境線

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JR logo JRgroup.svg 境線
境線を走る鬼太郎列車シリーズ
境線を走る鬼太郎列車シリーズ
路線総延長 17.9 km
軌間 1067 mm
電圧 米子駅 - 後藤駅間のみ
1500 V 架空電車線方式直流
停車場・施設・接続路線
日ノ丸自動車法勝寺電鉄線
exKBHFe
米子市駅
ELCs ABZq+l BHFq
0.0 米子駅 山陰本線
STR uexKBHFa
米子駅前駅
STR uexSTR
米子電車軌道:灘町線
BHF
1.0 博労町駅
BHF
1.5 富士見町駅
emKRZu
米子電車軌道:皆生線
KDSTa STR
後藤総合車両所
STRlf ABZlg
ELCe BHF uexBHF
2.2 後藤駅 後藤駅前駅
STR uexSTRlf
米子電車軌道:灘町線
BHF
3.3 三本松口駅
BHF
5.3 河崎口駅
BHF
7.2 弓ヶ浜駅
BHF
9.7 和田浜駅
BHF
11.1 大篠津町駅
STRc2 xABZg3
STR+1
11.9 大篠津駅 -2008
BHF2
FLUG
12.7 米子空港駅 米子空港
STRc1 xABZg+4
BHF
13.2 中浜駅
BHF
14.3 高松町駅
BHF
15.0 余子駅
BHF
16.3 上道駅
BHF
17.2 馬場崎町駅
eBHF
17.6 境駅 -1919
KBHFxe BOOT
17.9 境港駅 1919- 境港隠岐汽船
exKBHFe
18.3 船着場仮乗降場 -1986

境線(さかいせん)は、鳥取県米子市米子駅から鳥取県境港市境港駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線地方交通線)である。

米子駅を起点として弓ヶ浜半島のほぼ中心部を通り山陰地方きっての貿易港で漁業基地である境港市へ伸びる路線である。米子市の近郊線として駅の増設や列車の増発が図られている[1]

路線データ[編集]

  • 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者
  • 区間(営業キロ):米子駅 - 境港駅 17.9km
  • 軌間:1067mm
  • 駅数:16(起終点駅含む)
    • 境線所属駅に限定した場合、山陰本線所属の米子駅が除外され[2]、15駅となる。
  • 複線区間:なし(全線単線
  • 電化区間:米子駅 - 後藤駅間電化(直流1500V)、後藤駅 - 境港駅間非電化
  • 閉塞方式:特殊自動閉塞式(電子符号照査式)
  • 最高速度:100km/h

全区間、米子支社の直轄である。

運行形態[編集]

平日朝に1本鳥取発境港行きの山陰本線からの直通列車があるほかは、米子駅 - 境港駅間の線内運転で、全列車が各駅に停車する。ダイヤは平日と土曜・休日に分かれており、運転本数は平日22往復、土曜・休日は17往復で、運転間隔は40分に1本程度(土曜・休日は終日1時間間隔)である。2003年10月1日の高速化完成により、一部は山陰本線鳥取方面と直通運転するようになった。

平日ダイヤの列車番号末尾はD、休日・土曜ダイヤはKとなっている。

快速「みなとライナー」[編集]

境線を走る多客期の臨時列車として、快速「みなとライナー」がある。同列車は2005年3月5日から2010年3月7日までの間は、臨時列車扱いでありながら、土曜・休日と学校休暇中に1往復が運転されていた[3]。しかし、2010年3月13日のダイヤ改正をもって毎週土曜・休日の運行が取りやめられ、お盆休みなどの多客期のみの運行に限定されることになった[4]

途中、後藤駅弓ヶ浜駅米子空港駅中浜駅余子駅馬場崎町駅に停車する。米子駅 - 境港駅の所要時間は、普通で約45分であるが、快速は約30分で運転を行っていた。

使用車両[編集]

米子駅 - 後藤駅間は電化されているが、電車の運行は後藤総合車両所に出入区する回送列車に限られており、営業運転列車はすべて気動車である。ワンマン運転時の自動放送は、一部の列車をのぞいて「鬼太郎」と「猫娘」の声まねで行われている(鬼太郎列車)[5][6]

