フィリップ・K・ディック
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| フィリップ・K・ディック Philip K. Dick |
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|---|---|
| 誕生 | フィリップ・キンドレド・ディック(Philip Kindred Dick) 1928年12月16日 シカゴ |
| 死没 | 1982年3月2日 サンタアナ |
| 職業 | SF作家 |
| 国籍 | アメリカ合衆国 |
| 活動期間 | 1952年 - 1982年 |
| 代表作 | 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』、『高い城の男』など |
| 主な受賞歴 | ヒューゴー賞、ネビュラ賞 |
| 処女作 | 『ウーブ身重く横たわる』 |
| 公式サイト | http://www.philipkdick.com |
フィリップ・キンドレド・ディック(Philip Kindred Dick, 1928年12月16日 - 1982年3月2日)はアメリカのSF作家。
目次 |
[編集] 概要
ディックの人生はSF作家としての評価とは裏腹に、経済的な問題、幾度かの離婚、薬物摂取など、決して順風満帆ではなかった。神経症の治療やその他の理由からアンフェタミンを常用した時期があり、自殺未遂を繰り返し、薬物中毒施設に入院した経験もある。1955年には妻クレオ・アポストロリデエスが社会主義者だったことからFBIの取り調べを受けた(1959年に離婚)。
晩年には『ヴァリス』などにも描写がある一連の神秘体験を経験し、神学への傾倒を深めた。
ディックの死後に制作、公開された『ブレードランナー』『トータル・リコール』『マイノリティ・リポート』など著名なSF映画の原作者としても知られるが、『バルジョーでいこう!』(Confessions d'un Barjo )のような一般映画も、ディック作品を原作として生まれている。
生前には商業的に成功した作家とはいえなかったディックだが、生前からSF評論家やマニアたちの評価は高く、死後はSFジャンルを超えて、高い評価がされた。
アメリカSFを全面批判した、ポーランドのSF作家スタニスワフ・レムは、唯一ディックを称賛し、「ペテン師に囲まれた幻視者」と彼を評している。[1]
[編集] 経歴
- 1928年 イリノイ州シカゴに二卵性双生児の一子として生まれる。双子の妹ジェイン・シャーロット(Jane Charlotte)は40日後に死去。
- 1943年 最初の長編「リリパットへ帰る Return to Lilliput」執筆。
- 1951年 短編『ルーグ』執筆。何度も修正を指示され、雑誌に掲載されたのは1953年。
- 1952年 『ウーブ身重く横たわる』で商業誌デビュー。
- 1955年 長編『偶然世界』刊行(初めて出版された長編)。
- 1962年 『高い城の男』刊行、翌年ヒューゴー賞受賞。生活苦のため多くのSFを書くことを強いられる。この頃からアンフェタミンを常用。
- 1963年 はじめて神秘体験する。「空を見上げると、スロットのような目をした巨大な顔が見下ろしていた。」それを邪悪な神と見たディックは、キリスト教に救いを求めようとする。
- 1964年 『火星のタイムスリップ』など、この年だけで4長編を刊行。
- 1965年 『パーマー・エルドリッチの三つの聖痕』、『ドクター・ブラッドマネー』を刊行。両作品共にネビュラ賞候補。
- 1968年 『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』刊行、ネビュラ賞候補。短編『父祖の信仰』がヒューゴー賞候補。粗悪なドラッグによる内臓障害で入院。
- 1972年 バンクーバーのワールドコンに、ゲスト・オブ・オナーとして招待される。ブリティッシュ・コロンビア大学での歓迎会で「アンドロイドと人間」という講演を行う。その後もバンクーバーに滞在。アパートでジギタリスによる自殺を図る。薬物・アルコール中毒患者のための施設でリハビリの後、帰国。
- 1974年 『流れよ我が涙、と警官は言った』刊行、ネビュラ賞候補。翌年のジョン・W・キャンベル記念賞およびローカス賞(All Time Novel部門)受賞、ヒューゴー賞候補。2月から3月頃、「何か超絶的なまでに理性的な存在が自分の心の中に入り込んでくる」神秘体験に出会う。その中での神、あるいは他の何かとの接触の記録を Exegesis として書き記す。
- 1975年 『戦争が終わり、世界の終わりが始まった』刊行(生前に発行された、唯一の非SF長編)。ロンドンで開催されたSFフェスティバルに招待されるが、病気で欠席。この大会でのスピーチ用に、神学に傾倒した『人間とアンドロイドと機械』を執筆。
- 1977年 フランスのメスで開催されたSFフェスティバルにゲスト・オブ・オナーとして招待され、神を見たと公言するスピーチを2時間に渡りしゃべり続ける。
