| 漫画作品 |
| 日本の漫画作品 |
| 漫画家 |
| 日本の漫画家 |
| 漫画原作者 |
| 漫画雑誌 |
| カテゴリ |
| 漫画作品 |
| 漫画 - 漫画家 |
| プロジェクト |
| 漫画作品 - 漫画家 |
『攻殻機動隊』(こうかくきどうたい)は、士郎正宗作による漫画、および派生作品。日本における数少ないサイバーパンクである。原作の英表記は GHOST IN THE SHELL。劇場用アニメ映画他、テレビアニメ、小説、ゲームなどの派生作品が展開されている。作品中に描かれている独特の世界観、精密な描写、緻密な状況設定や未来技術の考証などがSFマニアやアニメファンを惹きつけた。
目次 |
[編集] あらすじ
時代は21世紀、第三次核大戦と第四次非核大戦を経て、世界秩序は大きく変化し、科学技術は飛躍的に高度化した。その中でマイクロマシン技術(作中ではマイクロマシニングと表記されている)を使用して脳の神経ネットに素子(デバイス)を直接接続する電脳化技術や、義手・義足にロボット技術を付加した発展系であるサイボーグ(義体化)技術が発展、普及した。その結果、多くの人間が電脳によってインターネットに直接アクセスできる時代が到来した。人間、電脳化した人間、サイボーグ、アンドロイド、バイオロイドが混在する社会の中で、テロや暗殺、汚職などの犯罪を事前に察知してその被害を最小限に防ぐ内務省直属の攻性の公安警察組織、公安9課、通称"攻殻機動隊"の活躍を描いた物語。
[編集] 概要
[編集] タイトルに関して
士郎正宗は漫画の執筆前に「GHOST IN THE SHELL」をメインのタイトルにすることを希望したが、編集者の意見で「攻殻機動隊」に決定したという。 「GHOST IN THE SHELL」はアーサー・ケストラー著の『The Ghost in the Machine(機械の中の幽霊)』をもじったものであり、タイトルだけではなくこの中で取り扱われている概念も本作に使われている。
[編集] 世界観
物語の舞台は日本を元にしたパラレルワールドで、大規模な核戦争(第3次核大戦-1996年2月勃発、前年にソ連が中東に軍事介入、イスラエルを抑えて地中海に進攻しECと正面衝突後、翌年大戦)および第4次非核大戦(1999年、裕福なアジアとEC間で摩擦が生じ、同年9月に日本は核攻撃され首都圏壊滅、後にアジア諸国対EC米開戦。長期泥沼血みどろ戦争)を経て荒廃した2030年。特徴として、東京(首都圏)を舞台の中心にしていないことがあげられる。また、著者のもうひとつの代表作『アップルシード』と同じ時間軸上に位置する物語である[1]。
[編集] ストーリースタイル
SFを主体とした中にも、シリアスなプロパガンダ的背景がある一方、人間とアンドロイドの対峙で生まれる感情や差異(詳しくはゴーストを参照)などを独自なパラドックススタイルでストーリーとを紡いで展開する。 アニメ版(映画版も含む)では動的表現も重なり、アクションシーンでは細かな機器的表現のほか、映像スタイル、音楽と共にさらにアクティビティーに富んだ表現を重視している点も国内のみならず海外にもファンを作った要因といえる。
[編集] 公安9課
主人公、草薙素子らが所属する内閣総理大臣直属の公安組織。テロなどの警察の手に負えない事件を攻性に対応する事を目的としている。本作のタイトルはこの組織の通称である。詳しくは公安9課を参照。
[編集] 登場人物
登場人物に関しては各作品の記事を参照。なお、『S.A.C』シリーズの登場人物は攻殻機動隊 S.A.C.シリーズの登場人物を参照。
以下の登場人物は下記リンクを参照。
[編集] 登場兵器
- 多脚戦車
多脚戦車を参照。
- 自動爆撃ヘリ
自動爆撃ヘリを参照。
- アームスーツ
- 自衛軍で使用される強化外骨格。
[編集] 用語
[編集] 地理
- 関東地方
- 物語中に時折現れる地図では東京および関東平野(首都圏)の東部分は海となっており、東京都の東半分と神奈川県(横浜市や川崎市、横須賀市の沿岸部)、千葉県全域は核戦争の地殻変動で水没したと見られる。作中には道路標識もよく現れる。そこでは新宿などは「旧市街地」と表記されており、東京が日本の中心では無くなったことを示している。
- S.A.C2で調査のため新宿や荻窪周辺をトグサが歩き回る場面があるが、都庁は地殻変動の結果水没(半分ほどは水の上に出ている)し、荻窪駅周辺も倒壊したビルやくたびれた建物ばかりで荒廃し、難民居住区となっている。
- また核攻撃を受けた東京(広い意味で首都圏)は大部分で放射能除去がされたものの、一部でまだ放射能汚染が続いており戦後30年間、放置されている状態。これは政府が福岡市や新浜市、神戸市など西日本に首都機能を始めとする都市機能などの拠点を置いたため、核で汚染された東京旧首都圏をわざわざ復興させる必要も無いと考えているからとされる。
