東武100系電車

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東武100系電車
「スペーシア」
東武100系(リニューアル前)(2007年11月 日光線幸手 - 南栗橋間)
東武100系(リニューアル前)
(2007年11月 日光線幸手 - 南栗橋間)
編成 6両編成9本(54両)
営業最高速度 120 km/h
設計最高速度 130 km/h
起動加速度 2.0 km/h/s
減速度 3.7 km/h/s(常用最大)
5.3 km/h/s(非常)
編成定員 288名
車両定員 浅草新宿
モハ100-1 (Mc1) 24名
モハ100-2 (M1) 64名
モハ100-3 (M2) 56名
モハ100-4 (M3) 36名
モハ100-5 (M4) 64名
モハ100-6 (Mc2) 44名
東武日光鬼怒川温泉
全長 Mc1・2 : 21,600 mm
M1・3・4 : 20,200 mm
M2 : 21,600 mm
全幅 2,878 mm
全高 4,050 mm
パンタグラフ搭載車 4,200 mm
車体材質 アルミニウム合金
編成質量 219.5 t
車両質量 Mc1 35.5 t
M1 37.5 t
M2 36.5 t
M3 36.5 t
M4 37.5 t
Mc2 36.0 t
軌間 1,067 mm
電気方式 直流1,500 V
架空電車線方式
編成出力 3,600 kW
主電動機 かご形三相誘導電動機
TM-90
主電動機出力 150 kW×4 / 両 (一時間定格)
歯車比 85:16 (5.31)
駆動装置 TD継手式中実軸平行カルダン TD-90
制御装置 VVVFインバータ制御
GTOサイリスタ素子日立製作所 VF-HR127)
台車 SUミンデン式ボルスタレス空気ばね台車 TRS-90M
住友金属工業 SS115)
制動方式 回生ブレーキ・非常発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ抑速ブレーキ
保安装置 東武形ATS
ATS-P(106F - 108Fのみ)
製造メーカー アルナ工機
東急車輛製造
備考
Wikipedia blueribbon W.PNG
第34回(1991年
ブルーリボン賞受賞車両

東武100系電車(とうぶ100けいでんしゃ)は、東武鉄道特急形車両日光線特急列車用として1990年平成2年)6月1日に営業運転を開始した。

一般公募により「スペーシア (SPACIA) 」の愛称が与えられている。1991年(平成3年)までに6両編成9本(計54両)がアルナ工機東急車輛製造で製造され、同年9月1日1720系を全車置き換え、日光線鬼怒川線系統の特急列車は本系列に統一された。1990年に通商産業省(現・経済産業省)グッドデザイン商品(現・日本産業デザイン振興会グッドデザイン賞)に選定され、1991年に鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞した。

車体[編集]

本系列の全体の設計コンセプトとして“Fast & Pleasure”を掲げた。前面は非貫通の流線形である。

車体は東武鉄道で初めての採用となるオールアルミ合金製とされ、軽量化と低重心化が図られている。また客室の静粛性に特に配慮した結果、床部分の厚さが先代特急車の1720系の50 mmから130 mmと大きくなった。客用扉には外開式のプラグドアが採用され、側面の平滑化が図られた。車体塗装は、登場当初は6050系に倣い、ジャスミンホワイトを基調にパープルルビーレッドとサニーコーラルオレンジの帯を巻いており窓回りを黒としていたが、後述するリニューアル工事によって現存しない。

105 - 108編成には後年転落防止幌が取り付けられた。

車内[編集]

内装は銀座東武ホテルのデザインを手掛けたデザイナーロバート・マーチャントによってデザインされている。

1 - 5号車の座席は横2+2列の4アブレストで、回転式リクライニングシートである。座席の前後間隔(シートピッチ)は1,100 mm、全座席にフットレストが装備され、これらに関してはJRグリーン車並み(2+2列の4アブレスト仕様相当)である。当初はヘッドレストスピーカーが内蔵されており、オーディオサービスが実施されていたが2001年に終了し、その後スピーカーは撤去された。

3号車にはビュッフェ自動販売機がある。サービスカウンターではかつてスペーシアアテンダントが乗車しており、主に外国人観光客向けにサービスを行っていたが現在は使用されていない。 また、電話室もありテレホンカード専用車内電話があったがmova停波のため2012年3月31日で撤去された。

トイレ洗面所は1・4・6号車に設置されている。トイレはいずれの車両も洋式和式の双方がある。

6号車には4人用個室が6室設けられている。ホテルの客室を意識した設計で、床面全体にカーペットが敷かれており、テーブルは大理石製である。このコンパートメントはJR線内ではグリーン車扱いとなる。登場当初は個室からビュッフェへ注文できる通話装置やオーディオサービス、電動操作式のブラインドなども設置されていたが、のちに撤去されている。