- 1981年 『ヴァリス』『聖なる侵入』発表。
- 1982年 脳卒中により死去。53歳。同年夏ディック作品初の映画『ブレードランナー』公開。『ティモシーアーチャーの転生』刊行、ネビュラ賞候補。
- 1983年 フィリップ・K・ディック記念賞創設。
[編集] 作品一覧
日本語訳された作品のみ記す。末尾の年は原書の出版年。また1982年以降の作品は、死後に出版された作品であることを示す。(タイトルが複数あるものは括弧内に示した)
なお、ディックのSF長編については、早川書房がまず、小説としての出来のいい作品を翻訳。その後、小説としての完成度は低いが、ディック的な魅力がある作品を、ディック死後に訪れた再評価の波にも乗り、サンリオSF文庫が大量に翻訳刊行した。サンリオSF文庫の廃刊後は、半数以上の作品がそのまま創元SF文庫に収録されたり新訳された。短編集ほか一部がハヤカワ文庫で改訂刊行。創元SF文庫はその後もディックの未訳の長編の翻訳を継続し、「全長編の刊行を目指す」と称していたがコスト面の問題で頓挫。一部品切れが出ている。2002年までの書誌はハヤカワ文庫「フィリップ・K・ディック・リポート」を参照。
現在は、創元SF文庫で出ていた作品が早川文庫で改訳されて再刊するなどの動きも起きている状況である(「暗闇のスキャナー」→「スキャナー・ダークリー」等)。
[編集] SF小説(長編)
- 偶然世界(太陽クイズ) Solar Lottery (Quizmaster Take All) (1955年)
- ジョーンズの世界 The World Jones Made (Womb for Another) (1956年)
- いたずらの問題 The Man who Japed (1956年)
- 虚空の眼(宇宙の眼) Eye in the Sky (1957年)
- 宇宙の操り人形 The Cosmic Puppets (1957年)
- 時は乱れて Time out of Joint (Biography in Time) (1959年)
- 高い城の男 The Man in the High Castle (1962年)
- タイタンのゲーム・プレーヤー The Game-Players of Titan (1963年)
- アルファ系衛星の氏族たち Clans of the Alphane Moon (1964年)
- 火星のタイム・スリップ Martian Time-Slip (1964年)
- 最後から二番目の真実 The Penultimate Truth (1964年)
- シミュラクラ The Simulacra (1964年)
- ドクター・ブラッドマネー(ブラッドマネー博士) Dr. Bloodmoney (1965年)
- パーマー・エルドリッチの三つの聖痕 The Three Stigmata of Palmer Eldritch (1965年)
- 去年を待ちながら Now Wait for Last Year (1966年)
- ライズ民間警察機構(テレポートされざる者) Lies,INC. (The Unteleported Man) (1966年)
- 逆まわりの世界 Counter-Clock World (1967年)
- ザップ・ガン The Zap Gun (1967年)
- アンドロイドは電気羊の夢を見るか? Do Androids Dream of Electric Sheep? (1968年)
- 銀河の壺直し Galactic Pot-Healer (1969年)
- ユービック Ubik (1969年)
- 死の迷路(死の迷宮) A Maze of Death (1970年)
- フロリクス8から来た友人 Our Friend from Frolix 8 (1970年)
- あなたをつくります(あなたを合成します) We Can Build You (1972年)
- 流れよ我が涙、と警官は言った Flow my Tears, the Policeman Said (1974年)
- 怒りの神 Deus Irae (1976年)(ロジャー・ゼラズニイとの共作)
- スキャナー・ダークリー (暗闇のスキャナー) A Scanner Darkly (1977年)
- ヴァリス VALIS (1981年)
- 聖なる侵入 The Devine Invasion (1981年)
- ユービック:スクリーンプレイ Ubik:The Screenplay(1985年)
- アルベマス Radio Free Albemuth (1985年)
- ニックとグリマング Nick and the Glimmung (1988年)※児童向け
[編集] SF小説(短編集)
原題 のないものは日本で編纂されたもの。
- 地図にない町(1976年)
- 人間狩り(1982年・1991年・2006年)[2]
- パーキーパットの日々(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック I)The Best of Phillip K. Dick 二分冊の一巻(1977年)