- 関西地方
- 東京首都圏に代わって、日本国の首都機能が集約している地域の1つが関西地方にある新浜県新浜市である。新浜市は兵庫県神戸市の沖合いに埋め立てによって造成された海上人工都市。物語中では新浜市の背景に六甲山系と思われる山が描かれている。新浜市がここまで発展したのは戦時中、東京の首都代替地として機能していたため。また兵庫県を始め、関西地方各地の地名も度々登場することから、戦争で東京程の攻撃を受けていない模様。
[編集] 地名
- 淡路島
- 物語中では2024年に日本国際博覧会、淡路万博が開催された。
- 根室
- 北海道に存在した都市。物語では戦後は近隣国によって占領されていることになっている。日本でただ1か所だけ戦場になった都市であり、「根室上陸工作戦」などの物理戦・電脳戦を中心とした大規模な奪還作戦[2]が展開された記録もある。
- 択捉島(北方領土)
- 物語中では1991年に日本国に返還され、その後極東最大の情報集約型都市として飛躍的発展を遂げるが、返還後も国家主権が曖昧な状態が続いたため、多国籍企業や犯罪組織の巣窟・無法地帯となってしまう(『イノセンス』では経済特区と呼ばれている)。
- 福岡市
- 物語中では日本の首都。高層ビルが所狭しと立ち並び、大都会という印象を受けるが、一方で屋台が軒を列ねる通りもあり、現実世界の福岡を思わせる風景が見られる。
- 新浜県新浜市
- 神戸沖合いにある海上人工都市。戦中は暫定首都として機能した。公安9課の本部が所在することから物語上、非常に重要な都市である。神戸の沖合に浮かぶ海上人工都市で、ニューポートシティとも呼ばれオフィス街や移住区が複合的に配置されている。作中では1999年に東京に核が撃ち込まれ壊滅したため、首都機能を一時この新浜市に移した。そのため、今もその名残として省庁などの政府機関の建物が点在する。
- 住吉台
- 物語中の事件、看護師殺害事件の容疑者の住所。神戸市東灘区に実在。
- 首都高速道路
- 新浜県と兵庫県を走る高速道路。首都は福岡市に移転しているにも関わらず「首都高」を名乗っている。
- 播磨研究学園都市
- 兵庫県にある研究都市。実在のモデルとしては、上郡町、たつの市、佐用町にまたがる播磨科学公園都市がある。大型放射光施設SPring-8が所在する。
- 新浜大橋(明石海峡大橋)
- 新浜県新浜市と兵庫県神戸市垂水区を結ぶ道路。
[編集] 技術
- 電脳化
- 脳にマイクロマシンなどを埋め込み、脳にネットワークを直接接続したバイオネットワーク技術。
- 攻性防壁
- 外部からの有害な情報やハッキング行為を遮断、同時に相手に攻撃するセキュリティ機能。軍事または政府機関以外の使用は法律で禁止されている。
- 身代わり防壁
- 対攻性防壁の道具。U字形をしており、首の後ろにある端子につけて使用するものや、円柱状で、その側面から伸びたケーブルにシステムを繋げて使用するものなどが描かれている。この道具を通しての通信であれば、攻性防壁による攻撃を受けてもこれが身代わりになってくれるため、攻性防壁が張り巡らされた危険なシステムや、軍事機関、政府機関等にハッキングする際にこの道具を使うことがある。攻性防壁の攻撃を受けると焼けてしまうため、身代わりとして機能するのは1回限りである。『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』第6話「模倣者は踊る MEME」にてこのシステムを草薙が使用し、攻性防壁からの攻撃を回避した。コミック版では洗脳を行っている施設の警備をしているサイボーグが使用。アクティブプロテクトとも呼ばれている。
- 防壁迷路
- システムや電脳に不正アクセスしてきたハッカー等を防壁内に取り込んでしまい、システムや電脳を守るプログラム。ただ防壁に取り込むだけで、時間稼ぎにしかならない低度な物から、かかった者に幻覚(擬似現実)を見せる高度な物まで存在する。
- 義体化
- 本作世界におけるサイボーグ技術。義手、義足、人工臓器の概念を全身に拡張、草薙のように、脳と基幹神経系だけを残してほぼ全身を人工物に置換することさえも可能(完全義体化)とされる。生身の人間を越える運動能力を持つサイボーグは「戦闘サイボーグ」と呼ばれており、専用ソフトウェアによる格闘・射撃などの能力強化も行われている。
- ロボット
- 人間同様の外観や能力を持つロボットも実用化されており、メイドや愛玩用として販売されたもののモデルチェンジなどで捨てられたロボットが野良化するまでになっている。また電脳技術によりロボットを自分の手足の様に遠隔操作するデコット(デコイとロボットの合成語)も登場している。