キハ40系(キハ40形・キハ47形)
普通列車として運用されているキハ40形は、すべてイラスト車両となっている。これは境港市出身の漫画家水木しげるの作品『ゲゲゲの鬼太郎』のイラストを車体に描いたもので、境港市に水木しげるロードが完成したのに合わせて1993年から運転が始まった。2013年現在のイラスト列車は、「鬼太郎列車」(四代目)・「ねずみ男列車」(二代目)・「ねこ娘列車」(二代目)・「目玉おやじ列車」(二代目)の4種類がある。平日・土曜13往復、休日14往復がイラスト列車で運転されている。方向幕は「米子⇔境港」(平日の鳥取発境港行きは、米子までは「境港」で、米子を出ると「米子⇔境港」となる)。
キハ121系・キハ126系
駅間距離が大都市並みに短く、高加減速性能に優れているため、快速と一部列車に使用されている。

歴史[編集]

境港駅 - 馬場崎町駅間にある「山陰鉄道発祥之地」の碑

境線は、山陰初の鉄道として1902年に山陰本線の米子駅 - 御来屋駅間とともに開業した。これは、境港から鉄道建設用の資材を搬入するためのもので、同様の例は中京地区の武豊線北陸本線の敦賀港支線に見られる。開業時に関する詳細は山陰線支線の着工を参照。

  • 1902年明治35年)
    • 11月1日:境駅 - 米子駅 - 御来屋駅間が開業(境駅 - 米子駅間は10M63C≒17.36km)。境駅(現・境港駅)・大篠津駅(現・米子空港駅)・後藤駅・米子駅が開業。
    • 11月12日:営業距離の単位をマイルのみに簡略化(10M63C→10.8M)。
  • 1908年(明治41年)4月5日:米子駅 - 安来駅間開業に伴い、米子駅 - 境駅間が支線となる。
  • 1909年(明治42年)10月12日国有鉄道線路名称制定。境線となる。
  • 1914年大正3年)12月15日:境駅が移転、大篠津駅 - 境間駅が0.4M(≒0.64km)延長。
  • 1915年(大正4年)6月1日:蒸気動車運転開始[7]
  • 1917年(大正6年)7月1日:弓ヶ浜駅が開業。
  • 1919年(大正8年)7月1日:境駅を境港駅に改称。
  • 1930年昭和5年)4月1日:営業距離の単位をマイルからメートルに変更(11.2M→17.9km)。
  • 1932年(昭和7年)12月22日:余子駅が開業。
  • 1933年(昭和8年)6月17日:気動車運転開始[8][9]
  • 1951年(昭和26年)11月1日:和田浜駅が開業。
  • 1952年(昭和27年)7月1日:博労町駅・河崎口駅・中浜駅・上道駅が開業。
  • 1982年(昭和57年)6月21日:米子駅 - 後藤駅間が電化。後藤車両所(現・後藤総合車両所)入出区列車のため。
  • 1984年(昭和59年)8月2日:境港駅構内に、船着場仮乗降場を開設。隠岐航路接続用に夏季に限り営業。
  • 1986年(昭和61年)
    • 9月1日:船着場仮乗降場が廃止。
    • 11月1日:全線の貨物営業が廃止。
  • 1987年(昭和62年)
    • 4月1日:国鉄分割民営化により、西日本旅客鉄道が継承。
    • 11月1日:富士見町駅・三本松口駅・御崎口駅(現・大篠津町駅)・高松町駅・馬場崎町駅が開業。これらは同社発足後初めての新設駅である[10]
  • 1993年平成5年)
    • 9月:「鬼太郎列車」運行開始。
    • 11月1日:一部列車を除きワンマン運転開始[11]
  • 2000年(平成12年)8月26日:二代目の「鬼太郎列車」運行開始。
  • 2002年(平成14年)3月23日:休日の本数削減および保守工事運休導入。
  • 2003年(平成15年)10月1日:高速化。
  • 2005年(平成17年)
    • 3月5日:臨時快速「みなとライナー」運行開始[12]
    • 3月17日:ゲゲゲの鬼太郎に登場する妖怪を駅名の愛称に採用する[13](同年6月22日にJR西日本は、4月25日発生のJR福知山線脱線事故を受け、駅名に妖怪名を付加する一連のキャンペーンの無期延期を決めたが、11月3日から再開)。
    • 11月3日:三代目の「鬼太郎列車」運行開始。
  • 2006年(平成18年)
    • 2月19日:「ねずみ男列車」の運行開始[14]
    • 3月18日:休日運休を含む夜間の列車時刻を、最大で約40分変更。
    • 7月6日:「ねこ娘列車」の運行開始[15][16]
  • 2007年(平成19年)
    • 2月11日:「目玉おやじ列車」の運行開始[17]
  • 2008年(平成20年)6月15日:御崎口駅が大篠津町駅に、大篠津駅が0.8km中浜寄りに移転し米子空港駅に改称[18]。また、美保飛行場(米子空港)の滑走路拡張に伴い大篠津町駅 - 中浜駅間の経路が変更[19]。これに伴う営業キロの変更はなし。
  • 2009年(平成21年)
    • 3月14日:年4回昼間に行われていた保守工事運休を廃止。
    • 10月10日:四代目の「鬼太郎列車」が運行開始[20]
  • 2010年(平成22年)
    • 3月7日:この日を最後に臨時快速「みなとライナー」の毎週の運行を中止し、多客期のみの運行とする。
    • 3月13日:二代目の「ねずみ男列車」が運行開始[21]
    • 8月1日:二代目の「ねこ娘列車」が運行開始[22]
    • 11月3日:二代目の「目玉おやじ列車」が運行開始[23]