- 時間飛行士へのささやかな贈り物(サ・ベスト・オブ・P・K・ディック II)The Best of Phillip K. Dick 二分冊の二巻(1977年)
- 顔のない博物館(1983年)
- 宇宙の操り人形(1984年・1992年)[3]
- ウォー・ゲーム(1985年・1992年)[3]
- ゴールデン・マン(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック III)The Golden Man 二分冊の一巻(1980年)
- まだ人間じゃない(ザ・ベスト・オブ・P・K・ディック IV)The Golden Man 二分冊の二巻(1980年)
- 悪夢機械(1987年)
- 模造記憶(1989年)
- ウォー・ベテラン(1992年)
- 永久戦争(1993年)
- マイノリティ・リポート(1999年)
- シビュラの目(2000年)
- ペイチェック(2004)
[編集] 一般小説
- 戦争が終わり、世界の終わりが始まった Confessions of a Crap Artist (1975年)
- ティモシー・アーチャーの転生 The Transmigration of Timothy Archer (1982年)
- 小さな場所で大騒ぎ Puttering about in a Small Land (1985年)
- メアリと巨人 Mary and the Giant (1987年)
[編集] ノンフィクション
- ラスト・テスタメント P・K・ディックの最後の聖訓(グレッグ・リックマン編) Philip K. Dick the Last Testament Philip K. Dick (1985年) -インタビュー
- フィリップ・K・ディック 我が生涯の弁明(ロランス・スーティン編)Divine Invasions: The Life of Philip K. Dick (1990年)
- フィリップ・K・ディックのすべて -ノンフィクション集成(ローレンス・スーチン編) The Shifting Realities of Philip K. Dick (1995年)
[編集] 映画化された作品
- アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(1982年に『ブレードランナー』として映画化)
- 追憶売ります(1990年に『トータル・リコール』として映画化)
- 戦争が終わり、世界の終わりが始まった(1992年に『バルジョーでいこう!』として映画化)
- 変種第二号(1996年に『スクリーマーズ』として映画化)
- にせもの(2001年に『クローン』として映画化)
- 少数報告(2002年に『マイノリティ・リポート』として映画化)[4]
- 報酬(2003年に『ペイチェック 消された記憶』として映画化)
- 暗闇のスキャナー(2006年に『スキャナー・ダークリー』として映画化)
- ゴールデンマン(2007年に『ネクスト』として映画化)
[編集] 映画化されなかった企画
- 『ユービック』がジャン=ピエール・ゴランによって映画化されるはずだったが。この企画は頓挫した。その後、ディック自らが書いたシナリオが出版された(『ユービック:スクリーンプレイ』)。
- ブライアン・オールディスが『火星のタイムスリップ』の映画化をスタンリー・キューブリックに薦めていた時期があったという。[5]
[編集] 関連書籍
- 「SFの本」第1号『特集=P・K・ディックにくびったけ!』(新時代社、1982年)
- 『悪夢としてのP・K・ディック―人間、アンドロイド、機械』(サンリオ、1986年)
- 『あぶくの城 -フィリップ・K・ディックの研究読本』(北宋社、1983年)
- 「銀星倶楽部」(12号〉『特集:フィリップ・K・ディック』(ペヨトル工房、1989年)
- 「ユリイカ」1991年1月号『特集:P・K・ディックの世界』(青土社、1991年)
- ポール・ウィリアムズ『フィリップ・K・ディックの世界』(ペヨトル工房、1991年)
- トーキングヘッズ叢書10『PKD博覧会―われわれは、ディックの宇宙に生きている!』(アトリエサード、1996年)
- 『フィリップ・K・ディック・リポート』(ハヤカワ文庫、2002年)
[編集] 脚注
- ^ 『ペテン師に囲まれた幻視者』スタニスワフ・レム(『悪夢としてのP・K・ディック -人間、アンドロイド、機械』サンリオSF文庫
- ^ 同じタイトルで集英社ワールドSFシリーズ、ちくま文庫および論創社から出版されているが、集英社版とその他で収録作品に差異あり
- ^ a b 同じタイトルで朝日ソノラマ文庫およびちくま文庫から出版されたが収録作品に差異あり
- ^ 映画化決定後に発売された短編集では、映画と同じ題名に改められた。
- ^ ブライアン・オールディス「スタンリーの異常な愛情」、『スーパートイズ』、中俣真知子訳、竹書房、2001年:pp345-363
[編集] 外部リンク

