小田急4000形電車 (2代)

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小田急4000形電車(2代)
小田急4000形電車(2007年8月28日 唐木田駅付近)
小田急4000形電車
(2007年8月28日 唐木田駅付近)
編成 10両
起動加速度 3.3 km/h/s
営業最高速度 小田急線 100km/h
千代田線 80 km/h
設計最高速度 110 km/h
減速度 4.0 km/h/s(常用最大)
4.7 km/h/s(非常)
編成定員 1,504人
全長 20,000 mm
全幅 2,790 mm
全高 パンタグラフ非搭載車 4,036.5mm
搭載車 4,085 mm
編成質量 312.7t
軌間 1,067(狭軌) mm
電気方式 直流1,500V
モーター出力 190kW×4
主電動機 かご形三相誘導電動機(全密閉式・速度センサレス方式)
編成出力 4,560kW
歯車比 96:17 (5.65)
制御装置 VVVFインバータ制御
三菱電機IPM方式)
駆動装置 WN駆動方式
ブレーキ方式 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ(応荷重機構、純電気ブレーキ付)
保安装置 OM-ATS, CS-ATC, D-ATS-P
製造メーカー 東急車輛製造
東日本旅客鉄道新津車両製作所

小田急4000形電車(おだきゅう4000がたでんしゃ)は、2007年平成19年)9月22日に営業運転を開始した小田急電鉄通勤形電車

目次

[編集] 概要

東京地下鉄(東京メトロ)千代田線への相互直通運転5000形の置き換えを目的として製造された地下鉄対応車両で、多摩急行準急などの直通運用に充当しており、千代田線に直通する臨時電車(後述)のほか、千代田線に直通しない自社線内の快速急行や急行にも充当している。

小田急が2007年2月5日に発表したプレスリリース(「外部リンク」参照)によると、「東日本旅客鉄道(JR東日本)のE233系をベースに、電気機器や保安装置などの主要な機器・回路を二重系化することにより『故障に強い車両』として運行障害の低減を図る」と記載されている。

1両20m級の10両固定編成で、初回製造分は全車両(7本70両)のうち第6編成 (4056F) はJR東日本新津車両製作所[1]、それ以外は東急車輛製造でそれぞれ落成した。

本形式の導入により、2007年11月中に千代田線乗り入れ対応の1000形のうち分割可能編成 (1251F - 1256F, 1061F - 1066F) を置き換えた。置き換えられた1000形は5000形・5200形の置き換えに充当し、原則として小田急線全線と箱根登山線小田原 - 箱根湯本間で運用されている。

2009年(平成21年)度には4058F - 4061Fの10両編成4本(40両)が増備された[2]

2010年(平成22年)度は4062・4063Fの10両編成2本(20両)が増備され[3]、千代田線乗り入れ対応の1000形のうち10両固定編成(1091 - 1094F)を置き換えた。これにより、同線に乗り入れる小田急の車両は本形式に統一された。

2011年(平成23年)度は4064Fの10両編成1本(10両)が増備された[4]

[編集] 構造

[編集] 車体

車体デザインは、ロマンスカー50000形「VSE」60000形「MSE」の総合デザインを担当した建築家岡部憲明の監修を受けている。

E233系と同一の軽量ステンレス製であるが、東京地下鉄千代田線の車両限界に合わせて裾絞りのないストレート車体であり、全幅は2,790mmである。前面のデザインは小田急独自のもので、建築限界と車両限界の間隔が小さい千代田線でも運用されることから非常用貫通扉を助士席側に設置している。車体帯は従来の小田急通勤車各形式と同様に窓下部に1本配されるが、本形式では従来の「ロイヤルブルー」からルリマツリ花弁の色を想起させる「インペリアルブルー」とされた。

E233系と同様に次の停車駅も表示可能な
種別・行先表示器

客用扉は各車両の片側4か所に設置されている。扉間隔は「通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン」の寸法に準拠した3,520mmを基本とするが、先頭車の運転室直後と次の扉の間は3,480mmである。床面高さはレール面から1,130mmで、レール面から1,100mmのプラットホーム床面との段差を小さくしている。

