小田急60000形電車

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小田急60000形電車
小田急60000形電車(2008 年8月16日、特急「ベイリゾート号」)
小田急60000形電車
(2008 年8月16日、特急「ベイリゾート号」)
編成 6両 2本
4両 1本
起動加速度 2.4(小田急線内2.0)km/h/s
営業最高速度 110km/h
設計最高速度 120km/h
減速度 4.0km/h/s(常用最大)
4.7km/h/s(非常)
全長 2 - 9号車 20,000mm
1・10号車 20,220mm
全幅 2,850mm
全高 4,140mm
軌間 1,067(狭軌)mm
電気方式 直流1,500V
架空電車線方式
モーター出力 190kW
主電動機 全密閉外扇式三相誘導電動機
編成出力 6両 3,040kW
4両 1,520kW
制御装置 IGBT-2レベルVVVFインバータ制御
駆動装置 WN平行カルダン駆動方式
ブレーキ方式 電気指令式空気ブレーキ
回生ブレーキ
抑速ブレーキ
全電気ブレーキ
保安装置 OM-ATS,D-ATS-P, CS-ATC
製造メーカー 日本車輌製造
備考
第52回(2009年
ブルーリボン賞受賞車両
貫通側前面(2008年1月18日、五月台駅にて撮影)
貫通側前面(2008年1月18日、五月台駅にて撮影)
7号車+6号車の併合部(2008年1月9日、新百合ヶ丘駅にて撮影)
7号車+6号車の併合部(2008年1月9日、新百合ヶ丘駅にて撮影)
車内
車内
座席
座席

小田急60000形電車(おだきゅう60000がたでんしゃ)は、小田急電鉄特急形電車ロマンスカー)。車両愛称は「MSE (Multi Super Express) 」。

2008年平成20年)3月15日から営業運転を開始した。

第10回ブルネル賞(車両部門奨励賞)、グッドデザイン賞、および2009年ブルーリボン賞受賞。

目次

[編集] 概要

本形式は、特急ロマンスカーの東京地下鉄(東京メトロ)直通運転用として設計され、特急用車両としては日本で初めて地下鉄での営業運転を開始した車両である。

2005年(平成17年)5月17日に営業開始について、2006年(平成18年)9月20日に車両の製造について、それぞれの報道発表が行われた。

車両デザインは、50000形「VSE」に引き続き岡部憲明が担当し、2007年(平成19年)度に20m級ボギー車の6両編成(定員352名)2本と4両編成(定員226名)1本の計3本16両が日本車輌製造で製造された。小田急ロマンスカーにおける「ボギー車」の採用は1996年(平成8年)登場の30000形「EXE」以来である。製造費は約38億円である。2009年(平成21年)度に6両編成1本が製造予定となっているが、シート・テーブルの見直しも検討されている[1]

[編集] 特徴

[編集] 車体

車体はアルミニウム合金ダブルスキン構造である。車体断面形状は50000形「VSE」と一部を除き共通であるが、車体幅と全高は若干異なる。

車体塗装は、「フェルメールブルー」を地色に小田急ロマンスカーのイメージカラーである「バーミリオン・オレンジ」の帯を窓下に配する。

6両編成の新宿北千住方先頭車と4両編成の小田原方の先頭車は分割・併合が可能な構造で、車外から見て前面左上にフルカラーLED愛称表示器が設置されている。また、分割・併合しない側の先頭車は流線型となるが、車外から見て前面左側に非常用貫通扉が、右中央に愛称表示器が設置されている。側面の行先表示器についてもフルカラーLEDを採用している。

冷房装置は屋根上に集約分散式を2基搭載した。1基あたりの能力は23.26kW (20000kcal/h) である。冷房・除湿運転のほか、装置内に電熱ヒーターを組み込んだことで、冬期の暖房運転も可能となっている。

[編集] 車内案内

座席定員は10両編成時で578名(6両352名+4両226名)である。

号車番号/設備(全車禁煙)

  • 東京メトロ線内での乗降は号車番号が太字の車両のみ

客室内装は木目調の化粧板に床面全体に赤色系の絨毯を敷き詰めている。座席は50000形「VSE」に引き続き岡村製作所製を採用し、横2+2列配置のリクライニングシートで、前後間隔(シートピッチ)は983mmである。これは30000形「EXE」の1,000mm、50000形「VSE」の1,050mmよりも狭いが、背もたれ部分の厚みを少なくしたことにより、足元部のスペースを広く確保している。薄くなった背面部は木目調の強化樹脂製である。