- なお劇中の描写から、生身の人間とサイボーグ/ロボットとの外見での識別は容易な様だが(漫画では表現不可能な差異)、ロボットとサイボーグはハード的にはほぼ同じであるために識別は困難であり、素子も劇中で「自分が実はロボットではないかと思う事がある」と語っている。
- 人工知能(AI)
- 劇中では暗号化技術のサポートや先述のロボットの頭脳、現代のスーパーコンピュータに相当する「α型人工知能(デカトンケイル)」などが登場している。
- ゴースト
- あらゆる生命・物理・複雑系現象に内在する霊的な属性、現象、構造の総称であり、包括的な概念である。作中においては主に人間が本来的に持つ自我や意識、霊性を指して用いている。しかし厳密な意味ではゴーストは構造や複雑さ、効果において同一ではない包括的な概念であり、その構造や機能で人間のゴーストと区別しなければ森羅万象にゴーストはあるとされている。ゴーストは上下方向に無限の階層構造を持っており、その中に意識・無意識・自我などのレベルが存在するが、上部に完全支配されている訳ではなく、相互に連結しながら上部構造が緩やかに下部構造を総体としてまとめている。脳科学の見地からは、大脳と視床下部の活動に大きく影響しているとされている。作中ではミクロな意味合いでの遺伝子やマクロな意味合いでのガイア理論を持ち出すことで、個人・集団とは異なる第三の主体としてこのゴーストという概念を上げている。人間という現象をゴーストを通じた複雑系が織り成す現象へと還元することで、スタンド・アローン・コンプレックスをも定義している。なお作中においては脳科学や電脳化、霊能者の研究が進み、一般的に認識されるようになっている。
- ゴーストハック
- ゴーストを活用したサイバー犯罪行為で、電脳乗っ取りなどと訳される。人間の脳をコンピュータ、もしくは、ネットワーク端末のように扱えるようにした電脳に対して、ハッキングあるいはクラッキングすること。他人の電脳に侵入、義体を含む体(人造の機械の体)の自由を奪う、コントロールする、記憶を操作するなどの影響を与える。ファイヤーウォール状の攻性防壁で阻止または時間を稼げる。またゴーストハックを行うコンピュータウィルスも存在する。この行為は重罪であり、発覚すれば終身刑級の極刑が課せられる。
- 光学迷彩
- 光学技術を使用し、使用者の姿を光学的(視覚的および一部電子情報的)に消す事が可能な装備。当然乍ら装備しても実体はなくならないので、音や加圧(重量)で察知される事もある。使用許可のある部隊のみしか通常使用できない。また、その機能上、使用禁止の場所(一部の政府機関内など)が定められている。水や埃などを大量に浴びると効果がなくなる。
- 作中には「京レ」というメーカーの「隠れ蓑」という人間が身につける製品が出てくるが、それ以外にも車両に施す物など幾つかある模様。
[編集] 作品一覧
[編集] 漫画
原作。初出「ヤングマガジン海賊版」1989年5月号。
- 攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL
- 1991年10月発売。人形使いに関する一連の事件の顛末が描かれる。
- 2003年7月発売。ブックレット付きCD-ROM。素子が去った後の公安9課が描かれる。
- 2008年3月にアニメ版原案シナリオやゲーム版設定などを追加した書籍版が発売され、後書きにて漫画版の終結宣言。
- 2001年6月発売。公安9課を去った素子とその同位体達のストーリーが描かれる。
- 攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL バイリンガル版
- 2002年9月発売。英訳版でふきだしの中が英語になっているが、その脇に日本語が書いてあるので日本語しかわからなくても読める。しかし、士郎正宗による欄外解説文は、英訳は載っているものの原文は載せるところがなくなってしまい、巻末にまとめて収録されている。「ドタタタタ!」等、銃声などの擬音は日本語のまま。またこれとは別に"Ghost in the Shell" "Ghost in the Shell 2"の完全英語版の単行本がアップルシードと同様にアメリカのダークホース・コミックス社から刊行されており、こちらは擬音の書き文字も英語になっている。
[編集] 劇場版アニメ