車内放送には自動放送装置も装備されており、これは「スペーシアきぬがわ」のJR線区間にも対応している。

主要機器[編集]

主回路制御システムは、日立製作所製の大容量GTOサイリスタ素子によるVVVFインバータ制御を採用した。インバータ装置1基で8個の主電動機かご形三相誘導電動機)を駆動する1C8M方式である。日本で有料特急に供される電車においてVVVFインバータ制御を採用したのは、営業運転開始ベース(1990年6月1日)では本系列が最初であった。

主電動機は1時間定格出力150 kW、定格回転数3,330 rpmかご形三相誘導電動機を1両あたり4個装備する全電動車方式である。編成として高出力となっているのは最高速度130 km/hの高速運転を想定していること(現行の最高運転速度は120 km/h)、また25 の勾配と曲線の連続する日光線北部の運転条件に適合させるためである。

駆動装置はTD継手式平行カルダン方式で、歯車比は85:16 (5.31) である。

起動加速度は2.0 km/h/sであるが、定加速領域も約100 km/h付近までと高速性能を重視しており、当初計画の130 km/h運転に備えている。また、乗り心地改善のため、ジャークコントロール(加速度制御)されており、すぐに2.0 km/h/sの加速度にならず、徐々に加速度を高めていく仕様であり、ノッチオフの際も徐々に電流を下げる絞り込み遮断を行い、加速・減速時の前後衝動が2000年以降に製造された新型車両と比べても格段に少ない。加えて60 km/h以上では任意の速度で設定可能な定速走行装置も装備する。

台車は1本リンク式の牽引装置を用いたボルスタレス式(TRS-90型)を採用した。軸箱支持方式はSUミンデン式、固定軸距は2,300 mmである。乗り心地改善のため1991年に落成した105 - 109編成にはヨーダンパを装備し、併せて未装備の編成も後年追加装備された。

ブレーキシステム回生発電ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ (HRDA-2) で、常用ブレーキ時に回生ブレーキを併用するほか、非常ブレーキ時には発電ブレーキを常用する。また高速運転に対応するため、滑走再粘着制御ならびに粘着パターン制御を行う。基礎ブレーキ装置には踏面片押し式のユニットブレーキを採用し、降雪時を考慮して焼結合金製の制輪子を用いる。他に抑速ブレーキ、降雪時に雪の付着を防止する抑圧ブレーキを装備している。

空調装置は冷暖房兼用ヒートポンプ集約分散型を採用し、各車に3基ないし4基搭載する。

補助電源装置は東芝DC - DCコンバータ (SCV) と静止形インバータ (SIV) を組み合わせた容量140 kVAのものを両先頭車に搭載する。

のちに、JR直通用となった106 - 108編成にはATS-Pが取り付けられた。

運用[編集]

JR新宿駅まで乗り入れる東武100系「スペーシアきぬがわ」(右)
※左はJR253系による「成田エクスプレス
(2007年7月)
東京スカイツリーをバックに走るスペーシア

東武日光線・鬼怒川線系統の特急「きぬ」・「けごん」に使われる。「きぬ」・「けごん」をまとめて案内する時に、本来は車両愛称の「スペーシア」が列車愛称の意で使われることもある。

また、日光線栗橋駅から東日本旅客鉄道(JR東日本)東北本線宇都宮線)に乗り入れて新宿駅 - 東武日光駅鬼怒川温泉駅を結ぶ直通特急「スペーシアきぬがわ」・「スペーシア日光」にも使用される。

これに関し、2006年3月の直通列車運転開始に対応して、106 - 108編成の3本について車両へのATS-P車上装置、JR用列車無線装置、EB・TE装置等の設置工事とJR方式の座席番号表示ステッカーならびに個室車両へのグリーン車マーク貼付が行われた。

編成表[編集]

凡例
VVVF:制御装置、APU[1]:補助電源装置、CP:空気圧縮機、PT:集電装置
 
浅草・新宿
東武日光・鬼怒川温泉 →
号車 6 5 4 3 2 1
形式 モハ100-1形
(Mc1)
モハ100-2形
(M1)
モハ100-3形
(M2)
モハ100-4形
(M3)
モハ100-5形
(M4)
モハ100-6形
(Mc2)
搭載機器 APU VVVF・PT APU・CP VVVF・PT VVVF・PT APU
自重 35.5 t 37.5 t 36.5 t 36.5 t 37.5 t 36.0 t
定員 24 64 56 36 64 44
車両番号 101-1

109-1
101-2

109-2
101-3

109-3
101-4

109-4
101-5

109-5
101-6

109-6

装飾など[編集]

