オリジナルビデオ

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オリジナルビデオとは、劇場公開を前提としないビデオ専用の映画レンタルビデオ店での貸出用に作られた劇映画をいう[1][2]。中には、劇場公開を前提としながらも諸事情によりパッケージ専用となった映画もあるが、こちらはビデオスルーと呼んで区別している。

略称はOV。その他の通称として、ビデオ映画やVシネマ、Vシネがある。ここでは主に実写作品について述べる。アニメ作品に関してはOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)を参照。

名称について[編集]

黎明期である1990年の『月刊シナリオ』(日本シナリオ作家協会)10月号の「特集 ビデオシネマの可能性と現在」では、「ビデオシネマとは...ビデオのマーケットを主目的に作られた『ビデオの劇作品』を、一般的には『オリジナルビデオ』とか、『オリジナルビデオ映画』『OV』などと呼び、各制作会社はそれぞれの商品名をつけていますが、このジャンル全体を指す適当な呼名はまだ確立していないようなので『ビデオ独自の劇作品部門全体の名称』として編集部で仮につけたタイトルです」と書かれ、ここでは「ビデオシネマ」と呼んでいる[2]。しかしこの特集では執筆者によって呼び方が違い、塩田時敏はビデオ・オリジナル[3]桂千穂ヴィデオドラマ(Vドラマ)[4]、鴨井達比古(日本シナリオ協会理事)は、オリジナル・ビデオと呼んでいる[5]。他にVオリジナルビデオムービーという呼び名もあった[1]

また、東映のオリジナルビデオレーベル・東映Vシネマを始め、各社が別々の名称、レーベルでオリジナルビデオ映画を発売した(#オリジナルビデオの主なメーカーおよびレーベルを参照)[1][6]。  

概要[編集]

1985年バンダイのエモーションレーベルが30分の短編ながら早川光監督の『うばわれた心臓』を製作し発売。同年にはオレンジビデオハウスから『ギニーピッグ』シリーズが出されており、これらオリジナルビデオ製作の背景にはスプラッター映画のブームがあった[7][8]。その他にもアダルトアニメを発売していたワンダーキッズが井筒和幸監督で『コンバってんねん』を出すなど、黎明期のビデオ市場において散発的にオリジナルビデオは発表されていた。

1989年東映が発売した東映Vシネマがオリジナルビデオを市場として確立する[1][9]。東映は低迷する日本映画の現状打開のため、劇場公開にかかるコストを作品制作費に充填する事で、低予算ながら劇場公開作品に劣らぬ品質を生み出そうとしたのである。いわゆる大作ではなくプログラムピクチャーをビデオ供給したものであり[10]、東映のこの試みは功を奏し、1990年までに発売した20本の平均売り上げ数2万7千本と1万本でヒットと言われるビデオ業界で大成功を収め[11]、1990年4月からは月に1本、10月からは月2本と量産体制を整え[12]、Vシネマ=オリジナルビデオという意味合いで、事実上の代名詞として使用される事も多い[1][6]

東映の成功を追って[13]日活が1990年3月15日に制作開始発表するなど、1990年代初頭に松竹[14]東宝など次々と他の映画会社も参入していった[1][6]。当時、映画会社は自社での劇場用映画の制作を減らしており、これら映画会社がオリジナルビデオをこぞって制作を始めたのは、それまでレンタルビデオのソフト供給源だった映画の旧作が底を突き始めていたためという事情もあった[15]。 また、映画会社のみならず、ビデオ会社のジャパンホームビデオアダルトビデオを制作していたダイヤモンド映像村西とおるが「日本ビデオ映像」を設立してオリジナルビデオの制作を開始するなどした[16]

さらには、バブル経済末期ということもあいまって、それまで映画製作に縁のなかった人々までが映画のプロデューサーに近いことをやれるということも魅力と3000万円から4000万という映画としては低予算な理由から殺到し[17]、当時全盛を迎えていたレンタルビデオ市場にオリジナルビデオが投入されていくことになった[18]

1995年には、日本で年間150本の新作オリジナルビデオがリリースされる活況を見せた[19]