米子空港拡張に伴う線路移設[編集]

美保飛行場(米子空港)の滑走路拡張に伴い、2008年6月15日に御崎口駅(現・大篠津町駅) - 中浜駅間(2.1km)の経路が県道と共に滑走路を大きく迂回するよう変更され、大篠津駅が米子空港ターミナル近くに移転し米子空港駅と改称された。なお、空港拡張は、線路と滑走路の干渉について、解決策が「迂回」とされるまでに時間を要したため(地下化も検討された)2008年の予定であったが[24]、2009年12月に完成した[25]

大篠津駅の移転・改称と同時に地元からの大篠津の駅名存続の要望を受け御崎口駅が大篠津町駅と改称され、それぞれの駅の妖怪駅名も継承された[26][27][28]

なお、経路変更に伴って実際の距離(実キロ)は長くなるが、2008年6月15日以降も大篠津町駅 - 中浜駅間の営業キロは従来通り2.1kmのままとなるため、実キロよりも短くなる。

日本海新聞の報道による争い[編集]

1997年10月7日日本海新聞1面「鳥取発特報」に『境線を廃止したらどうか』という記事が佐伯健二記者の署名付きで掲載された[29]。記事の内容は、米子空港拡張による境線の一部地下化または線路移動工事に際して、その費用対効果に疑問を呈し「役目は終わった」として廃止を提案するものだった。記事では廃止論の根拠として利用者減少と路線収支を挙げていたものの、その根拠とした数字は以下のようなものであった。

  • 利用者数については、境港駅の乗車人数(「乗降」人数ではない、1日平均419人)を挙げたのみで、それ以外の駅については調査すらしていない。
  • 路線収支についても「百円の収入を得るのに必要な経費の額を示す営業係数は、現在は部外秘で知らされないが、六九八だった昭和五十六年(鳥取県大百科事典)と、厳しい状況は変わっていないのではなかろうか」と、十数年前のデータを提示したのみでその後の推移について全く言及していない[30]

この指摘に関して佐伯記者は「確かな数字を教えないJR西日本が悪い」と反論しているが、運輸局などで公開されている資料を佐伯記者が調査した形跡はない。

記事掲載後、西日本旅客鉄道労働組合JR連合系、以下西労組)は電話で抗議。これに対し日本海新聞社が「新聞に何を書いて載せてもいいではないか」と返答したため、西労組は対抗策として同紙の不買運動に踏み切る。その影響が大きくなるにつれ、日本海新聞は「新聞の不買運動は、民主主義を破壊する」「激しく闘う」と社長・編集総局長名で抗議したが、境線利用者数についての訂正はなく、さらに「あれは、記者の個人的な意見であって、新聞社の意見ではない」と述べた。記事掲載から1か月後、日本海新聞は「不買をやめたら西労組の反論を載せる」ことを表明し不買運動は終結したが、現在まで反論は掲載されていない。

駅一覧[編集]

  • 愛称(妖怪名) … 『ゲゲゲの鬼太郎』に登場する妖怪。2005年3月17日より採用
  • 旅客列車は全列車普通列車(すべての旅客駅に停車)
  • 線路(全線単線) … ◇・∨・∧:列車交換可能、|:列車交換不可
  • 全駅鳥取県内に所在
駅名 愛称(妖怪名) 駅間営業キロ 累計営業キロ 接続路線 線路 所在地
米子駅 ねずみ男 - 0.0 西日本旅客鉄道山陰本線伯備線[* 1] 米子市
博労町駅 コロポックル 1.0 1.0  
富士見町駅 ざしきわらし 0.5 1.5  
後藤駅 どろたぼう 0.7 2.2  
三本松口駅 そでひき小僧 1.1 3.3  
河崎口駅 傘化け 2.0 5.3  
弓ヶ浜駅 あずきあらい 1.9 7.2  
和田浜駅 つちころび 2.5 9.7  
大篠津町駅 砂かけばばあ 1.4 11.1  
米子空港駅 べとべとさん 1.6 12.7   境港市
中浜駅 牛鬼 0.5 13.2  
高松町駅 すねこすり 1.1 14.3  
余子駅 こなきじじい 0.7 15.0  
上道駅 一反木綿 1.3 16.3  
馬場崎町駅 キジムナー 0.9 17.2  
境港駅 鬼太郎 0.7 17.9  
  1. ^ 伯備線の正式な終点は山陰本線伯耆大山駅だが、列車は米子駅に乗り入れている