  • 2009年9月に東武日光線開通80周年記念ステッカーが102編成先頭車前面に貼付された。
  • 2010年7月17日から8月31日までは、東武鉄道・西武鉄道小田急電鉄京成電鉄の4社合同企画である「私鉄特急スタンプラリー」のステッカーが一部編成の先頭車前面に貼付けされた。
  • 2011年4月から9月にはJR乗り入れ対応の106 - 108編成を除く6編成に「上を向いて がんばろう日本」のステッカーが貼付けされた。
  • 2012年2月頃からリニューアル工事の完了した編成には東京スカイツリー開業までの日数を示したカウントダウン式のステッカーが貼られ、開業後はグランドオープンのステッカーに交換された。
  • 2012年11月から2013年1月まで浅草駅に開業の駅ナカ「浅草エキミセ開業」のステッカーが貼付けされた。

リニューアル[編集]

東武が2011年5月に発表した2011年度の事業計画で、本系列の客室内装のリニューアルを実施すると言及した[2]が、同年12月にその詳細が発表された[3]

主な発表の内容は以下の通り。

  • 客室内装は座席モケットの交換(座席車・個室共通)、壁紙の変更(個室・デッキ部・ビュッフェ)、カーペットの交換が実施される。
  • 車体塗装は、塗り分け線については従来と同一であるが、パープルルビーの細帯は2011年に採用された東武グループロゴタイプカラーであるフューチャーブルーとされ、サニーコーラルオレンジの太帯と側窓周囲の黒色部は東京スカイツリーライトアップデザイン「雅」をイメージした江戸紫としたもの、同じく「粋」をイメージした「隅田川の水をモチーフとした淡いブルー」としたもの、側窓周囲も含めて日光線・鬼怒川線優等列車のイメージカラーである「サニーコーラルオレンジ」基調とした3種3編成にすることを明らかにした[3]
側面のロゴタイプ
  • 車体側面などに配されるロゴタイプは"I"の部分が東京スカイツリーの塔体を表し、"A"と"C"の上に配される3つの星は「浅草」「東京スカイツリータウン」「日光」を表す。
  • ビュッフェの柱にはソラカラちゃんたちの車体塗装によって違うポスターが貼られた。

最初にリニューアルを施工した105編成「雅」は2011年12月29日から営業運転を開始した[3]。続いて109編成「粋」が2012年2月6日に[4]、さらに103編成「サニーコーラルオレンジ」基調が2012年3月4日にそれぞれ運行を開始した[5]

その後「雅」は3月30日に102編成、6月1日に107編成が運行開始され一足早く出揃った。また「粋」も4月28日に108編成、7月1日に101編成が運行開始されこちらも出揃った。最後に残った「サニーコーラルオレンジ」基調も7月26日に106編成が、オリジナルカラーのまま最後まで残存した104編成も8月27日をもってリニューアル工事施工のため運用を離脱し[6]、施工後9月30日に運行開始され3種3編成が出揃った[7]

2014年1月、108編成の行先表示器が電動幕式からフルカラーLED式に更新され[8]、他の編成も順次更新された。

将来[編集]

2014年4月30日に発表された「東武グループ中期経営計画2014~2016」には「新型特急の投入(日光線・伊勢崎線系統)」と記されており[9]、計画通りに新型の特急車両が投入された場合、100系の運用等に変動が生じる可能性がある。

脚注[編集]

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  1. ^ 「Auxiliary Power Unit」の略語。鉄道業界においては車両に搭載される補助電源装置を指す。
  2. ^ 2011年度の鉄道事業計画 (PDF) - 東武鉄道ニュースリリース 2011年5月31日
  3. ^ a b c 特急スペーシアをリニューアルします!! (PDF) - 東武鉄道ニュースリリース 2011年12月15日
  4. ^ 2月6日(月)より東京スカイツリー®ライティングデザイン「粋」基調の特急スペーシアが運行開始! (PDF) - 東武鉄道ニュースリリース 2012年2月2日
  5. ^ 東武100系リニューアル車「サニーコーラルオレンジ」が営業運転を開始 - 交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2012年3月5日
  6. ^ 2012年8月28日 【東武】100系オリジナルカラー 運転終了 - RMニュース ネコ・パブリッシング 2012年8月28日(2012年8月29日閲覧)
  7. ^ 東武博物館発行「雅 粋 サニーコーラルオレンジ基調 スペーシア カウントダウンの100日間」参照
  8. ^ 東武100系108編成の側面行先表示器がフルカラーLEDに交友社『鉄道ファン』railf.jp 鉄道ニュース 2014年1月17日)
  9. ^ 東武グループ中期経営計画2014~2016の策定について(東武鉄道 2014年4月30日 PDF)

参考文献[編集]

  • 稲葉克彦「東武鉄道 現有車両プロフィール2008」『鉄道ピクトリアル』2008年1月号増刊(通巻799号)p260 - 263、電気車研究会

外部リンク[編集]