なお、テーブルは一点支点方式の小さな三角形という特殊な形状で、腰掛けから引き出して使用する。そのため、飲料類を置くことはできるが、PCや大型の弁当ははみ出すことになる。一方で、両座席のテーブルを出した状態で座席を回転させることが可能である。

これらについては地下鉄乗り入れ規格を満たすため、50000形「VSE」とは異なり、不燃加工された木材は採用せず、例えばテーブルや肘掛け部はアルミ合金製とされている。天井部の形状は同形式に準じているが、室内高は同形式の2,550mmに対して、本形式は2,345mmと若干低い。

客室とデッキ部の仕切り扉はフェルメール・ブルー地に大型透明ガラスまたはスリガラスを組み込んだ構造(車両より異なる)としている。また、片開きと両開きが混在している。仕切り扉の上部には2行表示が可能なフルカラーLED式車内案内表示器を設置している。なお、デザイン優先のため、号車ごとに貫通扉は片開きと両開きが混在しており、ガラスも透明ガラスとスリガラスが混在している。また、白いパイプが妻板に突き刺さった構図など、前衛芸術的な側面も見られる。

トイレと洗面所は、10両編成の場合2・5・8号車に男女共用洋式、女性用洋式、男性小用を組み合わせて設置されている。そのうち障害者対応座席と車椅子スペースが設置されている5・8号車の共用トイレについてはユニバーサルデザインの一環としてスペースを広くし、オストメイトにも対応しベビーベッドを備える「ゆったりトイレ」である。

3・9号車には、車内販売カウンターのほか、日本の鉄道車両では初めて自動体外式除細動器 (AED) が設置された。これを皮切りに他のロマンスカー全編成にも設置が進み、2008年10月22日までに設置が完了している。

なお、車内販売は「メトロはこね」運用時のみ営業している[2]

[編集] 走行機器など

運転室

主回路システムは東芝IGBT素子による2レベル方式のVVVFインバータ制御(型式:SVF089-A0,SVF089-B0)で、回生ブレーキ機能、抑速ブレーキ機能[3]定速制御機能および全電気ブレーキ機能を有する。1基のインバータ装置で4個の主電動機を駆動する1C4M方式2群を1ユニットとして2・4・8号車に搭載する。電動車 (M) と付随車 (T) の構成(MT比)は6両編成が4M2T、4両編成は2M2Tである。

起動加速度は小田急線内が2.0km/h/s、東京メトロ・箱根登山線内が2.4km/h/sである。これらは運転台の主幹制御器キーの挿入条件により自動的に切り替わる。

補助電源装置はIGBT素子による容量260kVAの静止形インバータ (SIV) を3・9号車に搭載する。インバータ1基中にコンデンサや制御ユニットなどの故障頻度が高いユニットを2回路、フィルタリアクトルなどの故障頻度の少ないユニットを1回路として冗長化を図った待機二重系のシステムとしている。

主電動機は速度センサレス式全密閉形の三菱電機製MB-5123-A2であり、定格出力は190kWである。駆動装置はWNドライブ、歯車比は79:19 (4.16) である。

ブレーキシステムはTIOS (Train Information Odakyu management System) の制御伝送による回生(全電気)併用電気指令空気式で、遅れ込め制御を有する。また、ブレーキ時の滑走に対応するために1・10号車に滑走制御装置を設置し、これとTIOS制御伝送による編成中のブレーキ制御を統合することにより編成全体での滑走発生を抑制する「編成滑走制御」を導入した。

台車は日本車輌製の積層ゴム軸箱片支持ボルスタレス式で、電動車はND-739、付随車(制御車)はND-739TまたはND-739TAを装着する。固定軸距(ホイールベース)は2,100mmである。軸箱支持装置の軸ゴム配置を変更したことによりヨーダンパは省略されている。