- 1995年11月18日(土)公開。監督押井守。漫画の1巻を基に制作されている。日本になじみの薄いSF小説的な内容のため、日本での興行成績はいまひとつだったが、アメリカではビルボード誌のビデオの週間売り上げ一位を記録(ビルボード1996年8月24日付)するなど、海外で高い評価を受け、日本への逆輸入という形で日本でも評価されるようになった。また、ウォシャウスキー兄弟製作の映画『マトリックス』に多大な影響を与えている。人間の記憶や人格が肉体を離れて外部記憶に移動した場合に人間は人間であり得るのかという点を問いかけている。
- 初公開2004年3月。劇場版第一作の続編である。
[編集] TVアニメ
2002年、2004年、2006年にTVアニメ化された。 キャラクターの外見、基本設定は、劇場版『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』に準じているが、物語の舞台設定は劇場版や原作のストーリーとは違うパラレルワールドとなっている。物語の背景に現実的なテーマを含ませており、『S.A.C』では「薬害」が、『2nd GIG』では「難民問題」が、『Solid State Society』では「高齢化問題」などが扱われている。
- 第一シリーズ。2002年10月から パーフェクト・チョイスのペイ・パー・ビューで放送され、2004年には日本テレビ系列数局で放送された。主に「笑い男事件」を扱っている。
- 第二シリーズ。新たにストーリーコンセプトに押井守を迎え制作され、2004年1月から パーフェクト・チョイスで、2005年には日本テレビ系列数局で放送された。主に「個別の11人事件」とそれに続く「出島事件」を扱っている。
- シリーズ続編の長編作品。2006年9月にパーフェクト・チョイスで放送された。『2nd GIG』から2年後の話で、草薙素子は公安9課を離れて独自の行動をとっており、組織を拡大した9課はトグサが隊長を務めている。「人形使い」を連想させる新たなゴーストハッカー「傀儡廻」が登場する。
なお、地上波放送では残酷な描写が多いなどの理由で数話が未放送になっている。また、『S.A.C.』『2nd GIG』のDVDには映像特典『タチコマな日々』が付属し、『SSS』のDVDでは、特典Discに『ウチコマナ日々』が収録されている。
[編集] 3D実写版
- スティーヴン・スピルバーグとドリームワークスが実写映画権を獲得。3D実写映画として製作すると発表。公開時期未定。
[編集] 小説
- 遠藤明範著。1995年11月発売。
- 遠藤明範著。1998年1月発売。
- 藤咲淳一著。2004年1月発売。「目覚ましテロリスト事件」を扱うストーリー。
- 藤咲淳一著。2004年7月発売。公安9課課長暗殺計画と、タチコマの恋を扱うストーリー。
- 藤咲淳一著。2005年2月発売。「吸血鬼事件」を扱うストーリー。
- 山田正紀著。2005年9月発売(文庫版。単行本は2004年3月に発売)。「ブリーダー事件」を扱うストーリー。トグサが「またハダリが人を襲った」と口にしたり、結末の近くでバトーが「ハダリ」暴走事件の捜査に向かう場面があるので前日譚とされる。
[編集] ゲーム
- PS。1997年7月発売。
- PS2。2004年3月発売。
- PSP。2005年9月発売。
[編集] 注釈
[編集] 関連項目
- Production I.G - 『S.A.C』シリーズの製作会社
- 神山健治 - 『S.A.C』シリーズの総監督
- ライフゲーム - 漫画版「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」終盤の討論に登場する「グライダー」は、ライフゲームのパターンの一つ。
- RD 潜脳調査室 - 士郎正宗原作、Production I.G製作のアニメ。本作と共通の設定が多数登場する。
|
|
|
|---|---|
| 漫画 | THE GHOST IN THE SHELL | HUMAN-ERROR PROCESSER | MANMACHINE INTERFACE |
| 劇場版アニメ | GHOST IN THE SHELL | イノセンス |
| TVアニメ | S.A.C. | S.A.C. 2nd GiG | S.A.C. Solid State Society | タチコマな日々 | 登場人物の一覧 |
| 他作品 | 小説 | ゲーム(GHOST IN THE SHELL | S.A.C. | S.A.C. 狩人の領域) |
| 音楽 | S.A.C. OST(第1作 | 第2作 | 第3作) | S.A.C. 狩人の領域 | be Human |
| 登場人物 | 草薙素子 | 荒巻大輔 | バトー | トグサ | 笑い男 |
| 設定 | 公安9課 | 電脳化 | 義体化 | 攻性防壁 | 米帝 | 日本の奇跡 | 多脚戦車 | 自動爆撃ヘリ |