両端の米子駅と境港駅のみJR西日本直営駅であり、中間駅はすべて無人駅である。

脚注[編集]

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  1. ^ 宮脇俊三・原田勝正 編『全線全駅鉄道の旅7 北陸・山陰JR私鉄2300キロ』小学館、1991年、p.194。
  2. ^ 『停車場変遷大事典 国鉄・JR編』JTB、1998年。ISBN 978-4-533-02980-6
  3. ^ 境港にひとっ飛び 快速列車の運行開始 - さかいみなとポータル(境港商工会議所)
  4. ^ 平成22年 夏の臨時列車運転等のご案内 (PDF) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年5月14日
  5. ^ JR境線「鬼太郎列車」:山陰観光【神々のふるさと山陰】
  6. ^ JR境線 鬼太郎列車の旅 妖怪の国・境港へ:レスポンス
  7. ^ 鉄道院『大正四年度 鉄道院年報』p.15
  8. ^ 日本国有鉄道『日本国有鉄道百年史』第8巻、1971年、p.615。
  9. ^ 『鉄道省年報. 昭和9年度』(国立国会図書館近代デジタルライブラリー)
  10. ^ データで見るJR西日本2012(西日本旅客鉄道)P.80-81
  11. ^ ジェー・アール・アール『JR気動車客車編成表 2011』交通新聞社、2011年。ISBN 978-4330220116
  12. ^ 境港にひとっ飛び 快速列車の運行開始 - 境港商工会議所 2005年03月07日
  13. ^ 「ようこそ妖怪ワールド」へ 全国の妖怪に逢える境線に今夏一新!!(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2005年3月25日
  14. ^ 鬼太郎追って走る! 「ねずみ男列車」19日発車 - 境港商工会議所 2006年02月17日
  15. ^ 『JR気動車客車編成表 '06年版』ジェー・アール・アール、2006年。ISBN 4-88283-127-9
  16. ^ 以下によれば「ねこ娘列車」の運行は7月8日から。
  17. ^ 「目玉おやじ列車」あす発車 JR境線 - 境港商工会議所 2007年2月15日
  18. ^ 境線 大篠津駅、御崎口駅の駅名改称について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年4月15日
  19. ^ 境線 「米子空港駅」竣工セレモニーの実施について(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年6月10日
  20. ^ 4代目鬼太郎列車が出発 鳥取のJR境線 - 47NEWS 2009年10月10日
  21. ^ 「ねずみ男列車」黄金色に衣替え 米子駅で出発式 - 47NEWS 2010年3月13日
  22. ^ ねこ娘列車リニューアル フルラッピング仕様 - 日本海新聞 2010年07月19日
  23. ^ 境線「新目玉おやじ列車」出発式セレモニーについて(インターネット・アーカイブ)- 西日本旅客鉄道プレスリリース 2010年10月29日
  24. ^ JR境線の迂回計画、来月にも着工 - 日本海新聞 2007年7月5日
  25. ^ 夢乗せる2500メートル 米子空港供用スタート - 日本海新聞 2009年12月18日
  26. ^ 米子の空の玄関新駅名は「米子空港駅」に - 日本海新聞 2008年4月16日
  27. ^ 境線 大篠津駅、御崎口駅の駅名改称について - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年4月15日
  28. ^ 境線 駅間キロ改正・駅名改称 概要図 (PDF) - 西日本旅客鉄道プレスリリース 2008年4月15日
  29. ^ “鳥取発特報 境線を廃止したらどうか”. 日本海新聞. (1997年10月7日). オリジナル1997年10月22日21:23:01時点によるアーカイブ。. http://web.archive.org/web/19971022212301/www.nnn.co.jp/tokuhou/9toku.html#9710071 
  30. ^ 参考までに2007年度の営業係数は、週刊東洋経済が独自調査を行い173と算出している。

外部リンク[編集]

関連項目[編集]