しかし、濫作は育ちかけた市場を早期に供給過多に陥らせ、個々の商品の売り上げを落とし、その結果、粗製濫造された商品が出回り、さらに売り上げは落ちていった。製作当初、東映のVシネマは6000万円から7000万円の予算で製作されていたが、2000年頃にはオリジナルビデオの制作費は2000万円から3000万円とも言われる[20]。ピンク映画、アダルトビデオとの関わりが多いエロス系の作品においては予算はさらに切り詰められており、50万~100万円台の作品まで登場している(参考:ピンク映画の一般的な予算は250万~300万円と言われており、最近では200万円台の予算の作品も登場している)。
低予算のオリジナルビデオでは、撮影もフィルム撮影からビデオ撮影へと変わり、近年ではシリーズ物の製作において、同じスタッフ・出演者で一度のスケジュール拘束で2話・3話とまとめて撮影するという手法が目立っている。

レンタルビデオ市場も縮小傾向にあり、2008年現在では市場に投入してきたDVDにより、オンラインDVDレンタルやDVDセルの市場に移行しつつある。DVDの場合、1本あたりの小売価格がVHSの10分の1に近いため、制作コストもそれに応じて安くなりつつあるのが現状である。

オリジナルビデオは、プロモーションのため短期間、単館で劇場公開されることも多く[21]、そうした作品はレンタルビデオ店で劇場公開作品として扱われる。

なお、アニメ作品に関してはOVA(オリジナル・ビデオ・アニメーション)と呼ぶのが通例であり、こちらは上記の実写作品に先立つ1983年にはすでに最初の作品が発売されており、内容的にも上記のエロス作品等に該当しないものも多く存在する。

オリジナルビデオで扱われるテーマは多種多様であったが、その中でも特に多かったのがヤクザギャンブルエロの3ジャンルで、ホラー都市伝説モノも一定の支持を集め、のちのジャパン・ホラーブームの下地をつくるなど、その後の映画界発展に大きく貢献したと評価される[6]

オリジナルビデオの主なメーカーおよびレーベル[編集]

すでに撤退しているものも含める。

オリジナルビデオ作品の例[編集]

オリジナルビデオを中心に活躍している俳優[編集]

出典・脚注[編集]

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  1. ^ a b c d e f #Vシネ伝説
  2. ^ a b #シナリオ、p4
  3. ^ #シナリオ、pp.9-11「東映Vシネマとビデオ・オリジナルのゆくえー塩田時敏」
  4. ^ #シナリオ、pp.9-11「若者よ、Vドラマを目指せー桂千穂」
  5. ^ #シナリオ、pp.14-15「『オリジナル・ビデオ』に関する作家協会の立場 ー鴨井達比古(日本シナリオ協会理事)」
  6. ^ a b c d Vシネマ誕生から25年 その歴史と扱われやすいテーマを解説
  7. ^ 早川光極私的映画史 うばわれた心臓 早川光公式サイト
  8. ^ 尾崎一男「狂い咲き美少女ホラー その解体と検証」『別冊映画秘宝 アイドル映画30年史』洋泉社、2003年、p186
  9. ^ #山根、p63-65
  10. ^ 『ニッポン映画戦後50年 1945~1995』朝日ソノラマ、1995年、p221
  11. ^ 佐野眞一『日本映画は、いま スクリーンの裏側からの証言』TBSブリタニカ、1996年、p108
  12. ^ 尾形英夫『あの旗を撃て』オークラ出版、2004年、p297
  13. ^ 三池崇史『監督中毒』ぴあ、2003年、p202
  14. ^ SHVシネマの第1回作品は向井寛監督『女刑事サシバ』で1990年12月28日発売
  15. ^ 佐野眞一『日本映画は、いま スクリーンの裏側からの証言』TBSブリタニカ、1996年、p113
  16. ^ 足立倫行『アダルトな人びと』講談社文庫、1995年、p51
  17. ^ 『三池崇拝の仕事』太田出版、2003年、p29、p137.
  18. ^ 轟夕起夫編『映画監督になる15の方法』洋泉社、2001年、p37
  19. ^ 『キネマ旬報』1995年10月上旬号、p.204。
  20. ^ 福田卓郎『脚本家になる方法』青弓社、2000年、p13
  21. ^ 三池崇史『監督中毒』ぴあ、2003年、p208

参考文献・ウェブサイト[編集]

関連項目[編集]