種別・行先表示器はフルカラーLED式とされ、側面部の寸法は3000形より縮小されている。書体2000形・3000形・8000形更新車(2007年度の8264Fまでの施行編成)での明朝体とは異なり、本形式はゴシック体である。なお、行先表示は小田急の通勤形車両で初めて日本語英語を交互に表示する方式が採用され、側面の種別・行先表示器は若干異なるがE233系と同様に2段表示が可能で、右写真のように始発・途中駅において次の停車駅を表示することができる(次駅表示は明朝体で表示)。

冷房装置三菱電機製の集中式MCU720形を屋根上に1基搭載する。冷房能力は58.14kW(50,000kcal/h)で、E233系と同一である。

[編集] 車内

座席は全席ロングシートで、1人分の座面幅は1000形の440mmから20mm拡幅した460mmである。座席間に2箇所曲線状の握り棒を設置しており、客用扉部分では黄色テープの貼付と床面の黄色床化、ドアランプが設置され、優先席エリアでは水色床(E233系は赤紫色と灰色のツートン床)と握り棒・つり革のオレンジ色化(小田急の従来車でも採用)などE233系とほぼ共通の設計とされている。ただし、のちに優先席の位置が変更されたことに伴い、現行の優先席としている箇所にはシート以外ほぼ反映されていない。逆に、以前優先席だった部分には、水色床やオレンジ色の握り棒などが残されている。なお、2009年度増備車では製造時から優先席の位置が変更されている。つり革の形状とドア脇の握り棒は従来車と共通である。車椅子スペースは先頭車前位側に設置され、当該スペースに折り畳み式座席を設けている点は3000形などと共通する[5]。各車両間の貫通扉はE233系と同一品の傾斜式であるが、扉下部にレールがありドアストッパーは省略されている。

車内情報案内装置として、3000形4次車以降と同様のTVOS (Train Vision Odakyu System) による液晶ディスプレイ(LCD)を客用扉の室内側上部に1か所設置されている。ただし、液晶ディスプレイに表示される駅の停車位置は千代田線内では表示されない。

客室側窓にはUVカットガラスが採用され、客用扉の客室側は化粧板仕上げで、窓ガラスは複層式で四隅が角ばっている(公式リリース当初の想像図では従来車と同じように四隅が丸くなっていた)が、これらはE233系と共通である。ドアエンジンは小田急で初の電気スクリュー軸駆動式が採用された。ドア上の号車表記には編成方向を表記する矢印が追加されている。また、ドアチャイムは3000形までのオリジナルの音色からE233系と同じタイプの音色に変更されている。

ステッカー類はE233系と同じものを使用しているが、記載されている車両番号の表記は角ゴシック体である。

自動放送は小田急線内のほか、千代田線内のものも用意されている。

[編集] 走行機器など

走行音
(2010年4月14日 秦野 - 渋沢)

この音声や映像がうまく視聴できない場合は、サウンド再生のヒントをご覧ください。

主回路システムはE233系と同等の三菱電機製のIGBT素子によるIPM2レベル方式のVVVFインバータ制御で、回生ブレーキおよび純電気ブレーキ機能を有する。制御装置は編成中に6両ある電動車のうちM1・M3・M5車に搭載され、1基のインバータで4個のかご形三相誘導電動機を制御する1C4M方式2群を1ユニットとして構成される。パンタグラフはシングルアーム式で、制御装置搭載車に各1基搭載されている。

電動機は速度センサレス方式の三菱電機製MB-5123-Aで、小田急の通勤車両として初めて全閉外扇式誘導電動機を採用し、騒音は3000形と比較すると約3dB低減される。定格出力は190kWである。出力を190kWとするため、放熱性能の向上および狭軌台車に搭載するための小型軽量化のために、内機循環経路から外気への放熱効率を従来よりも向上させ、内部の循環空気を冷却する放熱システムとしている。さらに、ローターバーの材質にクロム合金を採用して損失を抑制し、発熱量を低減している。主電動機の極数は従来の4極から6極に変更して、コイルエンドのコンパクト化を図ったことで小型軽量化している。主電動機単体の騒音試験では従来の開閉形誘導電動機と比較して約9dBの騒音低減が確認された[6][7]