パンタグラフはシングルアーム式で、6両編成の2・3号車と4両編成の8・9号車に各1基搭載される。

電動空気圧縮機は稼働時の騒音低減を図ったスクロール式で、1・5・7・10号車に搭載する。

運転台の主幹制御器4000形と同一の左手操作型ワンハンドル式である。コンソールの機器配置は1・10号車、自動幌装置が設置されている6・7号車ともに共通である。

保安装置はOM-ATSのほか、今後小田急で導入予定のD-ATS-Pや東京メトロ用のCS-ATCを搭載する。

[編集] 編成

※個別の編成を指す場合は、6両編成は6号車のクハ60050形の車両番号を用いて「60251F」、4両編成は10号車のクハ60050形の車両番号を用いて「60051F」(「F」は編成を意味するFormationの頭文字)のように表記される。

新宿北千住 10 (Tc1) 9 (M1) 8 (M2) 7 (Tc2') 6 (Tc1') 5 (M1') 4 (M2') 3 (M3) 2 (M4) 1 (Tc2)
形式 クハ60050 デハ60000 デハ60000 クハ60050 クハ60050 デハ60000 デハ60000 デハ60000 デハ60000 クハ60050
機器類 CP SIV CONT CP
CP CONT SIV CONT CP
車両番号 60051

60001

60101

60151

60251
60252
60201
60202
60301
60302
60401
60402
60501
60502
60551
60552
凡例

CONT:主制御器(1C4M2群) SIV:補助電源装置(静止形インバータ)260kVA CP:空気圧縮機

[編集] 運用

2008年3月18日に実施されたダイヤ[4]では、本形式は次の通り運行されている。なお、東京地下鉄千代田線有楽町線内は追い越し設備がなく、通常の営業列車に挟まれて運転されるので、先の列車を追い抜くことがないため、表定速度は40km/h台となっている。

編成は、「メトロホームウェイ43号」が6両で運転されるほかはすべて10両である。ただし、4両編成は2009年時点では1本しかないので、4両編成車が検査などで運用に就かない場合は6両で運転される。また、「メトロはこね」は小田原駅で分割・併合を行い、千代田線・小田急線内を10両で、箱根登山線内を6両で運転する。また、「湘南マリン」のように臨時運用では6両で運転される場合もある。その他、50000形VSEが検査などで使用できない時は、VSE指定となっている一部の「はこね」号を当形式の6両で代走される。

※当初は平日夕方ラッシュ時に千代田線湯島駅から町田相模大野方面へ直通運転し、土曜・休日は新宿 - 箱根湯本間を運転する予定としていたが、上記のように変更された。

[編集] 歴史

新木場検車区に停車中の60000形MSE(2007年11月18日)
営業開始日に行われた小田急ロマンスカーMSE到着式(2008年3月15日、箱根湯本駅)

[編集] その他

  • 2008年1月14日から、小田急線と東京メトロ線の各駅や電車内の中吊りなどに本形式のポスターが掲出されている。キャッチコピーは「青いロマンスカー」。

[編集] 脚注

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  1. ^ 小田急電鉄プレスリリース 2009年4月30日:2009年度の鉄道事業設備投資計画
  2. ^ なお、あじさいの開花時期に開成駅へ臨時停車した「さがみ」運用に入った時は臨時に車内販売の営業が実施された。この「さがみ」の運行は2008年11月30日をもって終了した。この他、一部のVSE指定列車を代走する時もワゴンカートによる車内販売を実施する。
  3. ^ 東京メトロ線内では機能しない。
  4. ^ 2007年10月19日に小田急電鉄と東京地下鉄が発表した。
  5. ^ 小田急電鉄プレスリリース 2008年4月24日:「2008開成あじさい祭」の開催に合わせ、開成駅に臨時停車する「新型ロマンスカー・MSE」を新宿駅から運転します
  6. ^ 7月26日・27日、8月2日・3日・9日・10日・16日・17日を除く。また7月25日は20000形「RSE」により運転。
  7. ^ 小田急電鉄プレスリリース 2008年6月9日:臨時特急列車「湘南マリン号」を新型ロマンスカー・MSEで運転
  8. ^ 鉄道友の会プレスリリース 2009年6月15日:2009年度ブルーリボン賞・ローレル賞決定

[編集] 参考文献

  • 小田急電鉄(株)運転車両部「新車ガイド 小田急電鉄60000形」『鉄道ファン』2008年4月号(通巻564号)p54 - 61、交友社

[編集] 外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

プレスリリース

製造会社

その他

[編集] 関連項目

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