駆動装置はE233系のTDカルダン方式とは異なり、小田急標準のWN駆動方式であるが、惰性走行時の騒音を低減した仕様とされている。

ブレーキシステムは、回生ブレーキ併用電気指令空気式である。

台車は、東急車輛製造製の軸梁式軸箱支持ボルスタレス台車で、形式は電動車が軸ばねの相違でTS-1033およびTS-1033A、付随車 (T・Tc) がTS-1034および駐車ブレーキ機構を装備するTS-3034Aの各2種類である。

連結器は、先頭車前部が密着連結器、それ以外は基本的に半永久連結器である。ただし、T1車とT2車の間は設備上の関係で検査時は6両と4両に分割可能にするために密着連結器とされているほか、可搬型の運転台ユニットを設置することが出来る。

冷房装置などのサービス機器に電力を供給する補助電源装置は、IGBT素子を使用する容量260kVAの静止形インバータ(SIV)を編成中のM2・M6車に搭載する。このほか、中間車3両の床下には非常用のハシゴを設置する。空気圧縮機は初回製造分ではTc1車、T1車、Tc2車に搭載されたが、[8]2009年度製造分からはM2車、T1車、M6車搭載に変更された。

床下機器類

運転台主幹制御器はE233系と同一形状の左手操作のワンハンドル式で、ノッチの刻みは着座位置側から力行4段・切・抑速ブレーキ・常用ブレーキ7段・非常ブレーキの順である。指定の速度域で力行4ノッチから力行2ノッチにハンドルを操作することで定速制御が可能な仕様となっている。コンソール部分の中央にTIOS (Train Information Odakyu management System) モニタ装置が設置されている。足元部の高さは、3000形では床面から250mmだったが、本形式では335mmとされた。

[編集] 編成表

 
← 小田原・藤沢・唐木田・代々木上原
片瀬江ノ島・新宿・綾瀬 →
号車 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
形式 クハ4550
(Tc2)
デハ4500
(M6)
デハ4400
(M5)
サハ4450
(T2)
サハ4350
(T1)
デハ4300
(M4)
デハ4200
(M3)
デハ4100
(M2)
デハ4000
(M1)
クハ4050
(Tc1)
自重 30.9t 32.9t 33.0t 27.9t 28.6t 29.9t 32.7t 32.9t 33.0t 30.9t
備考
  • 個別の編成を指す場合は、新宿方のクハ4050形の車両番号を用いて「4051F」(「F」は編成を意味するFormationの頭文字)のように表記される。
    初代4000形から、4000形、4100形、4200形、4300形、4400形、4500形、4050形、4550形の各形式は引き継がれているが、
    中間付随車は連結位置上4350形、4450形となり、初代4000形の中間クハ(4150形、4250形)とは形式が異なる。

[編集] 営業運転開始まで

最初に落成したのは4051Fで、2007年5月中旬に東急車輛製造横浜製作所を出場し、同月22日から24日にかけて先に新宿方6両を、後に小田原方4両を逗子駅大船駅桜木町駅東高島駅鶴見駅→大船駅→小田原駅沼津駅松田駅の経路で甲種車両輸送された。以後同年10月までに4052F~4055Fの4本が順次落成したが、いずれもこの方法で輸送された。また、海老名検車区に到着後、側面の乗務員室側にある80周年記念ステッカーや車椅子スペースの表記、女性専用車の案内ステッカーなどが貼付された[9]。その後同年7月14日に最初の試運転が実施され、この際前面窓下に「試運転」の札を装着していたが、その後種別・行先表示器に「試運転」を表示して実施された[10]。試乗会列車は4051Fと4052Fが使用され、4051Fは同年9月11日に、4052Fは同年8月21日23日は関係者向けに、同月28日は大野工場親子環境見学会と同時に運転された。

4056FはJR東日本新津車両製作所で落成し、同年11月14日から18日にかけて、信越本線上越線高崎線武蔵野線品鶴線→大船駅→桜木町駅→以下東急車輛製と同じ経路で甲種車両輸送された。

前述の通り、2007年9月22日から営業運転を開始し[11]、同月29日から千代田線への乗り入れを開始した[12]。なお、営業開始当初は車内天井角への広告掲出が行われていなかったが、同年11月から掲出が開始された。

[編集] 臨時列車

  • 2007年
    • 11月23日 - 25日、12月1日・2日:丹沢もみじ号(綾瀬 - 秦野間、小田急線内の停車駅は快速急行と同一)
  • 2009年
    • 1月1日:初詣号(唐木田 - 綾瀬間、小田急線内の停車駅は多摩急行と同一)・初日の出号(綾瀬 - 片瀬江ノ島間、小田急線内の停車駅は急行と同一)

[編集] その他

小田原線の急行運用に入った
4000形第4編成
(2008年8月22日 栢山 - 富水)
  • 2004年(平成16年)まで在籍していた旧4000形と区別するため、本形式は「新4000形」と呼ばれることもある[13]
  • 小田急線と同様に千代田線に直通するJR東日本の常磐緩行線でも2009年(平成21年)9月9日より裾絞りのないストレート車体としたE233系2000番台が導入されている。
  • 8000形の2007年度以降の更新車についても、本形式と同様に握り棒の曲線状化やドア部分の黄色テープの貼付と床面の黄色床化が施されている。
  • 2007年10月20日21日海老名駅周辺で開催された「ファミリー鉄道展2007」で、展示車両ではないが60000形「MSE」の右隣に4051Fが留置されていた。翌2008年の「ファミリー鉄道展2008」では正式に展示され、4053Fが使用された。
  • 2008年3月15日ダイヤ改正では1000形1091F - 1094Fと共通運用で小田急線内の急行、快速急行などにも運用されるようになった。
  • 小田急線複々線化のCMでは、4055Fが相模大野行き急行列車として登場する。
  • 本形式の各先頭車には、空間波列車無線アンテナ2本分の増設準備工事が施されている。
  • 2009年に4056Fで自動放送装置の更新が行われ[14]、2010年現在は、在籍する全編成が更新を終えている[15]
  • 2010年夏以降、小田急持ちの千代田線直通一般列車は本形式のみで運行されている。

[編集] 脚注

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  1. ^鉄道ジャーナル』2007年10月号44ページの記述によるもので、小田急向け車両は初めてである。ただし、車内の車両番号ステッカーのメーカー表記には相模鉄道10000系のように東急車輛と新津車両製作所の文字が併記されている。
  2. ^ 「2009年度の鉄道事業設備投資計画」 (PDF) 2009年4月30日、小田急電鉄
  3. ^ 「2010年度の鉄道事業設備投資計画について」 (PDF) 2010年4月30日、小田急電鉄
  4. ^ 2011年度の鉄道事業設備投資計画(小田急電鉄) (PDF)(2011年4月30日閲覧)
  5. ^ なお、2009年度に増備された4058F以降の編成では折り畳み座席が廃止された。
  6. ^ 「主電動機の高性能技術」平成22年電気学会産業応用部門大会 3-S10-2
  7. ^ 「小田急電鉄4000形の低騒音化技術」J-Rail2007
  8. ^ 鉄道ピクトリアル840号 P124
  9. ^ 4052F以降は落成時から貼付。
  10. ^ 4054Fは他編成の営業運転開始後に試運転を実施し、2007年10月7日から営業運転を開始した。
  11. ^ 当日は4053Fが車内広告を一切掲出しない状態で充当された。
  12. ^ 当日の直通運用に充当されたのは4052Fである。
  13. ^ 日本において「4000系(形)」と称する鉄道車両は少なく、大手私鉄では小田急の他には西武鉄道4000系)と名古屋鉄道4000系)に存在するのみである(他に東京急行電鉄5050系の4000番台がある)。なお、事業用車救援車)では、阪急電鉄4050形がある。
  14. ^ 変更されたのは、始発・終着時の放送と乗換駅の路線名の言い方である。乗換駅での放送は、乗換え可能な路線名の後に次の停車駅を案内していたが、車掌側の放送と合わせる目的で次停車駅の後に乗換え可の路線名を言うパターンに変更されている。
  15. ^ これらは2000形・3000形・8000形更新車においても同一の変更がなされている。

[編集] 参考文献

  • 小田急電鉄(株)運輸車両部「新車ガイド 小田急電鉄4000形」『鉄道ファン』2007年11月号(通巻559号)pp72 - 77、交友社
  • 小田急電鉄(株)運輸車両部「新型車両プロフィールガイド 小田急電鉄4000形」『鉄道ジャーナル』2007年11月号(通巻493号)pp96 - 99、鉄道ジャーナル社

[編集] 外部リンク

[編集] 関連項目

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